《ぼくは今日もをむ》#3 それって同棲……
ぼくは、ユズと肩を並べて草原を歩く。
上には、綺麗な澄み渡る青空。下には、生い茂る緑の叢。
これこそファンタジーといったしい景ではある……が、十數分歩いていても景が変わらない。
この草原は、思っていた以上に広かった。
異世界だから魔みたいなものが蔓延っているのかと思いきや、全然そんなことはなく、まさに平和そのもの。
もしかしたら平和なのはここら辺だけで、もっと遠くの地域では荒んでいるのかもしれないけど。
などと考えていたら、ようやくぼくの視界に別の景が映り込む。
それは――大きな街だった。
いや、街というより、都市と呼んだほうが正確だろう。
途轍もなく大きく、外にいてもかなり賑わっているのが分かる。
ユズが中へっていったので、ぼくも後に続く。
「すごいね……」
思わず、嘆の吐息をらす。
門を通った途端、人々の喧騒に包まれた。
立ち並ぶたくさんの店や家、道を歩いたり走ったりする大勢の住人。
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日本にはない、どちらかと言えば西洋のような街並み。
外から見たときよりも更に、とても賑わった大都市であることを実した。
「ここは――王都〈ホームベル〉です」
ユズが振り向いて、そう説明してくれた。
王都。アニメやゲームなどでは、時折耳にする言葉。
王宮が存在し、王様や姫が暮らしている都市……か。
それなら、これほど賑わっているのも頷ける。
架空のものか外國にしかないため永遠に縁のない場所だと思っていたのに、まさか自分がこうして足を踏みれるときが來るとは。
「王都ってことは、お姫さまとかもいるんだよね? お姫さまって可いの?」
ユズと一緒に街中を歩きながら問う。
ぼくとしては、かなり重要な問題である。
姫という分の人は語の中でしか見たことはないけど、大抵はしい容姿をしているように思える。
言葉遣いや立ち居振る舞いなどがしっかりしていて疲れそうではあるものの、それでもやはり姫に興味が出ないわけがない。
「……ライムさんは本當にそればっかりですね。言っときますけど、そう簡単に會えるとは思わないほうがいいですよ?」
「あー、やっぱりそうかぁ。神さまより分は上なのかな」
「別に、そういうわけじゃありませんけど……そもそも、わたしは自分が神だってことは隠してるんですから、ライムさんも他の人には言わないでくださいよ?」
「分かってるよ。二人だけのって、なんかいいよね」
「……へ、変な言い方しないでくださいっ」
ぼくがちょっと冗談を言っただけで、ユズはすぐに顔を赤らめる。
まあ、そこが可くもあるんだけど。
ところでの子の姿になった直後は、長い髪とかの揺れや重さとか背が低いことによる低い目線とかで落ち著かなかったのだが、今では徐々に慣れてきている。
順応力って素敵。
「ユズの家って、どこにあるの?」
「もうし先です」
多數の建造や住人たちを橫目に、ぼくたちは歩く。
せっかく賑やかな街に來たのだから、できれば々な店に行ったりしてみたい。
でも、ここがどういう世界かというのも知りたいし、ユズの話を聞いてからにしよう。
路地を通り抜け、そこからまたし歩き、やがて人気がなくなったかと思うと一軒の建が見えてきた。
扉以外の部分に、半円を描くように白い柵に囲まれた家。
ここに來る途中で見た様々な民家と比べて、一際大きい。
家というよりも、屋敷や館といったほうが正しいかもしれない。
外観からして、おそらく三階ほどはありそうだ。
「ここが、わたしの家です」
「こんなデカい家に、一人で暮らしてきたの?」
「まあ、そうですね。どうせなら、小さくて狹い家よりも、大きくて広い家のほうがいいと思いまして」
「……いや、それでも限度はあるでしょ」
表札には、しっかり『ユズ』と記されている。他に名前の記はない。
ぼくなら、これほど大きな家で一人暮らしなんてすると、し寂しくなってしまう気がする。
だけど、それでも大きな家に住んでみたいという願があったのも事実だ。
ぼくの自宅はマンションで狹かったから、尚更に。
「もしかしたら、王さまの家より大きいんじゃないの?」
「そんなわけないですよ。この家の十倍はあるはずですし」
「……じゅう、ばい……」
この家の十倍ということは、もはや屋敷とかいうレベルではなくなる。
まさに、城か王宮だ。王さまなのだから、城とかに住んでいても何らおかしくないどころか、住んでいて當然だとも思うけど。
「そんなことより、早くりましょうよ」
「ああ、そうだね」
頷き、ぼくたちは家の中にる。
ユズの格からしてあまり散らかっていないだろうなとは思っていたものの、予想以上に整理されており、新築かと見紛うほど綺麗だった。
リビング、キッチン、トイレ、風呂など必要不可欠のものは當然設えられ、部屋の數は全部で十を越えた。
三階まであるとはいえ、三階と二階には何も置かれていない部屋が五つずつあるだけだったので、上階に上る機會はあまりなさそうだ。
なのにも拘わらず、全ての部屋がちゃんと掃除されていたのはさすがだなと思う。
ちなみに、リビングやキッチン、風呂は全て一階にある。が、トイレは一階だけでなく全ての階にあった。
一つ一つの部屋もかなりの広さだし、もちろん大人數で暮らすことができる。
しかも、一階からはベランダに出ることもできる。洗濯を干すときや、日向ぼっこをするときなどにちょうどいいスペースである。白い柵に囲まれてはいるけど、外が見えないほどではないのもかなり高評価。
これは、とてもいい家なのではないだろうか。普通に羨ましい。
一通り家の中を見て回ったあと、ぼくたちはリビングでソファに腰を下ろす。
「ここはわたしの家ですけど、今日からライムさんも一緒に暮らしたほうがいいと思います」
「え? ぼくも?」
「はい。ライムさんはこっちの世界に來たばかりで、行く宛てなんかありませんよね。だから、わたしと一緒にこの家で暮らせば、分からないことがあったらわたしが教えたりすることもできますし」
ユズが優しすぎて、ちょっと泣きそうになってくる。
神かよ。あ、実際に神だった。
確かにユズの言う通り、ぼくは何もこの世界のことを知らない。當然、行く場所もなければ住む場所もない。
その申し出は嬉しくて、斷る理由など皆無だった。
「でも……それって同棲……」
「い、今は同士ですから! 同棲とか、そういうのじゃありませんからっ!」
「そうだね! じゃあ、風呂は一緒にろうね!」
「はい……って、できるわけないじゃないですかっ!」
ユズは、渾のノリツッコミをかます。
今は同士だとか言いつつ、混浴はできないんだね。矛盾だよ、ちょっと悲しいよ。
「とにかく、わたしとライムさんはこの家で一緒に暮らすことにしましょう。……でも、だからって変なことはしないでくださいね? のを利用して、変なことをしようとしたら怒りますから!」
「はは、分かってるってー。そんなことするわけないじゃーん」
「くっ……こんなに信用できない言葉は初めてです……」
ぼくって、そんなに信用ないのか。心外だ。
ぼくはもうなのだから、同士で浴したり々するのは何もおかしいことではないはず。
だよね。ね?
何はともあれ。
ぼくは、ユズという名の神と一緒に一つ屋の下で生活をすることになった。
何に対してなのかは分からないけど、今からしドキドキしてきた。
心臓の音を確認するために――ぼくは、自分のをむ。
……うん、らかくて気持ちいいです。
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