《魔がない世界で魔を使って世界最強》凜緒side 不穏な空気

まだ日が昇らない早朝。凜緒は何時もと変わらぬ時間に目を覚ます。うーん、と背びをしベットから起きて窓を開ける。窓を開けると港からのの香りが鼻腔をくすぐる。凜緒の朝はこれから始まる。

一ヶ月程なく前から滯在している【都市メイカイ】は大きな港街だ。港の方を向くと大海原が見え、そこから朝の風とともにの香りが漂う。

凜緒は大きく息を吸って朝の匂いを堪能し、気合をいれるため頬を叩く。

「よし!今日も元気にいこう!」

そういうと寢巻きをいで運用の服に著替える。顔を軽く洗い、タオルと飲みをカバンにれた後杖を持って外に出る。

まだ寢ているクラスメイトを起こさないように気をつけて廊下を歩き、宿の裏の大きな空き地に出る。

「まずは走ろっかな。昨日レベルが二つ上がったからそれに慣れておかないと」

そう言ってた凜緒はカバンからステータスプレートを取り出す。

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《綾乃凜緒》 

レベル:68

職業:

筋力:1000

力:1100

俊敏:1030

:1140

魔力:1600

〔契約霊〕

・水霊『最上級:ミーラ』

・風霊『上級:ミン』

霊『上級:レーン』

スキル

言語・料理・裁・解呪・回復魔法威力上昇・魔力回復速度上昇・魔法威力上昇・突き技威力上昇・力強化

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現在のクラスメイトの平均レベルが60なので凜緒は勇者パーティーの中でも二番目にレベルが高い。最高は相川で、レベルは71。これは職業英雄の効果でレベルが上げやすいからだ。

凜緒はレベルへの補正がなくてここまで來たのだ、並大抵の努力ではない。これも彌一と出會うため。

凜緒はステータスの確認を終えると、まずは始めにジョギングから始める。コースは【都市メイカイ】を一周だ。メイカイはとても広く、港だけでも東京ドーム二十個分以上はある。街全となると相當な距離だ。

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軽いストレッチをして軽快に走り出す。そして走りながら継続的に自分に回復魔法を掛け続ける。掛ける効果は疲労を和らげる最小限の範囲で。

走りながら魔法を掛け続けることで力面と魔法の訓練になる。

凜緒はその狀態で走り続け、一時間後宿まで戻ってくる。既に日は昇り始め夏の朝特有の暑さが出てくる。

「はぁ、はぁ、ふー。よし、ジョギング終了。みんなそろそろ起きてくるから今日の魔法練習は夜にして、杖を練習しよう」

そう決めると汗をタオルで拭き、今度は空き地の木にくくりつけた縄を的にして杖の訓練をする。

「セッ!ハッ!!」

を使って鋭い一撃を放ち、すぐに引き戻して今度は三連突き。そしてそのまま杖を回転させ杖の先端で側面から毆りつける攻撃。一連の作を最速、最短で行う。

それをひたすらに、何度も、何度も、愚直に繰り返す。一つ一つの作を正確に、スマートに、ただそれだけのこと。その杖捌きは、本職の槍師なみの技量だ。

それから一時間、凜緒はひたすら集中して杖を振るう。その集中力は人が來ても気がつかないくらいに。

「凜緒、そろそろ朝ごはーーーーー」

「シッ!!」

突然かかった聲に凜緒は即座にの向きを変え、打ち出すはずだった突きをその聲の主の元に打ち込むーーーー寸前で止める。

「・・・え?あ!ごめん彩ちゃん!!大丈夫!?ケガない!?」

「だ、大丈夫」

聲の主は凜緒の親友、彩だった。彩はの數ミリ手前で止まっている杖を見て冷や汗をダラダラと流している。それもそうだろう、朝ごはんを呼びに來た瞬間、その呼びに來た相手に気がつけば杖の先を元に向けられるなど誰が予想できようか。

彩は弓師で視力には自信があるのだが、いまの凜緒の突きは全く見えなかった。それほどまでに凜緒の突きが鋭く錬されていたのだ。

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「ほ、本當にごめんね。いきなり背後から聲がかかったから思わずが」

