《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》コボルト退治! 決著!

「おうおうおうおう! てめぇらかぁ、ウチのめしてガキ共と仲良くしてくれたのはよぉ!」

痛む脇腹を抑え、酸素不足により死ぬほど苦しみながらもコボルト達を追いかけた先にいたのはやたらデカイコボルトだった。

どうやらコイツが群れを統括したボスで間違いないだろう。

だってコボルトリーダーがオヤビンって言って逃げたんだもの。

正直、のんきに観察している余裕はない。

だって疲れたんだもの! くそぉ、アスカに捕まってさえいなければ宿屋でぐーたらしている予定だったのに!

「オヤビンオヤビン、人間に俺達の言葉は通じませんって」

「……それそそうだな! ダッハッハッハ!」

「さすがはオヤビン! 笑いの腕っぷしも天下一品っすわ!」

ギャハハと笑い転げるコボルト達、なんなのそれ、魔界隈では鉄板のギャグなのか?

全く笑えないぞ、どうなってるんだ魔は。

「た、大変ですオヤビン!」

「どうしたぁ!」

俺らが來た方向とは違う場所から新たなコボルトが慌てた様子でやってくる。

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「む、向こうで戦っている同胞が次々とやられています!」

「おいおい! 向こうは100匹はいる筈だろ! どうなってんだ!」

「そ、それが、他もそうですが、一際強すぎるがいるんです! 大のやつはソイツに!」

ほうほう、一際強すぎる……か、アスカだなきっと。

不味いな……このままでは俺らの存在がバレてしまう。

早く片をつけたい所だな。

「ちっ、俺様が出るしかねぇか。まずはテメェらから片付けやるぜ!」

向こうも焦っている様で、こっちに敵意むき出しだ。

やっべチビりそう。

他のコボルトやコボルトリーダーよりもしだけ大きく、頭も良さそうだ。

他のコボルトがボロボロな革鎧なのに対しコボルトオヤビンは何の素材かは知らないが上質な革鎧、そして鉄でできた肘當ての様なものを著けており、剣を握っていた。

「へへ、オヤビンはたった1匹で俺らの群れを薙ぎ払ったんだ、流石のテメェらも勝てる道理はねぇぜ!」

「だから言葉通じねぇって」

「それもそうか! ギャハハ!」

もう何度目になるだろうかと言うほどギャグを繰り返してくるのでいい加減腹が立ってきた。

「あのギャグ五月蝿いな」

「えぇ、さすがに何度も聞くと飽きますね」

「陛下の前で下らん茶番をするとは言語道斷、叩き潰しましょう」

「アスカにバレる前に撤退したいからな、さっさと倒そう」

「了解しました」

向こうは準備萬端な様で、既に走りにる手前だ。

俺が戦うなら既にこっちが手遅れだけど、サノーとかロクロウなら問題はないだろう、多分。

「とっとと終わらせるぜぇ! ガァァウ!」

コボルトオヤビンは頭から飛び出し、その長い牙で噛みついてこようと突進を開始する。

その剣使わねぇのかよ!

俺はしだけ後退する、れ替わるようにサノー、ロクロウは前に出る。

しだけサノーが前なのは撃退はサノーでロクロウはあくまでも守備に回ると言うところか。

いつそんな連攜の取り方を學んだのか、マスター置いてきぼりでちょっと悲しい。

コボルトオヤビンの噛みつきがサノーに迫る瞬間に、サノーはギリギリで回避しつつ、足を振り上げ、コボルトオヤビンの下顎をかち上げ、無理やり口を閉じさせた。

そしてそのまま俺の方向へと突っ込んでくるコボルトオヤビンを、前に躍り出たロクロウがをフルに使って軌道をずらすと同時に渾のビンタをする。

直角に曲がったコボルトオヤビンは茂みの中へグッバイ。

だが、中々タフなのか、すぐに起き上がってくる。

「中々やるじゃねぇか! おもしろくなってきたぜ!」

「手加減とは言え、あまり聞いていないですね……群れを一人で薙ぎ払ったと言うのは法螺ではない様だ」

単純に群れが弱かったんじゃないかと思っていたが、コイツが特別強いらしい。

というかサノー、手加減だったのか、俺なら死んでるぞ。

「しかし、俺様の牙を折ってくれたことは許さねぇ、ぶっ殺す!」

良く良く見ればあの立派な牙が1本綺麗に抜け落ちてる。

まぁ顔にあれだけ攻撃されりゃ折れるでしょうね。

再び毆りかかってくるコボルトオヤビンは、流石に今度は剣を振っていた。

その間、他のコボルト達も黙って見ている訳でもなく、俺に向かって襲いかかってくる様子だ。

「あの人間は多分雑魚だ! アイツから殺ってしは減らすぞ!」

「「「おう!」」」

コボルトリーダーとコボルト3匹が俺に向かってくるようだ。

雑魚と言うことがバレてしまった。

「ロクロウ、來るぞ!」

「お任せを!」

コボルトオヤビンは……サノーに任せれば良いだろう。

俺も最下級魔法で目眩ましくらいはできる筈、ロクロウをサポートするとしよう。

気休めに短剣を構えて如何にも戦えますと言う雰囲気を纏う。

膝がガクガクである!

