《魔がない世界で魔を使って世界最強》宴と

ケーティア救出から3日後。彌一たちは未だ集落にとどまっていた。

理由はケーティアが雄也との別れを惜しんだので、結果1週間滯在して、裝備などを準備萬端にして行くことになったのだ。

もっとも、陣が天風呂に惹かれたことも理由の一つではあるのだが。

そして彌一は今、集落近くの滝のそばで釣りをしている。なんでも滝のそばにはが引き締まった魚が多いと聞いたので、是非とも食べたくなった。

「ふぁ〜っ............釣れねぇなぁ〜」

ドドドドーーーーッ!!っと滝の流れる音に混じって、そんな緩い聲とあくびがれる。開始から1時間経つが、釣果は未だゼロである。

「うーん、釣れない。セナが期待してたから釣っておきたかったんだが........こうなれば滝ごと蒸発させるか?」

嫁の期待に応えるため滝を蒸発させるなどと騒なことを呟く彌一。その右手にはバチバチと蒼い魔力がぜている。

と、そんな時後ろから気配をじて振り向く。そこにはセナがいた。

「おっ、セナも見にきたのか?待ってろ、今滝を蒸発させて魚を捕るから」

「そこまでしないで!」

右腕のバチバチが輝きを増し始めたのを見て、セナが全力でその腕を抱えて抑え込む。

セナがやめてと言うので、大人しくバチバチを収めた彌一。その姿にホッと一息つくと、セナは彌一の橫に寄り添うように座る。

「釣果は?」

「ゼロ。だから蒸発.....」

「やめて」

蒸発に未練タラタラな彌一さん。集落に近い地形を変えたとなっては、集落の人々に申し訳がない。

「私も釣りするから、一緒に釣ろ?それで、今日の晩飯は魚料理にする」

「わかったよ。よし、ユノの為にもしっかり釣るとするか」

「うん!頑張る」

セナも背負ってきたカバンから釣り道を取り出して、夫婦揃って釣りを始めた。

浮きは離れているが、本人たちはピッタリと寄り添っていて、彌一がセナの肩に手を回してさらに引き寄せる。

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彌一に引き寄せられると、セナは嬉しそうに目元を綻ばせ、肩に頭を預ける。

滝の流れる音と森の小鳥の囀りが靜かに響き、二人はしばらく穏やかに過ごす。

やがて突如セナの浮きがチャポンチャポンと沈み出した。

「掛かった!」

「いや、まだだ。もうし喰いつくのを待って........」

二人とも立ち上がり、彌一は後ろからセナを抱き締めるようにして二人で釣竿を握る。

チャポンチャポンと沈む勢いは増していき、ついに浮きが大きく沈んだ。

「今だっ!」

「んっ!」

彌一の合図でセナがグッと釣竿を上げる。それで完全に釣り針が刺さり、魚が必死に逃げようと暴れ出した。

「お、重い!」

「てことは大だ!セナ、タイミングを合わせて引くぞ!」

「うん!」

彌一ほどではないにしろ、人外のステータスを持つセナが手応えを持つとなると相當大だ。

二人は一気に引き上げるとことはせず、魚が暴れているときは糸を緩め、勢いがなくなったところですぐに糸を巻く。それを地道に繰り返し、魚が近くに寄ってきたところで、一気に引き上げる。

「「せぇーのっ!」」

二人が息を合わせ振り上げると、ザバァンッ!と水がぜる音と共に、大きな影が空を舞った。見た目は鮭のような魚だが、大きさはなんと5メートル近くもある巨大魚だ。

「「で、でっかー!!」」

流石の大きさに二人とも目を見開いて空高く舞う巨大魚を見つめる。これが地球なら間違いなくテレビものだろう大きさだ。

そしてその巨大魚は天高く二人の頭上を飛び越え..........森に消えた。

「「あ..........」」

人外のステータスを誇る二人が、勢いよく引き上げればそうなるのは明白。魚はだいぶ遠くの山に消えていった。

魚が消えていった方角を見つめながら、滝のほとりに殘された夫婦は呟いた。

「...........まぁ、仕方ないな。こうゆうこともあるさ。うん」

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「うん。そうだね。.........釣りやめにしない?」

