《魔がない世界で魔を使って世界最強》【七夕特別ストーリー】家族の願い

ユノを引き取ってから數日後。

彌一一家は現在、山の中を歩いていた。

冒険者組合で薬草採取の依頼を注し、薬草を山に採りに行くと一緒にユノを連れてちょっとしたハイキングに出ていたのである。

山の麓で目的の薬草を採取し終え山を下っていると彌一に肩車をされているユノが何かを見つけたようで指を差す。

「パパ、あれなに?」

「ん?あっ、あれは竹じゃないか・・・!」

「たけ?」

ユノが差した方向に生えていたのは日本人に馴染み深く、松、梅とともに厳寒の三友と呼ばれる植、そう竹だった。

その竹は道からし離れたところに集して生えており竹林を形していた。

歩み寄って竹にれたり観察したりすると本當に竹だった。

「パパ、たけってなに?」

「竹っていうのは俺の世界にも生えていた植で、こんな風にしなるのが特徴的な植なんだ」

そういって竹を軽く叩くと竹は折れることなくしなって曲がりまた元に戻る。ユノとセナもってみるとその曲がる竹に面白くなる。

「パパ!パパ!すごい!ぐいーんってまがる!」

「こんな植は初めて見る。この植は何かに使えるの?」

「工蕓品や楽、建築なんかの材料になったりもするな。工蕓品なんかでいうとそこに生えている小さな竹、笹っていうんだがそれだけで籠なんかを作ったりできる」

「へぇ〜」

セナは笹だけで籠を作れることに驚いているようでユノと一緒に笹をいじっている。

し持って帰って籠でも作ってみるか?作り方なら知ってるし」

「つくるー!」

「面白そう!」

そういうわけで三人は數本の笹を回収し、エルネ街に戻っていった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「彌一くん」

「あ、クライトさん」

冒険者組合の付で依頼完了の手続きをしていると書を連れたビルファが聲をかけてきた。ビルファの手には書類の束があり眼鏡を掛けていることから仕事終わりだったのだろうか。

ビルファは彌一が手続きを終えるのを待って話しかけてくる。

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「このあとし時間はあるかい?よければし相談に乗ってしいんだ。」

「はい、別にいいですよ。セナとユノも一緒でいいですか?」

「もちろん。それなら近くの喫茶店でお茶でもしながら話そう」

ビルファは書に一言いって別れそのまま組合の外に出る。彌一もセナとユノを連れて後を追う。

された喫茶店は、靜かな雰囲気の古みのあるお店でビルファと彌一以外にはカウンターの向こうに店主がいるだけだ。

テーブル席に座り飲みを注文した後ゆったりとビルファの相談が始まる。

「相談というのは毎年この時期流星群が見れてね。その流星群を祝ってエルネ街全をあげて行うお祭りについてなんだ」

「お祭りですか?でもなんでビルファさんが?」

エルネ街全をあげてのお祭りなのだからそういったことは街の領主などがやるべき事で冒険者組合の組合長であるビルファが関係してくるとは思えない。

「領主と知り合いでね。今年から新たにお祭りをさらに盛り上げる何かを追加しようということになってねそれで僕にも考えてくれと言われたんだがなかなか良い案が思いつかなくて。そこで異世界の勇者である君ならなにか良い案があるんじゃないかと思ってね」

「ああ、そういう事ですか」

「それでなにかないかい?」

「そうですね・・・」

地球の日本のお祭りでなにかそういったイベントはあっただろうか、と考える。彌一もお祭りは好きでよく凜緒とよく行っていたのでお祭りには詳しいがこの世界の文化に沿うものなどは考えつかない。

どうしたものかと悩みセナの方を見るとセナはユノと一緒に笹で編みをしていた。

それを見て彌一は思いつく。

「七夕なんてどうです?」

「たなばた?それはどういったものだい?」

「俺たちの世界では七月七日に七夕という笹に願い事を書いた紙を括り付ける行事があるんです」

舊暦七月七日の夜に天の川の両側にある牽牛星と織星が一年に一度相會するという伝説に基づいて行われる星を祭る行事で、今では笹に歌や願い事を書いて飾り翌日笹を川に流す。

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また七夕は魔的な意味も持ち、笹を川に流すこれを神送りといい、神送りの際に穢れを祓う禊の儀の意味をもつ。

