《魔がない世界で魔を使って世界最強》魔曲と福聲
時が止まった世界で詩人は払った手をゆっくりと下ろす。
詩人は薄気味悪い笑みで彌一を見詰める。
「いつからわかったのです?」
「最初からだ。セナに封印された時の話を聞いた時疑問だった。永遠に封印するくらいなら殺してしてしまった方が簡単だからな。最初は特に理由は無いのかとも思った。でも、可能は生まれた。そしてこの里に詩人が來る事とリカードさんとの會話で確証を持った。お前のその歌、『魔曲』だな?」
「魔曲?」
「・・・・」
その言葉を聞くと詩人は笑みを消し無表になる。それを肯定とけ取った彌一は言葉を続ける。
「音楽や歌はなからず人の心に影響を與える。そしてそんな曲の中には聞くものに力を與える曲が存在する。それが魔曲だ。」
音楽や歌には人の神以外にもにも影響を與える。例えば音楽を聴いてテンションが上がり、が軽くなったりなどだ。そして魔曲とは曲に魔的な意味を持たせ、魔力を歌に乗せ,與える影響を恩恵という形に昇華し力を與えるものだ。
「お前はそれを里の人たちに聴かせしづつ洗脳し、セナを封印、いや、殺そうとした。そうだろ?」
「!どうゆう事!?」
自分が封印された原因がまさか詩人の歌だとは思わずセナが詩人にぶ。
「よくわかりましたね。この歌は私が作ったオリジナルの闇魔法『魔裝戯曲』。あなたが『魔曲』と言ったものですよ。しかしこれは私のオリジナル、なぜわかったのです?」
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「魔曲なんて魔は俺の世界では使い古された古典的な魔だからな。」
そんな言葉に詩人は首を傾ける。
「魔?俺の世界?・・・もしかして貴方はこの前召喚された勇者ですか?」
「あぁ、そうだが」
「そうですか。・・・貴方の推測道理ですよ。リカードも洗脳して殺させたかったのですが、奴はなかなか魔裝戯曲が効きにくくてね、私も正がバレるわけにはいかないのであまり派手にけず、殺すのではなく封印されてしまいましてね。」
「そんな・・・!!」
リカードは周りがしづつおかしくなっている事に気づきどうにかセナを守ろうとした。しかし敵の正や里の人達を洗脳した方法もわからなかった、そして敵の正を探っていたがそうしている間に全員がセナを「忌み子」や「殺せ」と言ってセナを殺そうとした。そのためリカードはセナを封印させる事で全員を納得させ封印した。いつか敵を倒し、セナを迎えに行くために。
その真実にセナは驚愕する。封印した理由が自分の為だという事に。
「で、でも。お父さんは私に殺せと命令してた!」
「それは村長として里の人を守る為だろう。敵が何処にいるかわからない以上セナを保護するような行をとれば、里の人達やセナ本人を危険にする可能があったからな。だから仕方なかったんだろう。親父さん、セナに忌み子といった時一瞬だがとても辛そうな顔してたからな。」
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リカードが自分や里の人達を危険にさらさないための行にセナは手で顔を覆う。
「う、うう、お父さん・・・」
そんなセナの頭をで、未だなおこちらを見ている詩人を見據え言う。
「だから、倒すぞセナ。あいつを倒して全てを取り戻すぞ!」
「うん!私は、私の故郷を取り返す!!」
涙を拭い全てを取り戻す為覚悟を決める。
「貴方達は危険だ。異世界の勇者に霊の巫。貴方達はこの私、魔王軍六屬が一つ、『闇』のアルマダが始末いたします」
発砲音が一つ。プラズマを纏う弾丸が襲いかかる、だがアルマダは拳に闇を纏いマッハ5の弾丸を弾く。しかし弾かれる事は先程の攻撃で分かっている、すぐさま【加速魔】で接近。人外のステータスと合わさって彌一は瞬間移したかのようにアルマダの目の前に表れ【蒼羽】を抜刀し首に斬りかかる。
「ッツ!速い!」
その速度に驚きつつも地面を陥沒するほどの力を込め、跳躍。服を破り背中から生やした翼で空中にとどまる。
「【凍嵐】!!」
凍える嵐が吹き荒れ嵐が生きのようにうねりアルマダに直撃する。嵐はしばらくすると消え右の羽を凍結させていた。
「くっ!忌々しいですね!」
羽に闇を纏わせ強引に凍結を砕く。強引に砕いたせいで羽がぼろぼろになるがそれでもまだ空中にとどまる。
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「やはり脅威だ。魔王様のためにもいまここで始末する必要がある。」
「はっ、そんな狀態でか?」
そんな言葉を鼻で笑い飛ばす。するとアルマダが顔に憤怒を表す。
「いきがるなよ、人間。さぁ!行け!」
アルマダが両手を広げ高らかにぶ。瞬間彌一とセナに向かって魔法が撃ち込まれる。
彌一は魔力障壁で防ぎ、セナは撃ち込まれた魔法と同じ數の魔法を飛ばし相殺する。
撃ち込まれた方向を見るとローブを著た魔法使いたちが杖をこちらに向けていた。霊の里の魔法鋭部隊の兵士だ。
その目は虛ろで、きもどこか機械じみている。
すると兵士以外にもられた一般人などが集まってくる。その手には包丁や鎌などを持っている。総勢約200人以上。
彌一とセナは背中合わせで立ち、全方位の警戒をする。
「くそっ。一般人もじってるから手加減しないといけない。セナ、この人數を相手に手加減でどこまでいける?」
「風魔法で足止めをするくらいしかできない。」
と申し訳なさそうな表になるセナ。
全方位を一般人や兵士が囲み手加減をせず全力で殺しにかかってくる。セナを片腕で抱き寄せ、襲いかかってくる人のきは素人で、いなして首元に手刀をれ意識を刈り取る。
一般人の相手をしていると後ろの方から魔法使いが魔法を放ち、それをレルバーホークの魔力弾で撃ち落とす。
先に魔法使いを沈めようとするが一般人が邪魔をし手が出せない。
そんな間にも次々と人々が襲いかかり彌一は迎撃で手一杯。ろくに反撃もできず防戦一方となる。
またられている人々以外にもアルマダにも注意する。今はまだ右の羽の修復に専念しているのか空中から彌一たちを見下ろしている。
防戦一方のこの狀況も長くは続かづしずつ押され始める。
(くそっ!これじゃあ魔構築をする時間がねぇ!いったいどうすれば・・・!)