「ああ、そうしよう。今日の晩ご飯は。ユノも喜ぶぞー」

引きずっても仕方ない、と前向きな夫婦は、今晩のメニューをに変更して、心なしか重い足取りで滝を後にした。

二人が集落に帰ってくると、集落の銀狼族がフレンドリーに挨拶をわしてくる。

ティアやカーネたちを救ってきた彌一たちは、集落の人々から英雄視されて、忌み嫌われる人間種など気にせずすんなりとれてもらえた。

「やっぱりいいところだな。暖かみがある」

「うん。私も霊の里が懐かしくなるな〜。お父さんとお母さん元気にしてるかな?」

故郷に通ずる暖かさとじ、セナは故郷の両親に想いを馳せる。そんなセナの頭を、彌一は優しくでる。

「今回の迷宮攻略が終わったら、次の迷宮に行くときに考えてみよう。お義父さんとお義母さんにユノのことも紹介しないとな」

「ふふっ、お父さん喜ぶと思うよ?可い孫ができたんだもん」

「そうだな。なんたってユノは天使だからな」

親バカな夫婦はそう言ってリカードに娘を紹介する時の事を想像しながら歩く。すると、後ろの方から噂をすれば元気一杯な天使の聲が聞こえてきた。

「パパぁ〜!ママぁ〜!」

振り向けば集落のり口からユノが走ってくる。そして後ろには大型自車サイズくらいになったサニアがいて、口元には巨大な魚が。それは先程彌一たちが森に吹っ飛ばした魚だった。

走ってきたユノを抱き締めて抱き上げると、キラキラした目で見上げるユノに、彌一は聞く。

「どうしたんだこの魚?」

するとユノは興したように言う。

「あのね!もりにうさぎさんをさがしにいったらね?おそらからおさかなさんがふってきたの!」

どうやら彌一たちが飛ばした魚を飛ばしたのは、ユノたちがいた付近だったらしい。それを知らないユノは、本來は池の中でしかいない魚が、空から降ってきたことに驚いているらしい。

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そんな目をキラキラして語るユノの姿に、彌一とセナが可笑しそうに笑った。

「あはははははは」

「ふふっ」

笑う二人に、ユニとサニアは「??」と頭の上にクエスチョンマークを浮かべ首をかしげる。そんな姿に再び彌一とセナは可笑しくって笑ってしまう。

その後、何故二人が笑っているのかわからないユノは、教えて〜と彌一の顔をペチペチしながら可らしい攻撃をするが、二人は曖昧に笑って歩き出す。

ジキル宅に戻ってくる頃には、彌一の両手はんな野菜や果、魚で一杯になっていた。

なんでも彌一たちが釣り上げたあの巨大魚は、滝の魚たちを喰い荒すらしく集落の人々はどうしたものかと困り果てていたらしい。

そんな魚を銀狼族からしたら神様同然のサニアが運んでいた事もあって、人々はサニアが魚を捕獲したと勘違いしたらしく、貢ぎとしてんなをサニアに獻上したのだ。

當のサニアは違うと否定するのにも関わらず散々崇め奉られ、最後の方には『が、がふっ.......』と疲れた表で諦めて崇め奉られていた。

結局巨大魚は広場に飾られることとなり、今日の夜には広場で巨大魚を解して宴を開くのだと言う。

「お前も大変だなサニア」

『わっふ........』

獣に戻ったサニアは疲れた様子でセナに抱っこされているユノの腕の中で返事をした。

「じゃあ、彌一私はこのまま夕飯作りに行ってくるね」

「俺も手伝うよ。ユノも手伝うか?」

「うん!ママ!ユノもがんばる!」

「ふふっ、ありがと二人とも」

『わっふ!わふ!』

「サニアも?ありがとね」

全員で夕飯を作ることが決定し、三人と一匹はジキル宅の裏に停めてあるトレーラーに向かった。

トレーラーに近づくと、なにやら中から騒がしい雰囲気が伝わってくる。聲からして雄也とケーティア、健と彩だろう。

三人と一匹が「ただいまー」と扉を開けると最初に目についたには、炬燵でスマホと向き合ってなにかを喋っている雄也だ。そして胡座をかいて座る雄也にケーティアが座っている。

