《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》引っ越ししようぜ!
ワイト君のお家に遊びに行った俺達を迎えれてくれたユキムラと同レベルのゾンビさんは、なんと喋った。
魔って喋るのか、と言うかなんで今まで黙ってやがったこんちくしょう。
「……ワイト様、友人です」
他のゾンビとは違い、腐ってる部分はないものの、やはり喋りにくいものがあるんだろうか。
聲はくぐもって聞こえてくる。
「ってもらってしいのさ」
「……どうぞ」
とある一室のドアを開き中にるとワイトはそこにいた。
自分の背丈に全く合っていない室の良さそうな椅子に座り足を組んでいる。
凄く偉そうだなコイツ。偉いのか。
「やあやあ、昨日ぶり! 用件は……昨日話してた事でいいのかな?」
「あぁ、そうだな。そのつもりで來た」
勿論ダンジョンへの加のいなんだが、まずは目の前の疑問を解決しておきたい。
「なぁ、お前の傍にいるゾンビ達は普通じゃ無いよな?」
ワイトの座っている椅子を挾むように左右に別れて立っているゾンビ。
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村を彷徨いているゾンビとは明らかに見た目が違う。強さもサイゾウ達曰く普通じゃないと來たもんだ。
「彼ら? 彼らはゾンビの1段上の個のグールだよ」
グールかぁ……詳しくは帰ってみないとダンジョンの機能が使えないから分からんが、ゾンビの上位に位置するのか。
立った1段階でこんなにも変わるんだな。それでいてユキムラと同レベルか。
あれ? ならなんでホブゴブリンの奴はボコボコにされたんだろうか。
進化する前の魔としての強さも関係するのだろうか。
「疑問は解けた。サンキュ」
「禮には及ばないのさ! それで、君の用件を改めて聞きたいのさ」
「そうそう、引っ越ししようぜ!」
親指を立ててそう告げた俺だが、お相手であるワイトの返答は。
「は?」
これである。
そりゃそうか。友達なろうぜ! の後に引っ越ししようぜ! だからな、當たり前、當たり前の反応だ。誰だってそうだろう。
そこに魔と人間の差などないのだ。
「お前は難聴か? 引っ越ししようぜ!」
「聞こえてたって。昨日も言っていたけど、それはどうしてなのさ。ボクはこの國を捨てるつもりなんてないのさ」
國じゃねぇよ、村だよ。と突っ込みたい、だが駄目だ、ここは我慢。我慢するんだ。
「だから此方でそのまんまのを用意するって言ってんじゃん」
「それが意味不明なのさ。どうやって君に用意出きるのさ、そもそも何のために!」
「それはだな……お前の村には時々お前を退治しに來る輩がいるんだろう?」
「村じゃなくて國なのさ」
「あ、はい」
どっちでも良くないか? しかしちょっと殺気を含んでいたので頷いておこう。ビビった訳じゃないんだからね!
「まぁ、その國に退治しにくる輩を相手にするのは面倒! 違うか?」
「退屈しのぎにはなるのさ」
「あ、そうですか……」
とりつく島がないな。アカン、もう詰んどるがな。
「でも極稀だから暇なものは暇なんだけどね」
「そうか、俺ならその退屈を紛らわす事が出きるぞ」
「本當!?」
キラキラとした目をしてを乗り出すワイトだが、お前死んでるのにそんな生気の籠った目出きるんかい。
と言うかそんな事で揺らぐのか、國盜り簡単だな。
「実はな、俺はこのスライム達の他にもしだけ配下がいるんだよ。ゴブリンとスライムだけだけど」
「へぇ、それにしてもそこのスライムちゃん達は普通のスライムとは比較にならないほど強いよね」
「あ、それは分かるのか」
「當然なのさ!」
を張るワイト。高位の魔なんだから當然っちゃ當然か。
ただ、素のこいつは全く威厳がじられない。
「まぁ、鍛えてもらってるから並みよりは強いとは思うけど……」
「ボクから見ても並みでは無いのさ。スライムってそもそも喋らないし意思なんて持ってないのさ……」
「え? マジで?」
ユキムラの辺りから怪しいとは思っていたけど魔界隈ても常識なのか……魔界隈ってなんだ。
「ふん! 私達はこれからもっと強くなるので、ワイト君を負かすのも遠い話じゃないですよ!」
