《魔がない世界で魔を使って世界最強》霊の里
ヒュゴォオオオオ!!と風切り音が響き頬に強烈な風が當たる。
「・・・・・ねぇ、彌一」
「・・・・・なんだ」
「・・・ここどこ?」
彌一の【解析眼】からウィイインと小さく音がなる。
「高度8900メートル、位置的には迷宮の真上だ。」
【解析眼】から送られきた報をそのまま伝える。
「そう・・・・・」
そんな返事しか頭に浮かんでこなかった。それもそうだろう転移の時ので目を瞑って、目を開けたらいきなり空中に投げ出されていたのだから無理もない。
雲を抜けると地上が見えてきた。視界の全てが広大な森で覆われており、橫には地平線から太が森を明るく照らしながら出てきている。
思わず見惚れてしまうような自然の絶景だったが、今の二人にそんな絶景を楽しむ余裕はない。
「きゃああああああああーーーー!!!」
「父さんめぇえええええええーーーー!!!」
セナは彌一に抱きつき、彌一は父親への憤怒をぶ。
んだところで何かが変わる事はなく、地上が凄いスピードで迫る。
「《汝その翼を授けん》!!」
殘り3000メートルの辺りで彌一は一節で唱えたのは【飛行魔】。【飛行魔】は制が難しく今の彌一では空が限界だがそれでも地面への衝突は免れた
「大丈夫かセナ?」
「う、うん。大丈夫。ありがとう」
【飛行魔】は彌一一人が限界なのでセナを橫抱きに抱える。俗に言うお姫様抱っこでお互いの顔の距離も近い。
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お姫様抱っこをされながら朝焼けのしい空を飛ぶというまるで語のようなシチュエーションに、セナは顔を真っ赤にし瞳をしうっとりさせながら彌一の橫顔を見つめる。
「このまま出來るだけ距離を稼ぐからしっかり摑まっててくれ。ってセナ?」
「え!あ、うん!わかった摑まってる!」
シチュエーションに酔っているセナが彌一の言葉で現実に戻って來てしがみつく。お姫様抱っこの狀態なのでしがみつくとが押し付けられそのに思わず制を崩しそうになるがなんとか持ち直す。
そのまましばらく東に向かって空し、著地。著地したのは霊の里の前に超えるはずだった山の中腹辺りだった。
「まさか3日かけて向かう場所に立った一時間でつくとはな・・・父さんに謝していいのかいまいちわかららん・・・」
「それは同意・・・」
と微妙な気持ちを抱き二人は山を越えるために歩き出した。
山自の踏破はそれ程難しく無かったが魔もいたため慎重に進むこととなった。
「【風斬】!」
セナが手刀を振るうと振るった直線上に風の刃が生まれ魔を縦に切り裂く。
それと同時にセナの背後の木から鳥型の魔が襲って來る。それを彌一はレルバーホークで眉間を撃ち抜く。
「魔が意外と多いな。さすがにフェーズⅡはいなかったが」
「いい加減鬱陶しい」
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こんなじで山を登り頂上でお晝を食べ、山を越えたところで日も沈み出し今日はここで野宿をする事にした。
「はい。彌一」
「ありがとう。おお、キノコのスープか味そうだ」
野営用のテントを張り出て來ると丁度完したキノコスープをセナが渡して來る。
パンとスープだけの簡単なだが十分お腹に溜まり満足した後裝備の點検をして明日のために早く寢る事にした。
次の日の朝セナはぐっすり眠れたのかスッキリした顔で反対に彌一は目元に薄っすらとくまができていた。取り敢えず無事耐えきる事が出來たと言っておこう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「そう言えば霊の里は基本外の人を招かないと言うけどどうなんだ?」
霊の里び向かう上で報は知っておきたいので基本的な事などを聞いておく。
「商人の人とか詩人の人はよく招かれるけどそれ以外は基本招かないかな」
「ん?商人は分かるけどなんで詩人なんだ?」
「霊の里は娯楽とかあまり無いからいろんな話を話す詩人は結構招かれる。私が封印される前にも歌が上手い詩人さんが來てて私も結構気にってた」
そんな昔の話を思い出していると彌一はし考えるように顎に拳を當てて俯きながら歩く。
「・・・詩人、歌・・・・」
「彌一?」
「ん?ああ、なんでも無い。それより急ごう霊の里はもうすぐなはずだし」
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「?わかった」
彌一の行にセナは首を傾げるが彌一の後を追って行く。
こうして三時間森の中を進み辿りついたのは天までびるような巨大な樹木が両脇に立つ門だった。
「なんだこの巨大な樹」
「霊の里が作られた時代からある護樹で魔を防ぐ結界の役割も果たしてる」
「へぇ〜」
その巨大さに驚きながら樹を見上げていると視界の端でキラリとるが映った。
