《勇者のパーティーから追い出されましたが、最強になってスローライフ送れそうなので別にいいです》彼はパーティーを追い出され

「バグス、君はもうこのパーティーに必要ない」

  朝に起きて開口一番、俺に告げられたのはそんな殘酷な言葉だった。

 

  告げてきたのは俺の所屬しているパーティーの要、魔導師のフェルグスだ。周囲には他のパーティーメンバーもおり、俺の事を無機質な、あるいは哀れみを込めた目で見つめている。

「……そりゃまた唐突な。一応聞くが、理由は何だ?」

  このパーティーは、世界に現界した異端の存在、『星魔王』を倒す為に結された。

  長らく人間世界は平和そのものだったが、ある日人間の住む場所とは別の、霊大陸に隕石が落ちてきた。

  するとどうだろうか、これまでには存在しなかった魔が世界中に出現し始め、人々を次々と襲い始めたのだ。

  恐らく霊大陸は全て魔に占拠されており、人間大陸も三分の一が魔に占領されている狀態にまで陥った。この狀況を重く見た國家は、同盟を結すると共に各國から名士を募り、星魔王討伐のパーティーを組み上げた。

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  最高峰のスキル、『勇猛ブレイブハート』を所持し、あらゆる分野において才能を持つ正真正銘の勇者、メリダ・ハートガード。

  最大にして最高の魔法をる大魔導師、フェルグス・ドートレス。

  絶対的な防でパーティーを守護する騎士、パール・アナストレア。

  死者すらも蘇らせる聖、ハルート・フィン。

  魔どころか世界すら欺ける怪盜、フェイク・ライアー。

  そしてそのスキルから《火焔》との二つ名が付く俺、バグス・ラナーである。

  軍の支援こそあるものの、俺たち勇者パーティーにより人間大陸はほぼ魔の手から解放、殘すは霊大陸に存在する星魔王のみとなり、世界は平和への道筋を歩もうとしていた。

  そんな最中、霊大陸に渡ってから數日経ってから唐突に言い渡された言葉。彼らの顔が至極真面目だったとしても、その言葉の理由が半ば分かっていたとしても俺はその真意を問い質さずには居られなかった。

「君のスキル、《火焔》は確かに強力だ。ただ、はっきり言わせてもらうと君にはそれしか無い。それ以外無いんだよ」

「おいおい、お前は魔法で戦ってるから分からないかもしれないが、スキルってのは重要なんだぜ?  ほら、そこの勇者さんだってスキルで……」

「戯言はいい。君の能力は代替が効く、理由はそれだけで十分だろう?  わかるか?」

「……っ」

  確かに、フェルグスの言うことは事実だ。俺のスキルはあくまで炎を出し、それをること。それ以外に脳はない。

  スキルとは、神から與えられた一つの才能。それ以外にも力を得る手段はあるが、その強さが人を測る一種の指標になっているという事も事実である。

  その為、この勇者パーティーに選ばれている時點で俺の才能は十分にあると言えたのかも知れない。だが、それ以外に適を持たない俺は、徐々に弱くなっていった。嫌、周りの奴らが強くなっていっただけかもしれない。

  パーティーを組んで初めのうちこそ、俺のスキルは有用だった。スキルによる制限は非常に緩く、魔力と違ってリソースの枯渇を気にする必要もない。個々の戦力が心許なかった頃は、よく他のパーティーメンバーからも頼られただ。

  ただ、忘れてはならなかったのがスキルに長する余地は無いということ。神から與えられた才能だけでは、生きていくことは出來ない。

  長し、様々な才能を手にしていく仲間達を見て徐々に焦りが生まれてくる。俺の火力は日に日に通用しなくなり、遂には俺の互換すら可能になる始末。

  勿論、俺だって指を咥えて見ているだけではない。スキル以外の點でもパーティーの役に立てるよう努力はした。魔法、、日々の雑事、エトセトラ……。

  恥を忍んで仲間に師事を仰いだこともある。だが、所詮俺には才能が無かった。才能の指標であるスキルは強力でも、肝心の才能が無いとはなんたる皮か。

  結局、徐々に強くなる魔に対して決定打を持たなくなった俺は、前線からも外されることになった。やることといえば、荷持ちか火起こしか。

  心の何処かで屈辱はじていたが、それでも世界を救えるのならと騙し騙しここまでやってきた。だが、遂に恐れていたことが顕在化してしまったのだ。

「……そうか。俺はもう、用済みか」

「そ、そういう訳じゃ無いの!  ただ、この霊大陸の魔は非常に危険だって分かったから、その……」

  聲を上げたのは、勇者のメリダ。恐らく俺の用済みという発言を否定したかったのだろう。言葉の先を言い淀んだのも、彼の善の発とでも言うべきか。

  だが、その先の言葉が分かってしまったからこそ、俺にはもう耐えることは出來なかった。

「……わかったよ。お前らとの旅もここまでだな」

「……帰りには僕達の通って來た道を使うといい。そこなら大方の魔は討伐されているだろうから、君でも安全に通れるだろう。荷を纏めたらすぐに出発しろ」

「ちょっと、そんな言い方しなくても!」

「いや、いいよ……迷かけて悪かったな」

「バグスさん……」

「……フン」

  彼らの目線をけながら、俺は自の荷を纏め始める。ぼんやりと滲んだ視界は涙の為か。いくら拭っても、次から次へと溢れ出てくる。

  星魔王討伐を目前にしたある日。俺は勇者パーティーをクビになったーー。

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