《創の転生者〜最強魔導師の転生記〜》第4話 心の傷

「とりあえず何か食べようか。お腹空いてるでしょ?」

「お腹・・・あ、そうか。あるんだった」

「え?」

「なんでもないです。食べられるのならなんでもいいです」

胃を引きずり出される拷問をけたのだが、胃が既に再生していることを思い出し答える。食事はこの半年間取っていなかったので本當に久しぶりだ。

「・・・そう?じゃすぐに準備してくるからね」

「・・・はい」

何故、ここまでしてくれるのだろう。僕は屋敷の中で聞いた話で、自分が忌み子であることを聞いていた。おそらくそれが共通の認識なら、セレスさんもここまで世話をしてくれることもないだろう。この白銀の髪が忌み子の象徴というのは人間の間だけなのだろうか・・・

しばらくボーっとしていると、セレスさんが食事を運んできた。胃に優しそうな、卵のお粥のようだ。それを見た瞬間に、半年ぶりに胃が音を鳴らす。

「ふふふ。ちょっと待ってね。すぐに冷ましてあげるから」

そう言って彼はスプーンでおかゆを掬い、自分の口の前でフーフーっと冷ましてから、僕の口まで運んでくる。別にそこまでしなくても自分で食べれるのだが・・・

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そう進言すると、

「ひどい怪我の重癥患者が何を言ってるの!ここは大人しく看病されてなさい」

だそうだ。魔法を使えばすぐに完治するのだが、実際のダメージは蓄積するので出來るだけ避けたい。と言うことで大人しく看病されることにした。

「はいどーぞ」

「あむっ」

口を開けてお粥を食べる。そこで僕はあることに気がつく。

味をじないのだ。お粥の味しそうなからして、味はしっかりとついているようだが・・・

「どう?味しい?」

「ごめんなさい・・・味をじないんだ」

「え?いや、しっかり味付けはしたわよ」

「・・・味覚がないんだ・・・・」

「あ・・・」

セレスはわかったようだ。実際、僕は舌を焼かれる拷問を何度もけているのだ。おそらくその時に味覚を失ってしまったのだろう・・・だが何故治らなかったのだろう?失ったのなら、僕の魔法ですぐに治るはずだが・・・

「でも、わかるよ。これはすごく味しい。初めて食べる食事がこれで・・・本當に良かったよ・・・食事なんて久しぶり・・・」

「久しぶりって・・・どれだけ食べてなかったの?」

「拷問が始まったあの日から、栄養剤見たいな注が僕の食事みたいなものだった」

「・・・・」

言葉を失ってしまったようだ。それはそうだろう。拷問時に心が壊れてしまったとはいえ、まだ5歳の子供なのだ。そんな子供が自分がけたことのないような苦痛を験してきたのだ。僕を拾ってから、おそらくショッキングなことばかり聞いているだろう。だが殘念ながら、楽しい思い出を僕はもう持っていなかった・・・・・・・・。

「ねえ。泣いたりはしなかったの?」

「最初の方は泣きんだんだ。でもそのうち泣かなくなったよ。心がついていかなかったんだ・・・どれだけ傷つけられてもすぐに治ってしまうから」

「すぐに治る?」

「僕の呪いみたいなものだったんだ。傷がついてもすぐに治るんだ。どんな傷でもね」

「じゃあ、今治っていないのは?」

「治しすぎると、その時けるはずだった苦痛が短時間に數倍になって襲ってくるんだ。しかも、治した分だけ苦痛は蓄積されていく」

「・・・・」

あの時の苦痛は、普段の拷問の比ではなかった。それだけの苦痛だった。痛みにじなくなった自分が気絶してしまうほどの苦痛・・・

「ふう。ご馳走さま。本當に味しかったよ・・・」

「衝撃的な話をしながらだったけど・・・お末様。それだけ食べれるなら

は元気ね!」

怪我は仕方ない。あとで襲いくるダメージを覚悟の上で治そう。そう決め、セレスさんが部屋から出て行ったと同時に魔法を発する。

「【 傷跡を殘し、傷を癒せ】」

數秒のタイムラグの後、の痛みが引いていった。あえて傷を殘したのは、あまり綺麗なを見せるとセレスさんに驚かれてしまうかもしれないからであるのと同時に、自分のけた痛みを忘れないようにするためである。

