《魔がない世界で魔を使って世界最強》似た者親子

コンコンとノックする音が聞こえる。それにつられてドアの方を向くとドアが開き、セナが現れた。

「彌一。調子はどう?」

「ああ、セナか。おう、隨分と良くなったぞ」

「なら良かった」

そういってセナは彌一の橫の椅子に座る。そしてその彌一はいうと全包帯だらけの狀態だ。

インサニアとの闘いと、ユノを救うために行った複數の儀式魔同時行使によって當の昔に限界を超えていたが本當にガチの限界になり、中無事じゃないところがないくらいにボロボロになったのだ。

そのせいで彌一は【フェルセン大迷宮】の地下施設で丸々一週間目を覚まさず、一昨日ようやく目が覚めたのだ。

【治癒魔】でを直せばいいと思うが、【治癒魔】は連続で使用した場合効果が薄くなり、最終的には効かなくなってしまい、時間を置かなければいけない。

そのためにすでに【治癒魔】の効果をけ付けない彌一は【治癒魔】の効果が戻るまで自然治癒以外の方法がないのだ。まぁ彌一のは人外の化けじみたスペックを持ち、自己治癒能力も高いため一週間もあれば、けるようにはなる。ただ、ーーーー

「魔の方はどう?」

「あー、それはまだダメだな。今のままじゃ魔は一切使えん」

そう、彌一の魔回路は儀式魔の同時行使で回路を行使し過ぎたため、現在は一切の魔が扱えない。

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「どれくらいで使えそう?」

「あと四、五日ってとこだな。魔しでも使えれば魔回路の修復もしづつ出來るから思いのほか早く治る」

「それなら良かった。あ、ごはん持ってきたけど今食べれる?」

そういって手元のお盆を見せると途端に彌一が目を輝かさせる。メニューは焼き鮭にご飯と味噌とそこまで胃に重くないものだ。

「おぉ!食べる食べる!お腹が空いてて死にそうだったんだ!」

「ふふ、大袈裟なんだから。はい、あーん」

「あーん。もぐもぐ・・・うまい!昨日までは味の薄いお粥だったから正直、食べた気にならなかったんだ」

「そう思って今日の味付けはし濃いめにしてみたの」

えっへん!とを張るセナに彌一は流石俺の嫁!完璧過ぎる!、とセナを褒め次を要求する。腕はすでに治っているのだが、こんな時でもイチャイチャを忘れない夫婦なのである。

その後もセナに食べさせてもらいながら、もぐもぐ、イチャイチャ、もぐもぐ、イチャイチャ・・・と食べ進めていく。

「はー、味しかった。ご馳走様でした」

味しかったなら良かった。・・・そういえばデザートもあるけどどうする?」

「ん?デザートもあるのか?」

セナが持ってきたのはお盆に乗った料理だけで、その料理はたった今食べ終わったばかりだ。どこにデザートが?、と不思議に思っているとセナが頬をし上気させながら上を乗り出してくる。

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そして恥ずかし混じりの甘い艶やかな聲で迫ってくる。

「デザート、食べる?」

そして彌一の理は完全に崩壊した。

目の前のらかそうなに釘ずけになり、をゴクッと鳴らし目が獣になる。

セナはキスがしたくて建前のようにキスを要求し、結果は見事功。むしろいつもとは違ったアプローチに彌一の興をさらに煽る。

「じゃあ、たっぷりいただこうか」

「うん、どうぞ。」

彌一はせなの後頭部に手を回し引き寄せる。そしての中から潤んだ目で見上げてくるセナの顎をクイッと持ち上げ、そのらかいに食らいつく。

「んっ・・・ちゅ、はむっ・・・んちゅ・・・いきなり、大膽・・・んんっ・・・!」

らかいを奪い、その味を味わう。この世でもっと甘い極上のデザートは彌一の脳髄を痺れさせ、溶かしていく。

セナも久しぶりのキスに熱く、熱的に燃え上がる。目をとろんとさせ、積極的に舌を絡ませて、セナもこの世でもっと甘い極上のデザートを堪能する。

お互いに息が続かなくなり、ぷはっ、とを離せば、二人の間を明な糸が艶かしく結ぶ。

味しい?」

「最高だ。ずっと味わっていたいくらいに」

「ふふ、彌一のエッチ。」

そういって妖艶に笑うとさらに迫ってくる。

「・・・じゃあ、もっと食べて?」

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そういって彌一のベットに片膝をついて乗り上げ彌一の頬に手を當て、もう片方の手でスカートの裾をし摘んで持ち上げてしてくる。一誰がこの魔の果実を前に斷れるだろうか。いや、いない。

