《魔がない世界で魔を使って世界最強》【連載1周年記念ストーリー】浮気(?)調査
「ふんふんふ~ん」
天気の良い午後の晝下がり。彌一邸のキッチンから上機嫌な鼻聲が聞こえてくる。コトコトと音を立てる鍋の前にいる鼻歌の張本人はセナだった。
「あとはこれにカブツの葉をいれて」
薬や料理にも使われる香りのよい葉を鍋に一つまみれて蓋をする。最後にコンロの火を止めて出來上がりだ。
「う~ん、出來上がるの夕方ごろになるしなにしようかな」
エプロンを椅子に掛けてし悩む。ユノとエルは二人で出かけていて今家には彌一とセナしかいない。
セナはリビングにでて彌一を探す。が、彌一はいない。
「もしかしてベランダ?」
天気のいい日はよくベランダのソファで寢っ転がっていることの多い彌一。ベランダに目を向けるといた。
ベランダのドアをそっと開けてこっそり近づく。彌一はなにやら読んでいるようでセナには気づかない。
「やーいち」
後ろから首に腕を絡めて抱き著く。
「うぉっ!?」
すると彌一は手に持っていた紙をサッと隠し振り返る。
「な、なんだセナか。脅かさないでくれ」
「ごめんね。なに読んでたの?」
そう聞くと、途端に彌一がし揺したような聲で話し出す。
「ちょ、ちょっと広告をな?ほ、ほら最近いろんな新しい店ができてるだろ?」
苦笑いでそう尋ねてくる彌一にセナはし訝しむ。揺したような聲や態度、仕草、今まで見たことのない彌一の姿にセナ不思議そうに彌一を見る。
「そ、それでなにかようか?」
「あ、うんん。晩飯の仕込みができて暇だったから甘えてみたの」
そういうと彌一の橫に座り肩に頭を乗せ甘える。彌一もセナの頭を優しくなでる。
しばらく無言の時間が続き、森から小鳥のさえずりがのどかに聞こえてくる。
やがてのどかな日差しに眠気が襲ってくる。
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しかしそこで彌一が腕時計を確認すると、セナの肩をゆする。
「ごめんセナ。ちょっと俺買いに出てくるよ」
「ん?じゃあ私も行く」
そう答えると、彌一が慌てて遮る。
「いや、すぐに済むしわざわざついてくる必要ないよ」
「え、でも.......」
なんだかいつもと違う彌一の様子にセナの中で疑問が生まれていく。こうゆうときいつも一緒に買いに出るのに。
「......わかった。じゃあ玄関までお見送りさせて」
二人で玄関に行き、彌一を見送る。
「それじゃあ行ってくる。夕方までには戻るから」
「うん。行ってらっしゃい」
お互いにいってらっしゃいのキスをすると、セナは笑顔のまま手を振る。そして玄関を出ていってバタンと扉が閉まる。
彌一の態度には疑問が殘るが、まぁ彌一なら大丈夫だろうと思い掃除でもするかと二階に上がる。
二人の寢室を通り過ぎ、彌一の部屋に向かう。彌一の部屋は魔や資料、工などが散しているのでたまにセナが片づけをしているのだ。
そうして扉のドアのぶに手をかけ、開けようとすると。
「あれ?開かない」
何度捻っても扉があく気配がない。カギは側からしか掛からないので、部屋に誰もいない狀態であかないということはない。
それに、ドアが開かないのは『カギが掛かっている』というではなく、まるで『ドアそのものが固定されている』という風にじる。
気になったセナは目を閉じ、集中して解析魔を使う。彌一に魔を教わっているため、セナも簡単な魔なら使うことができる。
しかし
「んん?なにも出てこない」
解析の結果は何もなし。魔の反応がしないのだ。
カギが掛かっているわけでもなく、魔が仕掛けられているわけでもなく。開かないドアを前にセナは困する。
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「あっ、もしかして」
ぽんっと手を打つと目を閉じ集中して周囲の霊に呼びかける。
これは霊に呼びかけることで魔力の流れや魔法を知する霊神であるセナだけが使える索敵魔法だ。魔の解析はできなくとも魔の気配を知することができる。
「......見つけた」
ぼそりとつぶやき目を開く。索敵の結果僅かながらドアから不自然な魔力の流れをじる。
どうやら彌一はドアが開かないように魔を掛け、そしてその魔自を隠蔽していたのだ。
過剰なまでの周到さにさすがにセナも怪しむ。これではまるで部屋の中に何か見られては困るものがあると言っているようなものだ。