そして何故か二人とも焦っているようで、ケーティアの方は顔が真っ赤だ。

雄也とケーティアはスマホ畫面に夢中なのかこちらに気付いておらず、彌一はそんな二人を観戦している健と彩に事を訪ねた。

「おい健。雄也とケティはなにやってるんだ?」

「裁判」

「は?」

返された健の言葉に訳がわからないと彌一が頭を捻る。仕方ないので雄也の後ろに向かうと、その意味がわかった。

『それで相川。......いや、ロリコン英雄。他に言い殘すことは?』

「いやだから違うから!!僕はロリコンじゃない!!」

『白々しいぞ!そんな銀髪ケモ耳ロリを婚約者にして!!ましては「ゆうにぃ」だと.........羨ましいんだよぉ!!』

「知るかぁ!!!」

どうやら會話の相手は王宮にいるクラスメイト(男子供)らしく、察するに雄也にケティというが婚約者になったという事が伝わり、嫉妬に狂った男子供による裁判が始まったらしい。

「くそぅ!!一誰がリークしたんだ!!」

『お前の後ろにいるぞ』

「え?」

クラスメイトの言葉をけて雄也が振り向く。

「あ、すまん俺だ」

「彌一ぃいいいいいいいいいいいいっ!!!!お前かぁああああああああ!!」

あっさり白狀した犯人に、雄也は恨み詰まった形相で彌一の首元を摑み暴に揺さぶる。

そんな雄也にガクガクされながらも、一切悪びれのない表で彌一が言う。

「いやいや、友人にめでたく婚約者ができたんだ。そこはお祝いしないとと思ってな?」

「本音は?」

「面白そうだからに決まってんだろ?」

「お前ええええええええええええええええーーーー!!」

ケラケラと笑う彌一を鬼の形相で締め上げる雄也。そんな二人をよそに、スマホの向こうでは男子から子に変わっていた。

『ねぇねぇケーティアちゃんは相川くんのどこが好きなの?』

『もうキスくらいした?』

『相川くんも罪ねぇ〜。こんな可い子を誑かすなんて』

「ふ、ふぇぇ........!?」

「そこっ!誑かしたとか言うな!!」

沙汰に興味津々な子は次々とケーティアに質問を投げかける。ケーティアはそんな慣れない質問の嵐に、顔を真っ赤にして若干涙目で困ったように雄也を見てくる。

そんなケーティアに雄也は優しく頭をでてあげて安心させると、それを見た子が黃い聲ではしゃぎだし、男子はドス黒い怨嗟の聲で発狂する。

『それで、結局ケーティアちゃんは相川くんのどこが好きなの?』

「え、えっと.......」

スマホの向こうのカオスな空間からそんな質問が來ると、ケーティアは顔を伏せてさらに顔を真っ赤にした後、意を決したように雄也を一瞥し、蚊の鳴くような小さな聲で言う。

「そ、その......や、優しくて....強くて.....

