とりあえず俺らはステータス鑑定を他の奴がうけているうちに抜け出すか？　それともトイレに行くやつらに付いていくか？

「トイレに行くやつらに付いていけば、安全にこの部屋を出れそうだし、それでいいよな？」

「まぁそれが妥當だと思うよ」

悠人と舞香は、２人にとってどうでもいい話を続ける王らしい人の話を聞かずに、王城を出する方法を話し合っていた。

「おっ、あの固まってる奴らが多分トイレに行くんだろ」

「ところでさぁ、なんでわざわざ抜け出すの？」

舞香は、出方法が決まったところでようやく本的なところを聞いた。

「だって勇者とか自由じゃないだろ。それに帰れることも確定してないだろ。なら異世界でもいいからスローライフ送りたいじゃん。だから、自由を求めてここから逃げ出すわけだ」

悠人は、自分の昔から求めていた悠々自適な生活の為に、王らしい人の話を蹴る事にしたと、伝えた。

「しでもまともな話だと思った聞いた私が馬鹿だったよ」

さすがにそれは酷い、心の中に留めておいてくれよ。

馴染として、昔からそんな話を聞かされてきた、舞香にとってはくだらないような事だったが、悠人の言い分も一理あるなと思ったのであった。

「それに、自由じゃないのは舞香も嫌だろ」

「それも、そうなんだけどさ。なんていうかさ」

例でもあげて、自由の大切さを教えてあげるとするか。

「例えば、勇者になって活躍して、舞香が目立つとしよう。そしたら、プライベートなんてあったもんじゃないと思うぜ」

なにせ剣と魔法の世界だ、法律も専門がいないだろうし適當なもんだろ。

「確かに、それは嫌だね。それに私、目立つの苦手だしね～。プライベートは大事だもんね～」

「だからだ。それより、ついて行くか」

舞香はふと、いたるところに悠人とのツーショット寫真が散らかっていた元の世界の自分の部屋を思い出して、悠人の言葉に激しく同意し、悠人と共にトイレに向かうクラスメイトについていった。

＊＊＊＊＊

ここがトイレらしい。とりあえずメニューのマップ機能使って安全に王城から出るか。

メニューとは、悠人の固有能力で、ゲーム畫面のように、念じる事で、敵について調べる事が出來たり、敵の力を見る事が出來たりする。マップはメニューの機能の１つで範囲にいる人を設定することで表示することもできる。悠人は現在、自分達に敵対する可能がある人、全てを対象にして出をしようとしている。

同じクラスだった舞香を除く多くの生徒も、その対象になっていた。

「念の為、後ろに警戒しながら、付いてきてくれ」

「後ろは任せて。でも大丈夫なの～？」

固有能力や、この世界の話を今してる暇もないし、今はついてきてもらうしかないんだが。

「一応、大丈夫なはずだ」

「そう言うなら、任せたよユウくん」

昔からこういう時の悠人は、何かしらの策があって行する事を知っているので、舞香は悠人に従って後ろに警戒しながら、悠人の後を著いて行った。

そこを右に曲がって、兵士から隠れたらその後は左。そして真っ直ぐ行って、角を左。この扉の向こうは、王城の外のはずだ。

「本當に、出れたね～」

悠人の言う通りに進んでいくと、數分で王城の裏側に２人は出てきた。

「舞香、疑ってたのか？」

まぁ、突然信じろとか言われても疑うだろうけどさ、馴染なんだし、信じてもよくないか？

「まぁ、ユウくんなら大丈夫だって思ってたよ」

問題は、これからどうするかなんだけど、とりあえず目立つから服は替えたいな。

「やっぱり目立っちゃうし、服を替えたいんだけど、なんとかできる～？　」

舞香も目立つこと気にしてるし、近くの服屋にでも行ってみるか。

実際に、側から見ると制服は街の雰囲気からは浮いていた。

「服屋に行くだけ、行ってみるか?」

「うん、そうしよ～」

服屋は王城からそれほど遠くなく、１０分程２人で話しながら歩いていると到著した。

「いらっしゃいませ、なにをお求めでしょうか？」

やっぱり、きやすい普通の服がいい気がするんだよな。

「きやすいのがいいんですが」

「々お待ちください」

店員はなぜか奧に行ってしまい、代わりに店長らしき人が出てきた。

「失禮ですが、お客様宜しければその珍しい服を売ってはくれないでしょうか?もちろんお金はしっかり用意しますよ」

店長らしき人はすごい勢いで悠人にせまり、服を売るようにねだる。

後に聞いた話だと店長は無類の服好きで、特に珍しい服があると手にれたくて、たまらない分らしい。

「なら今著ている服以外ないから服を適當に見繕ってくれそれと金貨２０枚と銀貨１６枚でどうだろうか?」

かなり厳しいか？　でも金欠になるのは辛いしな。

「それは奧様の分も合わせてなら、別に構いませんよ」

中のパーカーだけは勘弁してもらえないかなぁ。なにせパーカー子は俺の癒しなんだから。

ちなみに、悠人のパーカー好きは、舞香と初めて出會った時にパーカーを著た舞香に見惚れたところから始まっていたりするが、悠人も舞香も覚えてないし、気付いていない。

「中に著ている羽織りものは、どうしても譲れませんが、それ以外で良いのなら」

「それは殘念だ、その羽織りものもしかったのだがな」

流石に金のためとはいえ、パーカーは渡したくない。仕方ないな、し下げてみるか。

「それなら金貨１６枚銀貨１６枚で買い取って頂けないでしょうか？　羽織りものなしで。服はこちらで支払いますので」

そういえば、舞香が大人しいけど、どうしたんだろうか。

舞香は顔を真っ赤に染めて「奧様、奧さん、お嫁さん、ユウくんのお嫁さん」などと小聲で呟き続けていた。

「まぁそれでいいですよ。その服自とても希そうですし」

その後は、悠人のシンプルな冒険者用の服と舞香の半袖シャツときやすそうなズボン合計銀貨６枚を支払い２人は服屋を後にした。

「ところでユウくんは、なんで王城からの出かたを知ってたの？　」

王都から近い１つの町を目指して歩いている時、ふと、舞香は疑問を口にした。

そういえば、説明してなかったな。

「それはな、固有能力使ったからだよ」

ユウトの固有能力である、メニューの機能を使った事を話す。

「なるほどね～。で、固有能力ってなに～？」

「この世界のごく一部の人だけが使える特殊な力みたいなもんだな。俺はメニューと睡眠休憩を、舞香は信頼のが使えるな」

「へぇ、まあ有って損はないんでしょ」

理解することを、諦めたな舞香。俺もよく分かってないし、説明面倒だからいいか。

「便利で損はねぇよ」

固有能力、この世界に召喚された際にけ取った恩恵ギフト。どちらも上手く使えば相當役に立つものだが、悠人と舞香のは、特に優れていた。

「ならいっか～」

「相変わらず、適當だな」

こうして、のんびりとした雰囲気の中、波萬丈に満ち溢れた異世界生活の１歩目を２人は踏み出す。