「!危ない!」
「え?わっ!」
とっさに隣のセナを押し倒し顔の橫には手をついて覆いかぶさる。
すると先ほどまでセナのががあった位置を矢が通り過ぎすぐ近くの木に突き刺さる。
セナは未だ狀況を理解できず顔を赤面させているが、いまはそんな事を気にしている狀況では無い。
すぐさまレルバーホークを抜き矢が飛んで來た位置に発砲するが反応がない。
彌一がレルバーホークを発砲した事で異常事態に気づきセナもすぐさま起き上がり臨戦態勢をとる。
彌一は【解析眼】のサーモグラフィーで森を確認すると所々に人の形をした熱源を確認出來た。
あちらはこちらが場所を確認出來ていないと思っている様子でく気配がない。
それならこちらから仕掛けるのみ。
おもむろに手を地面に添え魔を構築。
彌一の足元に黃金に輝くの魔陣が展開し急速に巨大化、辺りの木ごと覆う。
いきなり足元に広がった魔陣に相手は驚いて逃げようとするが遅い。
魔陣からいくつもの黃金の鎖が飛び出し隠れていた全ての人間を拘束する。
隠れていた全員を拘束したことを確認すると魔陣が消える。しかし黃金の鎖は消えず拘束し続ける。
拘束したのは男四人で彌一は一箇所に集めて全員鎖グルグル狀態で正座させる。
拘束したうちの年が一番上っぽい男が顔に憤怒を表し喚く。
「貴様!一何をする!!」
「それはこっちのセリフだっつーの。いきなり矢なんか打ちやがって。一どうして撃ってきやがった。」
そう言って【蒼羽】の先を向け鍔を鳴らす。
「貴様なんぞに答える事などない!!いいからこれを外せ!!」
【蒼羽】を向けられた狀態でも男は怯むことなく喚き威圧する。それにつられて他の男たちも喚き出す。
そんな男達に彌一は男のものとは比べにならないくらいの威圧を荒々しく暴力的に叩きつける。
彌一から放たれる絶大な威圧に男たちはの芯から凍ったかのように呼吸も忘れ直する。
「質問に答えろ。なぜ撃ってきた」
質問に答えさせるため威圧をし緩めると男たちはぷはっと息を吐き呼吸する。落ち著いたのか先ほどとは違い靜かになり彌一の質問に答えようとする。
「そ、それは・・・」
「答えろ」
「わ、わかった!答えるから!・・・俺たちが撃ったのはそのが村に來たら構わず撃てと命令があるからだ。まさかほんとに生きて戻ってくるとは思わなかったがな」
そういって男はセナを睨む。なのでもう一度威圧をぶつけておく。
「命令?誰にだ」
「リ、リカードさんからだ」
その名前が出てくるとセナの表が一変し青ざめる。そんなセナの変わりぶりに顔をしかめているとセナがたどたどしく口にする。
「リカード・アイヤード。この里の、村長で、私の父親」
「セナの親父さん?」
意外な人の名前が出てきて彌一も驚く。この里の村長がセナの父親なら、封印を指示したのもセナの父親ということになってしまう。
自分の娘を自ら封印の指示を出すなどと思ったが、
「セナ。お前の親父さんに會う気はないか?」
「え?」
「一つ確認したいことがあるんだ。辛いと思うがそれでも會う気はないか?心配するな、もしなんかあっても必ずお前を守るから」
そんな彌一の言葉にセナは瞳に覚悟をめ頷く。
「わかった。それに私はもう逃げないと決めた」
「よし。なら行くか。おい、お前!俺たちを村長の所に案しろ」
「だ、だがしかし・・・」
彌一に呼ばれた男はびくっとなりどもる。一個人の決定で連れて行くことはできないのでどうしたものか悩んで一つ提案する。
「お、俺個人での判斷では連れていけない。だ、だから村長の所に向かわせて確認をしてくる、だからそれまで待ってくれ」
「わかった。早くしろ。ただし増援を連れてこようものなら・・・わかるな?」
【蒼羽】の唾を鳴らすと男は大きく頷く。それを確認して彌一が指を鳴らすと男を縛っていた黃金の鎖がの粒子となって消え、男はすぐさま全力ダッシュで里に向かった。
それから間もなく男が返ってくる。村長の許可も出たらしくセナにフード付き外套を著せ、彌一たちは村長邸に向かうことになった。
里の中は活気に満ち溢れていた。果店や野菜店などの店が集まる場所で買いをする人や広場の演題で語を歌う詩人、走り回る子供たちなど人々が楽しく暮らしていた。
しかし彌一はふと違和に襲われる。なにがとはわからないが、ぬぐいようのない違和をじていた。
それからしばらく歩きたどりついた村長邸は周りの家と同じような作りで、村長だからといって大きな家ではなかった。
10年ぶりにみる我が家にセナは複雑な表をするが、それでも歩みを止めることはなく、村長邸にっていった。
ってすぐに通されたのはリカードの書斎だった。
「リカードさん。連れてきました」
「ああ、ってくれ」
壁一面を様々な本で敷き詰められ、りきれなかった本が所々に積み上げられている。手前にはテーブルとソファ、奧には機がありその後ろの窓辺に一人の男が佇んでいた。
