《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》永遠ループ

「店主、私にも料理」

店の奧にそう聲をかけた『竜狩り』のは俺と向かい側の席に座る。

どっか行けよ、なんで座るんだよ。

口に運んでいる途中だったスープを飲んで落ち著く事にする。うん、冷めてる。

幸い、皿に殘ってるは全然冷めてないのでこの際『竜狩り』は無視して食べるとしよう。

食べている間に向こうも料理が來たらしく、無言で食べ始める。

「……」

「……」

実に気不味い、食の音だけがやけに耳に聞こえる位だ。

あと、このが來た辺りから周りが靜かになったせいで、早くも帰りたい。

やたらとこちらに視線を向けてくるのは、他の冒険者とか、あ、商人っぽい人もいるな。

目があったけど反らされる、なんでだ?

「……アスカ」

「はん?」

なんだコイツ。

「私の名前」

「あ、そうですか……」

俺としては関わり合いになりたくは無いのだが……ここは名乗り返さなきゃ失禮だろうか。

「あ、俺はクロト。よろしく」

「ん、よろしく」

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なんか空気が緩むどころか張り詰めた気がするのは気のせいだと思いたい。

チラリと橫を見ると、商人のおっさんは驚き、冒険者達は「マジかよアイツ……名乗ったぞ」なんて言う始末、本當に俺は何かしたんでしょうか。

「クロト」

「ん? はい?」

「冒険者なりたて、右左わからない、私が教える?」

なんでこうカタコトで喋るのだろうか、まぁ良い、個

まぁ右左分からないのは當然だな、おまけに常識も知らないと來たもんだし……この提案に乗るのは良いんだが……。

どうしても気になるのは周りの奴らだ。

全員遠い目をしてるし、中には祈ってる奴とかいるし……これ絶対了承したらヤバいことになる奴じゃん。

あと、彼は多分有名人だ……悪い方に、いや、人を偏見で見るのは良くないとは思うが周りの反応だとそう思っちゃうじゃない。

それに、こっちは視察とか偵察って名目で來てるわけだ、目立つわけには行かない。

「遠慮するよ、そっちも忙しいだろうし。それに連れもいるからね、何とか自分達でやってみたいんだよ」

どうよ、咄嗟に考えたにしてはまともなお斷りは! これなら有無を言わさない奴だろ。

「冒険者なりたて、右左わからない、私が教える?」

これループする奴だ。

イエスかはいで答えなさいってか……はっはっは、バカじゃねぇの!?

初対面の時もループしてたなそう言えば、何この子凄い怖い。

これか、商人と冒険者が哀れな顔して見てたのは、この事だったのか!

ちくしょう、アイツら許さねぇ! 分かってたなら教えてくれよ……顔覚えてやるからな、面貸せや!

多分ギロッ! と擬音がつくレベルで睨み付けると、焦ったように首を振ったり手を振ったり。

え? 知ってれば注意してた?

予期せぬタイミングで現れたから助言する暇が無かったと……ははーん、さてはお前ら、良い奴だな。ありがとうございます。

しかたない、これは俺が招いたことだ。

……サノーを代わりにしよう。

あいつの子の扱い上手いだろ? ならこの子もあげる、おれ? ロクロウがいるから良いや。

主人公ライフはクロト経由サノー行きだ。

なお、クロト駅は現在封鎖中、開く予定はございませんのでご了承ください。

「……わかった。それなら教えてもらおうかなー」

「うん、明日。ギルドで待ってる」

料理をいつの間にか食べ終わっていたアスカは料金をテーブルに置き、宿となっている2階へ上がって行った。

マジかよ、同じ宿かよ。

変えようかな……ここしか空いてなかったけど。

遠い目をしてアスカの去って行った方を見つめていると、知らんおっさんから肩に腕を回される。

「坊主、不運だったな。まさか『竜狩り』のアスカに目を付けられるとはよ」

「……そうとうヤバいんですかね」

「そりゃあ、な……拒否と言うのを認めない永遠ループだ。その被害者はこの場にいるもれなく全員」

そりゃあんなに焦るわけだ。

「で、どうすんだよ」

「え? 何がですか?」

「明日、相當ヤバいぞ」

「……何があるんすか」

「アイツとの依頼は確実に死ねるレベルでな。心が折れる奴もいたんだよ」

「マジっすか」

「でも妙だな、『竜狩り』は初心者冒険者には手を出さなかった筈なんだが、ま、坊主が初めての相手だな! ドンマイ!」

笑えない、何、俺が最初って……そんな悪魔の洗禮あるのかここのギルド。

……なんで俺に目をつけたんだろうか、確か絡んできた時は魔力が多いとか何とか言ってたかな? 強そうな奴と戦うのが目的だったりするんだろうか。

でも俺はちゃんと負けたぞ? まぁ演技だったが……いやちゃんと戦っても、もちろん負けるけどな。

今考えても仕方ないか……。

それよりも明日、上手くサノーを導してアスカと共に行させよう。

何故か暖かい目で見られた俺は、ご飯代は奢って貰えた。

◇◇◇

部屋に戻った訳で、ショボいベッドに寢転がって明日の事を考える。

外はすっかり暗くなっていて、騒がしかった街も今では靜かだ。

所々で怒鳴り聲が聞こえるが、気にすることは無いだろう。

「ロクロウ」

「はっ!」

部屋にった瞬間にロクロウは開放した。

なんか足りないって雰囲気出してたがあれは何だったのだろうか。

とにもかくにもだ、まずはサノーに明日の朝ギルドへやって來る様にお願いし、俺はドタキャン。

まぁ、俺が來ないとなるとアスカも諦めてくれるだろうし、サノーを見つけて永遠ループさえしてくれれば俺は自由のになる。

と言うわけで、ロクロウ君だ。

「サノーに明日の朝、ギルドへ來てもらえるように伝言してきてしいんだけど」

「はっ、しかしながら陛下を護衛するものが居なくなるのは……」

「……多分大丈夫だと思うぞ、萬が一何かあったらギルドに逃げておくさ」

「畏まりました。ですが私はサイゾウやサスケの様に隠は出來かねますし、速度もそこそこですので申し訳ないのですがお時間がかかるかと……」

「そこは気にしないさ、無理言ってごめんな」

「滅相もございません! では、すぐに戻りますので、お待ちください!」

速度がそこそことか言う割りにはめちゃくちゃ速かったのだが、サスケとサイゾウはどれだけ速いのか気になってしまった。

……それにしても、スライムの中でも得意不得意出てきてるのか。

特化がサスケとサイゾウならロクロウは何特化何だろうか。今度聞いてみよう。

その後、早く戻ってきたロクロウは無事に伝えたそうだ。

なお、サノーは付嬢の家にお泊まりだそうで……お楽しみするんだろうかと考えたら途端に虛しくなってきた。

ロクロウを抱き枕代わりにふて寢する事にした。

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