《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》コボルト退治!

さて、魔退治にやって來た。

無理矢理連れ回されているのは解せないが、良く良く考えたら魔と戦うのは初めての挑戦と言う奴である。

普段はダンジョンに引きこもっているし、たまに外には出るけどあの森、魔はゴブリン以外は見たことが無いんだよな。不思議だ。

まともに戦ったのはいつだっただろうか……ミストとの棒倒し位のものじゃないかね?

え、棒倒しも立派な戦いだろ、命懸けだったからなあれ。

あと、砂の奴かな。

でもあれは殆ど追いかけっこだな、うん、俺まともに戦ってねぇや。

もちろんこれからも戦うつもりは一切ないので悪しからずってな。

はどうやらこのマルタの街から北へ進んだ所の森でたむろしているらしい。

どこのチンピラなのだろうか、三流がすごい。

幸い、俺のダンジョンは南側で半日はかかる。

なので簡単に行き著くことはまず無いだろう、むしろ來てほしくない。

時刻としてはまだもうすぐ晝を過ぎる頃で、コボルトの群れを見張っている冒険者、キンだっけ? そいつらと徒歩で合流するとなるとおやつの時間に差し掛かるんじゃ無かろうか。

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あ、付嬢とかにコボルトの群れの話をしに來たのはキンの弟であるギンだった。

なお、現在同行中である。

「馬車って揺れるのな~、吐きそうだ」

「ははっ、僕も最初はそうでしたけど慣れますよ」

徒歩で行けば時間がかなりかかるらしいので馬車を用意してくれた。

時間との勝負らしく、いち早く『竜狩り』を投するためにギルドから借りけた。

アスカ様々だね! ただ、こんなに揺れるとは思わなかった。

も良く見ると形が歪になってたし、おまけに街道もガタガタしてるんだなこれが。

「うおっと」

大きな石でも踏んだのか、かなり大きな揺れとなり、バランスを崩した。

「ん、大丈夫?」

「す、すまん」

「ん、気にしないで」

何故か俺の隣に座るアスカにけ止められ、頭を打つと言う事はなかった訳だ。

「ところでなんでコボルトが群れてるのですか?」

コホンと咳をしてサノーがギンへと質問する。

たしか、4つくらいの群れが統率されたんだったか……。

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急な話だな。

「はい、僕達のパーティーは定期的にんな所での調査をしているんですが、今回もその1つでして、偶然見つけてしまったんですよ。それで割りと街に近いから見張りと応援を呼んだんです」

「なるほど、確かにここからだとすぐに到達しそうですから、警戒は怠れませんね」

「はい、でもアスカちゃんが居てくれたなら、百人力ですからね」

「ん、私に任せておけば大丈夫」

アスカはないを張って自信ありげに言う。

に変化があまりないので、ふざけてるのか真剣なのかはいまいち分からないけど。

「あ、見えてきましたよ」

ギンに言われて馬車の外を見ると、目的地の森が見える。

そしてちらほらと灰の人影が……あれがコボルトだろうか。

森の中と外を行ったり來たり、見張りなのか迷子なのか良くわからない。

ただ、此方には気がついていないようで、見向きもしないのだ。

完全に隠れてもいない馬車を見つけられないとはとんだアホである。

馬車がもうし進んだところで速度が落ちていく、どうやらここまでの様だな。

俺達は順番に馬車を降りると、見慣れた顔が小走りしてくる。

「來てくれたか、助かるぜ。ギン、伝達助かった」

「いえ、當然のことですよ兄さん」

駆け寄ってきたのはキンとドウの二人、時折森の方を見ているのは警戒は怠らないって事かな。

確かうちに來たときも警戒はしてたな。そしてスライムに負けると言うね……。

黒歴史だろうな。

「『竜狩り』も、今回は頼んだ」

「ん、今回だけじゃなくても問題ない」

「あ、あぁ。機會があったらな」

キンがひきつった笑顔を見せている。

……これはコイツらも被害者だな。

そして視線が俺を向く。

「お、クロト……だったか。さっきぶりだな」

「何かと縁があるのかも知れないですね」

「まぁ、無事でなによりだ」

おい、知ってるからな。

お前が告発したことは知ってるからな俺は、よーし決めた。

おまえ、もう一回ダンジョンにれてやるからな。

さて、個人的な恨み言はその辺にしておき、さっさと帰りたいので済ませてもらおう。

「コボルト達はどうするんですか?」

「あぁ、今のところ森で騒がしくしてるが出てくる様子はないし、今が叩きどころだとは思うんだが」

「じゃあ行く」

「それもそうだな!」

隣のアスカはヤル気満々に答える。

作戦なしである。ガンガンいこうぜ!

「おい、作戦は立てなくても良いのか? 相手は4つの群れだぞ。無策に飛び込むべきじゃない」

「そうですよ兄さん。腕利きと言われてますけど僕らDランクですし、さすがに大正しきれないですって。まだ來る予定の応援を待ちましょうよ」

そう言えば他にも聲をかけるとか言ってたか。

なんで一緒に出発しなかったのだろうか、疑問である。

「聞くところによると、そこの『竜狩り』急かしたおかげらしいですよ。クロト様」

「え、マジで。とばっちりじゃん」

補足をサノーがしてくれたが、アスカさんよ……足並み揃えていこうぜ!