七夕を提案したのは晝に山に薬草採取の時に見つけた竹林を思い出したためだ。

「なるほどそれなら準備に時間を掛けず街全で楽しめそうだね。それに山のあのタケの処分に困っていたからちょうどいい。ありがとう彌一くんおかげで助かったよ」

「いいえ、これくらいで良いならいつでも相談して下さい」

ビルファからの相談は意外とすんなり解決しその後ビルファは彌一の意見を書類にするため退出し、彌一たちも家族でしお茶をしてその日は宿に戻った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

相談のあった日から三日後のお晝、エルネ街全をあげて行われるお祭りの始まりだ。街の至る所には笹が並んでいる。

祭りの主催側が登録した店でなにか一つ買うと短冊が貰えるようで街では様々な人達が笹に願い事を書いた短冊を飾っている。

大通りを散策しながら彌一一家も祭りを楽しむ。いつも祭りのように活気のあるエルネは今日はさらに一段と盛り上がっていた。

「パパあれなに?」

彌一とセナに挾まれて手を握っているユノが店に目を向ける。そこでは子供たちが奧の棒に向かってっかを投げている。

投げだな。あのっかを向こうの棒に投げてれるんだ」

「ユノちゃんもやる?」

「やる!」

投げ屋に向かい、お金を払ってっかをけ取る。

っかをけ取ったユノは豪快に振りかぶり「えい!」という可らしい聲を上げて、投げる。

しかしユノの長では屆く距離に限界があり棒に屆かない。

「パパとどかないよ・・・」

「それじゃあこれならどうだ!」

しょんぼりするユノを抱き上げ元辺りの高さに持ってくる。ユノはそのままパパに抱っこされた狀態でを投げる。

高いところから投げたはそのまま落ちてゆきーー見事棒に引っかかった。

「ありがとうパパ!」

ギュッと彌一の首に抱き著き頬をくっつけてくるユノを片腕で抱っこし、店主から景品をけ取る。

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け取った景品は三枚の短冊。短冊は十枚集めると銀の短冊と換ができ、銀の短冊を十枚集めると金の短冊と換できるらしい。こうしてお店の景品として短冊を用意する事で短冊を集めやすくしている。

「三枚ゲットしたけど折角なら最高ランクの金にしたくないか?」

「する!キラキラのたんざくがいい!」

「家族全員の金狙ってみる?」

「そうだな。それならイベントの景品に確か金の短冊を出してるところもあったし、イベントでも出てみるか!」

「「おー!」」

親子三人は全員金の短冊にするべくイベント參加を決意する。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

街の中心部にある競技場は周りに比べより一層盛り上がっていた。

石とレンガで作くられた円形型の競技場。中央のフィールドを囲うように三層構造で外に行くにつれ高くなっている観客席は現在全ての席が埋まっていた。

『それではいよいよ魔法競技祭決勝戦の開始です!!』

會場全が湧き上がり震える。今回の祭りの目玉イベントの一つである魔法競技祭には多くの観客が押し寄せていた。

普段あまり目にする事のない魔法を見る事のできるイベントはかつてないほどの盛り上がりを見せている。

この競技祭はお互いに一つ魔法を使ってどちらの魔法が凄いかを審査員が審査するという安全な競技だ。魔法での試合をしようとした場合観客に被害が及ぶかもしてないという理由で戦う試合ではなく魔法を披するだけのお祭りだ。

『今回の魔法競技祭の參加者は過去最高の百二十人!そのほとんどが一流の魔法師ばかり!そんな彼らを押しのけ最後の決勝戦まで登りつめた二人をご紹介致しましょう!!』

司會がフィールドの中央で対峙する二人のうち、一人を指す。

『赤コーナー、冒険者組合所屬で最高ランクの第十階梯の冒険者でなんと全ての魔法を【無詠唱】で扱う、セナ・アイヤード!!』

セナが紹介されると會場全が湧き上がる。セナのしい容姿に見惚れ息を呑む聲も所々聞こえる。

『続いて青コーナー、こちらも同じく第十階梯の冒険者にして、なんと、信じられないことに!!あの四天武神の『紅碧の拳神』と『碧撃の弓神』を倒した男、ヤイチ・ヒイヅキ!!』

