《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》族長の悩み

なにやらカッコつけてシリアスな雰囲気を出してみたが、ちょっと恥ずかしい。

なんだよ、裏切るつもりじゃ無いだろうな? とか、カッコつけすぎかよ。

まぁ確かに裏切られるのは嫌だし、本當に裏切られたりなんかしたらショックで寢込む自信がある。

せっかく仲良くなれたと一方的にだが思っている俺としては、傷心は免れないと言うか絶対に泣いちゃう。

そんな心は顔には出さず……出てないよね? 大丈夫だよね? 真剣な表を全力で作りながらホブゴブリンの族長を見る。

「勿論だ、マスターには恩があるし裏切るつもりなんて微塵もない」

族長は真剣な眼差しでしっかりと俺を見つめている。これは裏切りと言う線は無いだろう。

むしろこれが演技なら本気で泣くからな? 2度とマスタールームから出てこない自信が俺にはある。

ダンジョン? 知るかボケ、こちとら手違い召喚じゃアホんだら。

さて、こんなに真面目な顔をされると俺の方も困る訳だ、何せシリアスムードだ。

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ここからコメディ路線にるのは危険だ、しかも二人きりなのだ気まずくなるに決まってる。

友好な関係に俺としてはヒビをれたくないんだよな……。

せっかくの友達が裏切りましたなんて一生もののトラウマになる。

ともあれ、族長が裏切る様子はたぶん無いと思うけど、萬が一と言う事もあるし何をしに行くのか気になる。

「裏切るつもりが無いってのはわかった。族長、これからどこに行くつもりなんだ?」

「それは……」

ここでまた言い渋る族長、そんなに俺は信じられませんか!?

仕方ない、強行手段だ、不安の種は取り除く。

畑に生えた雑草は抜かなきゃならないからな。

「俺は仲間だと思ってたんだがな……どうやら勘違いだったか」

しゅんとしつつ足元の石ころを軽く蹴飛ばす。

技、揺らし! この技は相手に疚しい隠し事などがある場合、一定の信頼を勝ち取っている瞬間に効果が絶大となる!

あ、俺って信頼されてるんだっけ? ちょっと不安になってきた。

「悪い、マスター。これは俺の、元ゴブリン族、ひいてはこの森の問題だ。マスターを巻き込むわけには行かないんだ」

ほうほう、森の問題か。

サスケから前に聞かされた話ではこのダンジョンがあるのはゴブリンの縄張りのど真ん中だとか。

他の詳しい話はまだ聞いていないのだが、他にも魔がいるんだろうか。

……熊か? あの熊野郎のことか?

まぁ、あれはなんか強いってじだし、たぶん違うだろう。

さてさて森の問題と、ゴブリン族の問題かぁ、なるほど。

関係大ありではないだろうか?

俺ってゴブリンの縄張りにダンジョン作ったと言うか作られた所に放り込まれた訳だし、そこに住むゴブリン達とは友好的になって実質ゴブリンの縄張りは俺の縄張りでは無いだろうか。

する條件は揃いに揃っている気がする。

「と言うわけで、案よろしく」

「ちょっと待て!? 何が?! 何がと言うわけなんだマスター!?」

「あ、言葉にするの忘れてた。お前らの縄張りは俺のもの、ちょっかい出す不安の種は潰します」

「ちょっと何言ってるか分かんない」

「そうだなぁ、仲間の悩みは俺の悩み、ダンジョンの問題だ。當然ダメだと言われても首を突っ込む」

ここだけは譲れない。

もしもこの問題でダンジョンに不利益があると手遅れになると困る。

無理矢理であろうとも首を突っ込むからな。

「はぁ、本當に巻き込みたく無かったんだが……」

「まぁ、緒にしててもこっちで勝手に調べる予定だったけどな」

「酷いな!」

いや、危険とか嫌だし。

備えあれば憂いなしって言うだろ。

譲ろうとしない俺についに折れた族長は渋々と言ったじで、同行を許可してくれた。

そして俺は誰かに護衛を頼もうと思い、ダンジョンにメッセージを飛ばす。

『某が! 某が行きますぞ主!』

『大將は何度か行ってるだろ、旦那、俺が行く』

『待って下さいよ、私もご主人様の護衛したい!』

『……わ、私も立候補しますっ』

『そろそろ私も旦那様と一緒したいわね』

『やれやれ、ここは私、セイカイが向かいましょう』

『『『卻下!』』』

『何でですか!?』

『ガッハッハ、兄者おもしれぇ!』

『我が行こう、華麗に我が君をお守りしようではないか!』

『ちょ、そろそろ僕も外出たいんだよ!』

『決まらないならオイラが行くよ?』

『貴様らぁ! 陛下の前で騒ぐなぁ!』

『ロクロウが1番五月蝿い!』

護衛の護の字を出した瞬間にこの騒ぎが帰ってきた。

全部が全部、大音量なので、耳がキーンと鳴る。

恐らく向こうではスライム達がみくちゃになっていることだろう。

誰でも良いから早く來いや。

◇◇◇

「いやー、やっと出られたんだよ! やったねー!」

俺は今ダンジョンから出て、コスケと共に族長の案のもと目的地へと向かっていた。

最終的にはルーレットによる選てコスケが勝ち取ってきたらしく、ルンルン気分でき回っている。アホな犬を見ている気分だ。

開拓など一切されていない森の獣道を通り、歩くこと小一時間程。

宴が始まったのがおやつの時間帯だったので、今では空が夕焼けに染まっていた。

収穫って普通丸一日とか、日をいでとかでやるものだと思ったが、力も筋力も段違いな魔からすれは特に休憩なんて無くても作業ができるらしい。

俺には無理だな。

「著いたぜ」

そんなことを考えているとしだけ開けた場所に出てくる。

広場みたいだな、開拓なんてされてる筈がないと思ってたんだけど。

まだまだ報が足りてないのかもしれない。

広場の奧にはまだ道が続いている様だ。

「主君、何かくるよ」

コスケの言葉に反応すると同時に向こうの茂みから影が出てくる。

「ゴブリン族よ、ワテらに縄張りを明け渡す覚悟は出來たでごわすか!」

調が二メートル程で、族長よりも大きい、そして格もかなり厳ついがむくじゃら、その腰に申し訳程度に腰簑を著けている顔が豚の様な奴が出てきた。

──オーク。

俺が知る限り、それで合っていると思う。

この森、他にも魔が居たのか……やっぱりサスケ達にもうし広めの範囲で探索してもらおう。

「うわ、豚じゃん」

コスケか凄いぶれいなことばを初対面の奴に言いやがった。

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