そんな狀況でもうだめかと思った、その瞬間。
「ぐっぁ!」
「がぁっ!」
「がはっ!」
今彌一たちに襲いかかろうとしていた兵士が一瞬で倒れる。倒れた人のそばで男が立っていた。一瞬なにかおきたが分からなかったがその人の聲を聞いて我に返る。
「そんなものか彌一君?」
「リカードさん!?」
「お父さん!?」
その人はセナの父親、リカード本人だった。
「君ならこの狀況をどうにかできるのだろう?ならここは私に任せなさい」
「でも大丈夫ですか?」
「なにこれくらいどうってことはない」
そういってリカードは拳を握る。その手には寶石が嵌め込まれた籠手が裝備されている。そしてリカードはセナを見るがすぐに視線を外し目の前に迫る人々を見據える。
毆りかかってきた拳を摑み捻って腹に拳をれる、後ろから剣を振り下ろしてきた兵士の剣に手を添え払い、橫腹に蹴りをぶち込む。
襲いかかってくる人々を次々と沈めていく。しかもすべてちゃんと手加減をしており誰一人として怪我を負わせていない。
足さばきや呼吸、位置取りなどまさに歴戦の武人のそれだった。これなら確かに問題ないだろう。
「わかりました。」
彌一は魔の構築を開始しようとするがそれに気づいたアルマダが空から魔法を放とうとする。
「させるか!『闇よ!奔流となりそのすべてを喰らい盡くせ!!』」
「邪魔はさせない!!【炎風陣】!!」
アルマダが放った闇のブレスをセナが炎を纏わせた風でかき消す。
られた人々はリカードが、アルマダはセナがそれぞれ相手をする。心配はいらない、だから魔の構築に集中することができる。
そうして彌一はこの狀況を覆すべく、魔構築を開始し、詠唱を始めた。
「《響け、響け、響かせろ、その聲で歌うのは破魔の歌》」
その詠唱はいつものように節で區切る詠唱ではなく、詠うような詠唱だった。
蒼い魔力が迸り彌一の周りにが漂い満ち溢れる。
「《その聲は天の聲、その歌は魔を払う歌》」
満ち溢れたが柱となり空に昇り、空に広場すべてを包み込むほどの、大小様々な大きさの魔陣が集まっり巨大な魔力魔陣が形される。
「《甘な聲でを焦がし、その歌に捧げろ》」
形された魔陣一つ一つが純白の輝きを発し辺りを照らす。そのはすべてのものを包み込む。
彌一は開いた左手を前に突き出し最後を詠う。
そしてーー
「《あぁ、そなたはなんと甘なる聲か・・・》」
最後の言葉を継げた瞬間、広場に高らかに音、いや聲が響き渡る。
「アァアアアアアーーーーーーー」
その聲はとてもしくとても暖かく心に澄み渡る聲だ。例えるならまるで神の聲のような。
そんな聲が響くとられていた人が一斉に眠るように倒れる。ばさりばさりと倒れ、が消え、聲が聞こえなくなるころには広場には彌一とセナ、リカードしか立っていなかった。
「ぐうぁああああああーーー!!!がっああああアアアアアーーー!!」
空にいたアルマダが聲を聞いた途端、頭を押さえび地上に落下する。
「が、う、あぁ・・・!い、いったいなにをっ・・・!!」
中が溶かされシュゥウーと煙を上げているアルマダが這い蹲りながらも彌一を睨みつける。その顔も半分近くが溶けて煙を上げている。
「【神の福聲】聲を聞いたすべての魔を払い浄化させる、それが洗脳だろうがな。そしてそれ以外には治癒を施す。俺が使う対邪霊・悪魔用のなかで最強の大魔だ」
聞いたものの魔を払い浄化させるこの魔は彌一のオリジナルの魔で、彌一が使う大魔の中の最強の一手である。
この聲を聞いたことで里の人々はアルマダに掛けられた魔曲の洗脳を浄化され、アルマダ本人はその聲ですべてが浄化されている。側から浄化されていきもうすでにどうにかできる程の力や魔力も殘っていない。
「な、なんだ、その魔法・・・!あ、あなたは、いったい・・・」
「魔師日伊月彌一。それとこれは魔法じゃない、魔だ。」
「日伊月、彌一・・・覚えましたよ。その名前。いつか魔王様が、あなたをーーーー」
アルマダのがボロボロとこぼれついには灰になり消失する。
「・・・終わったな」
「うん。終わった」