セナの時の歓聲に劣らず彌一への歓聲も大きい。それぞれの武を極め英雄と名高い四天武神の二人も倒したのだから観客からの関心も高い。

『それでは先行はセナ選手、始め!』

「【豪炎鳥】!【冥水竜】!」

開幕と共にセナが魔法を発。炎と水の柱が渦を巻き立ち昇り天に登る。

柱は天に舞って、散する。そして中から炎でできた巨大な鳥と水でできた竜が現れた。

『ピァアアアアアーーーーー!!』

『グオァアアアアーーーーー!!』

炎が鳴き、水が吼える。二はフィールドの上空を飛ぶ。二重の螺旋のようにお互いが絡み合って空に昇り、轟く咆哮を響かせる。

その景に誰もが圧倒され、次の瞬間には會場全が湧き上がり、震え上がる。

「彌一とは一度勝負がしたいと思ってた。どう彌一?私の力作」

「ああ、流石セナだな俺にはここまでの屬系魔るセンスはない」

現代の魔師同士での戦闘では屬系魔はあまり使われない。例えば火の魔で敵を焼くより銃弾一発の方が早いなど多くの理由はある。現代魔師の戦闘スタイルは銃火、武での遠距離、近距離戦闘プラス魔が多いというのも理由の一つだ。

戦うための魔を多く學んでいたため屬系魔についてはあまり詳しく無くその點ではセナに劣る。それに炎と水のまったく違うものをあそこまで制出來る技量は地球にもおらず、手放しの賞賛に値する。

しかしーー

「それは屬系魔に限っての話。いくらセナとはいえ魔で負けるわけにはいかない。魔師の本気を舐めるなよ!」

そういって彌一は蒼い魔力を迸らせる。

「《響け、響け、響かせろ、その聲で歌うのは破魔の歌。その聲は天の聲、その歌は魔を祓う歌。》」

「え!?その魔って・・・!?」

セナが彌一が発しようとしている魔を見て「うそでしょ!?」と揺する。

噓ではないこれが現実だ!

彌一が発しようとしているのは大魔神の福聲】。この魔は聲を聞いた範囲の魔を祓い、指定した相手には癒しをもたらすというもの。

彌一さんどうやら嫁が相手でも全力で挑むようだ!

球技場全が明るいに包まれる。彌一からはの柱が天に昇り、その柱が球技場上空に巨大な魔陣を形

「《姿を示しその甘なる聲を響かせろ。響かせた歌はを焦がし、その歌に捧げよ。》」

彌一はここでし改変した詠唱を唱える。すると魔陣から黃金のれだす。

そして最後の言葉を紡ぐ。

「《あぁ、そのたはなんと甘なる聲か》」

剎那、天空の魔陣から六枚の翼を広げたこの世のものとは思えないが現れた。

全てが白くそして輝いている。翼をはためかせて存在するそのは神話の神そのものだった。そしてに手を當て聲をその甘なる聲を響かせる。

聲は球技場を埋め盡くし全ての者が息を呑みただただ立ち盡くし、その甘な聲を聞いて皆一様に涙を零す。

神・・・」

誰が言ったか、その聲は會場全に伝わり會場の全ての人が膝をつき祈りを捧げる。泣きながら一心に祈る。

彌一はその景を見て

(やべぇ、やり過ぎたかも・・・)

と頬を引きつらせる。聲を響かせるだけでも十分かと思ったがどうせならインパクトのある方が良いから姿を現わすか、と思い即興で【神の福音】に【幻影魔】の応用技で想像上の神を一時的にこの世に投影させる、という全力の大魔改変を行い実行したのだ。

完全なる才能の無駄使いである。

『け、結果、勝者ヤイチ・ヒイヅキ』

泣きながらの結果発表で彌一が優勝するが、周りの観客は未だに祈りを捧げている。

優勝は最初と打って変わって靜かに決まった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ひどい彌一・・・」

