《魔がない世界で魔を使って世界最強》夢のマイホーム
木々のが変わり始める頃合。行きう人々を眺めつつ、彌一は大通りを歩く。
「思えば一度も此処に來た事なかったな。召喚されてからすぐに襲撃があったもんな・・・」
アーセラム聖堂王國王都【セレナ】の中央通りを彌一は歩いていた。
魔王軍六屬の襲撃から二ヶ月近くが経っている。
あの後魔王軍六屬の大規模襲撃があった所為で、訓練どころではなくなり、王都に帰ってきたのだ。彌一もそれに便乗し
、一度王都に戻る事にしたのだ。
「すごいね彌一、街並みがすごく綺麗」
「流石は王都って言ったとこかな」
側にいたセナが話しかけて來る。その手は人繋ぎだ。
現在二人は一緒に帰ってきたクラスメイトとは別行している。それは急依頼の報告を冒険者組合にしに行くためだ。
本來はもっと前にするべきだったのだが、彌一はすっかり忘れていた。
「んなお店があるね。服屋に寶石店、武屋・・・あっ!焼き菓子屋だって、後でユノちゃんとエルに買って帰ろ?」
「おぉうまそうだな。そうだな買って帰ろう。ついでに凜音達にも買って帰るか」
「・・・むぅ〜〜」
彌一が凜緒の名前を出すと、口を尖らせ目に見えて不満そうになる。にぎにぎと握っていた手が、ギチギチに移行して痛い。
「いててて・・・まだ喧嘩してるのか?」
「・・・別にそうじゃないけど・・・」
むぅ〜〜と再び口を尖らせる。彌一はどうしたもんかとため息をこぼす。
セナと凜緒は古城での喧嘩以降、時々彌一を巡って衝突する事が多々ある。この二ヶ月間の移中も、どっちが彌一と寢るかなどを爭って、魔法の撃ち合いにまで発展する事などがあった。
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魔法の腕はセナが圧倒的に上なのだが、凜緒は魔法と卓越した杖を使ってくる為、両者互角の爭いを繰り広げていた。
彌一としては二人とも仲良くしてしいのだが、乙心は複雑なのだ。
「・・・彌一は凜緒のことどう思ってるの?」
「そうだな・・・小さい頃から一緒だったから、家族というか兄妹みたいなもんだな。もっとも、どっちが妹と弟かわかんねぇけどな」
凜緒とは小學校の頃からの付き合いになる。彌一の家の隣に小學生の時引越ししてきたのだ。家族以外では最も付き合いの長い人だろう。
その頃から彌一は魔を習い始めた為、必然的に同年代との友達との流もなかった。その為、隣の家で同年代での友達であった凜緒とは、家族ぐるみで遊ぶことが多かったのだ。
「・・・とかなかったの?」
「え?う〜ん・・・正直そう意識したことはないな。凜緒は家族とか、親友みたいなじで接してきたしな」
「なら、私が彌一の初めて?」
彌一の言葉に嬉しそうにセナが顔を覗き込む。
「そうだ」
そう言って目の前のにキスをする。一秒にも満たないれるようなキスだったが、今のセナにはたまらないほど嬉しく、けた表で顔に手を當てイヤンイヤンしている。
その際、周囲からもの凄い殺意が注がれたが、此処最近で鍛え上げられてきたスルースキルで無視する。いちいち気にしていてはイチャイチャ出來ないから!と言って鍛え上げたのだ。
「私も彌一が初めての相手。人も、夫婦も・・・夜も。大好き、彌一」
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おしい眼差しを彌一に向け、今度はセナから顔を近づける。首に腕を絡め、し背びしながらキスをする。
そんなセナを彌一も同じようにおしく抱きしめる。二人はしばらくそのまま人目もはばからずを重ね続ける。
やがて「ちゅぱっ」と音を立てて二人が離れる。そこでようやく周囲の狀況を理解した。
「流石にやり過ぎたな」
「早く行こう」
