《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》ぎるどますたーはにげだした!

その翌日、そのままギルドに向かおうものならアスカに見つかる可能があるとみた。

し遅れて宿を出て、ギルドの反対側に向かって歩くことにしよう。

ついでに観でもするかな、しだけだが……流石に仕事しないとなると、今日の宿が取れない可能も出てくるからな。

道行く人の流れに乗り、適當にブラブラとしていると、大変賑わっている場所にたどり著く。

多分、商業地區って奴だろうな。

道を挾むように様々な店が立ち並び、しでも商品を売ろうと朝から必死な聲をあげる人達。

や野菜を売っていたり、に人気のありそうなアクセサリーなどが立ち並ぶ場所、時々本當に売るつもりがあるのかと思うぶっきらぼうな店主のいる店とかある。

気になったのは、かなり隅っこにいるローブを纏ったじいさんだ。

地面に布をしき、骸骨やら腕のオブジェやらを売ってるみたいだ。近寄らない方がいいな、怪しいし。

そんなじでチラ見しつつ早足に商業地區を通過していく。

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し奧に行くと、テントなどを張って商売をしている先程の商業地區ではなく、ちゃんと建に商品を並べている、いわば店が立ち並ぶ場所に著く。

こちらは服や材木など、生活必需品などを売っている場所っぽいな。

さっきとは違って落ち著いた雰囲気だ、こっちの方が好みだな。

なお、ここに來たのは2度目だったりする。

街にり、武を売るためだけにここに一瞬だけ立ち寄り、あとはすぐにギルドに向かったのでのんびり見ている暇は無かった。

実際、俺は武を何一つとして持ってないんだが何かしら持っていた方が良いだろうか。

そんな事を考えながらも、武屋にることにする。

短剣くらい持っておいた方が良いだろう、必要経費だ。

屋にるところで人にぶつかってしまった。

「お、済まねぇな」

「キン、またお前は前を見てなかったのか、済まない、俺からも謝る」

「ぼ、僕も謝った方が良いですかね? ごめんなさい」

見知った顔だった。

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と言っても向こうは知らないと思うけどな、何しろ2ヶ月くらい前の話だし、あれ? 2ヶ月だっけ?

