《創の転生者〜最強魔導師の転生記〜》第25話 復讐の相手
「・・・寢坊だな・・・。」
翌日。僕が起きたのは10時半だった。授業開始が確か9時だったような気がしたので、大遅刻である。本來ならそれなりのペナルティが課せられるが、僕に関しては基本的に自由登校なのでペナルティはない。
「こういうときは本當にありがたいな〜。アドルに何か言われるかもしれないけど・・・」
仲のいい隣の席の年の顔を思い出しながら、呟く。僕に遅刻などはないので、ゆっくり支度をする。登校は晝からでもいいだろうと思いながらキッチンに向かう。
「今日は簡単なものでいいや」
基本的に自人形オートメイドがやってくれるのだが、食事だけは自分でやることにしている。腕が鈍り、セレスさんに文句を言われるのは嫌なのだ。
卵をスクランブルエッグにし、ベーコンを焼き、コーンスープを作る。それからパンを焼けば完だ。
「ん。まあまあだね」
遅刻しているとは思えないような優雅な食事風景である。しばらく食べ進め、食事が終わると食を洗い、ソファーに座り込む。もちろん食後の紅茶とお菓子を忘れずに。
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「まだ時間はあるし、どうしようかな」
とそのとき。
カランカラン♪
來訪者を告げるベルが室に響き渡った。外にいる人が訪問用のプレートに魔力を流すと、このようにベルがなるのである。いったい誰が呼びに來たのだろうか?そう思い門の前にいる人を確認する。
「・・・學園長?」
門の前に立っていたのは、グラスター學園學園長、ディアナ=ガードナーだった。
◇
「教室に來てないっていうから呼びに來たのよ。早速遅刻とはね」
「基本的に自由登校と言われてるんですけど?ロドスさんからはそう聞きました」
SSSランカーの師匠に言われたことを思い出す。SSSランカーを拘束する縛りは學園であろうとないとのことだった。
「確かにあなたは自由登校なんだけど・・・。一応ロドス様からはあなたの社をにつけるためとも聞いてるの。最初くらいは登校しておかないと、嫌われちゃうわよ?」
「すでにあまりいい印象は持たれていません。それに、貴族とは極力関わりたくないですので」
「また貴族・・・。なんでそんなに嫌いなのかしらね」
そんなことを言われるが、聞かれてはいないので僕はお菓子を食べ進める。ちなみにこれは甘いクリームのタルトだ。もちろん僕の手作りである。
「・・・さっきから何を食べてるの?」
「タルトですね。食後のデザートですよ」
「へえ〜〜・・・」
「・・・そんなに見ないでください。今持って來ますから」
學園長の無言の視線に耐えられず、僕はタルトを取りに行く。は甘いものが好きというのは本當のようだ。セレスさんは僕が作るとなんでも食べたのだが・・・。
「どうぞ」
「ありがとう・・・あら?あなたのとは違うの?」
「そっちには果がっています。はそちらの方がいいと思ったのですが?」
「いえ、なんでもないわ。どちらにしろ味しそうなんだもの。いただくわ」
學園長がタルトを口にする。と、表が変わった。
なんというか、とても驚いているのはわかるのだが・・・とても幸せそうな顔をしてらっしゃる。普段の微笑みではなく、心の底から喜んでいるような笑みだった。
「すごく味しいわ・・・あなたが作ったの?」
「ええ。料理は得意なので」
「そうね。姉様に育てられたんだから料理は得意になるわよね・・・」
そのじからして、學園長は料理が得意ではないようだ。僕はとりあえず話を戻す。
「午後からは授業に出ますから、心配は要りませんよ」
「じゃあ朝からちゃんと登校してしかったわ」
「あいにく自由を手保証されているでして」
「全く・・・」
「それと、ある程度話ができるようになりましたら、ここの地下・・に篭りますので」
「地下?」
學園長は地下があることに驚いているようだ。
「ここの地下は研究室のようになっているんですよ。魔法の実験などでそこにいることが多いと思います」
「授業はどうするの?」
「出なくてもいいんでしょう?ならたまに顔を出すくらいにしておきます」
「・・・教室で何かあったの?」
そこをついて來たか・・・。何かあったと思えばあった。正直あのゴミがいるのでを行きたくない・・・。めんどくさいからだ。僕の嫌いなタイプを形にしたようなやつだ
「はぁ・・。あなたがそこまで嫌がるなんてね・・・。それは誰?」
「名前は忘れました。覚える価値すらないと思ったので」
「・・・。ユリは結構ドライ格をしてるわね・・・。」
「そうでもありませんよ。本當に信頼している人にはとことん甘いですし、気を許しますからね」
「例えば?」
「母である、セレスさんとか、師匠みたいなロドスさんですかね」
「・・・。私は?」
「・・・」
「なんで黙るの!?」
「冗談です。母を尊敬している人に、悪い人はいません。十分信頼していますよ。王都に來てから1番信頼できるくらいには」
本心である。僕が心から信頼できるのはかなりないのだが、學園長は信頼できる人だと思ったのである。
「そ、そう?ならいいんだけど・・・」
「それで、僕は教室に行くと何かしら絡まれるので行きたくないんですよ。今日は本當に寢坊しただけですが・・・」
「まあ、苦手な人はいるわよね。私もいるわけだし・・・國王とか・・」
「あの國王は信頼するに値しませんからね」
「言うわね・・・。私も信頼してないけど・・・」
こんなじで談笑をしていたら、學園の12時を告げる鐘が鳴り響いた。
「そろそろ戻りましょうかね。あなたも嫌かもしれないけど、ちゃんと行くのよ?」
「・・・気が向いたら・・・」
學園長はため息を吐きながら家を出て行った・・・。
◇
一応僕は教室に行くことにした。午後の授業は知らないが、おそらく僕には意味がないので窓から外を眺めているだけでいいだろう・・。
教室に著いたので中にるが、人は誰もいなかった。おそらくクラスメイトたちは晝食を取りに行ったのだろう。僕は食べて來たので、自分の席へ著き本を開く。やることがないのだ。
と。
『1年Bクラスのユリエル=フロウド君。生徒會長がお呼びです。至急生徒會室まで來てください』
また呼び出しですか?とうんざりする。生徒會長というと、前に氷の庭園ガーデンを目撃した人だろう。あのことなのか?そんなことを思いながら、僕は席を立ち、生徒會室へと向かった。
◇
2棟の3階にある生徒會室に著いたので、僕は扉をノックする。
コンコンっ
「どなたですか?」
なるほど。確認があるのか・・。と思いながら返事をする。
「1年Bクラスのユリエル=フロウドです。生徒會長に呼ばれて來ました」
「ってください」
許可が出たようなので、僕は中にる。中には生徒會長以外にも生徒が2人いた。
そのうちの1人の子生徒に僕は驚愕する。もちろん顔にも態度にも出さない。周りからは決して気づかれず驚いた。
そして相手も、僕を見て驚愕の表を作っている。
それは・・・
「・・・ユリ・・なの?」
「・・・・・」
僕は無言で視線を生徒會長に向ける。
そこにいたのは、自分が殺したいほど憎んでいた、ダステル家長・・・僕の姉であるアラン=ダステルだった・・・。
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