《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》ギルドでのテンプレ(傍観)
ドスドスと、重量のある足音をたてながら、筋骨隆々のボディービルダー顔負けのタンクトップ筋がやって來た。なお、白。
イベントタイムだ。
「あれは?」
「はい、Dランク冒険者のヤマカジと言うおっさんです! やっちゃって下さい、サノー様!」
中立の立場のギルドがそんなこと言って良いのか。
さて、Dランクと言っていたが、これは冒険者の実力を表す指標だ。
説明していた(サノーにのみ)話によると、ランクを分けることによって自分にあった依頼の難易度が変わるらしい。
Fランク :駆け出しの冒険者。登録した時點はここからスタートであり、主な依頼は採取と簡単な討伐依頼。ぶっちゃけ早くランク上げなきゃ稼げない。
Eランク:半人前の冒険者。新人を卒業した証、手応えのある依頼が増え、自信に繋がりがちなのだが相手を嘗めきって死ぬやつが多いランク。
Dランク:一人前の冒険者。依頼の善し悪しが、分かってくる。分からない奴は分からないまま。ここまで來ると難易度の高い依頼が更に増えるため、パーティーを組む者が多くなる。
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Cランク:ベテラン冒険者。ギルドでも顔を覚えられる位になる。後輩から慕われ始めるらしい。
Bランク:才ある冒険者。んな所で名前が知れ渡り始める。このレベルだとソロでも頑張れちゃう。
Aランク:人外の冒険者。國中に知れ渡るほどの実力者。努力と才能が必要で、一人でドラゴン位ならギリ何となるらしい。
意識高めの奴らならパーティーを組むので厄介。
Sランク:化冒険者。他國に知れ渡るレベル、人間を止めたとまで言われ、譽めてるのか貶しているのか分からない名譽かつ不名譽な稱號。世界に二人しかいないらしい。
とまあ、これが盜み聞きした冒険者のランクの定義だ。
ぶっちゃけ説明がアバウト過ぎて良く分からない。
とにかく、ダンジョンにSランクが來られたら今の狀況ではかなり困る。
ミストで太刀打ち出來るだろうか……萬が一負けるようなら諦めよう。
まぁ、世界に二人しかいないんじゃ來るわけ無いだろ。
まだ知られてないし、すぐに噂が広まる訳でもないし。
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どれだけ強いのか分からないから搦め手、卑怯な手卑劣な手を使ってでも勝ちに行こう。
一か八かの【魔化】もあることだし……そういや全然使ってないな、スキル。
最下級の魔導書等を使ってスキルを覚えたのは良いが、あまり使ってない。
こう、魔法の世界に來たら頻繁に使うもんだと思ってたがそうでも無いんだな。
話がずれた。
この筋ダルマ、ヤマカジだっけ? のランクはD、立派な一人前だが、その年齢でベテランでもないとは笑えてくるぜ。
え? Fランクか何を言ってるって? 登録したばかりの奴に言う臺詞じゃねえよ出直せ。
「はっ、付嬢にチヤホヤされて調子に乗ってるんじゃねぇよ! うらやま……ゲフンゲフン! ここはそう言う場所じゃねえんだよ!」
本音が駄々れだぞおっさん、良いぞ、もっと言え! 言うんだ!
「では、此方は人の迷を考えず怒鳴り散らす所でしたか?」
「んだとテメェ!?」
サノーが理論的な正論! これはキツイ、さぁヤマカジのおっさん、どう出る!? ここはもう暴力しか無いぞ。
ん? ちょっと待てよ……これ、俺、無視されてね? 絡まれてるのサノーであって俺じゃない、そもそも1度もおっさんと目が合ってない。
マジかよ、俺見えてないのか?
俺、【明化】のスキル持ってないけど?
「あの、俺見えてます?」
「うるせえ!」
「靜かにして、サノー様の格好いいところが見れない」
「はい……すみません」
おっさんからだけでなく、付嬢にまで責められる始末……おっさん、俺かに応援してたんだぞ? それなのにそんなのって……無いぜ。
サノーはどうしたら良いか俺に目で訴えてくるんだが、もういい、知らん。
無視だ無視、せいぜいそのおっさん倒してキャーキャー言われてれば良いんだー!
……外に飛び出すのもあれなので依頼書のってあるボードでも見ておくとしよう。
影の薄い俺は所詮は村人A、ダンジョンマスターなんて大層な肩書きを持った凡人なのさ……。
「おのれ、人間二人ならいざ知らず! サノーめ、部下でありながら陛下をそっちのけでり上がるだと!? 許さん!」
ロクロウの堪忍袋は破裂寸前丸、俺が落ち込む度に怒りゲージは溜まっていく、そろそろ必殺技が繰り広げられそうだ。
「陛下、私が著いています! 世界中が敵であろうともこのロクロウ、お側に居ります!」
やだ、何この子。
凄いかっこいいんですけど、騎士様?
