《魔がない世界で魔を使って世界最強》職業は娘

楽しく食事をとった後彌一たちは冒険者組合に向かう。ビルファと別れて、あれから二週間近くが経過してしまったので、心配を掛けているのでは、と思ったからだ。

広場を抜け角を曲がると四階建ての煉瓦造りの建が見えてくる。建には後付けの足場が張り巡らされており、そこを煉瓦や木材を持った大工たちが行き來している。

発によって吹き飛ばされた一階は既に修復されたらしく、真新しい壁が出來上がっている。

新しくなったドアを開けて中にると、裝も元どおりに直っているようで、酒をガバガバと飲み合う冒険者たちが多くいる。

彌一たちを見て何人かの冒険者が「久し振り!」などと聲を掛けてくる。皆仲良くなった冒険者たちだ。

奧のカウンターへと向かい付嬢に冒険者カードを見せてビルファを呼んでもらうと、程なくして執務室に案された。

「失禮します」

「やぁ、久し振りだね彌一君。無事でよかったよ」

そう言って手を挙げたビルファはメガネを外し、眉間をグリグリしている。

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「隨分と忙しそうですね、その書類の數とか」

「組合の修復や襲撃の際の報、今後の対策案の提出などいっぱいいっぱいでね、ここのところまともに寢てないんだよ」

「すみません」

彌一たちのせいではないのだが、原因の一部であることは間違いないので、素直に謝る。ビルファも気にしてない、と言ってくれるのでこの話はこれまでだ。

「それで彌一君、一何があったんだい?もしかしてというか確実に彌一君の仕業だろうけど、山脈が文字通り切斷されたことと関係あるよね?」

「ええ、実は・・・」

そして彌一は今までの経緯をくわしく説明しだす。そしてやはりだがインサニアの話はとても驚いていた。

「インサニア、神話の魔が復活していたなんて。しかもそれがユノ君の中に・・・」

「インサニアは魔に変換したのでもうユノを侵食することはありませんし、勝手に現界して暴れることもありません」

「彌一君が言うならそうなんだろうけど、でも気をつけてくれ、そのことが知られてしまえば一部の宗教なんかがユノ君を排除しようとするだろう」

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「そんな事になったらその宗教ごと潰すまでです。うちの娘に手を出そうならそれ相応の覚悟をしてもらいましょう」

「ハハハ、君の場合それが出來てしまうから恐ろしいね」

彌一の真面目な回答に脂汗を浮かべて苦笑いのビルファはふと思い出したように彌一たちに尋ねる。

「そういえば、セナ君とエル君はステータスプレートは持っているのかい?」

「セナは昔処分されて、エルはどうなんだ?」

「私も同じく昔壊されてしまったので持っておりません」

それぞれの返答にビルファは「だったら」と言葉を続ける。

「ステータスプレートの再発行をするかい?この間の襲撃で壊れてしまったステータスプレート製造機の修理がようやく昨日終わってね。一度ちゃんとくか確かめておきたいんだ」

「どうする二人とも?」

「うん、やってもらえるならやってもらいたい」

「私もです」

「じゃあ二人ともお願いします」

「わかった。じゃあ移しようか」

立ち上がり部屋を出て行ったビルファに続いて彌一たちも続く。

ビルファに案された場所は組合の地下だった。そこには大きな箱型の機械があり、あれがステータスプレート製造機だろう。

周りには細かな石や大きめの巖石があることから発の影響で落盤でもあったのだろう。

ビルファは製造機に歩み寄り、そこにいた職員に話をすると職員が奧の部屋に消える。しばらくして戻ると職員の手元には二枚のステータスプレートがあった。

「最初にステータスプレートを表示させたようにを垂らしてくれ。二回目だからの変化は起こらずすぐにステータスだけ表示されるから」

そういってビルファはステータスプレートと針を二人に差し出してくる。

二人はそれをけ取って、針で指をさしてを一滴、ステータスプレートに垂らす。

するとステータスプレートが金と白で裝飾されステータスが表示された。

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《セナ・アイヤード》 

レベル:81

職業:霊神

筋力:8900

力:9100

俊敏:9900

:10000

魔力:13000

〔契約霊〕

・ーーーー・

スキル

料理・魔力回復速度上昇・魔力作向上・魔力耐上昇・思考強化・消費魔力半減

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《エルネウィア》 

レベル:69

職業:狩人

筋力:800

力:940

俊敏:1020

:830

魔力:800

〔契約霊〕

スキル

投擲・視力強化・気配探知・気配隠蔽・

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これが二人のステータスだ。セナは霊神を宿しているためステータスの數値が彌一と同じで、夫婦揃って人外となっていた。エルは元々普通の古霊種族なのでステータスの數値は普通の數値だ。

二人ともレベルが異常に高いが、それはインサニアを倒した事を考えれば納得のいく數値だ。

「二人とも凄まじいレベルだね。インサニアとの戦闘がそれほど凄かったんだろう」

「ママとエルお姉ちゃんすごい!」

「エルの職業って狩人だったんだな」

「はい、私の故郷は森なので」

「エルがたまにいつの間にか背後にいるのはスキルだったんだね・・・」

お互いがそれぞれのステータスの想を言い合う。レベル60を超える人は稀で彌一達は全てがレベル60越えとなると、冒険者トップのパーティーとなった。

そしてそんな中、彌一がビルファに尋ねてくる。

「クライトさん、ユノの分のステータスプレートは用意できませんか?」

「ユノ君のかい?うーん、それはし難しいかな。ステータスプレートによるの改変に耐えることが出來るのが10歳と言われているんだ。だからステータスプレートの配布があるのは10歳からなんだ」