寂しかったら、だ、抱きしめてくれるとこ.........うぅぅぅぅ........っ!」

ゆっくり一言一言紡いでいく言葉に、最後は耐えきれなくなったケーティアが、顔を手で隠して雄也のにすがりつく。

そんな恥じらうケーティアの姿を見た子のテンションは『きゃー!』と最高。男子のボルテージは『ア“ァ”アアアアアア!!』と最高

雄也も自分の好きなところを語られると言う拷問をけ、耳まで顔を赤くし今すぐにでもここから逃げ出したい気分だ。

「まぁ、雄也諦めろ。良かったな?自分のことをこんなに想ってくれてるなんて」

「もういっそ殺してくれ.........とゆうか元々は彌一が原因だろう!!」

「ハハハ、ナンノコトダカ」

「お前ぇえええええーーー!!」

再び彌一の頭をガクガクシェイク。

結局その後、裁判は雄也が王宮に帰って來てからと言うことで決著がつき、第一回目の裁判は開きとなった。

もっとも雄也は「まだ続くのか......」と重苦しいため息をこぼしながら沈んでいたが。

夕飯はその後全員でカレーを作ることとになり、せっかくだからと三つの大鍋いっぱいにカレーを作り、広場の宴に持って行って振舞うことになった。

食べたことのない米とカレーの味に村の人々は驚きながらも満足した様子で、全ての大鍋のカレーが綺麗さっぱりなくなった。

カレーを食べ終え、広場の真ん中で燃えるキャンプファイアーを広場からし離れた場所で眺めながら、彌一は座る。

空はすっかり真っ暗で綺麗な夜空が広がり、広場ではしゃぐ人々の喧騒とは対照的に、靜かに澄んでいる。

日本ではまずお目にかかれないであろうほど綺麗な夜空と星を眺めながら、思いに耽っていたら、橫に雄也が腰を下ろした。

「なんだ?ケティはいいのか?みんな火の周りで踴ってるぞ?」

「もう踴ってきたよ。ケティはいまおじいさんと踴ってる」

「お義父さんじゃなくて?」

「ぶん毆られたいのかい?」

茶化す彌一に雄也は拳で抵抗する気だ。

その拳は巖をも砕くが、しかしあいにくと魔師には効かない。

雄也もそれはわかっているので、拳を振り上げる作だけしてすぐに拳を下ろす。そして広場の方に目を向ける。

広場の方ではケーティアとジキルが笑いながら踴っており、こちらの視線に気が付いたケーティアがし恥じらいつつも目一杯の笑顔で手を振ってくる。

雄也もし気恥ずかしくはありつつも、小さく手を振って答える。ケーティアもそれが嬉しかったのか、尾がブンブン揺れる。

ケーティアが友達と一緒にどこかに行って見えなくなると、途端に「はぁ......」と息を吐く雄也。

「なんだご不満か?」

「そうじゃないさ。ただこのままでいいのかと思って」

そういうと雄也は後ろに倒れ、星空を見上げる。

「確かにケティは可いし將來人になること間違いと思う。でもケティはまだ10歳だよ?。思うんだ。ケティが今僕に抱いているは、ケティがを知らなかっただけで、別にとかの好意じゃないんじゃないかって」

「ま〜だそんなことで悩んでたのか」

「そんなことってなんだい。真剣に考えてるんだけど?」

ケーティアが今抱いている好意は、彼が未だというものを知らなかっただけで、一時の迷いなのではないかと。その一時の迷いで結婚という大事なことを決めてもいいのかと、雄也は今それで悩んでいる。

「だからあんな條件出したのか」

「うん」

「だったら信じてやれよ。子供が勇気を振り絞って告白して、自分で決めたんだ。それをけ止めてやるくらいできなきゃ、魔王なんて倒せもしないぞ」

「ははっ、流石所帯持ちの言葉は説得力あるね。彌一もセナさんにプロポーズするとき張したの?」

「當たり前だ。付き合って1日で結婚だぞ?あの時は余裕ぶってたが、心斷られるんじゃないかと人生で一番ヒヤヒヤしてた。」

自らの肩を抱いて話す彌一に、雄也は笑って話を聞く。

そして思う。

師として幾多の修羅場を超えてきた彌一でも勇気のいる事を、たとえ子供の好意であろうとも、子供のケーティアが言ったのだ。だったらその言葉を信じてやる事も、自分の責任ではないかと、そう雄也の中で答えが出た気がした。