「あんたはどこぞの暗殺者か」

そんなツッコミをしつつ、彩は先ほどの鋭く冷たい視線を思い出し思わずぶるりっとを震わせる。凜緒は未だに申し訳なさそうに謝っている。

「もー、大丈夫だってば。私も訓練中に聲をかけたのがいけなかったんだし」

「でも・・・」

「あーもう!行くよほら!朝ごはんが冷めちゃうから!!」

彩は凜緒の背中を押して強制的に宿に戻らせる。宿に戻ると凜緒は先にの汗を流し、神服に著替えた後、宿の食堂に向かう。

そこでは既にクラスメイトが朝食を摂っていて、凜緒もすぐに朝食をもらって彩と健がいる席に座る。

「おはよ凜緒」

「また早朝から訓練か?」

「うん、まあね」

そんな毎朝お決まりの挨拶をしながら凜緒は朝食を食べ始める。彩と健は「ほどほどにな」と言って食事を再開する。しばらくお話しながら朝食を食べていると、雄也がやって來た。

「おはよう三人とも僕もいいかい?」

「おういいぜ」

「ありがとう」

雄也が健の橫に座り健と喋りながら食事を始める。雄也は最近よくこの三人と行することが多い。なぜならここ四人はクラスの中でもレベルが一番から四番までを占めているからだ。

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波彩》 

レベル:66

職業:弓

筋力:1030

力:1080

俊敏:1050

:1100

魔力:1200

〔契約霊〕

・風霊『最上級:ルオーフ』

・火霊『上級:バーエル』

スキル

言語・神統一・視力強化〔視力強化〕・連・魔力耐変換

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《赤木健》 男

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レベル:67

職業:拳闘師

筋力:1100

力:1150

俊敏:1300

:890

魔力:890

〔契約霊〕

・土霊『最上級:ドーム』

・火霊『上級:ベーデ』

スキル

言語・地・豪腳・俊腳・筋力強化・力強化・俊敏強化・強化・豪腕

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《相川雄也》

レベル:71

職業:英雄

筋力:1900

力:1850

俊敏:2000

:1800

魔力:2300

〔契約霊〕

霊『最上級:アーリー』

・火霊『上級:ルーパー』

・風霊『上級:フーラ』

スキル

言語・剣霊付與・威・攻防適応・限界突破・英雄の加護・強化・気配

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これが三人のステータスだ。

レベル差が大きいので必然的にパーティーはこのメンバーになるのだ。そのため最近はこの四人で行することが多い。

四人が食事を摂っていると、食堂に騎士団長のロジャーがやって來た。

「よーし、全員いるな。それじゃあ今日の予定を話すからよく聞いておけ」

ロジャーが呼び掛けると全員が食事を中斷し、ロジャーに注目する。

「今日から三日間、西に進んだところにあるググル大平原で魔やモンスター狩りを行う。ググル大平原には災害級の魔の発生報もあり、大変危険だ。お前達なら負けることはないだろうが萬が一という事がある、十分に注意してくれ」

ロジャーはそれから各自諸注意とまとめをして出て行った。再び食堂には聲が溢れ、食事を再開する。

集合は二時間後なので時間はあるがそれでも泊りの準備をしないといけないので急がないといけない。持っていける荷には限界があるので荷準備も大変だ。

凜緒達は朝ごはんを食べ終わると各自、荷準備をする。

部屋に戻ってカバンにるだけの荷を選別する。

「うん、魔力回復薬はしでいいかな。その分、治癒薬を増やして・・・あっ、魔力保存石もし足りないから増やしておこう」

著替えなどの荷より戦いに必要な荷を優先的に準備するあたり、いろいろと逞しくなった凜緒だった・・・

「よし!準備完了!あっ!もうこんな時間!?」

準備を終えて時間を見るともうすでに集合の十分前。凜緒は急いで荷を背負って、再度軽い確認をして、機の上の忘れに気付く。

それは一枚の紙。紙にはよくわからない文字が書かれている。そう、これは彌一の呪符だ。

これはある日メイが凜緒に渡しに來たのだ。彌一が王宮の廊下でメイにあった時、【式神】を生した時に使った呪符だ。

凜緒はその呪符をけ取ってから常日頃必ず持ち歩いている。これがあると彌一が守っていてくれるという気持ちにさせてくれる。

(やいくん、しだけ私に力を貸して)