「……勝ちますっ!」
「へぇ、それはボクの部下のグールに勝ってから言うんだね」
「何を! 今すぐやってやりますよ、表に出やがれ!」
「……倒しますっ!」
「ふふん、いい度なのさ! やっておしまい!」
ビシッとワイトは外を指差し、サイゾウとユリは外へ出ていった。
「……面倒」
「……仕方ないです。……命令」
「……分かってる」
怠そうに2のグールも出ていった。然り気無く面倒とか普通に言ってたぞ。人無いんじゃねぇのこのワイト。
「話がそれた。……まぁ、この他にも々ここにいるよりは刺激があるとは思うんだ。どうだ?」
「うーん、それは良いとして。本當の所はどうなのさ?」
「……本當の所?」
瞬間、真剣な目付きで此方を見るワイト。それには迫力があり、戦いとか知らんが正直逃げ出したいレベルだとは思う。
前言撤回、威厳バリバリだ、超怖い。
「勿論さ、ボクを楽しませる……それだけで君みたいにズル賢い戦略で勝つ男が何も考えずにそんな提案するとは思ってないのさ」
「……そりゃまた隨分な評価だな。辛い」
「またまたー、全然堪えて無いくせに」
「まぁね、ぶっちゃけ本當の事を言うとお前と言う戦力がしい」
「それまた急な話なのさ。侵略でもするのかな?」
「そんな騒な事するか……安全に暮らすためだよ」
「……詳しい話が聞きたいのさ」
そこからはちゃんと話しましたよ。俺がダンジョンマスターってことも。このゾンビ村に冒険者とかが來て飛び火するのが嫌だとか。
「ダンジョンマスター……ねぇ」
「あれ、信じてないなこれ」
「そりゃあ、そんなもの見たことも聞いたことも嗅いだこともないのさ」
「嗅ぐことは無いだろ」
「確かに」
「んで、どうする? これはあくまでも頼んでるだけだし強制じゃない。そもそも強制出來ないしな」
斷られたら……まぁ、その時はその時だな。頑張って防衛します。以上。
でもなぁ、ワイトが殺られる程の奴とか現狀対処出來ないからな。出來れば來てしいな~なんて。
するとワイトは俯きながらプルプルしている。スライムの真似だろうか。
バンッ! と機を叩いて立ち上がる。その衝撃で機は砕! 俺は冷や汗だ。
「そんな面白そうな話、當然乗るのさ!」
「乗るのかよ!」
「だってダンジョンだろう? それならここにたまにしか來ない奴らよりも人がくる頻度は高いし……君もボクを楽しませてくれるんだろう?」
貓のように目を細めて笑うワイト。そのプレッシャーは怖いな、よし、ユキムラ達を當て馬にしよう。
あと、たまに來る可能のある冒険者も。だが殘念だなワイトよ、こちとらダンジョンがあるとバレないように既に箝口令敷いてんだよ。
「まぁ、努力するさ」
「これからよろしくなのさ!」
ニッコリと笑うワイトに俺も笑いながら握手をする。心ではどす黒い笑みを浮かべているのだが。
「……クロト、君の笑い顔って何か企んでいる様に見えるよね」
「え、マジで?」
取り敢えず話も一段落したので軽くお喋りでもしていると、突然窓ガラスが割れてピンクのが俺の顔にアメリカンなパイをぶん投げられた様に顔にドゥン。
プニプニとしたなんだが、最初に顔面に當たった時は凄い衝撃で気絶するかと思った。
おまけに呼吸が出來ないオプション付きだ、ぶっちゃけ死ねる。
じたばたともがいていたらピンクのが俺の顔から膝に落ちた。サイゾウだった。
「何してんだ」
「いやー、吹っ飛ばされました」
「あ、そう」
どうやらグールに負けたらしい。小さく畜生! と呟いているので悔しかったんだろうな。
と同時に同じ場所から黃のが以下略。もちろんユリだった。
「……悔しいですっ!」
「顔に飛んでくるのはわざとなのか? そうなのか?」
「すまないのさ、うちのグール達が」
「いや、こっちのわがまま聞いて貰ったし別に良いわ……それより窓ガラス割って悪いな」
「気にしてないのさ。どうせ移するんだからね」
その後サイゾウとユリは再び窓から出て戻って、俺の顔に當たるを何度か繰り返した後、止めさせた。超痛い。
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