《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》そう言えばマスターだった

ユキムラが特訓を開始して、流石に日付か変わる頃には戻ってくるのかなと思ったけど全く戻ってこなかった。微妙に寂しい。

いや、ラビィは居るんだけどさ。こう、ユキムラは抱き枕的な、クッション的な役割も有るからさ手持ちぶさたになる。

他の十勇士にも挨拶したかったんだけど、何だか真剣に特訓しているのに邪魔したら悪いかなって思って迷宮エリアには足を運んでいない。

そんなやるせない微妙な気持ちで1週間が過ぎていった。

「意外と暇だな……」

「そうだねー、ね! ユキムラの所に行かない?」

「邪魔になりそうだからなぁ……行くに行けないって」

「そんなこと無いと思うんだけどな。嬉しがると思うよ?」

確かに、ユキムラは何故かかなりの忠誠心を持っているから犬みたいに駆け寄って來そうだな。スライムだけど。

DPでも使って森林エリアにでも魔れようかな……殘りのDPは【魔化】のスキルや、1週間の食事などで20335だ。なにもしなくても1日5DPはるし、ラビィは食事が要らないらしいが、イチゴミルクをせがむのでそこそこ減っていく。

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余裕があるし、何か魔でもれようかな。

なんて暇潰しにDPを使ってしまおうかとすら思うほどにどうでも良い気持ちになっていると。

ブァーッ! ピロポロペレン!

ブァーッ! ピロポロペレン!

拍子抜けする音がマスタールームに響き、俺とラビィは立ち上がる。

「センスがねぇ!」

「やる気あるの!? このダンジョン! あ、私か!」

かなり趣味が悪い、なんだよこの効果音。今まで聞いたこと無いほど0じゃないか!

そんなことより、この音はなんだ?

「ク、クロト! 大変大変! 侵者、侵者が來てるよ!」

「は? 侵者? 何だっけそれ」

「いや冒険者とか、とにかく命狙われてるんだよ!」

「マジかよ……先に言ってよ」

「ダンジョンマスターはクロトじゃん!」

者かぁ、初めてのお客様だな。これが最後のお客様とかだったら笑えない。……と言うかヤバくね? 命の危機じゃね?

お、落ち著け。取り敢えずは狀況把握に努めよう、相手の力量は見れないものだろうか……あ、モニター有ったなそう言えば。使わないから忘れてた。

「取り敢えず敵を見よう」

モニターを起して森林エリアの前で立ち止まっているか侵者の姿をとらえる。

おっと、まずはユキムラ達に連絡をれないと、ダンジョンでは俺の権限で味方と判斷しているものになら念話のようなものを送ることができるのだ、便利である!

「ユキムラー、聞こえるか」

「主よ! お久しぶりにございます! 聞こえておりますぞ!」

「実は侵者が來ちゃったみたい。対処をお願いしたい。あ、勿論死ぬような真似するなよ? 一先ず様子見で頼む」

「了解しましたぞ! サスケェ! 部下をつれて偵察を頼む! 主よ、某達の特訓の果、見せ致します!」

そう言うと念話は途絶えた。こんないきなりな注文に答えるとは……流石だなユキムラ。

さてと、侵者の方はっと……。

俺は冒険者をやっているキンと言う者だ。兄弟と親友と一緒にパーティーを組んで頑張ってるそこそこベテランだ。

依頼でこの當たりまで來たんだがどうにも迷ったらしい。

仕方なく近くに窟を見つけたんでって見たんだが……。

「何で窟の中にさっきと同じ森があるんだよ!?」

さっきまでいた森から窟にった筈だ! 窟は薄暗くてゴツゴツした巖なのが當たり前。それなのに何で森が広がってるんだよ!

「キン、ここはダンジョンなんじゃないか?」

親友のドウが呟く。

「は? ダンジョン? この辺りにあるなんて報無かっただろ」

そんな話は聞いていなかった。俺が聞き逃したか?

「兄さん、もしかすると出來立てかも知れないよ」

「そんなことって有るのか?」

「希にだが、出來たばかりのダンジョンに遭遇する冒険者も居るそうだ。ギルドに報告するべきだろう」

流石はドウ、真面目な奴だ。出來たばかりなら危険はそれほど無いんじゃないか?

しだけ見てみようぜ、出來たばかりなら魔も弱いだろ」

「キン、お前はもうを持て、実は最初からあって今まで隠蔽してきたのかもしれないだろう」

ドウは溜め息を吐く。おいおい、いくら親友でも余りバカにするなよ?

「分かってるさ、油斷は絶対にしない。この辺りだけでも探索して帰れば良いだろ? それとも出來たばかりのダンジョンから俺達が逃げて來たって言われるかも知れねぇだろ」

「む、それは確かにそうだな。仕方ない、油斷はするなよ?」

「分かってらぁ、行くぞ、ギン? 何してんだ?」

「あ、いや、何かに見られていたような気がしたんだけど……」

「気のせいだろ。ほら、行くぞ」

俺達はそのまま不思議なダンジョンの中へと突き進む事にする。

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