《創の転生者〜最強魔導師の転生記〜》第16話 別れの挨拶

説明の1ヶ月後。學式の前日になっていた。明日から學校に通うため、今日は鍛錬はやめておきなさいとセレスさんに止められたので、僕は今荷造りをしていた。

「持って行くものはルーンに収納してあるから特に荷造りする必要はないんだけど」

僕は収納魔道があるので特にカバンなどは必要ない。だがセレスさんとロドスさんには、カバンがないと怪しまれるから持っていきなさいと言われた。

「とりあえずソウルは持って行こう」

僕のソウルは僕の長より大きいため、持ち運びが非常に不便である。

だが、學校では攜帯するのが校則らしいので、今のうちから攜帯することにする。

「ソウルを背中に背負って、肩から小さめのカバンを掛けるくらいでいいかな」

とはいえあまり大きな荷は必要ない。向こうの家に著いたら収納魔道から取り出せばいい。街にるまで荷があればいいのだ。

「ユリ〜?もう準備できたの?」

「あ、はい。ほとんど持って行くものはないですから」

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セレスさんが部屋にってきた。僕は荷造りが終わったところだったので、セレスさんの方に駆け寄る。

結局カバンの中にれたものは、お金のカードのっているカバンと昨日渡された學生手帳、簡単なタオルのみだった。

「そうね。ユリは魔道があるからあんまりいらないわよね。とりあえず、ご飯できたから降りてきてね」

今日の夕飯はセレスさんが作ってくれていた。彼の料理を食べるのは何年ぶりなのだろう。楽しみにしながら僕は一階に向かって降りていった。

この日の夕飯はとても豪華なものだった。今日でしばらく會えなくなるからであろう。

「さ。食べましょうか。ユリの好きなものばっかり作ったから、たくさん食べるのよ」

「はい」

僕はこれからしばらく食べられないであろうセレスさんの手料理をお腹いっぱいに、とてもよく味わって食べた。とても味しい、優しい味の料理は、僕のお腹と心を満たしてくれた。

「さて、ユリは明日から王都に行くわけだけど・・・」

「強力な魔法はよく考えて使うこと。ですか?」

「うん。それもあるんだけど」

他にも何か懸念することがあったのだろうか?

「もし、もしよ?あなたの本當の実力が貴族や王族に知られてしまったら。確実に自分の専屬の魔法師にしようとしてくるわ」

「ですが、SSSの魔法師を手篭めにしようとしてきますか?」

SSSランカーは自由が保障されているものだと聞いたのだが・・・

「私たちみたいに大人なら無理に干渉してこないと思うわ。でもあなたは子供なの。今のうちから何かしらの縁を作っておこうとする連中はたくさんいるわ」

「・・・甘く見られるわけですか」

大方、子供ならなにかしらの縁は作りやすいと思っているのが多いのだろう。それも自分の子供が同じクラスにいるのなら尚更のことだろう。

「そうよ。だから気をつけて。あなたは誰のもとにもつかない、自分の意思で行する自由な魔法師なのだから」

セレスさんは出會った時から、こういうことを言ってくれる。僕は自由だということを一生懸命に教えてくれる。

僕はこの人の優しさがとても好きだ。しばらく會えないので、この言葉を聞くのはかなり先になるだろう。

「わかっています。僕は、ここに戻ってきますから。それに、在學中も何回か帰ってこれます。だから心配しないでください」

それだけ伝えると、セレスさんは満足そうな笑顔で笑ってくれた。

その日はセレスさんと一緒にお風呂にることになった。僕はかなり恥ずかしかったのだが、セレスさんは僕とると聞かなかったのである。

「こうして一緒にるのも何年ぶりかしらね」

「覚えてないですね。僕が一人でらたくなったのでったとしか・・・」

僕はセレスさんの顔を見ずに話す。セレスさんのを見るのが恥ずかしいのではない。僕のを見られることが恥ずかしいのだ。

「もう、恥ずかしがっちゃって。私からしたらユリはまだ子供なの。だから別に恥ずかしくはないのよ?」

「僕が見られるのが恥ずかしいんです」

セレスさんはとても綺麗な人だ。だが、何年も一緒に暮らしているので母親のように思っている。なので特に変なことを考えたりしたりはしない。だが僕のを見られるのはとても恥ずかしい。なぜだろうか?

「それはそれでなんか釈然としないけど。まぁ、いいわ。こうして一緒にれただけで嬉しいもの」

セレスさんは嬉しそうに湯船に浸かっている。かなり広いのでスペースはたくさんあるが、僕の隣にいる。

こうしているとわかるのことがある。

「セレスさん、寂しいんですか?」

やたらと僕にひっついてる様子からそう考えた。子離れできない親のようなじだ。

「・・・そうね。寂しいわ。だって家族が離れて行っちゃうんだもの」

「僕も寂しいですよ。やっと出會えた家族ですから。こんなに寂しい気持ちは生まれて初めてです」

本音だ。僕は家族を初めて手にれ、初めてここまで寂しいと思えるようになった。

「セレスさんに出會えて本當に良かった。あのままじゃ僕は完全に壊れきっていました。だから、心から家族と思えるあなたと離れることは・・・寂しいんです」

僕はセレスさんに伝えることを伝える。しばらく會えなくなるのだ。今夜全部言っておくべきだ。

セレスさんは黙って聞いていたが、やがて口を開いた。

「ありがとうユリ。あなたは私の自慢の息子ね。私もいい加減子離れしなくちゃいけないわね」

「僕は親離れができるよう頑張りましたから、セレスさんも頑張ってください」

僕らはお風呂で一通り話した後、湯船から上がった。

翌早朝。今日は學式の日なので、いつもよりし早く起きる。

隣ではまだセレスさんが寢ているので、1階に下りて朝食を作る。いつも通りの日課だ。

「おはようユリ。いい朝ね」

「おはようございますセレスさん。もうすぐできるので待っててくださいね」

作っている最中にセレスさんが起きてきた。今日はセレスさんも起きるのが早い。

「ごめんね。出発する日にも朝食作ってもらって」

「いいんですよ。しばらく僕の料理食べれないんですから」

「それもそうね」

そんな會話をしながら朝食を食べる。いつも通りの朝。

この後はすぐに王都の近くの森に転移した後、森を抜けて王都に向かい、學校まで行く。

それなり時間がかかるため、食べてししたら家を出る。

そして、朝食を食べ終え、紅茶を飲んでしした。

「じゃあ、いってきます」

出発する時間だ。ここからは初めて森の外に出るので、々と初験に近い。

玄関を出る時、セレスさんから最後の言葉をかけられる。

「ユリ。道中気をつけて。學校では々あるわ。楽しいことも嫌なこともある。でも、あなたなら大丈夫だと信じてるから。自分の意志を貫くのよ」

「はい」

ありがたい言葉だ。彼にエールを貰ったので、大丈夫だろう。

そして、僕からも最後の言葉を。

「ありがとうございます。向こうでも頑張りますね」

「うん。よろしい。いい返事よ」

笑いながらそう返してくれた。

さて、そろそろ行こう。扉に手を掛け、僕は挨拶を。

「いってきます。お母さん・・・・」

「・・・っ!」

僕はすぐに背を向け、歩き出す。橫目で見えた彼は、驚いた顔をして、とても嬉しそうな顔をしていた。

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