《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第100話 魔神の力
………察してくださいね?
===ユウキ視點========================
よし、一回鎌をかけてみるか。
(え?何をーー)
技姫の訝しそうな聲を無視して、駆け出す。
それを見た魔神は余裕ぶって大剣を霧散させ、棒立ちになっている。今が好機!
「"ウィンドアクセル"!」
ある程度近づいた所で、全に"ウィンドアクセル"という、風を発生させて一気に速度を上げて機力を上げる魔法を使い、さらに"強化"を使って奴の背後に回り込む。
俺が背後に回り込んだ事に驚いた魔神は距離を取ろうとするが、それを逃さず、左手を魔神に向け、
「『魔導』"グラビティボックス"」
この『魔導』は先代魔神と戦う前にかち合った魔族と魔の群れを駆逐する時に使って以來、使ってない『魔導』だ。
理由は単純、威力が強すぎるから。
そんな危険な『魔導』が発し、魔神の足下に黒い正方形が浮かび上がり、そこから全く同じサイズの正方形が四方を囲むように立ち上がる。そして、最後に立ち上がった正方形の上端から正方形が勢い良く飛び出て、蓋をした。
Advertisement
俺はすぐさま離れたから、巻き込まれる事は無かった。そして、奴は蓋が閉まるまで、いて無かったのを"視眼"で確認した。
あれは正方形が展開された時點で重力が発生していて、足場に現れてから蓋をするまでは上から下に、という普通の重力が強化されたように強い重力が発生するが、蓋が閉まった瞬間、全方位から強い重力が発生する。よって、敵は球の狀態にまでなるのが普通だが、魔神は………
"視眼"で再び、中を覗こうとした瞬間、激しい突風が巻き起こった。
「なっ……………!?」
中に襲う突風に耐えながら、両腕を平行に顔に覆って風圧に耐えながら、目を開けると、そこには平然と立っている魔神と崩れ去ってそこら中に飛び散っている『魔導』"グラビティボックス"のかけらだった……。
「『魔素支配』という能力を忘れているのか?魔神たるこの俺、我、余、妾にこそ相応しい力を!」
飛び散った"グラビティボックス"のかけらが原型を留められずに霧散するのを橫目で見ながら、魔神の言った言葉で確信した。
Advertisement
奴は『魔素支配』の技量はオリナ以下だ。
(………理由は?)
まず1つ、この突風だ。
(………これは魔素を使って起こした突風のようですね)
技姫の言う通り、この突風は魔素を使って空気の流れを変えて起こしたものだ。
恐らく、"グラビティボックス"の空気を使ったのだろう。空気も重力の影響をけるはずなのに、この突風を起こせたのは凄いが………
幾らなんでも長すぎやしないか?
(………そうですね、"グラビティボックス"を破壊するためだけなら、瞬間的にもっと勢い良くするべきです)
そうだ。それが分からない奴じゃない。よって、奴はそう言った些細な作が下手だと思われる。
俺も『魔素支配』が使えるから分かるが、魔素をるのは持続より瞬間的な方が難しい。何故なら、一瞬で範囲を決めたり、命令容、出力を考えないといけないからだ。
その點、剣を構したりするのは簡単だ。魔素を集めて形狀を作り、くなるという命令を與えるだけでいいから。
次に2つ目、何故、奴は"グラビティボックス"を霧散させなかった?
(………それは、絶を與えるため?でしょうか…)
いや、それなら霧散された方が絶がある。それをしないって事は……
(霧散させる事が出來ないという事ですか?)
多分………、あくまで可能だけど、大いにあり得ると思う。
奴がそこまで『魔素支配』に長けていないのは恐らく、奴の神面が影響している。
歴代の魔神の力と神を持った奴は、確かに力では足し算になって、強くなるだろう。だが、神面、もといセンスは必ずしも足し算にはならない。恐らく、奴は歴代魔神の平均のセンスとなっている。つまり、オリナ以外の魔神はあまり『魔素支配』を上手く使えなかったという事だ。確かに、先代魔神もあまり使って來なかった。これなら、多は勝機がある!
