一人の男が森の中を歩いていた。ボロボロの服をにつけ、隙間から見えるには痛々しい生傷が見て取れる。そんな男が今、暗いを森の中を歩いている。

「はあ・・・疲れた」

男はし前に仲間だと思っていた者たちから裏切られ、モンスターの前に取り殘されたのだ。そのモンスターとの戦闘により、を負傷したのだ。

だが男は自分の傷とは別の部分に怒りを覚えていた・・・

「・・・早くエルのところに戻らないと・・・」

男は一人の親をおいてこの依頼に來ていたのだった。すぐに戻るからと言い殘してきたのにこのまま歩いて帰れば確実に1週間以上はかかる。

「ひどいことをしてくれたな〜。帰ったら本部に訴えるべきだろう」

男は一人でブツブツとそんなことを言いながら森を進む。とそこで、男は自分が今どこにいるのかわかっていないことに気がつく。

「とりあえず場所を確認しようかな」

男が魔法を発させる。

「【現在地を知らせよ】」

唱えた直後、男の脳に現在地と思われる場所の報が流れ込んでくる。男の魔法は萬能の魔法だ。この魔法が使える代わりに男は通常の屬魔法を使うことができない。

「え？・・・ここ魔界の森なのか・・・隨分遠くまで來たな〜」

どうやら人間界を出て魔界に來てしまったようだ。だが男は隨分と遠くに來たなと楽観的にそんなことを考えていた。

「転移して帰ろうかな」

男は別に帰る方法がないわけではないのだ。萬能の魔法には瞬間的に別の場所に飛ぶこともできる。だがし問題があった。

「転移先で誰かに見られたら厄介だな〜。絶対面倒なことになるよ」

男は自分の魔法を他人に知られてはいけないと、強く言われているのだ。自分の師匠からの言いつけである。そのため使用をためらったのである。

「とりあえず傷を治そう・・・ん？」

ガサッ

近くの草でなにか音がした。

（モンスターかな？）

そんな推測とともに音がした方に近づく。

男はそこにいた者・に目を奪われることになる。

そこには男と同じの、白銀のしい長髪を持つがいたのだった。

これは男との出會いの話・・・

◇

「・・・？・・・リ。・・・ユリ！」

「！！は、はい」

僕・はそこで我に帰った。先ほど見えたものはなんだったのだろうか・・・。何故か、忘れてはいけないような・・・

「どうしたの？気分でも悪い？」

「・・いえ・・・なんでもありません。しボーッとしていただけです」

セレスさんは心配そうに僕を見つめている。僕は大丈夫であることを伝え、セレスさんから離れる。

それから、先程セレスさんから言われたことの答えを返す。

「ありがとうございます。セレスさんの言葉はに刻んでおきます」

「・・・本當？」

「はい。僕もし考えさせられました。まだ6年ありますから、考えが変わるかもしれませんし」

僕はない・・・本當にない可能を口にした。だが、それは本當のことかもしれない。本當に憎しみが薄れて、復讐をしなくなるかもしれない。その言葉を聞いて、セレスさんはし安心したようだ。

「そうね・・・まだ時間があるものね。ユリが復讐だけに囚われなくなるようになることを願ってるわ」

僕は誓った。これから長するにつれ、憎しみが消えていく。もう復讐よりも自分の幸せを求めるようになる演技・・をしようと。決して悟られず、セレスさんを安心させてあげよう。と

僕は・・・本當に半年前以前の僕とはかけ離れた存在になってしまったのだ。