《異世界召喚!?ゲーム気分で目指すはスローライフ~加減知らずと馴染の異世界生活~》6-1建國メルクス王國

ユウトが目覚めて1ヶ月、ようやく今日新王國が立する。

新王國の國王はラピス、王はミレナだが、ユウトも新王國に元の世界の使える政治制度を導したり、外関係で、新王國の政治に深く関わることになった。

「俺の格好大丈夫か? 変じゃないか?」

ラピスは、王城のバルコニーの前にいる民衆を、チラッと見ると、何度目になるのか服裝の確認をする。

「やめてくれよ、僕も張しちゃうじゃないか」

「まあ、2人とも似合ってないことはないから大丈夫だろ。最後はラピス次第だけど」

「おい、やめろユウト。張するから」

ラピスは顔をこわばらせながら、ミレナと共に民衆の前に出て行った。

「ご主人、お疲れ様です。し休んではいかがですか?」

「ニカか。明日の建國パーティの為に準備もあるし、休みたいのも山々なんだけどラピスとミレナさんに押し付けたから、俺は2人を見守ることにするよ」

ニカはそうですかと、不安そうに言うと自分の持ち場へと戻っていった。それから間もなくラピスによって新王國の建國が宣言された。

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その後は、新王國のこれからの運営について語られたが、民衆の注目が集まったのは奴隷制度撤廃と領主の選挙制についてだ。

一般人からの目立った反対もなく、無事終わった新王國の建國式だが、大変なのは不満を抱え権力を駆使しようとする貴族たちの相手だった。

「すまないね、ユウト君。疲れているのに」

「気にしないでくださいよ。言い出したのは俺ですから」

ウルヴァニラ王國が終わりを迎えてから僅か1ヶ月半の間に、相當な貴族の汚職などが判明してきた。そんな中、ユウトのいい出した領主の選挙制は貴族にとっては都合の悪いものでしかなかった。

「皆さんの不満もごもっともだとは思います。しかし、皆さんへの信頼がないというのも事実です。ですので、皆さんには信頼を取り戻して、領主になっていただければいいのです。簡単な話ですよね?」

ユウトは不満を抱えた貴族を一部屋に集め、挑発するかのように言う。ユウトがウルヴァニラ王國を壊滅へと追い込んだのは周知の事実なので、その力におびえた貴族たちはまともに意見を言える訳もなく、不満を飲み込んで帰るしかなかった。

一方ラピスとミレナは、國の奴隷解放のために公共事業など、もともと奴隷だった人たちの職のあてになるものを準備していた。

「ほんとに建國したんだな」

ユウトは疲れ切った様子で言葉をこぼす。

「ユウくんし休みなよ。繁盛期のお父さんみたいな顔になってるよ」

「マイカ、そこまで今の俺ってひどいじなのか?」

「うん。そこまではいかなくても、今まで見たことないほどに疲れてる気がするよ~」

ユウトはそうかと返事をすると、作業を再開しようとする。

「ユウくん、なんで作業しようとしてるの~? ほら、寢て。病み上がりなんだし、無理しちゃだめ~」

「いや、無理ってほどでもないし、明日のこともあるからまだ休めないだろ」

ユウトはそう言うと紙に方法などをいくつかメモしていくが、視界を突然何かに覆われ、その手を止める。

「なんだよ、作業中なんですけど」

「明日のことは私がそこそこやっておいたからユウくんは一回休んで。ね?」

そういう事じゃなくて、いや、それもあるけど。

ユウトは、まだ何かしたい様子だったが、諦めて休むことにした。

それから數時間後、ユウトは目を覚まし、日が沈んだ外を眺め溜め息をつく。

「ご主人、起きましたか? マイカたちが明日の件は終わらせたと言ってましたよ」

「そうか、分かった。夕飯の時に呼んでくれ」

「もうし時間がかかりそうなので、呼びに來ますね」

ニカが部屋の前の廊下からいなくなったことを確認したユウトは、再び選挙などについてまとめた資料を作りつつ明日のことについて考えていた。

「明日の件は終わったとはいえ、それはパーティの事だけだし」

ユウトは溜め息をつきながら、鍵のかかった引き出しから小箱を取り出して中を確認する。それから自分の思い付きでの行が積み重なって、今に至るのだと今までの事を思い出しながら書類の作を続ける。

それからしばらくすると扉が軽くノックされ、開く。

「ユウくん、起きたんでしょ? 何してるの?」

ユウトは突然ってきたマイカに驚きつつも、機の上にある小箱をなんとか隠す。

「あれ~、何か隠したの~?」

「何も隠してねぇから。マイカ、何の用だ?」

「いや、起きたって聞いたから何してるのかな~って」

マイカは、ユウトの向かっていた機の上に散らかった紙を流し読む。

「何をしてるって、仕事だよ。任されてるのはかなりあるから、早めに終わらせようと思ってな」

ユウトは頼まれていた事をメモした紙の束をマイカに渡して言う。

「あれ? 私がやったので終わったんじゃないの~?」

「それはほんの一部な。仕事に終わりなんてないから。楽して過ごしたかったのに、なんでこうなったんだろうな」

ユウトは空中の一點を眺めながら溜め息と共に、零すように呟く。

「ユウくんが々な面倒事に首を突っ込むからだよ~」

「そうだな。そういえば和食好きだったよな?」

ユウトは誰のためにと一瞬思ったが、それをぐっと飲みこんで話を変える。

「和食? 好きだよ~。こっちに來てから食べられてないし、似たようなものでも食べたいな~」

「そうか。ところで夕飯ってもうしかかるのか?」

「そうだ、ご飯できたって伝えに來たんだよ」

やっぱりかとユウトは言うとマイカと共に、夕飯を食べるためにリビングに向かう。

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