《魔がない世界で魔を使って世界最強》日伊月甲明

最後のボスを倒し謎の地下施設に辿り著いた彌一とセナはそこで名前が刻まれているプレートを見つけた。

そのプレートには彌一が一番知っている名前が刻まれていた。

「日伊月 甲明・・・俺の父親だ。」

「彌一のお父さん?」

「父さんは5年前に神獣との戦いで発に巻き込まれて死んだ・・・と思われていたんだ。」

「でもこの名前は」

「ああ、間違いなく父さんだ。発に巻き込まれて死んだとばかり思ってたが、まさかこの世界に來ていたなんて。」

「じゃあこの迷宮を作ったのはもしかして。」

「父さんだろう。最後に出て來たゴーレムなんか魔以外にも科學についても詳しくないとあんなのも作れない。そんな人間父さんくらいしか知らない。」

彌一の父親、日伊月甲明は魔師としての顔だけでなく科學者としての顔も持ち合わせており、あの様な魔導人形を作れる者は地球には甲明しかいない。

とこの迷宮を作ったのが彌一の父親なら一つの疑問が生まれる。

「この迷宮を作ったのが彌一のお父さんなら時間が合わないよ?この迷宮は15年前くらいに現れたんだから。」

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そう彌一の父親、甲明が消えたのは5年前。15年前に出現したこの迷宮とは時間が合わないのである。

「そうなんだよなぁ〜。でもあのゴーレムを作れるのは父さんしかいないしこのプレートも父さんの名前だから、多分こっちの世界に來る時なんかあったんだろうけどこればっかりはどうもわからん。」

彌一もこの謎についてはお手上げで手を振る。

「まぁここで悩んでもしょうがない、ここである程度準備してここを出るか。さっき確認した時に転移用魔陣もみっけたし。」

「わかった。私も疲れた、早くあのベットで寢たい。ふぁ〜っ。」

迷宮では代で見張りをし睡眠をとっていたが、睡できるほどではなかったので、が解けた所為で眠気が襲ってきたのかし眠そうにあくびをもらすセナ。

「風呂もあったし、って寢ろよ。」

「うん。」

そうしてセナは先に眠気でふらつきながら部屋を出て行った。

そんなセナを見送った彌一はプレートの橫に掛かっているコートとに目を向ける。

そのコートは甲明が使っていた魔加工が施してあるコートだった。

このコートは彌一が大人になった時貰いけるであったが、貰う前に甲明は消えてしまった。

コートを手に取り、ゴーレムとの戦闘によってボロボロになったコートをぎ、著てみる。

サイズは彌一の大きさよりし大きかったが調節すれば問題ない大きさだった。

しかし彌一にとってこのコートは大きさ以上の意味を持つ。

「いつかこのコートに見合う様な魔師になってみせる。だから父さん、俺に力を貸してくれ。」

それは彌一にとっての宣言だ。コートに見合う父をも超える最高の魔師になるという宣言だった。

そうして思いにふけていると、ポケットに何かがはいっていた。

それは寫真だった。家族三人で撮った寫真でこの寫真が最後の家族寫真だった。

寫真を見て彌一は泣きそうになった。だが先程最高の魔師になると宣言したからには泣くわけにはいかない。グッと涙をこらえる。

すると寫真の裏に何かが書かれていることに気づき裏を見る。そこにはこう書かれていた。

『越えてみせろ彌一』

限界だった。こらえようと下を噛むも涙が溢れて地面に落ちる。

甲明が殘したこの言葉は彌一が地球で良く言われていた言葉でとても懐かしく、今一番しかった言葉だった。

荒々しく涙を拭くがその度に言い表せないとともに涙が溢れてくる。

一人殘った部屋で彌一は涙を流しながら靜かに泣いていた。

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