優勝が決まった後彌一とセナは控え室にいた。一時間後の行われる授賞式まで待機中だ。

部屋にってくるなりセナが彌一に愚癡を零す。それも無理ないだろう渾の力作の火の鳥と水の竜を出した後に神様降臨である。酷いとしか言いようがない。

「わ、悪かった、俺もあれくらいしなきゃ勝てなかったんだ」

彌一も自覚はあり、申し訳ない気持ちで一杯になる。

「許さない」

そういってセナは腕を組みプイッと彌一から顔を逸らす。

彌一はうーんと參った表を浮かべどう機嫌をとったら良いかと悩む。

「・・・じゃあ、なんでも一つセナのお願いを聞くっていうのはどうだ?」

「・・・本當?」

「ああ本當だ」

「じゃあ許す」

するとセナはあっさりと許して機嫌が良くなり、明るい表で彌一の隣に座る。

「それじゃあ、ギュッてして」

「そんなことでいいのか?」

「うん、それがいい」

「わかった」

彌一はセナの後ろに回って背後から抱きしめる。暖かくらかいに心が安らぐをじる。セナはとても嬉しそうに抱き締められている。

しばらくこうしているとセナが顔を向けて、艶やかな甘い聲でいう。

「彌一、キス、して」

「お願いは一つだったはずだが?」

「いや?」

こてんっと首を傾げて笑う。ユノといるときはしっかりしたママだが彌一と二人きりのときはとても甘えてくる。そんな表がとてもらしくてお願いがなくとも、なんでも葉えたい気分になる。

「いいや、むしろ大好きだ」

「んっ・・・」

セナの肩越しに長く、れるだけのキスをする。二人はしばらくから全てが繋がるような覚に酔いしれる。

「こういうの久しぶり」

「そうだな」

久しぶりにじるキスはとても優しく暖かいもので二人は小さく笑う。そして今のキスでスイッチがってしまった二人は見つめ合い、熱い視線を絡ませる。セナは頬をし赤く染め彌一をしそうな目で見る。

「ねぇもっと、しよ・・・んっ」

熱く甘い聲で呟くと我慢できなくなり今度はセナからキスをする。首に腕を絡め正面から抱き著き、膝の上に彌一の方を正面にして座る。

彌一もセナの後頭部に手を當てもう片方の手を細い腰に回し引き寄せる、するとセナが積極的に舌を絡めてくる。

熱く、溶けてしまいそうなキスはお互いをさらにじたいと求め合う。

「んんっ・・・んちゅ・・・はむっ・・・んぁっ・・・やいち・・・だいすき・・・んっ・・・!」

「俺もだ。してるセナ」

深く熱的なキスをしながらお互いに熱く上気した聲でを呟く。

ここが控え室だということも忘れてしまいそうになるくらい今の二人は燃え上がっている。久しぶりな分その反が大きいのだ。

二人はそのままキスをしている狀態でベンチに倒れる。セナを押し倒す狀態になると彌一はを離す。

セナの目はとろんとして潤んで、上気した頬とし荒い息で彌一を見つめる。この後の事を期待しているがしかしドアが気になるようだ。

「人來ちゃうかも」

「心配するな、すでに人払いの結界は張ってるし表彰式までまだ一時間はある」

「いつのまに・・・それじゃあ、いっぱいして」

「もちろんだ。してるぞ、セナ」

「あんっ、んっ・・・!、んちゅ・・・やいち・・・私も、してる・・・んっ!」

服に手をれそのふくよかなを直接み、らかなで塞ぎ口を貪る。そしてそのまま手を下腹部へばしーー

それからしばらく、誰も居ない廊下に控え室から二人の息遣いが聞こえていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「パパー!ママー!」