逃げるんだよぉ〜〜!と二人で即座にその場から退散する。(その際魔法や矢が飛んできたが、華麗に回避もしくは迎撃しておく)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後なんやかんやありつつ、無事冒険者組合にたどり著いた。
「すみません。依頼の完了の報告をしに來ました」
「はい、ありがとうございます。それでは、依頼書の方を確認しますので提出をお願いします」
「分かりました。これです」
付嬢に急依頼の依頼書を渡すと、付嬢は目を見開いて驚く。
「え!?・・・すみません、お名前をお伺いしても?」
「日伊月彌一です。こっちがセナ・アイヤード。あと、今いないですけどエルネウィアもです」
「々お待ちください。・・・えーっと、日伊月彌一様とセナ・アイヤード様、エルネウィア様ですね、すみませんでした。なにぶん、二ヶ月前の事でしたので」
「こっちこそすいません。いろいろあってすっかり忘れていたもので・・・」
「いいえとんでもございません、むしろ皆様が無事で良かったです。皆様は冒険者組合の貴重な最上級冒険者様ですから」
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そう言って付嬢は手元の資料を整理し、何やら書き込んで奧の方に消えると、大きな袋を持ってきた。
「こちらが今回の急依頼の報酬、お一人二億ネクトでございます!」
「「・・・え?」」
報酬金額の大きさに、しばし目が點になる二人。そして時間が経つにつれ脳の処理が追いつくと、二人は焦ったように聞く。
「え!?二億!?そんなにですか!?」
「・・・?はいそうですが?」
「どうしてそんなに?」
「急依頼は通常、國が所有の戦力では対処できない場合冒険者組合に依頼されるもので、その為危険度が通常の依頼とは桁違いなので、報酬金は高く設定されているんです。今回の場合案件が世界の希である勇者様の命に関わる重要な案件でした為、國から相當な額の報酬金が用意されているんです」
「そ、そうなんですか・・・」
今回の急依頼をけたのは彌一、セナ、エルの三人。一人當たり三億で換算し、トータル九億。彌一が日本にいた頃では想像も出來ない金額だ。
「では、どうぞ。今後ともこういった依頼があった場合はよろしくお願いします」
「は、はぁ・・・」
二人は袋一杯に詰まった金貨をけ取り、そのまま冒険者組合を出る。二人はすぐさま、別空間に九億ものお金を放り込む。完全にお金にビビっている。
「・・・とりあえず、エルに電話するか」
おもむろにスマホを取り出すと、エルに電話する。二、三回のコールの後繋がった。
「もしもしエル。今冒険者組合にいってきたんだが・・・」
『お疲れ様ですマスター。それでどうかなさったんですか?』
「・・・報酬が一人三億で合計で九億だった」
『ごほっ!ごほっ!・・・すみませんもう一度お願いします』
「報酬金が九億億だった」
『きゅ、九億ですか!?』
電話の向こうでエルが目を見開くのが分かる。彌一は付嬢にされた話を説明すると、エルはなんとか納得する。
『そういうことですか・・・それでしたら私の分はマスターに渡します』
「え?いやそれはマズイだろ」
『いえいえ、私はマスターの従者ですので、私のはマスターのものです』
「・・・本音は?」
『・・・そんな大金持っておくのが怖いので』
「まぁその気持ちは分かるよ」
エルの本音に彌一も同だと思う。セナも怖いようで、三億を彌一に渡すといってきた。
その結果、彌一の手元には九億もの大金が。
「これだけの大金、ずっと持っておくのもなぁ〜・・・」
「だったら何か大きなものでも買う?」
「うーん・・・」
九億もの大金となると、大抵のものが買えてしまう。どんなでも買っても大金が殘ってしまうだろう。
散々悩み悩むと、ふと頭の上でLEDライトが點く。
「・・・そうだ!」
「ん?どうしたの?」
「今からエルとユノを読んで買いに行こう」
「うんいいけど、何を買う気なの?」