まだおぼろげな答えだが、それでも、その答えを信じてみるのもいいかもしれない。

「まぁ、次會った時にケティの気持ちが変わっていなかったら、その時はちゃんと真剣に向き合うよ」

「あぁ、今はまだ婚約者の段階なんだからそれくらいで十分さ。その時が來たらちゃんと考えてやれ」

「そうするよ」

おぼろげながらもしスッキリした表の雄也に、世話がやけるなと思う彌一。

すると広場の方からケティが駆け寄ってきた。

「ゆうにぃ。もう一回踴ろ?」

「うん、いいよ。ありがとう彌一」

「お〜う。行ってこ〜い」

ケティに手を引かれて広場に向かう雄也に、適當に手を振って送り出せば、広場から拍手と雄也を呼ぶ聲がこちらまで聞こえて來た。

「相談?」

「あぁ、そんなとこ」

突如後ろから聞こえて來た聲。しかし聲ですぐにセナだとわかった彌一はすぐに返し、上を見上げる。見上げれば両手にお皿を持ったセナが微笑んでいる。

「はい、彌一の分。このお魚味しいよ」

「お、ありがと。へぇ〜カルパッチョみたいなじか?」

隣に座ったセナから巨大魚のカルパッチョもどきをけ取る。口に運べば、脂の乗ったまるでのような旨味が広がる。

「うまい。意外とさっぱりした脂だな」

「うん。揚げにしても味しいかも。今度作ってみるね」

「楽しみにしてる」

意外な魚の味しさに舌鼓を打ちつつ、たわいもない會話をしながら過ごす。その時間がなによりも癒されるのをじながら、食べ終えたお皿を置いて再びゴロンと橫になる。

するとセナが何か言いたげな目でこちらを見て來る。

「腕枕?」

「正解」

どうやら問題には正解したらしい。腕を橫に出すと二の腕に頭をのせ、貓のように甘えた態度で著させる。

「ねぇ彌一。私にプロポーズするとき張した?」

「ぐっ、聞いてたのか.....」

「うん。バッチリ」

悪戯っ子のような顔で見上げてくるセナに、參ったなと顔を歪ませる。恥ずかしくて聞かれたくなかった事だが、聞かれてしまったのならどうしようもない。

「あんなに余裕ぶってたのに。そんなにヒヤヒヤした?」

「そりゃそうだろ。好きなの子にプロポーズするんだぞ?ましてや人になって次の日だから、早過ぎると思われるかもしれないって思って........」

「私は絶対斷らないよ」

言っていて語尾が小さくなってきた彌一。しかしその言葉を遮るようにセナが聲を出すと、彌一の頬を両手で挾んで強引にこちらを向けさせる。

覗き込む蒼の瞳には確固たる意志が宿っていた。

意志のこもった瞳で彌一を見據えながら、セナの口は言葉を紡ぎ出した。

「彌一は真っ暗だった私の人生から連れ出してくれた。奪われた故郷も、幸せだった家族の時間も、彌一は全部救ってくれた。任せろって言ってくれた。だから私はこの人の隣に立ちたいと思った。立って一緒に歩いてくれる。そんな彌一を私は好きになったの。一生この人のそばにいたい、そう思ったの」

「セナ.......」

々に語られる思い。気恥ずかしくもじ、それはセナも同じなのか頬がし赤い。それでもセナは言葉をつなげる。

「だから、彌一がプロポーズしてくれた時は嬉しかった。彌一も私と同じ気持ちなんだって。そう思うと頭がおかしくなっちゃいそうなくらい幸せで、嬉しくて........ねぇ、彌一。彌一は私でよかったの?」

そう言うセナの顔にはほんのしだが不安のが見て取れた。

だからその不安を拭い去ってやるのも夫の務めだろう。

彌一はセナの顔を引き寄せて軽くキスをする。

「よかったの、じゃねぇ。セナじゃなきゃダメなんだ。俺はセナと居たいと思った。そのことで俺が後悔なんかすることは萬が一にもありえない。絶対にだ。むしろ俺にこんな完璧な嫁がいていいのかと思うくらい。.........だからセナ、俺はセナのことが好きなんだ」