「キスだけで終われる自はないぞ?」

「いいよ、むしろ・・・私の全部を食べて、あ・な・た」

そういって二人は火傷しそうなほどの熱い視線を絡めて、セナの服のボタンをゆっくりと外して言いながら、徐々に顔を近づけーーーーー

「パパ〜!あそぼ〜!」

「「!?」」

ドアがバンッ!と勢いよく開き、登場したのはしの娘のユノだった。

サラサラの銀髪をなびかせ、夏の太のような天真爛漫な笑顔で部屋にってくると、絶賛イチャラブ中だったパパとママを見つけ「あー!」と指を差して聲を上げる。

二人は「まずい!!」と思って咄嗟に距離をとり、セナは、ばっとはだけた服を隠す。

「ママずるい!ユノもパパとちゅーしたい!!」

そういってステテテー!と駆け寄ってくるとそのままパパにダイブする。バレなくて良かった、と安堵していると腹部に衝撃が奔る。

「ぐぼっ!ユ、ユノ、パパとママは決してちゅーをしようとしていたわけでは・・・」

「うそ!パパとママちゅーしようとしてた!ユノもパパとちゅーしたい!」

「え、えーと・・・セナ!助けてくれ!!」

「ユノちゃんもっとおねだりしたらパパしてくれると思うよ」

「セナさん!?」

セナの裏切りに彌一は思わずぶ。するとセナは苦笑いしながら、ごめんね、と手を合わせてくる。それが、ユノの意識を二人がしようとしていたことから逸らす為だと理解すると、まぁしかたない、と諦める。

