《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》

俺がダンジョンマスターになって3日目、驚きを通り越したのが最初に試しに召喚して名前をつけたスライム。ユキムラの事だ。

さっきまで喋らなかった癖に突然喋り出すんだから流石に驚き通り越して唖然だ、目の前ならいざ知らず、背後から話しかけられて心臓が一瞬止まった気がする。

「えーと、ユキムラだよな?」

「左様にございます! 主よ! このユキムラ、この命燃え盡きる日まで主にお仕えしますぞぉ!」

「熱い熱い、重い重い、止まれ止まれ。気持ちは分かったけど、死ぬな」

「分かりましたぁ!」

元気な奴だな。こんな日のみたいなスライムいるのかよ、まさか名前でこんな忠誠心見せてくるかね。

「ユキムラ、なんで急に喋れる様に? 最初から喋れた?」

「いえ! 某は先程まではただのスライムに座った。主から名を頂いたそのときに、喋れる様になったかと……」

「名前ってそんな深い意味有ったか?」

「某には分かりませんが、恐らく主に認められた幹部の様なものかと……」

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へぇー、そんな深い意味考えて無かったんだけどな、ペットの気分で名付けたし。世の中ちゃんと考えないでくと苦労するよな、止めよう考えずに生きるの。

「まぁ、意志疎通が出來るようになったのは良いことだから気にしてないけどな。これから宜しくな、ユキムラ」

「はっ! 某、主と會話ができて至極恭悅にございまする!」

固い奴だな。肩の力抜いたらどうかね? どこに肩有るのかわかんねぇけど。

「そんな良いことか?」

「ダンジョンマスターとやらは良く分かりませんが、このスライムごときが主を持つとは最高の褒と思っておりますぞぉ!」

忠誠心の塊や! このスライムの分は忠誠心で出來ているとみた。

うん? 待てよ? ユキムラは名前を與えて喋れる様になったわけだ。そしてこのダンジョン、ユキムラ以外にも名前を著けちゃったスライムが後10匹はいる。そう、十勇士の面々スライム達だ、今は方々に散ってこの場には居ないけど、恐らく……。

「旦那、部下にどう教えたら良いのか分からないんだが……」

そう言って背後から音もなく忍び寄り俺に聲を掛けてくるヤツ。

ユキムラは俺の目の前にいる。つまりはそう言う事だろう。

意を決して背後を振り替えると、そこにはやはり、喋るスライムが居るわけだ。あとこの靜かにやってくるじからして恐らくそう言う奴がいたら良いなと思って名付けたコイツは……。

「サスケ」

「正解、流石は旦那だ。背後をとったと思ってたがやっぱり気付かれてたか」

そんなわけがない。一切気づくことは有りませんでした、このまま刃でグッサリ行かれてたら普通に死んでましたし、買い被りではないか?

「なに!? 流石は主!」

ユキムラは目を輝かせながら俺を見ている。本當に輝いてるか見ているか分からないが聲のじからするとそうんなんじゃないだろうか。

止めろ! 俺をそう言う風に見るな!

「それで、サスケ。どう教えたら良いのかだっけ?」

「そうそう、ま、俺達も完全に習得してる訳じゃないし、そこら辺あやふや何だよな」

確かに、教えたのって數時間前だし。沢山は覚えられないと思うからしずつ覚えて貰おうかな。

「そうだな……まず、部下には俺が最初に教えた事だけを重點的に教えて行ってしいな。一気にやっても中途半端になると思うから」

「ははぁ、る程ね。了解した、それくらいなら俺も教えることが出來る気がする。後はこっちのやり易いじで良い?」

「それで良いよ、何かおかしかったら俺も訂正とか考えるからさ」

「了解」

どうやらサスケはちょっと軽い格してるな。ユキムラとは大違いだな。これも個ってじで良いね。全員ユキムラだったら俺押し潰されちゃう。

「サスケェ! お主! 主に対して軽すぎするぞ!」

あ、やっぱりキレるのね。忠誠心の塊、ユキムラくん。やはり部下に対して結構厳しめの大將になるかも。

「いやいや、ユキムラ落ち著け。これがサスケの格で立派な個だ。俺は仕事をこなしてくれれば基本的に格は気にしないよ」

ユキムラをなだめる。上って大変だな、ユキムラよ、さっさと長して俺の代わりに頑張ってくれ。

「ぬぅ、主がそう言うのなら……しかしサスケ。あまり無禮を働くなよ?」

「大將、安心してしい。俺はしっかりと旦那に忠誠を誓っているよ。それじゃ旦那、部下と訓練に勵むとするぜ」

「うん、実力が伴ってきたら頼みたいことも有るから頑張って」

俺の言葉に頷いたサスケはその場から姿を消し、俺とユキムラだけがこの場に殘る。

「ユキムラは何処かに行かなくて良いのか?」

「いえ、某は総大將兼主の護衛だと自負しております。しかし部下の管理も疎かにすることはないのでご安心を」

「それは安心、でも強くなってくれよ? こう言っちゃ悪いけどスライムって弱小でしょ?」

「それはそうですが、今だけの話ですぞ。何れは某達は主を守るために強くなってみせましょう!」

「期待しているよ」

ユキムラ筆頭に十勇士達には武とか要るかな? 考えておこう。

「いつかは外にも出て報を集めたいな……」

「それなら護衛は某にお任せを!」

ユキムラは何処までも俺に著いてきてくれそうだな、初めての部下だよね、俺としては友達かペットの覚だけど……ひんやりしてて気持ちいいし。

し思ったんだけど、ユキムラ達って見分け著かないよな、ハハハ」

「そうでございますか? 某達には完全に別のものに見えますが……主が言うなら考えてみるか」

後半は聞き取れなかったけど何か考えてる様だったし、邪魔しちゃ悪いな。俺じゃ思い付かないことを発見してくれるかもしれないしユキムラ達には期待が結構大きいぞ。

他の奴にも聲をかけないと行けないな、ユキムラが考えから戻ってきたら歩いて回るかな。

それまでは『カタログ』でも見て時間を潰しておこう。

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