《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》採取は楽勝である、採取は

採取依頼に來ている。

なんでも、薬草を拾えば拾うほど払われる報酬は高くなるそうだが、生態系の影響も考慮して上限は決まっているらしい。

完全な歩合制である。

まぁ、元々冒険者って職業が歩合制そのものなんだけど。

と言うわけで街の外に出て、し歩いたところにある森に、お目當ての薬草があるそうな。

ただこの薬草、他の草とあまり見分けがつかないので、わりと俺たちは苦戦しているのだ。

「クロト、これはどう?」

アスカが拾った草を俺のもとへ持ってくる。

「これは……雑草だな。この辺かもうちょっと尖っている奴が薬草らしい」

「む、わかった」

一瞬眉を歪めて悔しそうにしたアスカはまた戻っていく。

俺もキョロキョロしながらも草をかき分けて薬草を採取していく。

「サノー、どうだ?」

「はい、此方も結構捗っています」

サノーは何の問題もなさそうだ。

頭が良いってやっぱり優秀だな。

「しっかし、アスカが全く薬草の知識がないとは……」

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そう、依頼に行き、薬草はどういうものかと聞けばアスカは首を傾げたのだ。

つまりさっぱり分からんと言うことだった。

と言うのも、アスカは討伐を専門にしてきたらしく、採取依頼と言うのは人生初らしい。

「む、ごめん。もっと簡単だと思ってた」

「いやいや、気にするなよ。薬草の特徴は門番さんから聞いたし」

俺の前の茂みから顔をだし、申し訳無さそうな顔をするアスカにそう返す。

街の人が言うには、普段は無表らしいが、わりとんな表を見ている気がする。

「採取依頼は初めて。難しい」

「まぁ、誰にでも得手不手ってあるし、仕方ないだろ」

「でも、楽しい」

「ん、そうか」

「1つ不服なのは、ドキドキしない」

普通に危険や困難を求める『竜狩り』。

ドMなのだろうか、俺としては危険がない方が嬉しいんだが。

「ま、それは追々やってくれ」

「ん、そうする」

「所で薬草は見つけたか?」

「これ」

「……雑草だな」

「……む」

◇◇◇

その後、順調に薬草を採ることができた。

依頼は最大30本だが、俺が13、サノーが16、アスカが1本である。

なお、雑草の數ならダントツでアスカな模様。

「悔しい」

「討伐ばかりやってたなら仕方ないんじゃないのか?」

「クロトは初めての依頼だった。私はそこそこ長い……なのな負けた」

勝ち負けは関係ないと思うんですけど。

「安心しろ、戦いなら勝てる気がしないから」

「……信用できない」

まだに持ってる様だ、忘れてしいんだがな。

ギルドへと戻ってきた俺達は他の冒険者に騒がれた。

「おいおい、大丈夫だったか!? 『竜狩り』との依頼なんて薬草採取でも過酷なもんだろ!?」

アスカは隨分と恐れられている様です。

片っ端から冒険者に挑んでいたらしいし、ボコボコにされたやっぱ數知れないのでは無いだろうか。

実際にはアスカが非常に足を引っ張ったんだが、言わぬが華ってな。黙っておくとしよう。

「まぁ、ただの採取依頼ですし、何も危険はありませんでしたよ」

「見たとこ外傷もないようだし……何かあったらちゃんと言えよ?」

冒険者って意外と優しいのな。

そんな人達をい込んでDPに還元してしまおうと考えている俺はどうなのだろうか。

まぁ良いか、その時はその時だな。

「クロト、次はどうする?」

「……まだやる気だったのか」

「當然、冒険者は討伐してこそ。次は戦う」

「俺はごめんなんだけど……サノー、どうよ」

「私はクロトは様の護衛ですので離れるわけには……」

言外に一人にしないでと聞こえる気がするし目が必死だ。

そういえば決闘してたよな? その時はどういう戦いだったんだろうか。

……聞くのはよそう。

だが良く考えよう。

お前俺から結構離れてたからな!?

お泊まりまでしやがって! パーリナイしてたのか、あぁ!?

「クロト、さっさと次いく」

「いや、だからちょっと……」

なんとか回避したいところなんだが。

「アスカさん、居ますか!?」

ギルドの奧からサノーに目がハートだった付嬢が相抱えてやって來た。

「なに?」

「良かった、実はコボルトの群れが出現したそうで、討伐に向かってしいのです!」

「コボルト?」

なんじゃそりゃ。

「ん、コボルトは魔。集団で來る、けど弱い。私が出るまでもない」

平然として顔でアスカは付嬢へ視線を向けるが、付嬢は首を橫に振った。

「実は、その群れが中々大規模でして、4つの群れが混同となっているらしく、リーダー格が4いる上にキングが居るようでして……とても並みの冒険者達では対処しきれないんです」

キング……なるほど、コボルトにもゴブリンみたいな進化種があるんだな。

うちのゴブリン達はホブゴブリンが殆どでキングなんかは居ない。

向こうの方が実力は高そうだな、量としてはだけど。

「他にも手伝ってくれる冒険者には聲を掛けてあるのですが、切り札としてアスカさんの協力がしいんです。報酬は弾みますので!」

「む、わかった。街が無くなるのは私も困る」

アスカは了承したようだ。

ぜひとも頑張ってしい、出來れば暫くは帰ってこなくても良い。

「詳しい話は現場にいるキンさん達に聞いてください! 私は他の冒険者にも聲をかけるので!」

「ん、わかった」

付嬢は走って酒場で飲もうとしている冒険者達に聲をかけていた。

お、あの踴り子のばあさんまた踴ってやがる。見るに耐えない。

「ん、クロト行く」

……おかしいな。幻聴が聞こえている気がする。

「クロト? コボルト退治」

ダメだな、今日はきっと疲れているんだ。

宿に帰って休まなきゃな~!

全力で走りギルドから飛び出そうとしたところで、アスカに襟首を捕まえられる。

「ぐぇっ!」

「クロトもやる気満々。これは楽しみ」

変な誤解をされている気がする。

おう、勿論帰る気満々だぞ! だから離して下さい!

相変わらずのバカ力により、宿とは真逆の外へとアスカは向かう。

……どうやら、俺も討伐に參加するらしい。

戦えねえって言ってんだろ!?

俺の気持ちは1ミリたりともアスカは汲んでくれない。

こうなったら此方にも考えがあるのだよ、ふっふっふ。

「サノー、著いてきてよ」

「いえ、私は々用事が」

「噓つけ、俺の護衛でしょうが、サボろうとするならミストに言いつけるぞ」

「……素晴らしい格してますね」

「譽め言葉としてけとる。さっさとついてこーい」

渋々といった様子でサノーは俺とアスカに著いてきた。

なんか素直に言うこと聞いてくれないけど、あれ、おかしいな、俺ってダンジョンマスターだよな? 1番偉い筈なんだけど……。

協力関係だし、仕方ないと言えば仕方ないか。

ただし、ミストは既に手懐けているのでもう関係があやふやになってきている。

サノーもウノーもどこかこっちを信頼してない気がする。

何れ仲良くなれると良いだろう、この街で襲いかかってこようものなら俺は全力で逃げる。覚悟しておけよ?

「早く行く」

「あ、うん。だから引き摺るのは止めて?」

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