顔に関しては、これからの生活で影響があるかもしれないので傷跡を殘さずに完治させてある。

とそこでセレスさんが戻ってきた。

「片付けは私がやるから、あなたは寢て起きなさい。傷口が開くかもしれないか」

「傷はもう治ったよ」

「は?」

「ほら、この通り」

僕は著せられていた上著をぎ、上半をさらけ出す。

先ほどまであった深い傷は、傷跡になっていた。

「こ、これが呪いなの?」

「ええ。まあとは言ってももうこの力は掌握したけど」

「・・・それでも苦痛はあとから・・・」

「うん。何倍にもなって襲ってくる。だけど仕方ないんだ。そう言う力だから」

実際、苦痛なく治す方法があるかもしれないが、今は使うことができない。だから仕方ない。これしか治す方法はないのだから。

「とりあえず、お風呂にりたいんだけどいいかな?」

「お風呂?」

僕はお風呂にりたかったのだ。半年以上もっていなかったのと、疲れをしでも癒したいのである。

「お風呂はあるけど・・・大丈夫?傷が治ったとはいえは元に戻らないんじゃ・・・」

「お風呂にるくらい大丈夫だよ。それに長風呂をするわけじゃないんだ」

と言うことで承諾してもらったので、所で服をぎ、浴する。

巖で仕切られた浴槽だった。それにりけがある。どうやら源泉から引っ張ってきているようだが・・・そこでふと思った。

「なんで僕はこんなことを知っているんだ?」

僕はこんな知識を取りれた記憶はない。一どこでこんな知識を取りれたのか・・・・

「だけどまあ、どうでもいいか」

思い直す。そうだ、今はあそこから出できたんだからそれでいいじゃないか。もうあの苦痛の日々を過ごさなくて済むんだ。そう思うと気が抜けてくる。

本當に、地獄のような日々だった・・・・と

「あれ?なん、で」

僕は泣いていた。安心からか、嬉しさからなのかはわからないが・・・・目頭が熱くなり、涙を流していた・・・・

「ひぐっ・・・うぅ」

何度も死にたいと思った。でも死ねなかった。もういっそこのまま消えて無くなってしまいたい。本気でそう思った半年間だったのだ。

だが、涙は流さないようにしよう、みっともない。そう思ったのだが。

「やっぱり心配だから一緒にろ」

セレスさんがお風呂場にってきた。一なぜ・・・・というのはなしだ。僕を心配してきたのは今言っていたことだし、僕もわかっている。

「1人でも大丈夫だよ」

「子供がませたこと言ってんじゃないの。泣きそうな顔してるくせに」

「・・・・・・・・」

黙っていると、浴槽にってきたセレスさんが僕を抱き寄せる。

溫かい人など、他人の溫など、とうの昔に忘れていた。

いつも自分のの溫度をじていたからだ。

「大丈夫よ。もう痛いことなんてないから。だから、安心していいよ。

泣いてもいいの。誰もそれを咎めないから・・・」

僕は虛ろな目でそれを聞いている。とても心に染みたのだ。そんな言葉を聞いたのは本當に久しぶりで・・・

「う、うああああああ!!」

僕はセレスさんの側で泣いた。どれだけ心が壊れても、まだ5歳の男の子。どれだけ大人びていても、結局は子供なのだ。

僕が泣いている時、セレスさんはずっと僕の頭をでてくれていた・・・

心の傷を治してくれるのは、優しい人の心なのだ・・・・

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