《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第101話 目覚め

===ユウキ視點========================

「…………これらが君が失った過去だ」

急に頭をよぎったい頃や高校生だった時の記憶を思い返している途中、目の前の男に聲をかけられ、意識を現実に向ける。

目の前には青い髪を上げ、茶のシャツと紺のズボンを著た歳は30歳程度の男が、右手に持った本を開けながら俺を見ている。

ここは床が無く、天井も無い。俺らはただ流れ星のようなものが飛んでいる金の世界に漂っていた。こんな非現実なところはある訳が無いので、幻覚かあるいは夢の中だろう。

俺は警戒を最大限しながら、男と喋る事にした。得も知れない男だが、今はとにかく報がしいし、何故か目の前の男を今逃すともう會えないような気がしたからだ。

「………ここはどこなんだ?」

「……………」

「………お前は何者なんだ?」

「……………」

「………さっきの記憶は本當に俺のなのか?」

「ええ、勿論です。……もっとも、復元出來たのはこれだけですけど」

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前の質問には無言だったのに、俺の記憶の事には答えた。取り敢えず、俺の記憶について考えてみよう。確かに気になっていたから、丁度良いかもな。

俺は再び、俺の記憶というものを思い返してみる。………やっぱりもう一度思い返してみても、男はあの記憶が俺のものだと言うが、どうもしっくりこない。

どの時期も見に覚えも無い、あっと思い出す事も無い、まるで記憶がすり抜けるかのような………。けど、あの綺麗なは見覚えはある。破壊神が化けた時の様にだけは見た覚えがあるのに………。

「……それが彼がやった喪失。決して戻る事は無い、蘇る事は無い」

薄っすらとしずつ、男のが足から徐々にけていっているように見える。

「ただ、刻まれたものが無くなった訳では無い。使い方………いや、存在を知れず、認識出來ないだけ」

自分のけていっているのに、構わず喋り続ける。

「だが、この記憶があれば呼び醒ます事は出來るかも知れない。あるいは呼び起せ。その力を」

言い終わる頃には跡形もなく、消えた。

結局、あの男が言っていた事は何一つ分からない。けど、何かが醒めるような気がした………。

『………………ねぇ…………』

何だ?

『………私、役に立ててた?』

さあな?あの頃の俺に聞いてみたら?

『……ふふっ、きっと君はこの會話も無かった事にするんでしょ?』

………さあ?分からないな。けど、きっと俺は今の會話を覚えてないだろう。

『………なら、今言っておくね』

『私はいつでも、力になるよ』

…………知ってる。

『………早く私を認識しって、思い出して。私はいつまでも待ってるから……………』

俺は目を開ける。頭は覚束ないし、目も正直ほとんど霞んで見えない。けど、は分かる。目に移っているは灰だ。

「師匠!!」「お師匠様!!」

弟子の大きな聲で、意識が急激に覚醒してくるのが分かる。

………確か、俺はすごく強くなった魔神と戦って、そして瀕死になってそれで………

「……っ!!?まじーー」(ゴチィィン!!)

俺が飛び起きようとしたら、リリの頭に當たってしまい、跳ね返るように倒れる。跳ね返った先にはらかいベットのがあり、俺はベットに寢ている事を覚で知った。それより…………

「いってぇぇぇ!!」

急に頭に鉄よりいものがぶつかった事により、悶えてしまう。頭がズキズキと痛み、目から涙が出るほどだった。

「あぁぁぁっ!!また私の頭を馬鹿にしてぇぇっ!!」

「………姉さん、抑えて」

リリが何やら怒っているようだが、そんな事は気にしてられない。一刻も早く治さねば。俺は痛みが強いおでこよりしつむじよりの部分に手を當て、回復魔法を使おうとするが、発しない。理由はすぐに分かった。

「…………魔力が無い……」

そう、俺のには圧倒的に魔力が不足していた。訳を知るために攻武やら守姫に呼びかけるが、一向に反応が無い。"ソウルウェポン"はあるみたいだが、顕現させる事が出來ない。一何が………?

「そりゃあ、當たり前だろ」

「………っ!?誰だ!?……っぅ!!」

急に聞こえた聞いた事も無い男の聲。俺はすぐさま警戒態勢を取ろうとするが、中に激痛が走った。

どうやらは思った以上に限界のようで、を起こす事しか出來なかった。

「おいおい、もうけるのかよ」

呑気な聲で近づいて來たのは40代後半辺りの男。白を基調とした模様が多い鎧を著ている。あれは神騎士の鎧によく似ている。そして、男の頭はそれはもうっていた。

「お前まで俺の頭を見るのかよ!!」

男は相當んな人に見られたのか、うんざりしているようだ。

それより………男の魔力、何か違うな。合した時のリルや『戯神』の魔力にどちらかと似ている。一何者だ?

「………もう何か勘付いているのかよ……。察力まで化けだな……」

「そんな事より、あんたは何者だ?すぐに襲って來ない辺り、敵ではなさそうだが?」

俺が問いかけると、待ってましたとでも言わんばかりの嬉しそうな顔になった。

「ふっ。そうだよな、知りたいよな!よし、教えてやろう!俺はーー」

「あ、この人はアギラさんです。アルナ様の眷屬らしいですよ」

アギラとかいう男の臺詞をサラッと奪ったドヤ顔のリリ。そして崩れ去るアギラ。

「………取り敢えず、本題にって……」

俺は今の現狀を把握してない。悪いが、むさい男のコントに付き合っている余裕は無いんだ。

「えぇと、ここは?」

けない俺をいわゆるお姫様抱っこで運んでいるリリに聞く。ここは教會っぽいところのようだが、俺とリリ、ルル、アギラ以外、誰も居ない。そして、今向いている反対方向では、開けろと騒ぐ聲が聞こえる。………マジでどこ?

「ここは《アブェル》で一番大きな教會です。今から、アギラさんに門を開けてもらって、神界に行きます」

………急展開過ぎ。

「いやなんで俺が神界とやらに行かねぇと行けねぇんだよ!?さっさとこれまでの経緯を話せよ!?」

「………………」

けない代わりにリリに問い詰めたが、リリは顔を逸らし、一向に現狀を説明しようとしない。こっちは早く対策をーー

「よし、開いたぞ~~」

どうやら神界に繋がるものが開いてしまったらしく、リリから視線を目の前に移すと、そこには真っ白な縦に長い楕円形のものがあった。……それは『戯神』が出していたものと殆ど同じだった。

「さあ、行きますよ」

「え?ちょっ!!」

リリは俺の事なんか構い無しのようで、楕円形のものに駆け出して行く。

抵抗出來ない俺は、目をギュッと瞑った………。

「會うのは初めまして。ユウキさん」

何かしらの衝撃が來るかもと覚悟していた俺の耳に、優しげなの聲が聞こえた。

目を開き、真っ直ぐと正面を見ると、そこにはんな刺繍がされた真っ白なドレスのようなものを著た金の髪をなびかせ、虹の目で俺を見つめるが居た。

そのはあまりにも、俺に関わりがあるとされるあのに似ていた………。

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