「パパ、ユノとちゅーイヤなの・・・?」

「うっ、・・・!」

泣きそうになっているユノの表を見て斷れるわけもなく、ユノの頬っぺたにちゅっとキスを落とす。

すると途端に泣きそうな顔から嬉しそうな顔になり、「パパ大好き!」とギュッと抱きついてくる。そして綺麗な蒼い瞳・・・でこちらの瞳を覗き込んだ後、にへらと笑う。

ユノの目は移植手のあと紅い瞳から蒼い瞳に変化した。それはおそらくセナの魔回路を組み込んだからだと思われる。

師にとって目は最も重要だ。そして目と魔回路は深い関係がある。

そのため今回セナの魔回路を組み込んだからだため、セナと同じ蒼い瞳に変化したのではと彌一は推測したのだ。

もちろん拠などないただの推測だが、目の機能には問題がないようなので、そういった結論のままだ。

ユノの目とセナを見たとき彌一は、本當の親子みたいだな、と思った。いや、実際に本當の親子だろう。

ユノは二人の魔回路を授かり、そして何よりとても深いけ取っている。それは縁上の親子ではなくとも正真正銘、本當の親子の姿だ。

娘の頭をでながら彌一は思っているとユノがお返しとばかりに頬にキスをしてくる。そんな幸せがとても嬉しく彌一はさらに頭をぜて可がる。

「む。ユノちゃんばっかりずるいな〜」

「じゃあママも一緒にパパにちゅーしよ!」

「え?あ、ちょ・・・!!」

「いいね。いくよユノちゃん!えい!」

「えい!」

「どわぁ!!」

ユノとセナが同時に彌一に飛び込んでくる。それを優しく彌一は抱きとめるが、その際中が悲鳴を上げ、思わず涙目になる。

でもそれ以上にこんなやりとりが幸せで彌一は心から笑う。

セナとユノの両頬に同時にちゅっとキスをするとお返しとばかりに彌一もキスをする。そしてそのまま親子三人で橫になる。

「そういえばユノ。何して遊ぶ?」

「いい!このままパパとママとお話ししたい!」

「ハハ、そうかそうか」

「だったらどこか行く予定でも立てる?」

「そうだな、王都までの道のりの間には幾つかの観地があったはずだし」

「おでかけ!?どこでもいいの?」

「ああ!ユノはどこか行きたいところはないか?」

「えーとね、えーと・・・」

そんな風に幸せな一時をじながら、家族三人で旅行プランを考えていく。

するとドアがこんこんとノックされ、室を促すと現れたのはエルだった。

「皆さんここにいらしてたのですね」

「どうかしたのかエル?」

「ユノ様の定期診斷の結果が出ましたのでお持ちしたのですが、出なおしましょうか?」

「いや、いい。ありがとう、診斷結果を見せてくれ」

「畏まりました」

そして差し出された診斷結果を見て、ほっと一安心する。數値も軒並みどれも標準で、著実に魔回路にインサニアの魔が適合していっている。

このまま順調に行けばもうインサニアの魂に侵食されることはない。しかも逆にインサニアの力をユノ自が引き出して利用することも出來るかもしれない。

診斷結果をエルに渡すとそういえば、と聞いてくる。

「皆さん何をなさっていらっしゃったのですか?隨分と楽しそうでしたけど」

「ん?ああ、旅行プランをーーーー」

「パパとママちゅーしてたからユノもちゅーしてた!!」

と彌一が旅行の説明をしようとした

瞬間、ユノが嬉しそうに弾を投下してくる。

彌一とセナは焦ってあたふたしていると、それで當時の狀況を瞬時に理解したエルが頬をし赤く染めつつ、苦笑いでユノに話しかける。

「ユノ様、次からマスターのお部屋にる際は必ず中に確認を取ってからにしましょうね?」

「・・・?わかった!エルお姉ちゃん」

「本當にユノ様は可らしいですね」

元気よく返事したユノがらしく、エルはユノの頭をでながら橫目で彌一たちを見る。

二人はありがとう、とエルに謝し、エルはいえいえ、とし頭を振る、とーーーー

「エルお姉ちゃんもパパにちゅーする?」

ユノが今度は核弾を投下してくる。その弾のせいで和んだ場に、一瞬にして終末期が訪れる。彌一、セナ、エルはピシッと石像のように固まり、終末期の原因である魔王ユノ様は、可く顔をコテンッと傾げている。

「ユ、ユノ?俺の嫁はセナでエルは違うからな?キスってのは好きな人同士でしかしちゃいけないんだ」

とその言葉にユノはうーん、と考える。考え直してくれたか、と安心するとユノが言ってくる。

「パパはかいしょうなし?」

「ちょっと待てユノ。いったいそんな言葉どこでも覚えてきた」

「パパのけんきゅうしつの本にそう書いてあった!」

「あのクソ親父!!ユノが変なこと覚えたらどうしてくれる!!ユノそれは沒収だ!」

「ひどいパパ!まだ『正しいキスのしかた』までしか読んでないのに!!」

「すぐに沒収だ!てかそれどんな本だよ!?そんなものペイしなさい!ペイっ!」

「やー!この方法でパパをめろめろにしてちゅーするの!!」

「もう既にパパはユノにメロメロだしキスなんて幾らでもしてやるからすぐにゴミ箱にボッシュートしてきなさい!!」

そんな漫才みたいなやり取りを見ながらセナとエルは、ははっ、と苦笑いしながら戯れる親子をほっておいて二人でガールズトークをする。

それから結局、ユノは、おはようの挨拶とおやすみの挨拶にはキスをするという條件をつけ、彌一はそれを快く承諾し、本をゴミ箱にシュゥウート!した後、セナにゴミ箱ごと焼き払ってもらい地下施設を全力でまた本がないかを探し回り、片っ端からセナが焼き払った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