彌一の呟きにセナは答える。靜かな広場にその聲はぽつりと響く。そんな広場を眺めながら彌一は意識を手放した。
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「知らない天井だ・・・」
そんなボケをかまして周りを見る。どこかの部屋らしく、窓からは月明かりが差し込んでいた。
その部屋で彌一はキングサイズのベットに寢かされており周りには誰も居なかった、いや隣で不自然にシーツが膨らんでいる。
だいたい誰か予想しつつもシーツを捲るとそこには予想道理セナがいた。
「おーい、セナさーん」
「む、むにゅ・・・」
セナのすべすべのほっぺたをぷにぷにと楽しみながら、起こそうとするが起きない。
そんなセナにしいたずらでもしようかと考えた彌一はセナの耳元に口元を近づけ
「ふー」
「ふにぁああああーー!!」
可い聲をあげ飛び起きる。
「な、な、にゃにするの!彌一!!」
「あー、そ、その、いたずらをと・・・」
「うぅううー!」
上目遣いでうぅと睨む。正直まったく怖くない、むしろとても可く思わずドキッとしてしまい、恥ずかしさを誤魔化す様に頭をでる。
すると赤面し途端に機嫌が良くなる。そのまま頭をで続ける。
「それでここは?」
「お父さんの家の離れの家」
「それで里の人たちは?」
「みんな意識を取り戻した」
「そうか。それならよかった」
ほっと息を吐いていると、セナが俯いて涙を落とす。
「セ、セナ?」
「・・・ありがと、本當にありがとう。私を助けてくれて。私の故郷を救ってくれて」
泣きながらぽつりぽつりと言葉を出してお禮を言い一杯の笑顔を浮かべる。
そんなセナに彌一は笑顔で返し。ふたりしておかしくなって笑う。
「ねぇ、彌一。一つ聞いていい?」
「なんだ?」
「なんでそんなに私を守って、助けてくれるの?」
「え!?そ、それは・・・」
「じー・・・・」
思わずどもってしまう彌一は視線を逸らす、セナは彌一の顔をがちっと両手で摑み見つめてくる。
彌一は観念したように答える。
「『大切』を失うのが怖いからだ。セナを失ったことを考えると怖くなる、だから守るんだ」
「・・・え?え?ええっえー!?それって・・・」
セナはその言葉の処理が追いつかず沈黙し、その言葉の意味をようやく理解できたのか大発を起こしそうなくらい顔を真っ赤にする。
彌一はもう一度覚悟を決めセナを見つめる。
「好きだセナ。」
「ーッツ!!」
涙が止めどなく流れる。セナは嬉しさと涙で顔をぐちゃぐちゃにする。拭っても流れ出る。
そんなセナに彌一はし困ったように苦笑いする。
「ほら、涙で綺麗な顔が臺無しだろ」
涙を指で拭ってやるとセナが勢いよく首元に抱きつき、そのまま二人で倒れこむ。
「私も、私も彌一が好き。」
鼻と鼻がくっ付く距離で見つめあう。そのままおでこをくっつかせお互いにほほ笑む。
そして彌一はそのままごろんと回りセナを押し倒すようにする。
長い綺麗な蒼い髪を白いシーツに広げ、暗い部屋に月明かりが差し込みセナの蒼い髪がうっすらと反し神的だ。
「セナ。してる」
そういってセナのにを重ねる。
「んっ・・・」
しじろきするがすぐにをゆだねて彌一の背中に手をまわしけ止める。
長いキスが終わり、お互いに余韻に浸るように見つめあう。セナの熱い吐息が至近距離でじられる。
お互いの心臓の鼓が聞こえてきそうだ。
「彌一・・・」
セナがうるんだ瞳で見つめる。そんなセナに彌一はもう限界だった。
「セナ、いいか・・・?」
そんな言葉にセナは口づけで答える。
「わたしも、もう・・・」
彌一はゆっくりと服をがしていく。
シミひとつない白いに見事なプロポーションのセナは月明かりと相まってまるで神話の神のようだった。
「や、彌一・・・」
やはり恥ずかしいのか両手でと下腹部を隠そうとする。
「セナ。してる」
そんなを囁いて再びを重ねる。
こうして霊の里の夜は靜かに過ぎて行った。
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