《創の転生者〜最強魔導師の転生記〜》第17話 遭遇

僕は家を出た後、ルーン魔法で転移をした。ついたのは王都からし離れた人のいない森の中だ。ここからしばらく歩き、王都に向かうのだ。

「とりあえず森を抜けよう。遅刻するわけにはいかないし」

森の中はモンスターの住処だ。僕にとっては全く脅威でもないが、そこに時間を取られるわけにはいかない。

「確か・・・學式は10時からだったから・・・9時30分にはクラスを確認しないといけないかな」

今は大6時半くらいだろう。1時間で森を抜けたいが、加速魔法を使うには障害が多すぎる。なので通常の速度での移となるのである。

「まあ、間に合うとは思うから心配せずに行こう」

僕は王都の方角に向けて歩き出す。普通に歩いていけば1時間以に抜けられる程の距離なのである。

が、1時間では抜けられないことを後ほど実することになる。

「な、なんでこんなにいるんだ・・・」

歩き始めてから30分ほど経過しているが、まだ半分も歩いていない。その原因は、今僕を取り囲んでいるモンスターたちだ。

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今いるのCランクのブラッドウルフの群れだ。王都に近い森の中に何故Cランクのモンスターがいるのかはわからないが、とにかくめんどくさい。

「急いでるのにめんどくさい・・・まとめてやろうか」

僕は一気にこいつらを仕留めるため、々荒っぽい技を使うことにした。

「【氷刺しスクワード】」

氷魔法で辺り一面に凍りつかせる。そして、凍りついた地面から氷の槍を生し、ブラッドウルフを全て串刺しにする。

刺されたブラッドウルフたちは流れ出るすらも凍らされ、絶命する。

「・・・しばらく氷を纏わせて進もう・・・」

僕が立ち去った後には、氷の槍と串刺しの狼だけが殘っていた。

それから40分。森を歩き続け、幾度となく襲ってきたモンスターを凍らせて秒殺しながら進んだ。そして、ついに森を抜けることができた。

「やっと森を抜けたか・・・すごい時間かかっちゃったな・・・」

1時間でも森を抜けることができなかったが、あれだけのモンスターを相手にしながら來たのだから上出來の時間であろう。

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「さて、今の時間と王都の方角は・・・」

僕は時間と王都の方角を確認する。現在時間は7時40分。王都への方角は、まっすぐ北のようだ。確認が済んだところで、僕は王都を目指し歩き始める。ここから王都までは30分ほどだろう。まだ木々があるので見えないが、し歩けばすぐに王都が見えてくるだろう。

「このまま行けば8時過ぎには王都に著くから、そこから僕の家に一旦行こう」

ししかないものの、荷を持ったまま學式に出るわけにはいかない。予定を決めながら歩いていた時だった。

「・・ん?あれって馬車か?」

目の前には道の路肩に馬車が止まっているのである。きっと馬を休ませているのだろうと通り過ぎようとした時だった。

キシャアアァァァァァァァァ!!!

ヒヒーン!!

「って襲われてるのか。護衛とかいないのか?」

馬が蛇型のモンスターに襲われているようだ。が、僕は別段驚きもせずに見つめている。あの程度のモンスターなら付いているはずの護衛でなんとかなるだろうという判斷をしたのだが・・・

「・・・?護衛がいないのか?馬が喰われるぞ?なんで出てこないのか・・」

とそこで僕は気づいた。護衛と思われる男5人が守りを放棄しようとし、雇い主の執事と思われる初老の男と口論になっているようだ。

「ふざけんな!!俺らはあんな化けに勝てるわけねえだろ!」

「勝てなくても戦いなさい!なんのために雇ったと思っているんですか!!」

まったく敵を目の前にしてよく呑気に口論していられるものだなと呆れながら、モンスターを見る。するとモンスターは僕に気づいたようで、こちらに視線を向けていた。

「こっちに標的が移ったか。倒すのはいいんだけど・・・貴族っぽいからなあ・・・」

正直貴族は大嫌いだ。心の底から嫌悪しているといってもいい。だが、倒さないと自分がめんどくさいことになるだろう。

僕は悩んだ末、顔をフードで隠し、し離れたところから氷魔法を投することにした。

キシャアアアア !!

