《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》コボルト退治!その2

森の中は普段の靜寂がなくなり、喧騒が止まない。

の雄び、それに合わせて大きくなる冒険者達の咆哮、互いにびながらも武をぶつけ合っている。

そんな中、俺、ロクロウ、サノーは冒険者達からは離れ、森を迂回してコボルトの長みたいな奴に會いに行こうかなと思いまして。

「方向はここであってるのか?」

「えぇ、魔力の流れから力が強い個がこの方向にいるようです」

へぇ、魔力の流れか~。

全くわかんねぇな、俺には無理だな。

そう言えばアスカも魔力がどうのこうの言ってたような? まぁ、あれはロクロウの魔力であって俺のではないので勘違い乙って奴だ。

歩くこと數分、當然全部のコボルトが冒険者の方向へ行ってるわけはなく、運悪く出くわした。

「あぁん!? 何見てんだコラァ!」

「見せもんじゃねぇぞオラァ!」

「やんのかハァァァン!?」

現れたのはチンピラだった。

コボルトなんだけどね、木の付近でしゃがみこんでこっちを睨み付けている。

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そして先程の臺詞だ。

「おうおうおう! いつまで見てやがんだアァン!?」

「ケヒャヒャ、コイツら俺達にビビってんじゃね?」

「おー、そりゃ可哀想なこった! どうれ、めてやろうじゃねぇか!」

ニシシと笑いながらゆっくり近づいてくるコボルト達。

サノーも俺も言葉が出ない上にけない。

俺達を取り囲んだコボルト達は周辺を回りながらも笑う。

「おいおい、萎しちまってるよ」

「そりゃ俺達ゃサイキョーだからな、戦いにもなんねえって」

「格好からして冒険者ってやつかぁ? 不運だなぁ、ここは危ない所でちゅよー」

「ギャッハハ! なんだその言い方! センスあるなぁ!」

……はっ! あまりの三下臭に固まっていたようだ。

見るからにアホなしゃべり方だから、ついつい聞きってしまった。

こんな奴って本當に要るんだなぁ……。

サノーも、可哀想な者を見る目をしているが、笑い転げているアホなコボルトどもは気がついてない様だ。

「コボルトがこういう輩とは……」

「言ってやるなロクロウ。俺も意外だった」

「どうしますか、クロト様? どうにも通してはくれないようですが」

どうにもこうとすると、笑っている癖に微妙にコボルト達は通せんぼをしてくる。

実に嫌らしい邪魔をするではないか。

「逃がすわけねぇだろ?」

「有り金置いて行きなぁ!」

「おいおい、人間に俺達の言葉がわかるわけねぇだろ!?」

「それもそうだ、ギャッハハ!」

……なんかどんどん腹立ってきたな、コイツらかまけている時間はないのだ。

急がねばアスカがボスを両斷してしまう、迅速にく必要があるな。

「と言うわけで、サノー、ロクロウ。やっておしまいなさい!」

「承知致しました!」

「了承」

全くの直立狀態からトップスピードに乗ったサノー、コボルトは笑うのに夢中でサノーの接近に気がつかないまま、強烈な蹴りが繰り出される。

「ゴハァッ!?」」

「おい、どうした……ブハッ!?」

「な、スライム!? ドベヘッ」

サノーに夢中になっている間に俺の服からすり抜けたロクロウの強烈な當たりが一に直撃。

そしてその一を吹き飛ばす反で起を変えてもう一をあっさりと倒す。

うーむ、弱すぎる。いや、こっちの戦力がおそらく強いんだろうか、良くわからない。

俺か? 俺は、その場からいてないぞ、危ないし。

一切容赦のないサノーとロクロウの攻撃、恐るべし。

どうしってやっぱり弱強食の世界なんだろうか。

「いっでぇぇぇ!」

「な、何なんだよコイツら!?」

「あ、兄貴ぃぃぃ!!」

思いの外タフだったコボルト達は今の攻撃で戦意を喪失し、森の奧へとふらふらとしながらも逃げていった。

俺ならあの攻撃を食らったら見も心も折れるね、天晴れだな。

「どうしますか、今なら追い付き殺せますが」

そんな騒なことをサノーが言うが、當然卻下、これはチャンスでもあるのだ。

「いや、アイツ等を追いかけるのが1番良いだろ。多分自分達よりも上位種、強いやつの所に援軍を求める筈だし」

「分かりました」

「陛下、足元が危ないのでご注意を」

◇◇◇

「あ、兄貴ぃぃぃ!!」

「冒険者が、逆から來やがった!」

「しかも強ぇ!」

何とか逃げ出したコボルト達は、自分達よりもしだけ格の良いコボルトへとすがり付いていた。

普通のコボルトはわりと細なのだが、こっちの上位種っぽい奴はがっしりとしている。

にしてもさすがはコボルトと言った所か、俊敏に長けているのだろう、足が速かった。

俺も全力で追いかけたけど、足場も悪いせいで今、酸素不足である。