凜緒は呪符にそう祈ったあとポケットにしまい集合場所に急ぐ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ハァアアッ!!」

雄也がそうび、【聖剣ルナ・エルーム】を振り下ろす。振り下ろす先には大きな猿型の魔

『グギャ!!』

ルナ・エルームは猿型の魔を一刀両斷し、辺りにしぶきを撒き散らす。すると橫から虎型の魔が、その兇悪な爪を振り下ろす。

「ぐッ!」

ルナ・エルームを盾にするように掲げて爪を防ぐ。虎の魔はそのまま雄也ごと押し潰そうと更に力を込める。

「離れやがれ!!」

その瞬間、健が【豪腕】による拳の一撃を虎の魔の腹に打ち込む。虎の魔

そのまま吹き飛ばされ地面を數回転がると、すぐさま立ち上がる。

「くらえ!!」

そこへ彩が弓矢を放つ。放たれた矢は真っ直ぐ虎の魔の頭部に吸い込まれる。

虎の魔は跳躍し、矢を回避する。しかし回避されるのは予想のうち。何故ならそうなるよう導したのだから。

「今よ凜緒!!」

「《水よ・鋭利な刃となり・放たれよ》!!」

凜緒が詠唱し、杖を虎の魔に向かって振るうと、水の刃が放たれ、空中で逃げられない虎の魔の首を切斷する。

「ナイスよ!凜緒!!」

「ありがとう彩ちゃん。彩ちゃんが導してくれたおかげだよ」

「二人ともナイスコンビネーションだったぞ!な、雄也!」

「ああ、そうだね健。あとさっきは助かったよ」

「ハハ、気にすんな!」

四人はお互いに戦闘の想を言い合う。お互いに助け合うコンビネーションは騎士団から見ても見事なものだ。四人はこの調子で計十四匹の魔を倒していた。

そして四人は一度野営地に戻る。そこでは半分くらいのクラスメイトが休憩を取っていた。殘りはまだ戦っているようだ。

「ロジャーさん、一番パーティー休憩にります」

「おうわかった。それにしても四人とも酷い汚れだな。返りを浴びるようではまだまだだぞ」

「ぐっ、耳が痛い」

ロジャーの言葉に一番返りが多い健が耳をふさぐ。そんな姿を見て健以外の三人は笑う。

そして凜緒たちも休憩にろうとしたその時、野営地に急いで駆け込んできた巡回の兵士がロジャーの前に來ると、膝をついて息を切らせながら焦ったように衝撃の報告をする。

「た、大変です!ロジャー騎士団長!災害級魔が三出現しました!!」

「なに!?三もだと!!」

「現在、勇者パーティーの五番から七番パーティー、それから騎士団の三つのパーティーが対応していますが、三同時のため防戦一方です!敵は獅子型の魔、ゴリラ型の魔、ワニ型の魔の三です!!」

「くそっ!!三同時出現など聞いたことがないぞ!!」

ロジャーはそう愚癡を吐くと、すぐさま狀況を把握し、休憩中のクラスメイトと騎士団に向かって言う。

「休憩中の全勇者、全騎士はすぐさま裝備を整え次第出撃せよ!敵は災害級だ、固有魔法には細心の注意をはらって、戦士組は魔の足止め、魔法組は最大火力の魔法の詠唱。長引くと面倒になる、一気にカタをつけるぞ!!」

『おぉおおおおおおおおおおおーーーーーーー!!!!』

全員が聲を張り上げ、それぞれの武を持って出陣する。凜緒たちもすぐさま準備を整えると出撃する。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

現場はすでに戦狀態だった。中央の方では巨大な獅子型の魔が暴れ、奧の方ではゴリラ型の魔がその大きな腕で巨大な巖を投擲し、獅子型の魔の援護をしている。そしてゴリラ型の魔の前ではワニ型の魔がゴリラ型の魔に近づく騎士や勇者を蹴散らしている。

には理などなく、本能の赴くままに暴れ、決して協力することなどない。むしろお互いに潰し合うのが普通だ。

しかしあの魔たちは明らかに協力し合っている。ただでさえ災害級は一でも厄介極まりないのに、それが三同時に、しかも共闘しているという悪夢に、騎士団と勇者は対応できていない。