蛇がこちらに向かって吠えている。執事と護衛達はその聲に気づき、蛇が向いている僕の方へと視線を向けた。

(気づかれる前に倒したかったんだけど・・・)

こちらの存在を知られたくはなかったのだが・・・。

僕が気分を下げていると、馬車の中から貴族と思われる服を著たの子が降りてきた。

「お、お嬢様!!いけません!ここは危険ですので早く馬車の中にお戻りください!!」

あの子が執事が使えている子のようだ。金髪長い髪をしており、白い帽子を被った黃緑の眼をしているとても綺麗な子だ。の子は執事の忠告に従わず、僕に向かって聲を張り上げた。

「お逃げください!!このモンスターは危険です!!」

僕は驚いた。貴族の中にも他人を気遣う者がいたとは。

しだけ・・・本當にしだけ、貴族に対する考えを改めるが、それだけで助ける理由にはならない。僕は忠告に従い、足早に去ろうとするが、護衛の男たちの発言を聞いて足を止める。

「おい!!一人で逃げる気かよ!!この卑怯者が!!親の顔が見てみたいぜ!!!どうせ甘やかして育てたクソ親だろう!!」

僕はこの発言を聞いて、々頭にが上った。こいつらにはし恐怖を見せてやらないといけないと、思ってしまったのだ。

「耳を貸してはいけません!!早くお逃げなさい!」

の子が何か言っているが、僕は止めることはしなかった。

そして、ついやってしまった。

「【氷結龍フリーズドラゴン】」

僕の足元から氷が広がり、そこから巨大な1の氷の龍が出現。この時點で護衛たちは絶句し、腰を抜かしている。

そして龍は蛇へと一直線に向かっていき・・・背後の森を氷の森へと変化させながら蛇を凍りつかせた。すでに蛇は死んでいるが、龍はそのまま1キロほど森を凍りつかせながら消えた。

「・・・・・・」

護衛も執事も、の子も愕然と固まって何も口にしない。いや、言葉が出ないのだろう。護衛に関しては恐怖で怯えている。

「おい」

僕は顔を隠したまま男たちに近づき、呼びかける。

「す、すまねえ!!あんたをバカにしたことは謝る!!だから命だけは!」

そうほざいている。僕はわざと優しい口調に切り替え、話しかける。

「僕をバカにしたことは怒ってませんよ?よかったですね、命が助かって」

「あ、ああ。本當に助かったぜ・・・」

僕の母さんを・・・セレスさんをバカにした男がそう言ってきた。僕は別にバカにされたことを怒ってはいない。僕の事・・・は。

「な、なあ、許してくれるよな?」

「ええ。許しますよ」

「よ、良かった!いや、助かったぜ本當に・・」

「僕のことに関してはね」

「え?」

僕は指を鳴らす。

次の瞬間。男の両腕は砕け散った・・・・・。

何がおこったのかわからないような顔をしている護衛とその仲間たち。橫目で見れば貴族の一行も似たような顔をしていた。

「お、お、俺の腕がああぁぁぁ!!」

「お、おいなんだよ!何したんだよ!」

周囲の奴らは僕に怒鳴ってくるが、僕はめんどくさそうに顔を向ける。

この男の両腕の中の筋、骨、諸々を凍結させ、指を鳴らし空気を振させる。その振をこの男の腕に伝わった瞬間に衝撃をルーン魔法で何百倍にも引き上げ、腕を砕けさせる。

そういうことなのだが、僕にそれを教えるつもりはない。

「僕の親をバカにしたことは許してはいませんよ?僕が怒るのは、現狀それくらいですから。ああ、死にたくなかったらこれ以上ここにいない方がいいですよ?誤って凍結させてしまうかもしれませんから」