伝えられた想いに自分のありったけの想いを乗せてそう返し、目の前の蒼い瞳を見つめる。

そんな言葉が恥ずかしかったのか、セナの頬がさらに赤くなって行く。だがその瞳にはじた不安のは消えていた。

嬉しさと恥ずかしさの合間にいるセナは、顔を見られたくないのか彌一のに顔を埋める。だが伝えたい言葉はあるようで聲だけ聞こえてきた。

「彌一、好き」

「俺もだ」

たった一言のやり取り。でもどんな言葉や態度よりもわかりやすくのこもった言葉。彌一は無言でセナを引き寄せてようとする。だがそこで、セナがに手をついて引き離す。

「どうした?」

「その......このままだと我慢できなくなっちゃう.......それにここ広場から見えちゃう」

確かにここは広場からし離れて見えにくいだけで意識すれば広場から見えてしまう。流石に見られるのは恥ずかしくらしく、セナがもじもじと目をさ迷わせる。

「だったら移しよう。それに俺ももう限界だ」

「うん......」

立ち上がって二人は気配を消してその場から離れる。

暗い林の中に行くにつれて広場からの聲も人気もなくなる。林の中にって行き近くの泉まで來ると、月明かりがかすかに水面を照らす場所まで來た。

二人はあたりを見渡すと、人がいないことを確認し、無言で見つめ合い抱擁をわす。

「彌一、好き。大好き」

「俺もだ。一生してる」

鼻と鼻がくっつく距離でお互いに甘い聲音でを囁くと、目を閉じ顔を近づける。

「ん........」

を合わせるだけのキス。れ出す吐息は熱く絡み合う。

「んぁ......ちゅ.......っぅ、あ.......んむっ」

合わせるだけのキスで満足できるはずもなく、二人は口を開きゆっくりと舌を絡めていく。絡める度に二人のきは激しさを増して行き、セナは彌一の首に腕を回し、彌一はセナの腰と背中に腕を回しお互いにより一層強く著する。

「はぁ.....んっ、んんっ.......やいひ........やいちぃ.........もっほ........もっとちょうだい........んぁ.......んちゅ.....」

「セナ..........してる.........」

「うん......んぁっ......私も、してる.........」

を囁けば囁くほど二人の溫は上がっていき、彌一がセナの顔を見ると、熱に浮かされたような潤んだ瞳でこちらを見つめ返す。

その表がたまらなく彌一の興を煽り、手が自然と背中をで回し、空いた手がに優しくれる。服の隙間から手をれれば、汗でしっとりとしたが手に吸い付く。

「ひゃんっ!んんっ......んぁっ.......そんな...んっ!......外、なのに......んんっ!んやぁんっ!」

焦らすようにゆっくりとんでいけば、ビクンッと背中が跳ね、蒼い髪が月明かりに揺れる。そんな可らしい反応を見せるする人の姿に、彌一の中の理は限界寸前。

「はぁ......はぁ......ダメ、彌一.......もっと、彌一がしい........」

腕の中でそう潤んだ瞳で見上げてくるセナ。心の中で理が切れる音がした。

セナを近くの木にもたれ掛けさせると、手を人繋ぎで顔の橫に拘束し、耳元で囁く。

「本當はトレーラーのベットまで我慢する予定だったけど、もう我慢できない。セナが悪いんだぞ?こんなに可くねだって反応するもんだから」

「んっ......だって、彌一が焦らしてくるんだもん。キスだってあんなに激しくされたら、切ないよ.......」

上目遣いでそう甘えてくるセナはとても可く、彌一は無言でを奪う。両手は拘束されたままなので、セナはなすがままの狀態でれる。

「んぁっ......ちゅっ、んん!あっ........んっ......んあっん!」

何度も何度も繋がる二人の影。離れたとしても二人の間には銀の橋で繋がれており、影が一つになる度に辺りにらな水音と吐息が聞こえる。

「セナ........」

「うん........。彌一、して......」

見つめ合う二人はお互いに頷くと、そっとを寄せるーーーー

月明かりが照らす靜かな池のほとりから、微かな息遣いが森に溶けては消えていく。

宴はこうして過ぎていった。

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