《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》容赦しちゃいけません
まさかこうなるとはな……。
「グルゥ……」
俺の目の前にはこの森をさ迷う原因となった熊野郎がいた。
見間違える訳もない。目の下にある傷がイカす熊なんて前に會った奴しかいないだろう。
だが前回とは違って俺が逃げることはない。何故なら、今回は護衛のスライム、サイゾウ&ユリがいるからな!
當たりされて逃げた熊ごときでは太刀打ちできんわ! さぁ、やっておしまい!
「また出やがりましたね熊野郎!」
「……また、返り討ちですっ!」
「グルゥァァァ!」
なんと熊は立ち上がって威嚇をするじゃありませんか。しかし、そんなボディをがら空きにすると……。
「えい!」
「やぁっ!」
サイゾウとユリの必殺技、當たりが決まる。最も、當たり以外の技なんて無いんだけど。
熊は仰け反りながらも2本足で堪えていた。凄いな、俺なら死んでる自信しかない。
しかし、熊、前回と違い逃げ出さずに完全に立ち向かって來るようだ。
にしても何で普通のの熊がいるのかね? 魔に殺られるんじゃ無かろうか。
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さて、その間に果でも食べておくとしよう。さっき熊が食べてたやつは……まぁ、大丈夫だろう。同じ哺類だ、異常は起こらないと思いたい。
「……結構いけるぞこれ。他のものは……」
何かイチゴみたいな奴も有ったが完全に味はブドウだった。意味が分からない。
いや、こっちの世界とあっちの世界で比べるのはよくないな、無意味だし。
一方的にボコられている熊が不憫に思えてきたな……でも諦めた様子がないんだよな。ダンジョンに帰れば安全は確実なんだけど、此処等を縄張りにしてるみたいだし、追い出した方が良いだろうか?
いや、でもなぁ、向こうにも生活ってものがあるだろうしな~。
困ったな……まぁ、今回は見逃してやるか。
「サイゾウ、ユリ。ストップだ、見逃してやれ」
「え? ご主人様を襲ったんですよ? 容赦しちゃいけません」
「……私も、反対ですっ!」
「結果的に死んでないし……まぁ、今回だけだ、な? 許してほしい」
「……分かりました。……代わりにでてくださいっ」
「ちょ、ユリ!? 私も、私もでて!」
「お、おう」
攻撃は収まったので、まぁ良いだろう。熊、スッゴいボロボロだけどな。マジ済まんかった。
お詫びに殘ってた果を足元に転がして離れることにしよう。
「もう俺を襲うなよ」
熊は警戒はしたものの、果を全部両腕で抱えて走り去った。用なもんだな。
「あ! ご主人様果全部上げたんですか!? 私達の分は!?」
「あ」
「そこに座りやがれですよ!」
「……今日は許しませんっ!」
説教タイムに突してしまった。ついでにでる、膝に乗せると言う罰? をけたのだが罰なのか、これは罰になるのか?
スライムだからきっと良く分かってないのだろう。
◇
そして無事にダンジョンへと戻ることが出來た。どうやらこの辺りはゴブリン達が縄張りにしていて、全員が絶賛俺のダンジョンに住んでいる。
つまり、この辺りにゴブリンはもう生息していなかった訳だ。なので、安全に魔に會うこともなく帰ってこられた。
サイゾウとユリへと禮を言って別れた後、早速マスタールームへと転移した。
うん、これぞ我が家ってじだな。
「あ! クロト、何処に行ってたの!? 心配したよ!」
マスタールームへとると、俺に気がついたラビィが俺に飛び込んでくる。だが、それは抱きつくようななま易しいものではなく、タックルだった。
「ごっふ!」
「驚いたよ、數時間で戻ってくると思ったら2日も帰ってこないから!」
「それは済まんかった」
2日かぁ、そりゃビックリするな。いつまで経っても帰ってこないのならな。
いやぁ、俺も心配くらいはされるもんだな。これも培ってきた信頼と言うやつが
「お腹空いたから何か出してよ。食べられなかったんだから」
「そっちか」
前言撤回、信頼も糞も無かった。ちくしょう。
ん? 食べくらいなら自分で出せば良かったのでは?
「クロト、私に権限くれてないじゃん!」
「そんなものが有ったのか」
「おで果ばっかりだよ! イチゴミルク出して!」
この世界の食料事に文句を言うんじゃない。人間が何食べてるか知らんけども。
何かプンスカしているラビィの為にイチゴミルクと嫌がらせに納豆を出しておいた。
「何これ、ネバネバ……結構味しいね」
普通に食べやがった。くそぅ。
俺は目の前で唐揚げ弁當を食べていると、大半を奪われたが仕方ない。ちゃんと連絡しなかったのは俺だから、きっと俺が悪いから仕方ないよね!
「あ、ユキムラ達にも挨拶しとかなきゃな」
「行ってて良いよ~、私これ食べとくから」
ちくしょう、俺の唐揚げ取った挙げ句におかわりまでしやがって。
ユキムラにめてもらうから良いもんね!
◇
と、言うわけで移。ユキムラと言う鍛練バカの居るところと言えば第3層の何もないただの空間スペースだろう。
「ユキムラ~帰ったぞ」
訓練中の赤いスライム。ユキムラは此方に振り返り跳び跳ねた。
振り返ったとか良く分からないな。前後ろ同じじだからな。
「主~! 心配しましたぞ! 話はサイゾウ達から聞いておりますが、お怪我は無かろうか!?」
「そこは大丈夫だ。だから離れろ」
「申し訳ございません!」
出會い頭に突撃してくるのはこのダンジョン流の挨拶なのか? 教えた覚えはないぞ! ダンジョンマスターそっちのけで何してんだお前ら!
顔にへばりつくユキムラを剝がすと、既にとりどりのスライムに囲まれていた。
「……逃げよ」
一瞬で転移し、ゴブリンどもの居る第1層、《森林エリア》に來た。
ここならばすぐには追ってこれまい。
視察もかねてゴブリンに挨拶でもするかね。
ゴブリンが作っている小さな集落へと足を運ぶ。そこにはなかなか立派な家がちょこちょこと有った。
「凄いな、あんな短時間で作れるもんなのか」
「いや、違うぞ。マスターが中々來ねぇから途中経過が分からなかっただけだ」
「へぇ、そうなのか」
ん? 隣を見るといつの間にかガタイの良いゴブリン……いや、ホブゴブリンの野郎が立っていた。コイツはあれだ、非リアの敵だ。
気配消して立ってるんじゃねぇよ、心臓止まるだろうが。
「まぁ、なんにせよ良くできてるじゃないか」
「いやぁ、進化するようになってから細かい作業が出來るようになってな! ありがとよ!」
謝されてしまった。だがな、進化出來たのは偶然だぞ、俺が毒味で投げた果が原因だ。1歩間違えれば死んでたのに呑気なやつだな。
「あなた~! ご飯の準備が……って! マスター!?」
すると1つの家からゴブリンが出てきた。いや、ゴブリンと言うには背は高いし、周りと比べるとなんか存在が違うな。
……誰だコイツ。
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