そこで先ほどの彌一の行が脳裏をよぎる。とっさに何か隠し、ついていこうとすると焦ったように止め、挙句の果てに用意周到なまでの部屋の魔。
「......もしかして、浮気.....?」
ふと頭に浮かんだ言葉をらす。けどすぐにそんな馬鹿なと笑う。
だが一度可能が出るとずーっと気になるのが人というもの。心あり得ないと思いつつもセナはぐるぐると頭を回す。
「.........確かめる」
そう、わからないのなら調べるのみ。
そうと決まればすぐにかなければ。彌一が出てからまだ15分しかたっていない。ならまだ彌一は王都についたばかりだろう。
すぐにきやすい服裝に著替え、地下工房に降りる。そこにはいろいろな魔導があり、セナはその中から黒いポンチョを著込む。
このポンチョは迷彩機能と隠形の魔が掛けられている隠行向けの魔導だ。彌一もまさか自分の浮気調査で嫁に使われるとは思ってもみなかっただろう。
ポンチョを著込みセナは地下工房から森に続く隠し通路を使って外に出る。そして森に出るとポンチョの迷彩機能が働き周囲の風景に紛れる。
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「【疾風加速ゲイル・アクセラレイション】」
風を纏いセナは一気に森に突っ込む。生い茂る木を風を纏いながら猛スピードで駆け抜ける。
やがて燦燦と生い茂っている森を抜け王都の中心街に出る。屋の上をセナは飛び越えていくがポンチョの隠形のおかげで誰も見向きもしない。
「彌一どこにいるかな?」
ぴょんぴょんと屋を飛び越えながら上から王都を見渡す。お晝とあって人通りも多く、この中から彌一一人を見つけ出すのは困難だ。
索敵魔を使えばしは楽になるが、魔に関しては彌一に敵うはずもない。索敵魔を使った瞬間に彌一にバレてゲームオーバーだ。
「むむむ.....どうしたら.....」
ひとまず屋から降りて大通りを歩く。知り合いに見つかるのは避けたいのでポンチョは著たままだ。
たくさんの人を避けながらあたりに目を凝らし彌一を探す。
やがてそのまま進むと店エリアを抜け服や裝飾品が並ぶエリアに來た。
「あっ!ママ~!」
左かららしい聲が聞こえると、ユノがこちらに向かって小走りに駆けてくる。セナがしゃがんで両手を広げると、ジャンプしてそのに飛び込んできた。
「ママもおかいもの?」
「う~ん、まぁそんなところかな?エルは?」
「ここですセナ様」
ユノが走ってきた方向からエルも歩いてくる。その手には大きな紙袋を抱えている。
「ごめんねエル。買い任せて」
「いいえ、これくらいなんてことないです。それにユノ様と一緒の買いも楽しいですし」
「ねぇママ!ユノ、エルおねぇちゃんのおてつだいがんばったよ!ね!えるおねぇちゃん!」
「ええ、ありがとうございます。おかげで助かりました」
えっへんと小さなを張るユノにエルは微笑んでその頭をでる。
「それでセナ様はここでなにを?」
「実は.......」
エルに聞かれこれまでの経緯を話す。
「....なるほど。ですがマスターに限って浮気するなどあり得ないと思うのですが」
「うん、私もそう思う。でも、一時気になったら頭から離れなくて」
「....わかりました。でした私も協力します。探査なら私のほうが得意ですから」
「ママ!ユノもさがす!ユノもパパにめっ!する!」
「ありがとう二人とも」
「そうと決まれば早速」
大きな紙袋をバックにしまうと、エルは腕を上に向かって向振る。すると服の袖から呪符がばら撒かれ、次の瞬間には本そっくりな猛禽類に変わり、空に一斉に舞う。
「私は空からマスターを探します」
「じゃあユノもうえからさがす!」
ユノは降霊化すると屋に上り跳んで行った。サニアもユノに続いて行ってしまった。
「じゃあ私は地上から」
「待ってくださいセナ様」
セナが走り出そうとすると、エルが呼び止めスマホを取り出して誰かに電話をする。
「何してるの?」
すると電話を終えたエルが答える。
「援軍を呼びました」
「?援軍?」
10分後。近くの喫茶店で待っていると、人だかりの中からこちらに向かって歩いてくる集団がいた。
そしてその集団はセナとエルを見つけると一人が駆けてくる。その一人とは凜緒だった。そしてその後ろには健、彩、大地、智花、奈がいる。どうやら凜緒たちがエルの言う援軍なのだろう。
「エルさん!やいくんが浮気ってどうゆうこと!?」
「凜緒、それにみんな」
「彌一が浮気?あのセナさんにデレデレな彌一が?」
「なにかの間違いじゃないの?」