僕は笑顔でそんなことを言う。僕が言った瞬間、護衛たちの顔は恐怖に染まり、一目散に逃げ出してしまった。

「あなた方も早く行った方がいいですよ。僕もいきますので」

貴族の一行にそう告げる。まだ魔法を解除していないので、と顔には霜が張り付いている。そんな僕に執事は答える。

「この度は、助けていただき謝いたします。それでなんですけれども、我々には今護衛がおりませんでして・・・」

「護衛ならいらないですよ。さっきの魔法でほとんどのモンスターは逃げてしまったので、モンスターなどでないはずです」

先ほどの魔法は強すぎた。軽く100近いモンスターを倒してしまった挙句に、周囲にいたモンスターたちの恐怖心を刺激し、追い払ってしまったのである。

だが、執事はそうではないと言い話を進める。

「実は、こちらのお嬢様は王都のアルトラル=フィリップ侯爵のご息であらせられます、フアナ=フィリップ様にございます」

「侯爵ですか」

だとは思っていたが、まさか侯爵だったとは。アルトラル侯爵については知らないが、貴族階級くらいなら知っている。かなり上の爵位のはずだ。

「そのようなお方が護衛もなしに出歩いていられるとなにかと厄介ごとに巻き込まれる可能が高いのです。どうか、護衛をしていただけないでしょうか?」

僕は問題というのがなんなのかは容易に想像がついた。地位あると々と面倒なのだろう。

「私からお願いでございます。護衛を引きけてくれないでしょうか?」

の子・・・フアナ様?もお願いしてくる。貴族の人間にここまでされるのは中々ないだろうが、僕の答えは決まっていた。

「申し訳ないですが、僕はこれから大事な用事があるのでお斷りします」

「なっ・・・お嬢様ここまでお願いされているのに引きけてくださらないのですか?」

これだから貴族は嫌だと嘆息する。貴族だからお願いさえすれば引きけてくれると思っているのだろう。そんなくだらないことを言う輩の護衛などするつもりはない。

「セルバ。おやめなさい。私が貴族だから引きけろというのは橫暴すぎますよ。私はそんな貴族になるつもりはありません」

「も、申し訳ございません・・・」

やはりこのお嬢様はし違うと思った。見た目的に僕と歳はあまり変わらないだろう。1つ上くらいだろうか?やけにしっかりしているようだ。

「まあ、このまま放置するのもあれですから。僕の護衛をつけましょう」

「あなたの・・・護衛ですか?」

お嬢様し驚いた顔をしている。護衛などどこにもいないので困しているようだ。本來なら貴族などにこんな施しは必要ないのだろうが、気が変わった。このお嬢様にならいいだろうと思ったのである。

だが、嫌いなことに変わりはない。貴族に対する考え方はあまり変わらない。

「【氷の騎士アイスナイト】」

僕は氷の騎士たちを作り出し、ルーン魔法で命令を下す。このお嬢さまと馬車を護衛せよ。と。

騎士たちに執事とお嬢様は驚いている。

「この者たちが守ってくれますのでご安心を。強さに関しては心配は要りません。並みの兵士など2秒で片付けるほどですので」

「これがそんなに強いとは・・・」

これ以上ない護衛だと思っている。フアナお嬢様は僕に頭を下げお禮を言ってきた。

「ありがとうございます。素晴らしい護衛の方々です。できれば屋敷に招待して

おもてなしをしたいところですが・・・」

「それは時間が許してくれたらということで。僕はもう行かなくてはなりません。では、また機會がありましたら」

顔を見られていないのだし、実は聲も魔法で変えている。なので再會することはないだろうと思う。

「あの!お名前を教えてくださいませんか!」

僕はすでにお嬢様の元を離れているので、聞こえないふりをして歩いていく。

この時、なぜ助けたのかは、自分でもわからなかった。

ユリエルが去った後のフアナ達は、馬車に乗り込み彼のことについて話していた。

「あの方は一何者なんでしょうか?あんな魔法聞いたことがありません」

「私も初めて見ました。とてつもなく強力な魔法ですな」

あんなに強大な魔法は見たことがない。正直、SSSランカーか何かなのではないかと疑っている節がある。だが、SSSランカーにあんなに小さな人はいないと聞いている。

「とにかく、今は學園に早く行きましょう。生徒會の仕事に遅れてしまいます」

「でしたら朝から腕試しに狩りなど行かないほうがよかったのでは・・・」

朝早くからフアナが狩りに行こうと言いだし、ここにきたのである。父にバレるとまずいので、護衛は雇ったのだ。

「それにしてもなんでしょう。あの時のことを考えると、何故かが高鳴るのです・・・・何故でしょう・・・」

フアナ=フィリップ。13歳。

はこの日、生まれて初めてのに、首を傾げていた。

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