「脇腹痛い……」

「な!? 陛下に攻撃が……護衛として失態! 申し訳ありません!」

シンプルに運不足ですので、どうぞお構い無く。

「おう、てめぇらか……うちの舎弟どもを可がってくれたのはよぉ」

「やっちゃって下さい兄貴ぃ!」

「カッコいいっす!」

「兄貴が出たからにはお前らは終わりだぜ!」

急に調子の良いことを言い出したコボルト達は、兄貴と呼ばれるコボルトの上位種の周りを跳ねている。

あ、きすぎて痛めてた場所ぶり返してる、アホだな。

「……へ、恐ろしすぎて聲もでねぇか。肩も小刻みに震えてやがる、舐めた真似するからだぜ?」

いや、酸欠です。

あと、膝ガックガクなだけです。

「じゃあ、まぁ、お禮はしてやるとするか……オラァ! ベフゥゥゥ!?」

一切けない俺に攻撃を仕掛けようと爪を立てたコボルトの上位種は踏み出すと同時に後方へ吹き飛んだ。

見ればプヨンと著地した緑のスライム、ロクロウがいた。

「陛下へは指一本、このロクロウがいる限りれさせはせん!」

すっげぇ逞しいのなんのって。

一方飛んでいったコボルトの上位種は後ろにいた他のコボルト連中を巻き添えにけずにいた。

「な、ゴハッ。スライムごときにこんなにダメージが!?」

強化済みであるスライムは、コボルトの上位種相手にワンパンらしい。

いやー、スッゴいわ、放置してたらこんなに育つとは、雑草みたいだな。

「と言うか兄貴、スライムが人間と一緒にいるなんて聞いたこと無いですって!」

「やべぇですよ! コイツら!」

「それにあの黒髪……1歩もいてないし……1番ヤバイかも!?」

けないだけです。

「ちっ! こうなったら……來い! 同胞どもよ!」

空へと向けて遠吠えをするコボルト上位種。

そしてその遠吠えが森に木霊して數秒後、3つの方向から応えるように遠吠えがやってくる。

「ケヒャヒャ、コイツらはゼッテェ許さねぇ……この森にいるコボルトリーダーで叩きのめす!」

「リーダー全員を呼ぶんですか!?」

「はは、てめぇらも終わりだぜ!」

「いや、まずアイツらに俺達の言葉分かりませんって」

それもそうだな! と仲間を呼んでいることで余裕が出たのか、ツボッた様に笑い出すコボルトとコボルト上位種……コボルトリーダーだった。

だが笑ったおでまた痛みをぶり返し、見悶えていた。

「おい、呼んだか!」

「敵だって話だろ?」

「アレか? 見るからに弱そうだぞ……スライムに、人間と人間っぽいが良く見たらアレも魔か」

先程吹き飛ばしたコボルトリーダーの後ろの茂みから、同じような格のコボルトリーダー達がやってくる。

おそらく、コイツら4匹がコボルトの群れを最初に率いていた奴らだろうか。

あと、サノーが魔ってことはバレた。

犬、いや狼か……そんなじの魔だし、何か特有の臭いとかが分かったんだろう。

「強いぞ、そいつらは」

「ははっ、こんな奴らに負けるとはお前らも間抜けだな?」

「こんな奴ら俺一人で充分だぜ?」

「おいおい、俺にも楽しませろよな。最近は人間と戦うなんてしてねぇんだからよ」

「じゃあ、早い者勝ちで」

「「いいねぇ!」」

そう言うや否や、勢い良く飛び込んでくるコボルトリーダー3匹。

バカにされたのに何も言い返さなかったコボルトリーダーの方は、ニヤリと笑って……いや、狼面だから良くわからないな。たぶん笑ってる。

「陛下にはれさせんぞ、獣ども!」

「護衛が命令ですから。仕事はしましょう」

対するロクロウとサノーも飛び出していく。

馬鹿正直に正面きって突っ込んでくるコボルトリーダー達に、ロクロウ達は付き合わない。

小刻みにジグザグにロクロウはき回り、コボルトリーダーの視線を揺るがす。

そして緩急をつけ、速度をあげ、鳩尾へキツい當たりをして吹き飛ばす。

サノーは走っている途中で地面を蹴りあげ、落ち葉や砂を撒き散らす。

砂が目にはいり、目を押さえたコボルトリーダーへと蹴りをれる。

なかなかえげつない事をする奴だな。

いきなり両隣のコボルトリーダーがやられた事に驚いた殘りの1匹に、左からはロクロウ、右からはサノーの攻撃が飛び、顔の左右に當たりと蹴りをサンドイッチされ、その場に崩れ落ちた。

「け、ざまぁ見やがれ!」

「兄貴の忠告を聞かねぇからだ!」

「良い気味だぜ!」

「でも、これヤバくないっすか?」

最後のコボルトの一言で急に靜まり帰るコボルトリーダーとコボルトは、互いに顔を見合わせると。

「「「「お、おやび~ん!」」」」

またしても逃げていった。

「どうしますか?」

「追いかけるぞちくしょう!」

痛い脇腹を再び痛めるとわかりながらも、走るしかなかった。

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