それから數日後、彌一はまだ魔は使えないがの方はある程度回復し、ユノの魔回路も完全に馴染んだのでエルネに戻ることにした。

「それじゃ、運転頼むなエル」

「お任せ下さい」

鍵でへカートを呼び出し、運転席にエル、補助席にはセナ、後部座席には彌一と彌一の膝の上にユノが座る。

「それでは出発します」

床かが沈んでいき例の通路に降りる。手前から奧に向けてライトが點燈し通路が現れる。

「すごい!かっこいい!」

ユノが目をキラッキラッに輝かせ彌一の膝の上ではしゃぐ。彌一もその気持ちはよくわかるため、「そうだな」と目の前の銀の髪をでる。

はしゃぐユノが落ちないようお腹に腕を回してしっかりと固定する。それを確認してエルはアクセルを踏み込む。

ギュワァアアーーー!!とタイヤを回し地面を蹴り、発進する。ぐんぐんと加速していきやがて奧の扉が開くとが差し込む。

を抜け、外の世界に飛び出す。一度大きくバウンドすると悪路を走り、山を下る。真上から照らす太を浴びながら、エルネ街に向けてへカートは走り出した。

走らせること一時間、ようやく城門が見えてきた。城門から離れたところでへカートを停める。

膝の上でを彌一に預けて、夢の世界へ旅立っているユノの顔はとても幸せそうで、起こすのが忍びないが聲をかける。

「ユノ起きろ〜」

「ん、んにゅ・・・スー、スー」

「はは、ダメだな」

聲をかけても起きないユノに三人は微笑み、彌一は起こさないよう慎重にユノを抱きかかえて降りる。

へカートをしまうと城門まで歩いて向かう。城門に辿り著くと、門番に冒険者カードを見せて、中にる。

久し振りのエルネは相変わらず祭りのような賑わいを見せており、そんな雰囲気に彌一はすごく懐かしい気分になる。

セナも同じようでスーッと空気を吸っている。エルは周りを珍しそうに眺めている。

時間はお晝前、街は晝食をする人で溢れている。そんな人々を見ていると彌一たちもお腹が空いてきた。

「彌一、あそこのお店いかない?」

「俺もそう思ってたとこだ」

「マスター、あのお店とは?」

彌一とセナだけで通じる會話にエルは疑問を投げ掛ける。

「よく俺たちがいく店があるんだ、ユノが好きなお店でな」

そう言って広場に向かって歩き出し、程なくしてそのお店が見えてくる。するとの香ばしい香りが漂ってきて、その匂いにつられユノが目を覚ます。

「ん・・・んん、おはよう、パパ・・・」

「ああ、おはよう」

「・・・」

「・・・?どうした?」

眠たげな目でこちらをジーッと見つめるユノに話しかける。

「パパ、ちゅー・・・」

「え!?ここでか!?」

「おはようの時はちゅーって言ったもん」

「それはそうだがなぁ・・・はぁ、わかったよ」

こういった彌一を翻弄する手口は本當に親子だな、と思いながら彌一はおでこにキスを落とす。

「おはようパパ!」

「ああ、おはよう。全く本當にそっくりだな」

キスした後の嬉しそうな表も、蒼い瞳と相まって本當に親子そっくりだ。

そしてその母親は今現在エルと、お店やエルネ街のことを話しながら、今度は一緒にお買いしよう、とガールズトークに花を咲かせている。

と、四人は店の近くまで來る店のおっちゃんがこちらに気がついて手を挙げれくる。

「よう!にいちゃん隨分と久し振りだな!また買いに來てくれたのか!?」

「お久しぶりです。ええ、エルネ街に帰ってくるとどうしても食べたくなって。それでガル豚包みを四つ下さい」

「嬉しいことを言ってくれるね!はいよ!ガル豚包み四つね!おっ、この間のお嬢ちゃんじゃないか!」

「こんにちは!おじちゃん!」

おっちゃんに聲を掛けられてユノは元気に挨拶をする。

「それでそちらのお嬢さんは?」

「初めまして、私はマスター・・・彌一様の従者でございます」

聲を掛けられてエルが丁寧に挨拶するとおっちゃんは彌一を見る。

「にいちゃん、會う度に増えてねえか?」

「そ、そんなことは・・・」

彌一はハハハッ、と乾いた苦笑いをしながら、煮え切らない返事をする。

そうしているとおっちゃんは笑いつつ、完したガル豚包みを差し出してくる。

「はいよ!ガル豚包みお待ち!サービスで千ネクトでいい!」

「ありがとうございます。はい、千ネクト」

「毎度!またな、にいちゃん!」

おっちゃんに手を振って別れた後は四人で座れる場所を探して座る。

「ママ!早く!」

「はいはい。待ってね」

大好を前に待ちきれないユノはセナを急かし、セナは微笑みながら袋を開けてユノに渡す。

ユノは目を輝かせ「いただきます!」と言ってその小さな口を豪快に開けて、かぶりつく。

それを見て三人も「「「いただきます」」」とガル豚包みを食べ始める。

彌一とセナは久し振りの味に懐かしくじ、エルは初めての味しさに目を見開いて驚いている。

彌一は、はじめに食べ終わるとそのまま

背もたれにを預けて未だ食事をしている三人を見る。

口の周りを汚しながら食べているユノをセナとエルが甲斐甲斐しく世話を焼き、ユノはそれでも食べ進めて、太の笑みを浮かべている。セナとエルもそんなユノの表を見て笑っている。

彌一が守った本當に何気ない幸せがそこにはあった。

(本當に守れてよかった・・・父さん、俺、守りたいものちゃんと守れたよ)

上を向き、そこに広がる青空を見ながら一人、そう思った。

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