「それを証明するために皆さんに集まっていただいたのです」
全員が席に著くと、エルが王都全の詳細な地図を広げる。ペンを使って地図を四分割するとその一部に印をつけていく。
「現在西側エリアでユノ様とサニアが捜索されています。私は北エリアを捜索するので、皆様に南と東エリアを捜索してもらいたいのです」
「わかったわ。彌一くんを見つけたら連絡すればいいの?」
「はい。マスターにバレるのはまずいので皆さん十分に注意してください。気づかれればマスターが私たちをまくことなど簡単でしょうから」
「わかったわ。みんな行くわよ!」
『おう!』
彩の號令で全員が立ち上がる。それを見ながらセナはみんなに頭を下げた。
「みんなありがとう」
「お安い用よ。さ、行くわよセナ」
差し出された手をセナは見つめ、ぎゅと摑む。
的なシーン。だがこれは夫の浮気調査であった。
東エリアは住居や店が多く立ち並ぶエリアで、その分小さな路地などは多い。東エリアはセナと凜緒が擔當で、二人はまず上空から捜索する。
セナの魔法で風を纏った二人は連なる建の屋を飛び越えて捜索していく。
「セナ!ここ路地が多すぎて上からじゃ見つけられない!一度下に降りよう!」
「わかった!」
そのまま二人は勢いを落とすことなく近くの路地に飛び降りる。
「聞き込み調査でもしてみる?」
「うん。この辺りはよく彌一と買いにい來るから知り合いも多い」
早速二人は大通りに出ると、近くの屋にっていく。
「いらっしゃいませ~。あら、セナちゃん」
「こんにちは」
「こんにちは。今日はいいおがったのよ~。買っていく?」
「今日は買いに來たわけじゃなくて、うちの旦那を見かけませんでしたか?」
「あら旦那さん?そうね~見ていないわね」
「そうですか。ありがとうございます。あ、それとお買います」
「毎度~」
聞き込み調査の果はいいおだけだった。
「何やってるの」
「ごめん、冷蔵庫の中におが足りなこと思い出して。明日はハンバーグにする予定だったから」
「え?ハンバーグ?」
「凜緒も食べる?」
「食べる!じゃあ明日は晩飯ごちそうになるね」
「うん別にいいよ」
明日の晩飯がハンバーグと知って凜緒はご機嫌になり、セナも仕方ないなとほほ笑んで凜緒の隣を歩く。仲の良い二人はそのまま帰ろうと.......
「「って違う!」」
二人同時にツッコミをれて目的を思い出す。目的は仲良く買いではなく、彌一の聞き込み調査だ。
二人は次の店に向かう。次は向かいの八百屋さんだ。
「いらっしゃい!お、セナの嬢ちゃんと凜緒の嬢ちゃんか。なにか買いに來たのかい?」
「こんにちは。今日は買いじゃなくて、旦那を見ませんでしたか?」
「ヤイチか?見てねぇな」
「そうですか、ありがとうございます。あ、それと大とニンジン二つづつください」
「はいよ!毎度!」
二回目の聞き込み調査も果は大とニンジンだった。
「だから何やってるの!」
「だって安かったし.....」
「もう!セナに任せていられない!今度は私が行くからね!」
しょぼんと落ち込むセナに変わり、今度は凜緒が行く。次はし進んだところにある道屋。
「いらっしゃいませ~。あ、凜緒さん。今日は何かお買い求めで?」
「こんにちは。今日は違くて、やいくん見ませんでしたか?」
「ヒイヅキさんですか?う~ん、見てないです」
「わかりました。ありがとうございます」
「あ!凜緒さん、そういえばこの間言っていたナイフ荷してましたよ!」
「ほんとですか!?買います!」
三度目の聞き込み調査の果はナイフだった。
「何やってるの。というかなんでナイフ」
「う、実はこの前から近接武でナイフがしくて....」
普通の子高生の買いではない買いをしてきた友人にセナは。、はぁとため息をつく。
「つ、次こそは任せて!」
「大丈夫?」
「大丈夫!」
10分後。
そこには紙袋いっぱいにった投擲武や近接武、ワイヤーなどをもって立っている凜緒の姿があった。
「「..........」」
二人とも沈黙。セナに関しては若干頬を引きつらせていた。
「.......普通に探そっか」
「.......うん」
反省した二人は聞き込み調査をやめて再び自力で探し出す作戦に。
晝下がりとあって人通りは多く、二人は人込みを避けながら探していく。
そしてついに、
「!....見つけた!」
「どこ!?」
「ほら、あの路地の口」
凜緒が指さした方向を見ると、だいぶ先のほうに彌一がいた。彌一は誰かと話しているようだが、こちらからは家の壁が邪魔で見えない。