セナが質問してくる。彌一はそんなセナに自信満々に言う。
「家を買おう」
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一時間後、彌一たちはエルとユノと合流し、王都最大の不産屋に來ていた。
最大とあって至る所立派に作られており、全部で四階ある。彌一たち一行はその二階に來ていた。
彌一たちが部屋に案されると、中には優しそうな笑みが特徴的な恰幅のいい男がいた。
「どうもようこそ王都最大の不産【エンラルト不産】へ!私はキャノン・フリクトバーと申します。本日はどのような件をお探しでしょうか?」
「部屋が多くて、中心街から離れたところで、庭付きの件なんかがあるといいんですけど、どうですか?」
事前に決めておいた容を話すと、キャノンは手元の辭書の二倍はありそうな資料をめくって目を通すと、ページを開いて差し出してくる。
「候補としては三つありますね。一つは中心街から西にし離れたところにある件ですね。こちらは部屋數が六つとしない気もしますが、庭がとても広いですね」
差し出された資料を見ると、確か庭は文句無しに広いが部屋數がない。彌一の理想としてはもうししいところだ。
「他は?」
「二つはここですね。先程より中心街に近くはありますが、庭も十分な広さがありそうな部屋數は十です」
二つ目の件は、庭も先程よりは小さいがそれでも十分な広さもあり、部屋數も多い。ただ問題なのが、人が多く集まる中心街に近いことだ。
(魔の実験は何が起こるからわからないから、できるだけ被害がないよう離れたほうがいいな)
家には魔実験の部屋を設けたいと思っているので、人が多く集まらないほうが、何かあった時に対処が楽なのだ。
「最後は?」
「三つ目はこれですね」
差し出された資料を見る。それは中心街から程よく遠く、部屋數も十一と多い。しかも広い庭の他に、畑も用意されているというかなり優良な値段だ。
「どう思う?」
「いいと思う、臺所も広いし、日當たりも良さそう。それに畑があるのは良い!一度家庭菜園してみたかったから」
「そうですね、私も家庭菜園やってみたいです」
「おにわー!おっきなおにわ!」
「・・・全員庭かよ。まぁ良いや、じゃあこの件を直接見せてもらえませんか?」
「分かりました。それでは今から向かいましょう」
最終的に最後の件を見ることになった彌一たちは馬車に乗ってその件に向かう。
「ここがその件になります」
王都から十五分、し森にったところで馬車は止まった。
「へぇ〜、これか・・・」
白塗りの立派な外壁に、綺麗に整備された庭や庭の花壇。家の外観は普通の二階建て住宅より大きめ。
彌一たちの他にも全員聲をらして思い思いに観察する。ユノは早速サニアを呼び出して、庭で遊んでいる。
「それでは中にご案いたします」
キャノンは玄関の鍵を開けて、中にる。
中の壁は綺麗に白塗りされており、床も高級のある木材が使用されている。地球でもここまでの家は中々無いのではと思う程。
「壁と床もしっかりとした作りだ。それに・・・」
「ん?どうかしたの?」
彌一が目を瞑って黙り込む。セナが呼びかけると、彌一はゆっくりと目を開けた。
「いや、なんでも無い。それより次の場所に行かないか?次は臺所でも」
キャノンは彌一に促され次の場所を案する。その後、臺所、リビング、寢室、書斎など案される。
全ての案が終わった後、全員満足の表擔っていた。セナとエルは臺所などの家事周りの設備で盛り上がり、ユノとサニアは庭で盛り上がっていた。
そして彌一が一番気にったのは、風呂場だった。風呂場は香りの良い木材を使用した風呂で、風呂好きの日本人としては、日本をじさせる風呂に親しみを覚える。
全てを見終わる頃には、全員の気持ちは一致していた。
「それではいかがなさいますか?」
「條件もピッタリだし、どの設備も良いし、ここにします。それでここは幾らですか?」