俺とロクロウの方向へとやって來るコボルトリーダーとコボルト。

いざ、どうやって避けようかと考えていると。

「陛下が手を下すまでもありません。お見せしましょう、私の力を!」

ぐぐっとばし、む勢いでコボルト達に突っ込んでくロクロウ。

これはあれだ、ゴムを飛ばす要領に似てる!

「はぁぁ!」

「くぉっ!?」

「ぐぎゃ!?」

「ギャンッ!」

「ウベッ!」

ピンホールの様にコボルトに當たれば次のコボルトへと言うように無限ループの當たりを行う。

結構な打撃を食らったコボルト達は為すもなく倒れていった。

すげぇわロクロウさん、こんな技見たことないッスわ。

「まだまだ、改良の余地があります」

「へ、へぇ、そうなんだ。頑張ってね?」

「はっ、お褒めの言葉、ありがたく頂戴致します!」

ともかくこちらの戦闘は終わった訳だし、サノーの方は……あ、終わってる。

うつ伏せにボロボロになっているコボルトオヤビンの上に座っているサノーは、どこか遠くを見つめていた。

「どうした?」

「クロト様……そろそろ冒険者が近づいてきますよ」

「え、マジ。バレると面倒だしさっさと行くか」

「かしこまりました」

コボルトオヤビンから立ち上がったサノーと、服にロクロウをれてそそくさと退散しようとすると、

「待て!」

オヤビンに呼び止められた。

振り替えると真剣な表をしている。顔は腫れてるけど。

「何で殺さねぇ!」

あれ、おかしいな、言葉は通じない設定の筈なんだが。

あれか、その場の雰囲気的な奴で通じると思ったみたいな?

面倒だな……無視しても良いが、もう會わないし答えておこう。

「殺す理由はないかな」

「は?」

「おたくら、ただ群れてただけじゃん。人を殺してる訳でも襲ってた訳でもないらしいし、何もしていない奴らに冒険者はともかく、俺は殺すなんて真似まではしない」

「じゃ、じゃあ何でここに……」

「無理矢理連れてこられたの、逃げても良かったんだけど、ちょっとボスが気になったから來た。好奇心だよ」

さて、そろそろいきますか。

マジで奧から冒険者達の聲が聞こえるし。

「そろそろ冒険者がやって來るぞ。お前らも生き殘るために逃げなよ。じゃあね!」

ぬおおおっ! ダッシュで逃げる! アスカにバレると々付き合わされる!

あ、脇腹いてぇ!

逃げている途中、一瞬アスカが見えた気がしたけど気のせいだよね!

◇◇◇

【コボルトオヤビン】

すら持ってねぇ人間にボコボコにされてプライドがズタズタになった俺は、走っていった人間の言葉に唖然としてその方向をみていた。

「言葉通じるのかよ!」

ずっと通じねぇもんだと思ってたし、最後も雰囲気で話しかけたけど返事が來ると思わなかった。

あまりにも自然に喋ってくるもんで、こっちも普通にけ答えしちまったよ!

俺は存外、タフだからか、まだ余裕は殘ってる。しは心にゆとりがあるわけだ。

「殺す理由はない……か」

人間は魔を見ると襲いかかってくる奴らだとしか思ってなかったが……ありゃ異常な人間殿だな。

力でしか従わせる事が出來ない俺にはスゲェって思ったわ。

この力で何かデカイ事をし遂げようと思ってたんだが、所詮は世界を知らなかったって事だな

弱そうに見せてかなり頭が良いな……あの人間の下に著いたら、もっとデカイ事をし遂げられそうだ。

っと、俺は耳が良いからな。

人間の足音が聞こえてきた。

あの方にさっそく駆けつけたい所だが……今は生き殘る事を考えるとするか。

「全コボルトに告ぐ! 生き殘るために、逃走を開始しろ! 命を優先しろ!」

最大の雄びで避難指示を出し、周りのコボルトリーダーやコボルトもたたき起こして俺達はこの森から遠く離れた場所を目指して逃げた。

また、いずれ會いましょうぜ! オヤビン!

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