真面目で厳格そうな面差しに、黒髪の短髪。頬には一筋の斬り傷。歳は四十代後半といったところだろうか。背は190センチくらいで、頬の斬り傷と厳格そうな面差しのせいで見るものに圧迫を與える。
リカードはこちらに向き直るとセナをみて一瞬微かに目を見開いたがすぐに元の表になり今度は彌一を見る。
「君は?」
「日伊月 彌一」
「どうしてここへ來た?」
「あなたと話がしたいからです。なぜ、セナを封印したんですか」
リカードはすぐには答えず一度間を置き、その質問にはっきりと答える。
「それは忌み子だからだ」
「ーーツッ!!」
セナが息を呑む。覚悟を決めたとは言っても、本人のはっきりと聞かさせると自分の中の何かが壊れるような絶。それに耐えることができなかったセナは部屋を飛び出していった。
そんなセナが駆けていった扉を見つめ、彌一はリカードに向き直る。
「いかなくていいのか?」
「今のセナには一人で考える時間が必要だ。それにあんたには聞かなくちゃならないことがある」
「なんだ」
口調を変えた彌一を特に気にすることもなくリカードは問うてくる。
「忌み子とは?それにあんたはどうしてセナを殺さず封印した?封印するくらいなら殺してしまえば簡単なはずだ」
「・・・君には関係ない。」
リカードは答えない。しかしその顔はどこか苦痛に満ちている顔だった。
そして彌一はその顔を見て可能を示した。
「答えない。いや、答えられない・・・・・・。そうなんだな」
「!君はいったい・・・!」
その言葉で確信した。自分の仮説が正しいことを。そうしてわかった。封印のを、なぜリカードが答えられないのかも、全部わかった。
リカードが信じられないといった表で彌一を見る。その瞳には微かな希が見える。
「俺は魔師。魔師、日伊月彌一。あとはまかせな」
彌一は立ち上がるとそう一言つげ部屋から出ていく。
誰もいなくなった部屋でリカードは一人、彌一がでていった扉に向かい頭を下げていた。
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リカード邸を出た彌一はすぐさまセナのもとに走る。場所はすでに【探査魔】で確認済みだ。
走って5分くらいの森の池にセナはいた。池のほとりで一人うずくまっていた。
「セナ・・・」
セナの橫に立つとセナは泣き腫らした目で彌一を見つめてきた。
「ねぇ、彌一・・・私、必要ないのかな?」
セナの呟きには様々なが混ざり合っていた。
「そんなわけないだろ、俺はお前が必要だ。」
「ありがと。・・・でもお父さんは私を必要としていない」
辛く苦しい言葉がのしかかる。10年前、自分を周りは恨み憎み封印した。暗く誰も居ない靜かな世界でただひたすらに生き続け彌一と出會って守るといった。だからもしかしたらみんなもと期待した。でもやはりだめだった。忌み子といわれセナの心にはただひたすらの絶しかなかった。
しかし彌一は言う。
「それはちがう。リカードさんはセナを必要としているし、している」
「え?」
そんな言葉信じられないと言おうとしたが彌一の目がその言葉が真実だと伝えていた。
「いまからすべて暴きに行くぞ」
セナの腕を摑み引っ張っていく。
「え?え、ええ!?」
セナはなすがままに彌一に連れて行かれた。
セナが連れて行かれたのは里の広場、そこにはいま多くの観客の前で語を歌う詩人がいた。
どうしてここに連れてこられたのかわからないセナは戸う。
「ね、ねぇ彌一。いったいなにが・・・」
「セナ。あの詩人に見覚えは?」
「え?詩人?・・・あっ、あの人10年前の詩人だ。うん、確かに見覚えがあるけどそれがどうかしたの?」
「そうか。これで確定的だな。」
そういって彌一はレルバーホークを構える。構えた先にいるのはーーー
ーーー今なお歌う詩人。
「!!彌一何を!?」
セナが彌一の突然の行に慌てて止めようとするが彌一はそのまま引き金を引く。
発されたのはプラズマを纏いマッハ5まで加速した弾丸。
弾丸は詩人の眉間に吸い込まれその頭蓋骨を貫く・・・ことはなかった。
「えっ・・・」
弾丸は何かに跳ね返されたかのように詩人の後ろに逸れる。
しん、と水を打ったように靜まり返った広場で詩人は何かを払ったあとのような格好で靜止していた。詩人だけでなく広場にいたすべての人が微だにせずまるで固まっていた。
セナが辺りを見渡すと広場の人だけでなく、果店の店主、買いをする主婦、かけっこをしている子供たち、すべてが時が止まったかのように固まっていた。
そんな異常事態にセナは顔を青くする。
「な、なに、これ・・・。みんなどうしたの・・・!」
「これがセナの日常を壊した原因だ。」
「原因って・・・?」
そういって彌一は広場に目を向け言い放つ
「なぁ、そうだろ?詩人さんよ」
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