ロクロウにめられつつも依頼書を読んでいく。
採取、討伐、護衛……様々な依頼が難易度、ジャンルごとに並べられていて理路整然、非常に見やすい。
付嬢が並べてるのだろうか、その冒険者への気遣いをり立てとは言え俺にも向けてしい。
そう言えばミスト達がいた村の討伐依頼は出てないんだな。
大分前からあったらしいし、依頼が出されててもおかしくは無いんだけど、まぁ良いか。
あっちはあっちで白熱し始めている。
ヤマカジのおっさんのパーティーメンバーだろうか、似たり寄ったりのタンクトップおっさん集団がぞろぞろ集まり始めた。
その數、なんと7人だ、あの辺りきっと加齢臭と汗くささが充満していることだろう。
現に付嬢が酸っぱい顔してるし、ザマー見ろである。
やべ、ちょっと臭い來てるわ【扇風】で向こうに送り返そう。
それとなく付嬢にぶつけてやるわ。
いやー、このスキル嫌がらせにうってつけだわ。
地味だからバレもしないし、悪戯に使えるな、悪用はしないぞ? 必要な時は躊躇わんがな。
「見てください陛下! あの付嬢の顰めっ面を、主に仇なすからこうなるのだ!」
俺以外には塩対応のロクロウさん、流石は魔、慈悲と同が一切無い。
む、待てよ? となると必然的に……。
サノーの方を見るとニッコリと微笑んで罵倒をけ流してはいるものの、俺には分かる。
こいつ、殺る気満々である。
さすがにそれはダメだろう。
ぼこぼこにするのは良いよ? でも殺っちゃダメだから、お願いやめて。
「はぁ……怒鳴り散らしている暇があるなら、しでもランクを上げるために依頼をこなした方が良いのでは? 晝間から飲んで新人に威張り散らすとは……」
溜め息を吐き、1拍おいて。
「暇なんですか?」
あ、これアカン奴や。
「ざけんな! その顔ぐちゃぐちゃにしてやんよ!」
おっさん達は冒険者からチンピラにジョブチェンジだ。
タンクトップ汗まみれな集団がサノーへと毆りかかる。
拳を振るう度に脂汗が飛び散る、非常に姑息な攻撃だ。
サノーは拳を脂汗共々素早く、表を変えずに回避する。
流石に脂ギトギトの汗が付著するのは嫌だったのか、かなり全力だ。
サノーの本気を出させるとは恐ろしいな、脂汗。
さて、そんな脂汗の行き先をちょちょいと【扇風】、サノー経由、付嬢行き。
「ぎゃー! 脂汗が!」
はっはっは、愉快痛快、阿鼻喚だ。
どんな場所からでも追尾する脂汗ホーミングの威力、とくと見よ!
さて、脂汗をかわしたサノーは、タンクトップの上から蹴りをれ、おっさん一人を飛ばし仲間へとぶつける。
ぶつかり合ったおっさん達はもみくちゃになって倒れていく。
おっさん同士の絡まり合いとは……誰も見たくは無いだろうな。
現に気分がちょっと……。
淡々とした表をしていたサノーだが、僅かに口角が上がっている。
楽しんできている、悪い兆候だな。
止めてやりたいのは山々だが、手に負えないので辭退します。
「陛下、止めなくて宜しいのですか?」
「さて何の事だろうか。他人のふり他人のふり」
僕は冒険者Bです。
あんなイケメンは知り合いにはいないのです。
現実逃避ぎみにボードを眺めておこう。
うん、なんか後ろからび聲とバキバキ言ってる音がするけどきっと床が抜けているんだろう、そうに違いない。
「ひぃぃぃ! 勘弁してくれぇぇぇぇ」
「良いぞーサノー様ぁ! もっとやっちゃってくださーい!」
付嬢は將來が不安である。
本來止める立場なんじゃ無かろうか。
ギルドマスターとかいたら減棒、もしくは停職、最悪クビだな。
付嬢の人生だから、僕は責任とれません、サノーが取ります。
どったんばったんやってると、當然周囲に気づかれる訳ですよ。
酒場にいた冒険者は檄を飛ばし楽しんでいて、その他の付嬢はサノーに釘付け、目がハート。失明すれば良いのに。
さてさて、このカオスな狀況から離するために、何か依頼をけて逃げようかな。
あ、時間かかりそう? じゃあ草刈りでもやっとくわ。
依頼ボードから付カウンターの方をチラ見する。
最初の付嬢はダメだな、相手にされないし。
おまけに何故か脂汗でベトベトだ、絶対に選びたくはない。
「ねぇ」
「ん?」
聲の主はの子だった。
俺と同じくらいかな、髪のが水でちょっとビックリした。
こんな人間いるのか、どんな伝子が組み込まれて髪のが変わってるんだろうか、不思議。
そのの子は革鎧を著けて、軽そうな格好をしていて華奢と言っても良いくらい細い。
スレンダー型で、絶壁がある、ラビィと良い勝負だ。
そして目を惹くのは背負っている大剣、そのの子の背丈よりも大きく重厚なものを軽々背負ってる。
「あれは貴方の連れ?」
サノーを指差す。
「いや、他人です」
さらっと噓つく。
「……そう、勝負して」
「何でやねん」
突然の勝負宣言を堂々とするの子。
何故そうなる!?
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