《ぼくは今日もをむ》#3 結婚する?
冒険者となり、自分の能力やユズの能力に違う意味で驚き、帰宅した。
ふと窓を見れば、外はすっかり暗くなっている。
今日は々あったし、気づけばもう夜になってしまったようだ。
というかむしろ、まだ一日も経っていなかったことにビックリである。こんなに濃厚な一日、今まで一度も経験したことがない。
「ユズ、夜ご飯はどうするの?」
「まだ材料が幾つか殘っているので、もうししたらわたしが作ります」
「料理できるんだね」
「そりゃあ、ずっと一人で暮らしてきましたからね。大抵の家事はできますよ」
「いいお嫁さんになるね!」
「なっ……何言ってんですか! そんなことより、ライムさんもちょっとは手伝ってください」
何やら赤面しながら、ユズは臺所へ向かう。
お世辭とかじゃなく、家事、特に料理ができるはいいと思う。それだけでかなり高評価だ。
まあ、ぼくはかわいいの子ならみんな好きなんだけど、それで家事も上手いとなると完璧だよね。
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「ユズ、結婚する?」
「ぶっ!?」
「ぶっ、なんてリアクション、今時あんまり聞かないよ……」
「へ、変なこと言うからじゃないですかっ!」
「ごめんごめん、冗談だって」
「……リアクションに困る冗談はやめてください」
嘆息し、ユズは冷蔵庫を開く。
橫から覗き見ると、決して多いとは言えないものの、それなりに食材と思しきものがっていた。
中には、日本では見たことのないものまである。
おそらく、異世界特有の食材なのだろう。
冒険者ギルドに行ったときもじたことだけど、こういう元の世界にはないものを目にすると、異世界に來たことを実できるね。
「それじゃあ……今日はあれにしますか」
ユズは呟き、複數のよく分からない食材を取り出す。
この中でぼくが知っている食材が一つもないため、當然何を作ろうとしているのかも分からない。
味しいのかな。異世界〈レスペイス〉の人たちには味しくじても、本來は地球人であるぼくの味覚には合わなかったりしないのかな。
大丈夫だよね。ユズを信じるよ。
「ライムさん、とりあえず棚から皿を出してもらえますか?」
「あー、うん、分かった」
冷蔵庫の橫にある棚から二枚の丸い皿を出し、ユズに渡す。
するとユズは皿を一旦置き、フライパンを用意し、コンロの火をつけた。
どんな料理ができるのか気になるし、ユズが調理しているところを見てみたいというのもあるけど……。
今は、せっかくだから他にやりたいことを済ましてしまおう。
「ライムさん、あとは――」
「ごめん。ユズが料理してる間、ぼくはちょっと出かけてくるね」
「へっ? あっ、ちょっと――」
慌てて呼び止めようとするユズに構わず、ぼくは家を出る。
ランジェリーショップや冒険者ギルドには行ったものの、まだ王都〈ホームベル〉をあまり探索していない。
だから、今日のうちにんなところを見て回りたくなった。
ぼくは辺りをキョロキョロと見回しながら、夜道を歩く。
同じ街でも、晝間とはし異なる雰囲気を纏っているようにじる。
やはりそれは、晝間とは違って暗いし、建かられている燈りや人気のなさ故か。
武屋、防屋、鍛冶屋……晝間には気づかなかったが、そういうRPGの定番とも言えるような店まで幾つか軒を連ねていた。
日本にも普通にあるものと、日本には絶対にないものが共存していて、これこそがファンタジーといった様相だ。
夜でもほとんどの店はまだ開いていたので何か買おうと思ったが、ぼくは金を一銭も持っていないことに気づく。
仕方ない。明日から、依頼をけたりして金を稼がないといけないか。
そんなことを考えながら、夜の街を歩いていると。
不意に、視界の端に人影が映り込む。
もちろん、ただの人影じゃない。その人影が、もし普通の人だったなら、ぼくは全く気にせず歩みを止めることなどしなかっただろう。
夜とはいえ、こんなに広い街に一人も歩いている人がいないわけがないのだから。
じゃあ、どうして足を止め、その人影を注視してしまっているのか。
その理由は、全部で三つある。
一つ目は、その人がとても可いだったこと。
まだあどけなさの殘る顔立ちは、かなり整っている。おそらく、ぼくと同い年かし下くらいだろう。
所々が破けたボロボロの服だけをに纏い、太ももや二の腕の辺りまで外気にれている。
靴や靴下すら履いていない。
そんな異様とも言える姿を見て、思わず立ち止まらずにはいられなかった。
二つ目は、そのの頭に貓耳が、部には尾が生えていたこと。
フサフサとした並みの貓耳と尾……當然だけど、ぼくは生まれて初めて見た。
ただでさえなのに、貓耳と尾が加わることによって更に拍車をかけている。
そして三つ目は、その子の歩き方が、凄くフラフラしていたことだ。
どこか覚束ない足取りで、踵を引きずっているのだ。
いつ倒れてもおかしくないくらい、前後左右に揺れながらも、その足を前へ前へかしている。
何があったのかは知る由もないが、酷く疲弊していることは見れば明らか。
気づけば、ぼくはの向を暫く見守ってしまっていた。
すると――。
「……っ!」
唐突に、のきに変化が生じた。
は足をもつれさせ、前方に転倒してしまう。
またすぐに起き上がるだろう……と思っていたのに、全くそんな様子はない。
それどころか、むしろきというものが完全になくなってしまっていた。
まさか、疲労が重なって気絶でもしてしまったのだろうか。
「君、大丈夫っ!?」
思わず、ぼくは慌ててのもとに駆け寄る。
目は開いている。が、その瞳にはあまりは宿っていなかった。
よく見れば、腕や腳など所々に傷のようなものが見けられる。
この世界に救急車みたいなものがあるのか知らないし、そもそもあったとしても呼ぶ手段が分からないし、こういう狀況になったのは初めてだから一ぼくはどういう行をとればいいものか。
頭の中で軽くパニックになっていると、の小さな口が、儚く思えるほどの小さな言葉を紡ぐ。
「……ご、ごは、ん……」
それだけを言い、ついには気を失ってしまった。
ぼくは暫し考え、の腕を摑む。
そして、を支えるようにしながら、ぼくは歩を進める。
ぼくだって、さすがに倒れているを放っておくほど醜い心は持ち合わせていない。
そのが、とても可いなのだから尚更に。
だからぼくは來た道を戻り、を連れて行くことに決めた。
ぼくとユズの家へ。
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