薄々じてはいる、というかほぼ確信に近いのだが、アスカは友達がいないな。

まぁ、本人には言わないでおこう。

そんなこんなでワイワイガヤガヤと作戦を立てるか立てないか言い合うこと數十分、遅れて他の馬車がやって來て、わりと大人數となった。

で、結局は能筋の集まりが殆どになり、突っ込むことになったわけだ。

「相手はコボルトだ! だが上位種が絶対にいる! 油斷はしないでぶち殺せ!」

「「「「おおぉぉぉぉぉ!!!!」」」」

びをあげ、森に突っ込んでいく冒険者達、び聲と地面を蹴る力により軽い振がくる。

◇◇◇

「んじゃ、こっちもボチボチ行きますかね」

「ええ、そうですね」

「陛下のお心のままに」

冒険者達が走っていくその後ろ、スタート地點からいていない俺達は森を回り込むように移する。

完全な別行だ、この數の冒険者達がいればどさくさに紛れて別行が可能となるとみた。

目的は當然、コボルトとと言う點は一緒だが、俺に戦うつもりは一切ない。

だって負けるもの、殺し合いが全てじゃないからな。

単純に、コボルトの戦力と言うものを見たい訳だよ。

もしかしたらダンジョンに萬が一でやって來るかもしれないし。

あと冒険者見たいにドライな行が出來ないってのもある。

なにせ、俺は魔と會話ができるし、向こうにもがあって普通の人間と変わらないのだ。おまけに生活もしてるしさ、殺す殺さないは俺にはまだ出來ん。

ひとまずコボルトの人となりが気になってる訳だが、別行したのは先にたどり著いておきたいってのがあるからだ。

冒険者達と進めばいちいち全部倒さなきゃならんわけで、先に進みすぎると止められる可能がデカイ。

単獨行なら一気に進めると思うわけだよ。幸い、こちらには優秀な護衛がついているからな、格に難はあるけど。

俺達は森を歩いていく。

◇◇◇

side:キン

「グルルゥ!」

前方から、1匹のコボルトが冒険者から奪っただろう、錆び付いている剣を雑に振り回し俺に接近してくる。

「ッラァ!」

「ギャンッ!」

勿論、そんな生ぬるい剣で殺られるほど落ちぶれてる訳がねぇ。

攻撃と攻撃の間にできるバカデカイ隙をついてこちらも剣で突き刺し、息のを止める。

冒険者にり立ての頃はやっぱゴブリンやコボルトみたいな人形の魔を殺すってのは躊躇われるもんだが、そのになれちまった。

と人は違うからな、殺すのに躊躇いなんて要らねぇ!

周りではまだまだ沸いてくるコボルトの群れに、他の俺と同等くらいの冒険者達が勇猛に突き進んでいく。

これだけの數だからな、報酬も期待できるからやる気が上がるのも無理はねぇ!

俺のパーティーメンバーである、ギンやドウも活躍していた。

「その木に隠れてます!」

「任せろ!」

持ち前の観察力でギンは不規則にきながらも、索敵し他の冒険者へコボルトの居場所を伝えていく。

「東側から敵の援軍が來るぞ! 弓矢で牽制しつつこの場の敵をしでも減らすんだ!」

「おうよ!」

一方、優秀な指揮ができるドウは他の冒険者を使って即興で作戦をたてて実行し、見事に相手を罠に嵌めていく。

優秀なパーティーメンバーだ、さすがはなじみと兄弟だな、俺には勿ねぇ。

俺か? 俺は……目の前の敵をぶちのめすだけだ!

「どっせぇぇぇぇい!」

1匹のコボルトの頭を摑んで振り回し、他のやつにぶつけていく。

うん、考えるのが苦手な俺にはこれがしっくり來るな。

とまあ、他の冒険者達と協力しながらも著々と進めている。

とりわけ1番貢獻度が高いのは言うまでもなく……、

「グルルゥ!」

「バァウ!」

「ウォォォン!」

「む、遅い」

一辺に連攜をとりつつ武を振るコボルト達は、アスカの背丈程の大きさの大剣の一薙ぎにより上半と下半に別れていく。

どこにそんな膂力があるのか、他の大剣使いとは段違いの速さで切り裂いていく。

普通、大剣って言うのはその重さを武にして押し潰すように敵を斬るんだが、アスカはおかしい。

俺らのように普通のロングソードを振る見たいに切り裂いていくんだ。

重さに引っ張られているみたいだが、それを利用して攻撃しているんだから戦闘のセンスも並みじゃないことは良くわかった。

「これがBランク異名持ちかぁ、化けもんだな」

コボルト討伐はすぐに終わりそうだな……。

あれ? クロトの奴はどこ行った?

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