《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》対決! ホブゴブリンVSオーク
【オーク族長】
「ど、どうなっているでごわすか!」
ワテらは戦いが始まり、意気揚々とホブゴブリンの陣地へとまっすぐ向かう。
當然ワテらの陣地には罠なんてものは無いでごわす。
そんなものは必要ないとばかりに皆が作ることを拒否した結果でごわす。
ワテらオークは老若男問わず怪力でごわすから力業でホブゴブリン程度は捩じ伏せることが可能と判斷した結果でごわすけど、ワテとしてはそんなに上手く行くかとは思ったのでごわすが多數決にはいかに族長とは言え簡単に覆すことは難しい。
そもそもオークは余り頭が良くない種族だとワテは自覚しているでごわす。
他は知らん。
他のオーク達は目先の利益しか考えられない頭でごわす、自分達がしでも勝っているものがあればごり押しするのが基本で作戦などは余り考えることはないでごわす。
なので自分達が飢える事を恐れワテらの種族よりも弱いゴブリン達の領地で食料を盜むなんて事を仕出かした。
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冷靜な面ではなんてことを……と思ったでごわすが所詮はワテもオーク。
心のどこかででかした! と思ったことは否定しないでごわす。
どこか言い訳がましいでごわすが事実でごわす。
とまあ、ワテもホブゴブリンには負けるつもりは無いのでごわすが油斷は出來ないのでごわす。
実際ワテらはホブゴブリンが進化する前のゴブリンにすら追い返され続けていると言うのを皆が忘れていると思うでごわす。
記憶力が他のオークには足りぬでごわす。
ゴブリンは狡猾で己の足らぬ所は技で補う。
が小さいならば知恵で。
力が無いならば罠で。
そうやって種族的に優位なワテらと長年渡り合ってきた。
ワテらの弱點を知り、學習し次に生かす。
……ぶっちゃけ尊敬に値するとワテ思うんでごわすけど。
話がずれているでごわす。
ともかくゴブリンは頭が良かった。
ホブゴブリンになればなおさらだと言うのは當たり前だった。
だがそれでも考える力の足りないワテらオークはホブゴブリンの陣地にった途端に無數の罠に進行を阻まれた。
「うわ、落としだぁあぁあ!」
先行していたオークの1人が落としで姿を消す。
「う、うわぁぁぁぁあ!」
すぐ橫を歩いていたオークが木に吊るされる。
「げっ、の糞だ!」
後ろを歩いていたオークが何かしらの糞を踏む。
そう言った罠の數々により、ワテらら攻めあぐねていた。
そしてまだ、ホブゴブリンは1人足りとも発見しておらず、完全に策に嵌まってしまったと言わざるを得ない。
「敵ながら見事でごわす」
今回、スライム様の主の人間からは殺す事は止されていると言う話でごわすから罠も殺傷はない筈、ならばワテらの長所である耐久力くと怪力で無理やり道を開くでごわす!
「皆の者! 罠は強力でごわすがなんてことないでごわす! 自慢の怪力で破壊して森を迂回! ホブゴブリン達を倒すでごわす!」
アホを使うには単純な命令が一番でごわす!
この命令だけでも充分効果は期待できるはず。
「うおぁぁぁあぁぁぁ! 族長に続くぞ!」
こ う か は ば つ ぐ ん だ !
ワテの鼓舞が聞いたのか他のオーク達の士気が上がり、落としに落ちた者は這い出てくる。
吊るされた者は枝をへし折って降りてくる。
糞を踏んだ者はそのまま踏み続け進軍する。
むしろ糞を優先して踏んでいくのだが、そこは避けても良いとワテは思うでごわす。
◇◇◇
【ホブゴブリン族長】
俺達は苦戦していた。
いや、相手のオークが侵してきたとかそう言う事じゃない。
未だにさ1人もオークの姿を見かけていないのだからまだ俺達謹製の罠に嵌まっている事だろう。ざまあみろ。
「族長! 変な顔してないで考えてくださいよ!」
おっと、オークどもが俺達の罠にかかっている所を想像していたら他の連中に文句を言われてしまった。
それはそうだろう、今は戦いの途中であり油斷している暇など無い。
俺も早く現狀を打破するために考えないといけない。
何を考えるかって?
オークが戦闘開始から全く姿を見せていないのは俺達の仕掛けが効果を発揮している証拠だ。
恐らく數歩進んだらすぐに次の罠が襲いかかるので、休む暇も無い筈。
だが、やつらの驚異的な耐久力なら俺たちと出會っても余力は殘されている可能が高いので油斷は出來ない。
だが、オークはのろまな奴が多い。
それに対して俺達は俊敏ならスライムの方々には劣るものの、中々のものだと自負している。
その足の早さを利用してオーク達とは出會わずに迂回して相手方の旗を取りに行くと言う算段だった。
それがもっとも効率的だとみんなで考えた結果だ。
そして今、俺達は重大な問題を抱えていた。
「うおっ! 誰だここに落とし作った奴!」
危うく落としに落ちそうになる奴。
「ぬぉあ! あっぶね、吊るされる所だった」
ロープに足をとられ木に吊るされかける奴。
「げ、の糞!? 良くこんなもん仕掛ける奴いるな!」
余所見しているとうっかりと踏みつけそうになるの糞。
そう、俺達は自分たちで仕掛けた罠に嵌まっている。
作りすぎた。
いかに自分達の陣地へとオークどもを侵させまいとして作りまくった罠に自分達で引っ掛かると言うアホな事になってやがるのだ。
無數にある罠のおで自分達が陣地から出て攻めに行けないと言う失敗をしちまった俺らは四苦八苦している。
「族長、このままだとこっちが不利になるぞ! どうする!?」
近くにいたホブゴブリンから狀況の打破をせっつかれる。
ホブゴブリンは耐久力的な面ではオークに遙かに劣る、俺達は鍛えているとは言えそれでも誤差の範囲だろう。
このまま罠で消耗してオークに出會うのは痛手だ。
だったらしを切ることになるが勝ちを優先するべきだろう。
「お前ら罠の無い範囲まで迂回するぞ! 邪魔な罠は壊しても構わん! オークよりも先に旗を取ることを優先する!」
大事なのは勝利することだ、マスターの顔に泥を塗る真似は絶対に出來ない。
「「「おおおおおおぉぉ!!!」」」
俺の作戦というか打開策に賛同の雄びが聞こえる。
そしてそこからの行は早く、罠は最低限は殘して殘りは切り崩しながら森を迂回する。
なんとか森を迂回することに功していた俺達は俺達の陣地を抜け出すことに功する。
そして──
「ぬぉぁ!? ホブゴブリンでごわす!」
まさかのオークどもと出會ってしまった。
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