《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》激突! ホブゴブリンVSオーク
それから數分間、ワテらは毆りあっていた・・・・・・・。
おかしい、ワテらオークは筋力だけならかなり強い筈でごわす。
まともに打ち合える魔なんてこの森には居なかった。
そもそも森に魔があまりいないと言うのも有るでごわす。
結構前に、ただのである熊と出くわしたがあれは別、化けあいつ。
爪は痛いしこっちの突進は避けた上で反撃してくるし、用に取っ組み合いだってしてくるのだから質が悪すぎる。
なんであれなの? とワテも思った程。
それは例外として、1発1発の威力なら木にへこみをつけることすら可能なワテらオークでごわすが、それを真正面からこのホブゴブリンはけ止めて反撃してきている。
「ど、どうなっているでごわす!?」
今もワテの拳を右腕でガードし、空いている左腕で素早い反撃が飛んでくる。しかも結構重い。
ホブゴブリンってこんなに強かったっけ!?
ちょっとおかしくない!?
「オラァァァ!」
ちょ、今もなんか鋭い蹴り飛んできたんでごわすが!?
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それは後ろに飛んで距離を作り、回避することに功する。
「ちっ、オークの割には素早いじゃねぇか……」
「それはこっちの臺詞でごわす。ホブゴブリンの癖に強すぎるでごわすよ」
「鍛えてるもんでな、俺だって驚いてんだ」
苦笑いをしながらも獰猛な目付きでワテを見據える。
これ絶対ワテのこと舐めてるよね、舐めきっちゃってるでごわすよね?
そうでごわすか、ワテはそんなに弱く見えるでごわすか……後悔させてやるでごわすよ!
ワテは地面を強くけりつけ、その勢いでホブゴブリンへと接近し再び拳を振るう。
「なっ!?」
ホブゴブリンはなんとか鳩尾に食らうことなくガードをしたようでごわすが、それでも威力を殺しきれず後退し木へと激突する。
ワテが今の今まで本気を出していたと思ったら大間違いでごわす。
數で負けているであろう狀況で全力を出して早々に退場なんてヘマをワテはしない。
ワテの攻撃で多はダメージを負ったのか、ホブゴブリンは膝をつく。
「だーはっはっはー! ワテを舐めてるからこうなるでごわすよ!」
「くっそ腹立つ!」
口調は軽い様でごわすがふらついていることからダメージは抜けきっていないと予測出來るでごわす。
このまま止めをとワテは思ったが、何かおかしい。
他のホブゴブリンの姿が見當たらないでごわす。
當然數の有利はこっちにある。
しかし悔しいかな質としてはワテが見た限り向こうが上。
連攜もとれていてまんまとワテらを分斷に功し確固撃破をして見せているでごわす。
數人はワテが吹き飛ばし、他のオークもそれなりに倒していた筈だ。
それで數は向こうも減って消耗しているのは分かるでごわすが、自軍の旗がとられそうだと言うのに呑気に休んでいるなんて事はあり得ないでごわす。
いくらそこのホブゴブリンが一騎討ちをんだからと言ってそれで勝ちを捨てるほど愚かでは無いでごわす。
「……時間稼ぎでごわすか?」
「っ!」
ワテの呟きに反応を見せるホブゴブリン。
どうやら図星の様でごわす。
それなら確かに周りに気配が無いのも頷けるでごわすな。
ワテをここに引き付けてその隙にオークの陣地に向かい旗をとる。
満足にけるのはワテだけの様でごわすから、ワテだけ抑えていれば行けると踏んだ訳だ。
ただ、その作戦は殆ど自軍の生命線とも言える旗の前に厄介な敵をれなければならないと言う欠點があるでごわす。
そして、ワテがホブゴブリンを無視して旗をとりさえすればオークの勝ちでごわすよ!