突風はやっと止み、今なら普通に戦える。俺は技姫を握り締め、アトラの作確認を軽くし、魔神を見據える。
魔神は自信に満ちた表をしているが、そのびた鼻をへし折ってやる!
技姫、持久戦といこうか!!
(了解しました)
あれから約30分。戦いにおいて、30分は長いともじられる時間でもあり、短いとじられる時間でもある。今回は………短かった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
俺は技姫を地面に突き刺し、重を技姫に預け、項垂れている。中から滲み出るを気にしつつも"強化"で自然治癒力すら高められない狀況に文句でもつけてやりたくなる。
対して魔神は…………
「ふっ、フハハハハハ!!口程にも無いとはまさにこの事よ!たわいない!脆い!弱い!所詮、人間という種ではここが限界か!」
全くの無傷。いや、完治しきっていると言うべきか。高笑いをしながら、二刀の大剣をクルクルと用に回している。
初めは優勢だった。『魔導』、『殲滅武』やアトラ、技姫を使い、無數の斬り傷を何度も付けた。だが、俺は奴の回復力を甘く見ていた。幾ら付けてもすぐに治る。元から持久戦にしようとしていたが、それはあくまで相手も消耗してくれないと持久出來ない。
そして、徐々に押され始め、僅か30分で完全に形逆転されてしまった。
………ここは……攻武だったな……。
(そうですね、魔力があまり余裕があるとは言えませんので、ここはない魔力で高い破壊力を出す攻武が最適だったのですが、攻武は………)
そう、攻武は今は使えない。損傷した『ソウルウェポン』は繊細で、些細な事で完全破壊してしまったりして、命を落とす場合もある。
そもそも、俺の判斷が間違っていたのかもしれない。ここはアトラを魔力増幅裝置に変えて一か八か、一気に"滅卻衝"で決めてしまった方が良かった。
(………私は我が主人の判斷が間違っていたとは思ってはいませんよ。ただ、相手が悪かっただけだとーー)
そんなのは言い訳にはならない。
(……………………)
技姫が勵まそうとしてくれたけど、俺はそうは思えなかった。
一つ一つの判斷が俺の命を左右する。いや、リルやどこかにいるティフィラ達、もっと言えば技姫、攻武、そして守姫達も…………。
"相手が悪かった"なんて事では済まされない。そんな事は普通に起こり得る。だからこそ、しっかりと判斷すべきなのに、俺は…………!!
(ご主人様!!)
突如聞こえた守姫の聲。その聲は泣きそうな様子である事が容易に想像出來るくらい、潤んでいた。
(自分ばかり責めないでください!ミスをしても構いませんから!あの時のように、諦めない気持ちがあればきっと……!!)
守姫が言った事は、普通に聞けばただの希に縋すがり付いている現実を見てない言葉なのかもしれない。
だが、本當の危機が訪れた時に聴くとどうしようもなく救われた気分になる。
「貴様はここで終わりだ。終いだ。あの世で後悔しろ、この俺、我、余、妾に戦いを挑んだ事を………!!」
剣にもたれかかっている俺に振り下ろされた二刀の大剣。俺はただ、それをただ見つめている。だが、大剣はいつになっても降りてこない。何も、時間が止まっている訳ではない。この覚は…………。
===============================
- 連載中60 章
【書籍化&コミカライズ】小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される
『氷の王子』と呼ばれるザヴァンニ王國第一王子ウィリアム・ザヴァンニ。 自分より弱い者に護られるなど考えられないと、実力で近衛騎士団副団長まで登り詰め、育成を始めた彼には浮いた噂一つなく。それによって心配した國王と王妃によって、ザヴァンニ王國の適齢期である伯爵家以上の令嬢達が集められ……。 視線を合わせることなく『コレでいい』と言われた伯爵令嬢は、いきなり第一王子の婚約者にされてしまいましたとさ。 ……って、そんなの納得出來ません。 何で私なんですか〜(泣) 【書籍化】ビーズログ文庫様にて 2020年5月15日、1巻発売 2020年11月14日、2巻発売 2021年6月15日、3巻発売 2022年1月15日、4巻発売 【コミカライズ】フロースコミック様にて 2022年1月17日、1巻発売 【金曜日更新】 ComicWalker https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_FL00202221010000_68/ 【金曜日更新】 ニコニコ靜畫https://seiga.nicovideo.jp/comic/52924