その後表彰式を終え競技場からでると観客席から二人の試合を見ていたユノがタタターー!と駆けてくる。

二人の近くに來るとユノはジャンプし二人に飛び込む。

彌一とセナは二人で飛んでくるユノを抱きとめる。

「パパとママすごかった!かっこよかった!!」

冷めやらぬといった合でユノははしゃぐ。

するとユノが走ってきた方向からビルファが歩いてくる。

「二人ともお疲れ様」

「ビルファさんユノを預かって貰ってありがとうございます」

「いいや別にいいよ。それで二人とも景品で金の短冊は集まったかい?」

「ええ、ここに」

彌一は金の短冊を二枚とセナは金の短冊を一枚取り出す。

今回の魔法競技大會の景品は優勝すると賞金百二十萬ネクトと金の短冊が二枚。準優勝には賞金六十萬ネクトと金の短冊が一枚、といった合で祭りのイベントにしては豪華だ。

二人の目的は短冊で賞金のことは表彰式で初めて気が付き、思わぬ臨時収にホクホクだ。

「それはよかった。それじゃあ僕はこの後街を回って視察してくるよ。またね」

「ありがとうございました」

「ありがとうビルおじさん!」

最後のユノの言葉に遠ざかっていくビルファがカクンッと傾く。「僕もそんな歳、かな・・・」そんな聲が聞こえて來がして彌一はなんだか居た堪れなくなった。

その後夕食の代わりに店で買った食べを食べて、通りを歩きながら(歩いていると道行く人人が彌一を見て拝んで來るので、認識阻害の式を掛けながら)短冊を掛ける竹を探す。そして目的の竹を見つけた。

「おお、見つけた。ここの竹にしよう」

「うん!」

「大きいね」

探していた竹は街の中心にある大聖堂の橫に立てられた竹だ。全長は約十メートルでビル三階分の高さでとても立派な竹だ。

三人は近くに設置された機で思い思いの願いを書く。

彌一は特に悩む必要も無くスラスラと書き終える。顔を上げるとセナとユノも同じタイミングで顔を上げた。どうやら悩むこと無く書き終わったようだ。

「パパ見て!」

「ん?ユノはなんて書いたんだ?」

ユノが短冊を見せてくる。そこには可らしく大きな字でこう書かれていた。

『ずーとずーとパパとママとあそべますように!!ユノ』

そんなのささやかだけども最も大きな幸せへの願いを見て彌一は笑みを浮かべて笑う。

「ユノと一緒だな」

そう言って彌一も短冊を見せる。

『こうしてずっとセナやユノと暮らせますように 。彌一』

ありふれた願いだ、でもそんなありふれた願いが今の一番だ、それが彌一の最も正直な気持ちだ。

「いっしょ!パパといっしょ!」

「ふふ、パパだけじゃないよ」

そう言って今度はセナが短冊を見せる。

『大好きな彌一とユノちゃんとずっと楽しく暮らせますように。セナ』

「ママもいっしょ!ユノもパパとママだいすき!!」

家族三人一緒の願いにユノは嬉しくて二人にギュッと抱き著く。二人もユノと同じ気持ちでとても嬉しい気持ちで一杯だ。彌一は抱き著くユノを片腕抱っこし、もう片方の手でセナの手を握る。

「よし、飾りに行くか!飾るなら一番上だ!」

「かざる!」

「でも一番上ってどうやって?」

竹の高さは十メートル近くもある。どうやったって屆かない高さだ。

「この竹は街にある竹の中で一番の大きさでな、金の短冊を持っている人は特別に一番上に飾らせてもらえるんだ」

「もしかしてその為に金の短冊にしたの?」

「星に願うなら星に一番近い方がいいだろ?」

教會の中にると神父が彌一達を案する。教會の塔のベランダに案されるとベランダにはあれ程高かった竹の頂點があった。

金の短冊は見當たらない。どうやら金の短冊まで集める好きはいなかったようだ。

「ユノ飾ってくれるか?」

「うん!」

家族全員分の短冊を持って彌一に抱きかかえられる。竹の一番高いところに結んでいく。そしてユノを下ろす。

竹のには同じ場所に三つの金の輝きがあった。

親子三人で並んで夜風になびく短冊を眺める。

すると夜空を見上げた彌一が【解析眼】であるものを捉える。

「セナ、ユノ空を見てみろ」

「「空?」」

なんだろうと空を見てみるが空には星が綺麗に輝く夜空しかない。

「もうすぐだ・・・來たぞ!」

目を凝らし、夜空を見上げる。

瞬間、夜空にの線が橫切った。

その線は徐々に増えていき気がつけば夜空一面が輝く線で埋まる 。

流星群だ。

「うわー!きれい!!」

「凄い・・・!!」

「ああ、本當に凄いな・・・!」

空を埋め盡くす流星群に彌一もそのしさに嘆する。

三人は揃ってそのしさに魅って空を眺める。

三つの金の短冊は夜の帳に輝く流星を背景に仲良く夜風に吹かれている。

こうしてちょっとした日常が過ぎてゆく。

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