こっちに他のホブゴブリンが流れ込まないのはこのホブゴブリンの族長が自分達の罠だらけの陣地から抜け出す為の時間を稼いで、一気にワテらの陣地から旗を取るつもりでごわす。
そしてそれは今も続いている。
ワテがもたつている間にも迫って來ているのだろう、そうはさせないでごわす。
「お前との戦闘はここまででごわす! その旗貰った!」
◇◇◇
【ホブゴブリン族長】
俺は今驚いている。
あの言わずと知れた怪力のオークと數分にわたり毆り合うことが出來ていた。
進化して強くはなっていると分かっていたが、俺が戦ってきた相手は他のホブゴブリンか十勇士だけで、実際の戦闘力はそれほど良く分かっていなかった。
だから初戦闘であるオークとの戦い、正直不安はあった。
連攜は上手くいくのか、俺達は本當に強いのかとかな。
だからこの戦いは有難い。
実戦経験も積めるし俺が、俺達がどのくらい強いのかを知る良い機會だからな。
んで、仲間の闘のおかげでオークの數を減らすことに功する。
その変わりに他も疲れきってけないみたいだけどな。
その間に俺は自軍の旗の前に戻って來ることが出來た。
時間としてはギリギリだったけどな。
まさかオークの族長が一直線に突っ込んでくるとは思わなかった。
「これは鍛え直しですね!」
ホブゴブリン陣地の旗の隣に桃のスライム、サイゾウさんが明るく恐ろしい事を言う。
この方はマスターの直轄ユキムラさんの部下のスライムではあるが恐ろしく強い。
リーチの差はあるもののそれを帳消しにするくらいの速さでボコボコにされる。
ユキムラさん及び十勇士には頭が上がらないし、逆らう事なんて出來ない。
恐ろしい存在だ。
そんな彼に醜態をさらしてしまった俺らの結末や如何に……。
と遠い目をして考えている間にオークの族長がやって來て戦闘が開始されたのが今までの経緯だ。
話は戻るが俺はオークと真正面から毆り合っている。
地獄みたいな訓練の果だろうか、それでもオークの一撃は重くなんとか耐えていると言ったところだ。
まだ余裕は殘ってはいるがな。
訓練して漸く渡り合っていると言うことは、鍛えてなかった場合、すぐにやられていただろう。
萬が一マスターの庇護下にっていなければ滅んでいたのは俺達かも知れない。
オークめ……強すぎるだろ!
するとどうだろう、本気になったのかオークが一段と早いきを見せ、咄嗟にガードしたが重の差もあり俺は吹き飛ばされて膝をつく。
重すぎだろ!
だが、俺はこの位の攻撃なら幾らでもけて來た。
すぐにはけないがそれで倒れる程でもない。
「……時間稼ぎでごわすか?」
「っ!」
なんかもたもたしてたら急に話しかけられた。
思わずビックリして顔を上げたら何か我が意を得たり! とばかりに笑ってる。
なんだこいつ、おかしくなったか?
するとオークはすぐそこにある俺達の旗へと突進する。
マズい! アレをとられるのは本當にマズい!
マスターの為に勝なきゃ行けねぇってのに休憩してる暇なんざねぇ!
急いで立ち上がった俺もオークを止めるために走り、間一髪の所で全全霊のタックルで吹き飛ばす。
あいつは前のめりに突っ込んで來るのだから橫からの衝撃に弱い。
あっさりとバランスを崩して倒れる。
「旗はとらせねぇよ!」
「ぬぉぉぉぉぁぁ! 勝つのはワテらでごわすぅぅう!」
みくちゃになり、視界が上下にき周り若干気持ち悪くなってくる。
俺はここでこいつを倒さなければならない。
他のやつらは殘念だがオークとの戦いで休んでいて俺達はまだオークを攻めるための手筈は整っていないのだ。
だから俺はここでこいつを倒さなければならない!
くそっ、力じゃ勝てない。
全力で止めてはいるがじわじわと旗の元に真っ直ぐオークは向かい……そして、
「ぬぉぉぉぉぁぁ! 取ったでごわすぅぅぅぅぅ!!!」
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