8 160 - 連載中508 章
銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者
『銀河戦國記ノヴァルナ』シリーズ第2章。 星大名ナグヤ=ウォーダ家の新たな當主となったノヴァルナ・ダン=ウォーダは、オ・ワーリ宙域の統一に動き出す。一族同士の、血縁者同士の爭いに身を投じるノヴァルナ。そしてさらに迫りくる強大な敵…運命の星が今、輝きを放ち始める。※この作品は、E-エブリスタ様に掲載させていただいております同作品の本編部分です。[現在、毎週水曜日・金曜日・日曜日18時に自動更新中]
8 190 - 連載中113 章
高収入悪夢治療バイト・未経験者歓迎
大學3年生の夏休み、主人公・凜太は遊ぶ金欲しさに高収入バイトを探していた。 インターネットや求人雑誌を利用して辿り著いたのは睡眠治療のサポートをするバイト。求人情報に記載されている業務內容は醫師の下での雑務と患者の見守り。特に難しいことは書かれていない中、時給は1800円と破格の高さだった。 良いバイトを見つけたと喜び、すぐに応募した凜太を待ち受けていたのは睡眠治療の中でも悪夢治療に限定されたもので……しかもそれは想像とは全く違っていたものだった……。
8 94 - 連載中15 章
終末屍物語
2138年4月10日、何の前觸れもなく起こったゾンビパンデミックで、人類の文明社會は唐突に滅んだ。そんな世界で生きていくゾンビの少年と半ゾンビな少女の物語
8 152 - 連載中96 章
転生プログラマのゴーレム王朝建國日誌~自重せずにゴーレムを量産していたら大変なことになりました~
ブラック會社で過労死した《巧魔》。 異世界へ転生した巧魔は、《ゴーレム》を作成出來る能力を手に入れていた。 働きたくないでござる癥候群筆頭の巧魔は、メガスローライフ実現のためここぞとばかりにゴーレムを量産。 しかし目立ちすぎてしまったのか、國王に目をつけられてしまい、かえってメガスローライフが遠のいていく。 果たして巧魔に平穏なスローライフは訪れるのだろうか……。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 【本作の特徴】 ・ゴーレムを使い內政チート ・戦闘特化ゴーレムや自己強化型ゴーレムで戦闘チート ・その他ミニゴーレム(マスコットキャラ)など多種多様なゴーレムが登場します ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ※この作品はアルファポリス同時掲載してます
8 70 - 連載中205 章
(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
「お前、ここで働かないか?」 その一言で働くことになった俺。喫茶店のスタッフは、なんと二人ともドラゴンが人間になった姿だった。なぜかは知らないが、二人はメイド服を著て喫茶店をしている。なし崩し的に俺も働くことになったのだがここにやってくる客は珍しい客だらけ。異世界の勇者だったり毎日の仕事をつらいと思うサラリーマン、それに……魔王とか。まあ、いろいろな客がやってくるけれど、このお店のおもてなしはピカイチ。たとえどんな客がやってきても笑顔を絶やさないし、笑顔を屆ける。それがこのお店のポリシーだから。 さて、今日も客がやってきたようだ。異世界唯一の、ドラゴンメイド喫茶に。 ※連作短編ですので、基本どこから読んでも楽しめるようになっています。(ただしエピソード8とエピソード9、エピソード13とエピソード14、エピソード27~29は一続きのストーリーです。) ※シーズン1:エピソード1~14、シーズン2:エピソード15~29、シーズン3:エピソード30~ ※タイトルを一部変更(~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~を追加)しました。 ※2017年からツイッターで小説連載します。http://twitter.com/dragonmaidcafe 章の部分に登場した料理を記載しています。書かれてないときは、料理が出てないってことです。
8 56