ステータスプレートによるの改変の影響は酷い風邪のようなものだ。そしてその改変の影響で子供の死亡例が過去に起きたためステータスプレートの配布は10歳からと推奨されている。

「それなら問題ないかと」

「なぜだい?」

「ユノは創造人間ホムンクルスなのでがすでに潛在能力を引き出している狀態なんです。なのでステータスを表示させてもの改変は起きません」

ホムンクルスは人工的に創り出した存在。人間にあるのストッパーがそもそも存在しないため、ストッパーを外すステータスプレートによるの改変は起きない。

「なるほど、わかったユノのも手配しよう。それにやっぱりステータスで確認しないと心配だろうからね」

「ええ、今影響がないとはいってもの方はどうなっているかわかりませんからね」

當の本人のユノは何がなんだかわからないといった表だ。可らしく顔を傾げるユノの頭をでなら待っていると、職員が新しいステータスプレートを持って來た。

ステータスプレートをけ取ってユノの指から一滴を垂らすと、ユノのステータスが表示された。

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《ユノ》 

レベル:7

職業:娘

筋力:180

力:230

俊敏:220

:400

魔力:2600

〔契約霊〕

・ーーーーー・

スキル

魔力耐上昇・電撃耐上昇・氷結耐上昇・覚強化・魔力回復速度上昇

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「「「「・・・ん??」」」」

彌一、セナ、エル、ビルファが全く同じタイミングで聲を発する。

ステータス數値はホムンクルスの能力で考えれば納得の數値だろう。魔力の桁が一つ大きいのもインサニアの事を含めれば當然の數値だ。

普通の人と比べればレベル一桁でこの數値は十分に人外と呼べるだろう。だが彌一とセナも人外なのでそこまで驚くことではない。

問題なのはそこではなく、

「職業で娘ってなんだ?これ職業か?」

「僕も初めて見る職業だ」

「初めて見る職業なら彌一もだけど、流石に職業が娘というのはおかしいとおもう」

「一この職業は何なのでしょうか?」

四人は「うーん」と悩む。それもそうだろう、職業で娘というのはいくら何でもおかしい。

「ユノ、その職業を長押ししてみてくれ」

「こう?」

ユノが職業欄を長押しすると説明が表示された。

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職業:娘

説明

・両親からの魔力供給で能力の向上

・癒し

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「「「「んんん??」」」」

さらに疑問が生まれた。

「魔力供給で能力向上はわかるが、癒しってのはなんだ?」

「うーん、ちょっとやってみる?ユノちゃんおいで〜」

「うん!」

セナが手を広げてユノを呼ぶとユノは嬉しそうにセナに駆け寄ってギュッと抱きつく。

「やっぱりユノちゃんはあったかくて落ち著くね〜。もしかしてこれが職業の効果なのかな?」

「ユノ、こっちにもおいで」

「パパ、抱っこがいい!」

「はいはい、よっと」

リクエストにお答えして抱っこするとユノが顔をうずめてぐりぐりしてくる。

そんなユノが可すぎて彌一は頭をくしゃくしゃとでまくる。

「はぁ〜ユノは可いな、すごく癒される。これは職業の効果じゃなくてユノ自の可いさが原因だな」

彌一とセナが、うんうん、と頷く。そんな親バカ二人は二人でユノをギュッとしている。挾まれているユノはとても幸せそうだ。

するとエルがし躊躇いがちに彌一に聞いてくる。

「あ、あのマスター・・・そ、その私も・・・よろしいですか?」

「いいかユノ?」

「うん!」

彌一からユノを渡され「で、では」と若干恥ずかしがってユノをけ取るとユノが抱きついてくる。それで張が取れたのか優しく微笑んでユノを抱きしめる。

「・・・ええ、落ち著きます。これが癒しの効果なのですね」

「いいや違うぞエル」

「え?」

予想外の言葉をかけられ戸うと彌一とセナが同時に自信に満ち溢れた誇らしげに言葉を発する。

「「それはうちの娘が天使だからだ」」

惚れ惚れするほどの自信で阿呆な発言をする二人にユノはニコッと笑いエルは微笑む。そんな景をみてビルファは苦笑いだ。

「ユノ君の職業は他には存在しないユニーク職業といったところかな。何か他に職業でわかったことがあったらまた連絡してくれるとありがたい。新しい職業などは々と把握しておきたいからね」

「わかりました。その時は連絡しますね」

そうして確認をしているとセナが言ってくる。

「そう言えば彌一のステータスって今どうなってるの?」

「え?ああ、そう言えば最近全く見てなかったな。えっと・・・」

私服のポケットに繋げた四次元ポケットからステータスプレートを出すとみんなに見えるようにしてステータスを開く。

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《日伊月彌一》 男

レベル:134

職業:魔

筋力:23800

力:24870

俊敏:25090

:23000

魔力:159800

〔契約霊〕

・全霊『神級:セナ』

スキル

言語・剣撃・思考強化〔思考加速〕・地・魔力回復速度上昇・魔力作向上・魔力耐

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「パパすごい!つよーい!!」

「「「「・・・・・・」」」」

ユノはパパの凄さにおおはしゃぎだが當の彌一とその他はなんとも言え沈黙が支配していた。

「彌一、數値おかしくない?とゆかレベルおかしくない?」

「レベルが100を超える事ってあるんですね。私も長く生きてきましたがこんなこと初めて知りました」

「彌一君、君は一何になるつもりだい?」

「俺が知りたいわぁああああーーーー!!」

すでにステータスが人間のそれから大きく離れすぎていることに彌一は聲を大きくぶ。

ぶ聲が部屋中にこだました。

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