「ざっと五億ネクト程になります。本當はこれだけの件はもっとするんですが、中心街から遠いのでこれくらいの値段になります」
彌一たちの所持金の半分くらいの額で、當初の目的である、大金を一気に消費するという目的を達できる。殘りは四億あるが、家などを買えばもうし減るだろう。
「五億ですね、ならこれで」
そう言って彌一は五億った袋をその場で渡す。キャノンも流石に即その場で五億もの大金を払うとは思わず、軽く驚く。それでも流石プロというべきか、すぐに営業の顔に戻ると、書類を差し出してくる。
「それではこれが誓約書です、こちらにお名前を」
け取った誓約書を読み、名前を記する。
こうして彌一たちは、一生で一番の買いと呼ばれるマイホームを、大金が怖いからという理由で手にれた。
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マイホームを購し、取り敢えず寢れるようにと、高いベットを購して今日は寢る事にした。
「そういえば彌一、家にった時何で目を瞑ってたの?」
腕の中でセナが上目遣いに見上げてくる。格好は二人とも何もにつけていない。生まれた姿のままベットの中にっている。
「あぁあれか、魔力の確認をしてたんだ」
「魔力の?」
「ここは龍脈が太い場所なんだ」
龍脈とは、大地を流れる魔力が多く集まるパイプのようなものである。そのパイプが大地をグネグネとまるで龍のような流れを取るため、龍脈と名付けられている。
この家は、淺い所を巨大な龍脈が流れているのだ。この龍脈が流れているところも、彌一がこの家を選んだ一つである。
「潤沢な魔力は魔に必要不可欠だからな」
「へぇ〜、そうなんだ」
説明を終わると、セナが甘えるようにを摺り寄せてくる。耳元では甘く熱い吐息。
そのまま彌一のにキスをし、そのまま貪るような激しいキスを何度もわす。
「んっ、んちゅ・・・はむっ、んぁっ、やいちぃ、んっ・・・すきぃ、だいすきぃ、んちゅ、んくっ、んんっ・・・」
熱い吐息と舌がわり、ぴちゃぴちゃと靡な水音が響く。それに混じり、セナが熱くを囁き、貪るようにキスをねだる。
「んっ、どうしたんだ?今日はいつも以上に積極的じゃないか」
「んぁっ・・・憧れてたの」
「憧れ?」
彌一の両頬に手を當て、顔を覗き込む。
「こうして好きな人と一緒にいられて、二人の家で過ごすのが。ちょっとした憧れだったの」
そう言ってセナが微笑む。すると彌一は、セナの後頭部に手を當てて引き寄せ、そのを奪う。
「んっ!・・・ちゅっ、んくっ、んぁっ」
一度激しくキスをわした後、彌一はセナを抱えて押し倒す形になる。
「なら、もっと葉えていこう。そう言った小さな憧れを。他には何かないのか?」
「多いよ?」
「上等だ、全部葉えてやろうじゃないか。それにその方が楽しい結婚生活になる・・・してる、セナ」
「ちゅっ、んんっ!はむっ、くちゅ、だめぇ、幸せ過ぎて、おかしくなっちゃう・・・!」
する夫にを囁かれ激しく求められ、今にもけてしまいそうな表で頬を赤く染める。
彌一はを解放すると、セナの小さな耳を甘噛みし、熱く囁く。
「もっと俺に、俺の、俺だけのセナを見せてくれ。大好きじゃ足りないくらい大好きだ、セナ」
そう囁くとセナのが震える。俺だけのと呼ばれ、その獨占が堪らなく嬉しく、の側からされているという幸福で満たされ、熱くなる。そうして彌一は、セナのを荒々しく奪い、そのまま手がセナの下腹部にびていく。
「んっ!あっ!だ、だめぇ!そんなに激しくしちぁ、んっ!あっ!!んやぁん!やいちぃ、わたしもっ!わたしもだいすきぃ!んっ、あん!・・・ーーーーーー」
それから一晩中、シーツのれる音とベットが軋む音が、セナの艶やかな聲と一緒に微かに外に響いていた。
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