「もうちょっと近づこう」
セナがそういって近くの店のカウンターの下に隠れる。お客さと店員さんは戸っていたが、二人のただならぬ形相に何も文句は言えない。
二人はじっくりと目を凝らして彌一を見る。
その彌一は楽しそうに誰かと話していて、その表からは浮気をしているような雰囲気はない。
「ねぇ、セナ気のせいなんじゃないの?」
「うん。そうだと思う」
二人はそうしてし安心すると、一応エルたちに現在位置を知らせる。すぐに駆け付けるとのことなので、すぐに來るだろう。
二人はまた彌一を監視する。そのまま何も起きなければ、ひとまず彌一の疑は晴れる。だが、
「あっ!あれ!」
「っ!!」
凜緒が聲を上げる。それは路地からびてきた手が、彌一の手を引いて彌一を路地に引き込んだのだ。
そして二人はその時引き込んだ手がの手だったのを見た。
「「.............」」
長く重い沈黙。浮気の疑が晴れそうになったところでこの事態。凜緒はセナの表をうかがう。セナは悲しそうな表で彌一が消えた路地を見ていた。
そんなセナを見ていられなくて凜緒はセナの肩をつかむ。
「まだやいくんが浮気したって決まったわけじゃないでしょ!いこ!」
「......うん!」
セナは自分の泣きそうな顔を叩いて気を取り直し、凜緒と二人で彌一が消えた路地に駆け込む。
路地にはすでに彌一の姿はなく、セナと凜緒は一度顔を見合わせた後、路地にる。
路地は微妙に薄暗く、多の分岐があるが、路地に積もる誇りに殘った彌一ともう一人の足跡をたどっていく。
『聞こえますかセナ様凜緒様?』
耳につけたインカムから聞こえてくるエルの聲に耳を傾ける。
「エル?今どこに?」
『上です』
上を向くと確かにそこにはエルと、ユノがいた。
「彩たちは?」
『今こちらに向かっているそうです』
「エルさん。この道の先にやいくんがいるはず。上空から探索して」
『了解いたしました』
エルとユノが先行する。セナと凜緒も再び足跡を頼りに路地を進む。
『見つけました。その先を左に曲がった通路の500メートル先です』
エルの指示で先の通路を左に曲がり、そこで止まってこっそりと覗くと、いた。そして彌一の隣には一人の妖艶な大人のが。
「........ひっぐっ......えっぐっ、」
「せ、セナ.....!泣かないで....!まだ決まったわけじゃないから.....!」
彌一の橫に立つを見てセナが割とガチで泣き出す。凜緒も必死にフォローしようとするが、凜緒自もだいぶ揺している。
そのまましばらく彌一の様子を見ていると、彌一とが扉を開けて建の中にっていった。
半泣きのセナを連れて凜緒が彌一がたちがっていった扉に耳をつけて中の様子を聞こうとする。しかし扉は思いのほか厚いのか、中の様子をうかがい知ることはできない。
「到著っ、ってセナ!?どうしたの!?」
「えっぐっ....彌一が......大人の魅力に.....」
遅れてきた彩たちが合流すると、半泣きのセナをみて仰天。でもすぐに狀況を察したのか、扉を見つめる。
「セナ、どうする?」
その問いかけにセナは涙を拭うと、しっかりとした目で扉を見る。
「......突する」
「はい、彌一君。これ」
「ありがとうございますネヴァさん」
「いいのよこれくらい。それで、ご褒は.........」
目の前の妖艶なが彌一のそばにやってくる。彌一はそれを苦笑いして、自分の懐に手をばしーーー
『バンッ!!』
「彌一......っ!!!」
「せ、セナっ!?」
大きな音を立てて扉が開くと、そこからセナが飛び出してくる。セナは彌一をみつけるとそのまま彌一のの中に飛び込む。
突然現れたセナに彌一はどうようする。セナは彌一の腕の中から顔を見上げる。
「彌一っ!どうしてっ!どうしてなの?私のこと嫌いになったの?」
「ちょっ、ちょっとまて!なんのことだ!?」
突然聲を上げるセナに彌一は大変困する。泣き出すセナに彌一はどうしたらいいかわからなくなる。そこに遅れてエルたちもってくる。
「マスター素直に話してください」
「エルまで!?いったいなんなんだ!?」
説明を求める彌一に、エルがこれまでの経緯を説明する。
「---ということです」
「.....なるほどな」
説明を聞いて彌一はため息をつく。そのあと腕の中のから見上げてくるセナに顔を向ける。
「聞いてくれセナ。それは誤解だ。俺は浮気もしてないし、する気もない」
「.......じゃあなんで私がついていくの斷って、部屋に魔を掛けてたの?」