まぁ、良いぶつかったのは冒険者のキン、ギン、ドウのパーティーだ。

うん、スライムにボコられた憐れな奴らだ、最初の侵者なので覚えてるぞ。

「いえ、此方こそみてなかったので。すみませんね」

「こりゃ丁寧な奴だな! 武屋ってこたぁ、冒険者か? 見ない顔だな」

「何分、昨日登録したばかりでしてね」

「そりゃ知らねぇ訳だわ。俺はキン! このパーティーのリーダーだ、何か困った事があれば遠慮なく聞いてくれや」

男臭い笑みをらしながら手を差し出すキン。

格はよく長もある、名前の通り金髪の髪を短く切り揃えた戦士だ。

ひとまず握手は返しておこう、困っている事かぁ、アスカの事どうにかしてくれないだろうか。

いや、評判良くなさそうだし、拒否されそうだ。ここはアスカの事は知らないフリをしよう。

「助かります」

「しかしよ、冒険者になるってのに武持ってねぇのか?」

「全部街にるのと登録料で消えましてね」

「……ありがちだな」

「ありがちなんですね」

「俺もそうだったからな!」

ガハハと自慢げに笑うキンだが、何の自慢にもならない。

うーむ、しかしコイツらダンジョンの事を喋ってない様だな、見張りスライムがいるし、いつ殺られるか分かったもんじゃない。

ストレスが溜まっていてもおかしくは無いんだけどな……。

ジーっとキンを見つめていると、ドウが俺を見ている事に気がついた。

目を合わせるもすぐに反らされる、うーん、疑り深い格っぽいな。

「なにか?」

「いや、何でもない」

ドウの容姿は顔は整っており、長い茶髪で、ローブのフードを被った魔法使いっぽい。どんな魔法が使えるのか気になるところだ。

「お前さんはギンと同じくらいの年頃っぽいな、コイツ人見知りだから仲良くしてやって來れ」

そう言うとキンは隣にいる俺と同じ年位の年を背中を押して前に出す。

一瞬よろめいたものの、のこなしが良いのか、立て直しが速かった……と思う。

「ぎ、ギンです。よろしくお願いしますっ!」

勢いよく頭を下げるギン。

人とすぐ仲良くなれそうなキンとはちょっとばかし似てない。

髪は銀髪、可らしい顔立ちをしている、男の娘みたいなじだ。

何せ華奢だし、本當に男かコイツ……どんな伝子でこの兄弟になるのやら。

「よろしく、俺はクロト。よかったら仲良くしてくれ」

おどおどとしているが、握手にはしっかり応じてくれた。

「キン、そろそろ依頼の時間だ」

「マジでか、悪いなクロトよ。俺たちゃこの辺で失禮するぜ、この街にいりゃまた會うだろ、じゃあな!」

そう言うとキン達はギルドのある方向へ向かって行った。

アスカ辺りに喋らなきゃ良いけどな、ダメだなアイツは喋りそうだ。

ならばさっさと買うものを買って逃げよう。

気を取り直し、武屋へとっていく。

◇◇◇

side:キン

「どう思う、キン」

「あん? 何がだ」

ギルドに向かっている途中、不意にドウが話しかけてくる。

「何がって、さっきの……クロト、だったか。どう思う」

「どうって、普通の新人冒険者だろ。筋はないし、あまり強そうには見えねぇけど」

「ドウさんの考えすぎじゃないですか? のこなしも普通でしたし」

珍しくギンが意見してくるとはな、友達になれそうな奴が出來て嬉しいのかね。

「だとしてもあの落ち著き様はおかしいと思わんのか?」

「そりゃお前の考えすぎだっつーの、ギンがいつもおどおどしてるから他をそう見るだけだろ? あのときから疑り深くなりすぎだっつーの」

ったくよぉ、ドウの奴は元々疑り深い奴だが、ダンジョンの1件からそれが増した。

いやぁ、まさかスライムにボッコボコにされるとは思わなかったからな。

それにドウの野郎、どうにかして伝えようと必死になってたけど伝えようとした瞬間、何処からか殺気と、何故か串焼きの串が飛んでくる。

その時點で監視されているのが分かったが、諦めの悪いドウの奴は何度も挑戦するが見事に潰された。

正直そのストレスはすげぇ、何せ四六時中監視されているんだったら、こっちが連れ込んでるのも見られてるんだぞ。おれ、そんな癖ない。

まぁ、特に何をしてくる訳でもないし、気にしなければ後は慣れたんだがな。

ドウは神経質だからまだ気になるみたいだが、どこ探しても見つからないんじゃ意味ねぇよな。

「しかしな、」

「はいはい、ギルド著いたぞ」

うるせぇったらありゃしねぇよ。

そんなこんなでギルドに著いた訳だが……なんか靜かな気がすんだよな。嫌な予がする。

ギルドにってみると、空気が重い。

何事かと思い周りを見渡すと……あぁ、マジかよ、帰ってきてたのか『竜狩り』の奴。

「げ、『竜狩り』」

「聞こえるからやめとけ、さっさと依頼けるぞ」

俺達はさっさと、依頼をけるためにボードへ移し、かつて無い早さで依頼容を見て付へと向かおうとする。

しでも早く! 奴のいない場所へ!

「ねぇ」

……終わった。

「な、なんだ?」

「聞きたい」

ついに捕まったか……。

これは逃げられねぇな、諦めよう。

振り返った俺は視線を下げて『竜狩り』を見る、すると珍しいことに『竜狩り』の後ろには男がいたのだ。

顔はいかにも調が悪そうに見えるほど蒼白だが、顔立ちは今までで見た中ではかなり良い。

し細だが、引き締まっているってのが良く分かる。

まぁ、『竜狩り』も年頃のの子だからな、顔立ちも悪くねぇし、こう言う時もあるだろうと予測してたが……年上かぁ。

「う、噓だ。アスカちゃんが男を……」

の子に目がないギンだが、さすがの『竜狩り』……アスカには苦手意識があった。

アスカの奴とは以前依頼を一緒にこなしたが、驚くほど強い。そして協調ゼロで単騎突撃を繰り返して後処理に追われた。

だからぶっちゃけ、一緒に仕事はしたくないってのが本音で、それは被害にあった奴は全員だ。

『竜狩り』のアスカは強さもさることながら、単獨行が目立つのでギルドでも恐れられて誰も近づくことはない。

しかし、そんなアスカにも連れが出來るとは……人生何が起こるか分からんな!

「聞いてる?」

「お、すまねぇ。なんだったか」

「人を探してる」

「んなの俺らに聞かれてもな……どんな奴だ?」

「私と同じくらい、黒髪、冒険者」

アスカ位の年の冒険者は結構いるからなぁ……ギンもそうだしよぉ。

ん? 黒髪?

「名前とか分かるか?」

「ん、クロト」

クロトかぁ、あ、武屋で會った奴じゃねぇか!

「何でまた、そんな奴を?」

「依頼、ける。約束した」

……なるほど、こりゃあの年、アスカの事を知らないまま約束を取り付けたな? で、あとから知って逃げた訳か。

すげぇな! 分かってたら逆にできねぇぞそれ!

「その様子、知ってる。早く言う」

「お、おう。たしか、武屋の方にいたぞ」

「助かる」

そう言うとアスカは凄いスピードでギルドから出ていった。

「……クロト様め、私を囮に使いましたね」

連れの男もなんか呟いて走っていった。

……何だったんだ?

「ほら見ろ、キン! 先程の年は、やっぱり怪しいだろうが!」

「お、おう……さすがに俺も何者か気になったわ」

ひとまず依頼をけよう。

クロト、だっけか? まぁ、同するぜ、こんど何か奢ってやろう。

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