《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第103話 報
===リリ視點========================
「きゃぁっ!!?」
「「アルナ様!!??」」
師匠が意識を失った瞬間、アルナ様が悲鳴をあげました。それを聞いたアマナさんもアギラさんも持っていた水晶玉を投げ捨ててまでいち早く駆け寄りました。
アマナさんは分かるけど、なんやかんやでアギラさんもアルナ様の眷屬なんだなー。
「………姉さん、あれ…」
「ん?」
ルルがゆびさしたのは、アルナ様が師匠をっていた右手。そこには小さいながらも白い雷のようなものが纏わり付いていました。それも………
「……神気?」「……神気がある……」
私とアルナ様が呟いたのは同時でした。
「ユウキさんはあんな事をしたんです。神気があっても不思議では無いんですけど………」
アルナ様は右手を開いたり閉じたりしながら手を見つめています。そこにはもう雷は無いけど、謎が消えた訳じゃありません。
「………あれが原因か、もしくは『地球』の頃に近寄ってる?」
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アルナ様が言ってる『地球』の頃は知らないけど、あれは見たから知っています。あの神々しくも恐ろしい景を………。
「これで……終いだ………死ーー」
(ゴォーン!ゴォーン!ゴォーン!)
破壊神が真っ黒な剣をどこからか出し、それを私に投げつけようとした時、中が響く程の鐘の音が聞こえてきた。
『………っ!?』
鐘の音の所為で口から更にが出てくるけど、そんな事なんて気にならなかった。
『……お師匠?………』
鐘の音とともに伝わってくる神気は、んなところに変化があるものの、お師匠の魔力と酷似していた。
「………チィ、要らぬ邪魔がったな」
破壊神はそう言い捨てると、背後にアギラさんと同じような門を作り出し、その中へと消えていった……。
それとれ替えるように、金のが押し寄せて來た。それも周りの土地や魔達を跡形も無く消しながら。
私はそのがお師匠が作り出したものだと信じ、そのへとを引きづりながら向かった。
『……はぁ、……はぁ……お師匠……!』
のあと一歩というところで私は倒れてしまった………。
ここでリルとしての記憶は途切れてしまっています。そして、目が覚めた時には全てが終わってしまっていました。
「……結局、また師匠に助けてもらったんだよね…………」
「……………」
私が呟いたのを聞いて、ルルも思い出したのか、組んでいる腕に力がっています。
「………私はもう、師匠に助けられなくても良いようになりたかったのに………」
「……………それは無理……」
私の思いを全否定するかのようなルルの呟きに、ついカッとなって師匠を落とさないよう、素早くルルの腕を払い、そのあと正面から睨みつけようとしたけど、ルルの顔を見て出來なくなりました。だって、ルルの顔はとても悲しげでもあったし悔しそうでもあったんです。
「……私達には圧倒的に経験値が無い、知恵も無い、技も無い………」
ルルが言った事は紛れも無い事実でした。
私達には、師匠ほど戦い慣れていないし、『魔導』だって『共神化』しても師匠ほどじゃないし、『殲滅武』も師匠の真似事ばかり。
「…………でも、やるしか無い………」
そんな私達をあの絶的だった時、師匠は頼ってくれました。結果は死にかけたという最悪のものだったけれど、それでも、あの瞬間は意味のあったものだと思います。
「………そうよ、あなた達は『神の強ゴットグリード』に勝たないといけない。だから、教えるわ。『神の強ゴットグリード』のトップと構員、そして目的を………」
私達のやり取りを聞き逃す筈も無く、アルナ様は真剣な表で私達の前に立ちました。その両サイドには水晶玉をしっかりと持ったアギラさんとアマナさんが居ます。
私はし離れたところに師匠を寢かせると、元の場所に戻り、映し出された資料に目を通し始めました………。
資料を読み終えて、取り敢えず頭の中を整理しようと思います。
構員はあと『戯神』と『破壊神』、『戦神』は不明。
トップは『強神』。
目的はこの世界、『オリジン』を支配してからの天界の乗っ取り。
一番、驚いたのはトップは『破壊神』じゃなくて、『強神』とかいう全く今まで関わって來なかった神だったという事です。
それに、結構分かったけど、アルナ様でも『強神』の事は全く分からなかったみたい。唯一分かったのは"対象を喰らって力を我がとする"という能力だけ。
「………ごめんなさい、彼らの資料は彼らが墮神する前に彼ら自で処分していたみたい……」
「いえいえ、充分です」
報は充分、後は戦力。これが一番問題でもあります。あの攻撃をけ切った『破壊神』も充分脅威だけど、それより強いと思われる『強神』が一番の不安要素。それに、姿を見せなくなった『戦神』もどう出るか分かりません。一どうしたら………
「あら?なら、私も手伝うわ」
考え込んでいた頭に、よく通ったの聲。當然、その聲はルルでも、アルナ様でもアマナさんでもありません。聲が聞こえたところは師匠を寢かしていたところ。そこへ視線を向けると、そこには師匠に膝枕をしてあげているアルナ様によく似たが居ました………。
「お母さんっ!!??」
「「「「えっ!!?」」」」
アルナ様が初めて大聲を出した。けど、その事に驚いた訳じゃ無い。あのが、アルナ様のお母さんで、師匠の運命を変えた先代神王妃だった事に私は驚いてしまいました。
「あら?気づいて無かったの?意外と私は近くで見守っていたのよ?」
師匠の頭をゆっくりとでながら平然と喋るアハナ様。
「そんな事より、どうやってったの!?どうして、今、私の神界の主導権がお母さんに移ってるの!?」
アルナ様の怒濤の問い詰めでも、アハナ様は平然としています。
「ったのは"ブレイク"で神界の出り口を作ったからで、主導権も"ブレイク"であなたが主導権だという事実を破壊して、"メイク"で私が主導権を持ってるという事実を作ったの」
アハナ様の口からは普通でしょ?とでも言いそうなくらいに普通のじで喋っていたけど、容はとんでもない事ばかり!!
「…………もう良いわ………、お母さんの非常識さはかった頃でも分かったくらいだし………」
「久しぶりね~」
普通ならの再會なのに、全然そんな雰囲気は無く、何年か振りに友達に會ったようなじ………。
「……って、そんな事じゃなくて!アハナ様!!」
「そんなにかしこまらなくて良いのよ?私とあなたの中じゃない~!」
アハナ様の言葉を聞いた瞬間、項垂れていたアルナ様がアハナ様の肩を摑みました。
「あっ!!もしかして、リリとルルに『共神化』を渡したのは……!!」
「私で~す!」
「お~か~あ~さ~ん!!」
ぐわんぐわんとアハナ様を揺らすアルナ様。……なんか、アハナ様を見てると、不意に師匠の姿と重なって見えてしまいます。
能天気だけど、やる時はしっかりとやる。頼れなさそうな態度を良くするけど、誰よりも頼れる師匠。そんな師匠にアハナ様は似ています。…………いや、師匠がアハナ様に似たのかな?
まあ、いいや。凄く強いし、墮神もしないアハナが一緒に戦ってくれるなら、戦力も…………
「あ、言っとくけど、私は戦わないから」
「「………………は?」」
私とアルナ様の聲はまたしてもハモった………。
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