「え、え~っと......」
その質問に彌一は言葉に詰まる。それを見てセナが再び泣きそうになると、彌一は慌てて言葉を紡ぐ。
「.......セナにプレゼントを渡そうと思ってたんだ。そろそろ結婚半年目だろ?ドッキリで渡そうとおもって黙ってたんだ」
「........えっ........」
「部屋にはそのプレゼントの案とドッキリの計畫があるから閉じてて、今日はネヴァさんに頼んでたそのプレゼントが屆いたって手紙が來たから取りに來ただけなんだ」
そう説明するとセナは目を見開いて彌一の顔を見る。し照れ臭そうにする彌一を見て、それが噓ではないことを見抜く。
「じゃ、じゃあ、私を嫌いになったわけじゃない?」
「當たり前だ。こんな可い嫁を見捨てて俺が浮気なんかするわけがないだろ?」
そうして笑いかけると、セナもしの停滯の後、ぽろぽろと涙を流しだす。そんなセナの涙を指で拭ってやると、彌一は一度セナを離して、機の上の小箱をとる。
それをセナに渡す。
「開けていい?」
「ああ」
手の中にある小箱を開けると、小さなガラスの小瓶。
「これは?」
「最近貴族の間で流行ってる人気の香水だ。ほら、前にたまには香水を使ってみたい言ってたろ?」
「覚えててくれたの?」
「おう。大変だったんだぞ?貴族の間でしか流通しないものだったからネヴァさんに無理して頼んだんだから」
小瓶を手に取って眺めるセナに彌一は冗談じりの聲で髪をでる。するとうれし涙を流すセナは再び彌一に抱き著く。
「ありがとう彌一。あと、ごめんね疑ったりして」
「俺もごめんな?セナを不安がらせて」
そうして二人は自然と顔を近づけてとを重ねる。重ねただけのキスが二人を一つにする。
やがていっそう強く抱き合うと、セナがをかす。
「んっ....やいち......一生離さないで.....んんっ」
「おい、みんな見てーーーー」
「だめっ....今は、私だけを見て......ちゅっ、んっ.....」
嬉しさのせいで彌一しか見えなくなっているセナは、彌一の靜止を無視して頭に腕を回し濃厚に口づけをする。
「はうんっ......彌一.....好き.....ずっと大好き....あんっ、んっんっ....」
だんだんと彌一のほうも周りの目を気にしなくなって、彌一のほうからも積極的に舌を絡める。
二人とも周りに人がいるのにもかかわらず、熱的にを重ね続ける。
だいぶたって二人がを離すと二人の間で唾がツーっと糸を引く。そして二人は周りを見ると、すでに誰もいなかった。どうやら全員空気を読んで先に帰ったようだ。
周りが見えないくらいに集中していた二人はし反省して建を出る。
建を出るとすでに外は赤く、夕焼けの空が見える。かなりの時間二人でキスをしていたのだ。
「さ、帰ろうか」
「うん!」
差し出された手を、二度と離さないといった風にぎゅっと指を絡めて腕に抱き著く。そのまま二人は帰り道を歩く。
「ねぇ彌一。すこしデートして帰ろ?」
「そうだな。なんとなく俺もそんな気分だったんだ」
そういってお互いに微笑むと、し遠回りな道を選ぶ。
暁にそめる太はそんな二人を照らし、決して離れることのない一つの影を作っていた。
「最強」に育てられたせいで、勇者より強くなってしまいました。
ある日大學中退ニートが異世界に転生! 「最強」に育てられたせいで破格の強さを手に入れた主人公――スマルが、強者たちの思惑に振り回されながら世界の問題に首を突っ込んでいく話。
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8 85俺のスキルは最強だけど!武器化スキルが中でもチートすぎてかっこよすぎる件
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プロジェクト「DIVE」と一人の犠牲者、「So」によって生み出された究極の裝置、「DIE:VER(ダイバー)」。長らく空想の産物とされてきた「ゲームの世界への完全沒入」という技術を現実のものとしたこの裝置は、全世界からとてつもない注目を集めていた。 完成披露會の開催に際して、制作會社であり技術開発元でもある「吾蔵脳科學研究所」は、完成品を用いた実プレイテストを行うためにベータテスターを募集した。 その結果選ばれた5名のベータテスターが、新たな物語を繰り広げる事となる。
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