だが流石は王都を守る鋭騎士と召喚された勇者と言ったところか、幸いにも死傷者はいないようだ。だがそれも時間の問題。

援軍から雄也と健が先には抜けるとそれぞれの魔に向かう。雄也は獅子型の魔を、健はワニ型の魔を。

「【威】!!」

雄也が【威】を発し、獅子型魔の意識をこちらに向けさせる。獅子型魔は雄也に標的を変え、突撃してくる。

「【霊付與】!【強化】!!」

霊付與】は武霊の力を付與するスキルだ。ルナ・エルームに炎が纏わりつき、それを突撃してくる獅子型魔に向かって振り下ろす。

振り下ろすと炎の奔流が獅子型魔に殺到する。しかし炎は獅子型魔表を軽く焼くだけにとどまり、獅子型魔が前足を叩きつけるように振り下ろす。

「ハァアアッ!!」

振り下ろされる前足目掛けて、ルナ・エルームで斬りつける。そして拮抗する。

獅子型魔の強烈な一撃は雄也の足元の地面を大きく陥沒させ、雄也を吹き飛ばした。

「ぐっ!」

予想以上の攻撃に雄也は大きく吹き飛ばされる。地面に二本線を引きながら吹き飛ばされるたあと、すぐさま更に距離をとる。

そして獅子型魔を見ると、表に奔るのような赤い線が薄っすらとり、魔力の高まりをじる。

「ッ!!《の輝き・我を守る障壁となり・敵を阻め》!!」

両者の魔法が立するのはほぼ同じ。獅子型魔が口を開くとそこから炎が噴き出す。それを雄也の魔法【壁】が防ぐ。

炎を防いだ後すぐさま【地】で懐に潛り込もうとした瞬間、獅子型魔に様々な屬の魔法が降り注ぐ。

後方で魔法組が最大火力で魔法を放つ。獅子型魔はもがき苦しみ、魔法の雨がやんだ瞬間、雄也は【地】で獅子型魔の懐に潛り込み、【霊付與】を発

風を纏わせ、ルナ・エルームを獅子型魔の首に斬りつける。

鋭利な風の刃と合わさって獅子型魔の首はスパッと切斷され、首からを噴き出しながら、地面に沈んだ。

「はぁ、はぁ、殘りは」

殘りの魔の方を向くと、ワニ型の魔は絶命し、ゴリラ型の魔が見えない。

不思議に思っていると、空からゴリラ型の魔が降ってき、そのままゴリラは犬○家した。雄也は思わず「親方!空からゴリラが!!」と言いそうになったが、一歩手前で呑み込んでおく。

ゴリラ型の魔の死のそばには、いい笑顔で腕を振り上げる健が立っており、全痣だらけだ。

どうやらゴリラ型魔と毆り合いをしていたらしい。そして最後には「昇○拳!!」でゴリラ型魔をカチ上げて勝利したらしい。なんとも脳筋思考だ。

災害級魔の討伐に、騎士団とクラスメイトは肩を抱き合いながら喜びを分かち合っている。多の負傷者は出たようだが重傷者や死亡者はいないようだ。

雄也が近くの巖場に腰を下ろすと、凜緒と彩、痣だらけの健と、ロジャーが集まってきた。

「よくやったぞ雄也、災害級魔を一人で相手するなんて。お前のおで被害が最小限で済んだ」

「よしてください。それに一人なら健も」

「俺は彩と凜緒の援護があったからな」

「だからって凜緒の回復頼みでゴリラと毆り合いって何考えてるの!?反省しなさい!!」

「いでぇ!!や、やめろ彩!ガチでいてぇ!!」

「自業自得!!」

「ギヤァアアアアアアーーーーー!!」

戦いの後の戦場に健の悲鳴がこだました。

両手両足を投げ出し、地面でピクピクと痙攣している健を凜緒は回復魔法で癒していく。

そんな景を見て笑いながらロジャーは、呟く。

「しかしなぜ災害級が三同時に。しかも共闘してだなんて。こんなことは今まで無かったぞ」

「一、何が起こっているんでしょう・・・」

ロジャーの呟きに雄也も心配そうに言葉をらす。

凜緒はそんな二人の會話を聞きながら、に微かに嫌な予を抱いた。

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