《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第?話 弱き頃

===ユウキ視點========================

小學校の學式から半年。

小學校という新しい環境にも慣れたけど、未だに友達は1人もいない。けど、寂しくも辛くも無い。だって、學校が終わったら大好きなお姉さんに會えるから。それだけが僕の活力になっていた。

「おーねぇーさーんー!今日も來たよっ!!」

僕はもう見慣れた木の扉を勢い良く開ける。勢いが良すぎて回転した先の壁に當たって大きな音が出たけど、お姉さんはそんな事を気にする筈もない。

僕は部屋のあるじを探すために、背びをして部屋の中を見渡すけど、部屋のあるじは居なかった。

「………まだ帰ってないのかな?……」

部屋の右側に縦に置かれた木製の長機があり、そこに向かい合うようにしてある木製の椅子の外側に腰掛ける。

お姉さんは綺麗好きだから、木が腐った時に現れる黒いもの以外は汚れ一つ無い。僕から見える部屋の左側に置かれた敷布団はもともとここにあったらしく、相當汚れていた筈なのに今は真っ白だ。

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今日は家にランドセルを置く時にお母さんに6時には帰るように言われているから、早くお姉さんが帰って來ないとお話や遊びが出來なくなる。

左手首に付けたキャラものの腕時計は5時を示していて、あと1時間しか無い。

「………まあ、怒られても良いかな……」

僕は親の言いつけよりもお姉さんに會いたい気持ちが収まらず、手首に付けた腕時計を置いてお姉さんの布団にった。

った途端、お姉さんの優しくて甘い匂いが鼻に気持ち良くって來るのと同時に耐え難い睡魔が押し寄せて來た………。

「ーーぃ」

遠くから聲が聞こえる。も揺すられているみたいだ。それを意識した途端に、中の覚が回復して來る。そして、回復した聴覚が捉えたのは聞き慣れた怒鳴るような聲だった。

「起きなさい!!」

「ん?んん~~んぅ」

いつもなら簡単に眠気を飛ばすお母さんの聲が、今は普通の怒鳴り聲のように聞こえる。

僕はを起こし、目をこする。そのあと、辺りを見渡すと、外から強めので照らされたお姉さんの部屋に心配そうに見つめるお母さんとお父さん、お姉ちゃんが居た。

「…………あれ?……どうしてここに?……」

家族に呟くように言った瞬間、お母さんが抱きついて來る。背中越しにすすり泣く聲が聞こえ、目の前では安堵するかのようにゆっくりと溜息を吐いたお父さんと涙を浮かべながら『良かった、良かった!』と呟くお姉ちゃん。

訳も分からず戸っていると、立ち直ったらしいお母さんが僕の手を摑んで立ち上がった。

「……さぁ、早く家に帰りましょ。あんまり長く居ると拐犯が帰って來るかも知らないから」

そう言うと、強引に僕の手を引っ張って強いって來ている扉へと向かうお母さん。その後ろにはお父さんとお姉ちゃんが付いてくる。

このままじゃ、お姉さんに會えずに帰されると思い、全力でお母さんの手を払い、その場に立ち止まる。僕が立ち止まった事でみんなが立ち止まった。

「………お母さん、もう帰るの?」

「…何言ってるの?あなたは拐されたのよ?怖い事をされないに早く逃げないとーー」

「あぁぁ~~!?なんだこりゃ?箱か?」

お母さんの聲を遮ったのは若い男の聲。僕より年上で、お母さん達より年下の、いわゆる高校生辺りの聲だ。

その聲を聞いた途端、本能的に悟った。ヤバイ人だ。多分、殺されるっ!!

僕の覚的にお姉さんが戦っていた男によく似ている雰囲気の男が扉のすぐ先に居る。真っ先に行したのはお母さんだった。

「あなた誰っ!?」

なんとお母さんは扉の先へ行ってしまった。扉からは依然、眩しいが出ているから、お母さんの姿は見えない。僕は危険な男のところへ行くお母さんを止められなかった。僕はへたり込んでしまい、ただ耳だけを働かせた。

「あぁぁ?何でこんなところに人間が居る?邪魔だな」

「あなたが拐犯ですね!警察に通報ーー」(グシャリッ!!)

お母さんが言い終わるより前に聞こえて來たのは何かが潰れたかのような音。それ以降、全くお母さんの聲が聞こえず、水を踏むかのような音のみが聞こえる。

僕の視界は扉に釘付けで、誰が來るのかをただ見つめ続けていたら、急に視界が暗くなった。そして、目の前には恐怖で怯えるお姉ちゃんがいる。背中に腕のようなものがじられる事から、お姉ちゃんが僕を抱き寄せていた事に気付いた。

「あぁぁ?まだ居るのかよ。しかも人間だけ」

「……頼む。金なら払ーー」(グシャリッ!!)

またしても、お父さんが言い終わるより前に何が潰れるかのような音。その音が鳴った瞬間、お姉ちゃんは涙を流し、僕をさらに強く抱き締めた。それこそ痛いほど。

「………お姉ちゃん、どうしたの?」

僕は顔を上げてお姉ちゃんの顔を真正面に見た瞬間、お姉ちゃんの顔が消え、代わりに顔に赤いが勢い良く付いた。

訳が分からず、手をほほに當てる。そこには真っ赤なが付いていた。

「………っ!!??あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

全てを悟った。お母さんもお父さんもお姉ちゃんも、男に殺された事を。目からは涙が溢れ、首から上が無くなったお姉ちゃんに抱き著く。そうしないと何かが壊れる気がしたから。

背中越しから聞こえる嘲笑うかのように笑う聲。顔は見えないけど、きっと最低な奴に決まってる。けど、そんな最低な奴と戦えるほどの力も無い。僕はただ、泣くしか無かった。

「あ~あ、笑った笑った!じゃあ、もう死ねよ」

(ドシュッ!!ドゥゥン!!)

今から殺される事を覚悟して、歯を食いしばっていたのに、聞こえてきたのは何かを貫く音と何かが発したような音。

僕は頭を上げる。そこにはに大きながある男とそのの中心に剣があった。し金の裝飾がされたその剣は見間違える事が無い、お姉さんの剣だった。

「…………ごめんね、助けられなかった……」

あれから全ての死を片付けたお姉さんは、ずっと僕を抱き締めている。いや、抱き締めてくれている。

お姉さんに抱き締められ、落ち著いて來た心の中は、家族を殺した男に対する強い憎しみと無力な自分への怒り。僕は自然とお姉さんに嘆願していた。これからの人生を狂わす事になったとしても、後悔はしないであろう願いを。

「………僕に力をくださいっ!あんなやつを殺せる程のっ!絶対的な力をっ!僕にぃっ!!!」

お姉さんは、僕を一旦離すと、僕の頭に手を當てた。お姉さんの顔はどこか悲しげだけど、決意をした目をしている。

「……………分かったわ。けど、もう引き返せない。この力は魂に刻まれ、來世でも消える事は無い。………ごめんなさい。こんなかたちであなたを利用する……!」

手にが燈り、側から熱くなってくる。そして、薄れゆく意識の中で、の聲がはっきりと聞こえた。

『………………あなたが私の………』

あれから、僕の面倒はお姉さんが見てくれ、同時に力をつけるための修行もした。

教えて貰ったのは二つ。剣を作ったり、腕に剣のようにを纏う"ブレイド"と格下の相手の記憶やを破壊できる"ブレイク"を教えてもらった。

そして、々と落ち著きを取り戻し、それなりに力がついた小學二年生の時、お姉さんは突然、居なくなった…………。

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