《創の転生者〜最強魔導師の転生記〜》第42話 朱雀

氷壁を作った後、未だに腰を抜かしている王様の元に駆け寄った。自分で逃げた方がいいと言っておきながら、逃げれていない事にし呆れる。黒い地龍に気付かれなかっただけマシなのだろうが・・・。

もうし危険を自分で察知してしいところだ。

(やれやれ・・・)

仕方ないが、運ぶしかないようだ。

姿を見られたり、悟られたりしてはいけないので、一旦眠らせる。

「【眠れ】」

ルーン魔法で強制的に眠らせる。もちろん、王様と一緒にいる子生徒もだ。

眠らせた後、2人を草原まで運ぶためのモンスターを呼び出す事にした。

「【來い 朱雀】」

僕のルーン魔法はモンスターを呼び出すすることもできる。

呼んだ瞬間、地面に赤いルーン文字が記された魔法陣が浮かび上がる。その中から、5を持つ伝説の霊鳥が姿を現した。

”クエエアアアアアアァァァ”

「よし。召喚できた。じゃあ朱雀。2人を運んでくれるかい?」

「クエア」

このモンスターの名は朱雀。5を持つ鳥型のモンスター。この朱雀は、僕が森にいた頃に召喚し、懐いてくれたのである。一応、伝説の霊鳥として扱われているが、その実力はSSランクレベルである。

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「モンスターが襲ってくることはないと思うけど、念のために焔を使えるようにしておくんだよ?」

「クア!」

霊鳥の焔。その焔は、ドラゴンでさえも燃やし盡くすと言われている伝説級の焔だ。

僕は2人を朱雀の背中に乗せると、黒い森の方へと行く事にした。

「僕は森に行くから、2人を置いたら僕のところに戻って來てくれ」

「クエア!!」

「いい返事だ。じゃあまた後でね」

そういうと、僕は黒い森の方へと飛翔する。朱雀も飛び立ったようで、翼を數回羽ばたかせる音が聞こえて來た。

とにかくあの黒い・・・不気味な影をどうにかしよう・・・。

ユリエルが黒い森に向かったし後、朱雀が草原についた。途中、何度かモンスターを森の中に見かけたようだが、特に気にする事なく朱雀はスルーしていた。

「ん?な、なんだこのモンスター!?」

「い、一どこから!!」

在中していた教師や、モンスターを預けに來ていた生徒たちが驚いたような聲を上げる。

朱雀は警戒されていた。今の朱雀の姿は巨大なしい鳥である。朱雀は自分の大きさを自由に変えることができるのだ。これは、高レベルのモンスターは大できることであるが、それはまだあまり知られていない。

「お、おい・・・こいつはまさか朱雀じゃないか?」

Bクラスの擔任であるアグニス=ノートルが、朱雀の姿を見た途端に聲をあげた。

「す、朱雀?朱雀ってあの、伝説の霊鳥のですか?」

「ああ、伝承で伝えられている姿にそっくりなんだ。Sランク以上の魔導師がれる図書館があってな。そこに朱雀に関する書があるんだ。そこで読んだことがある。だけどなんでこんなところに・・・。」

朱雀は彼らの話に特に興味を示すこともなく、背中に乗っている子生徒たちを翼を使い、ゆっくりと下ろす。

「お、王様じゃねーか!そ、それにアルナも!」

「気を失っているけど・・・目立った怪我はないわね。すぐに目を覚ますと思うわ」

すぐに2人をの容態を確認し、安全なことを確認する教師。彼は先程やって來たDクラスの擔任だ。

の言葉に安心したアグニスは、目の前に佇む朱雀を見據えた。

「・・・あいつらを助けてくれたのか?」

「・・クア・・・」

しためらってから聲を発する朱雀。そのしい聲には、若干の躊躇いが混じっていた。

自分は運んだだけだ、というような。

「そうか・・・モンスターに禮を言うのも変なじがするが、謝する。ありがとう・・・」

「クア〜〜〜・・」

気にするな・・・とでも言っているようだ。アグニスはし笑いながら朱雀を見ていたときだった。

「アグニス先生!!2人が目を覚ましましたよ!!」

「・・!!本當か!」

2人が目を覚ましたようだ。

実はあらかじめ、ユリエルが朱雀から降りた後すぐに目を覚ますようにしていたのだ。

2人は起き上がると、周りの生徒や先生に大丈夫と聲をかけながら朱雀に向かって歩いて來た。

「2人とも、もう大丈夫なのか?」

「はい。なんだかがとても軽いんです・・・。」

「実は私も・・・」

2人は調が悪いなどは特になく、健康そのものどころか、の調子がとても良くなっている。2人は疑問に思っていたが、アグニスがその疑問に答えてくれた。

「それはきっと、朱雀の能力だろうな。朱雀の羽はれたものの疲れや怪我を癒す力があると言われているんだ」

朱雀は伝説の霊鳥であり、その能力は不明である。が、伝承によりその力が強大であるというのは、一部で知られていることだ。

この回復の力は、実はユリエルの力と同じ効果を持っている。彼が回復の力を持っているのは、朱雀と関係があるのだが、彼がそれを知るのは先のことである。

「そんな力があるんですか・・・」

「・・・貴方が助けてくれたのね・・ありがとう・・・」

アルナは驚いており、マリーは朱雀に謝を述べた。

「とりあえずだ。2人はどうして朱雀に運ばれていたんだ?」

アグニスが2人に尋ねる。

その問いに、マリーが答えた。

自分たちが森にった後、黒い地龍に遭遇したこと。地龍は誰かと戦闘をしていたこと。自分とアルナが、その地龍と氷の壁で分斷され、助かったこと。凄まじい戦闘の痕跡を見た後、突如としてあの巨大な氷壁が出現したと言うこと。

腰が抜けてしまっている時、何か呪文のようなものが聞こえた後、朱雀に乗せられここについていたということ。

「・・・こんなじのことが起きたんです」

「つまりは、黒い地龍と誰かが戦っていて、その人があの氷壁を作り上げ、お前たちを朱雀に乗せて助けたと言うことか」

はあっている。が、そこに善意はなく、ただ依頼をこなしているということを忘れてはならない。それを彼らが知ることはないが。

「とにかく、今はその人とこの朱雀の関係が重要だろう。こんな壁を作れるくらいだ。きっととんでもないやつだろう・・・」

アグニスがし悩んでいると、森の方からび聲が聞こえた。

「た、助けてくれえええええええ!!」

「・・!今度はどうした!?」

1人の男子生徒が走ってくる。その顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃのようだ。

「あいつらが・・・あいつらが・・・モンスターに食われちまったんだ!!」

「な・・!!」

アグニスは驚愕した。生徒がモンスターに食べられるなどあってはならないことだ。

と、その時朱雀がおもむろに羽を広げた。

「な、なにを・・?」

「クアアアアアア!!」

そしてそのまま、森の方へと飛び立ってしまった。

「な、どこに・・・そうか!」

「せ、先生?どうかしたんですか?」

アルナが不安げに聞いてくる。それにアグニスは答えながら、近くに置いてあった鞄を擔ぐ。

「おそらくだが。朱雀が飛び立った方角に、あれを作った人がいる。主人の元に帰っていくんだ」

「じゃ、じゃあ、追いかければその人に!」

「そうだ。俺は今から朱雀を追いかける。お前たちはここでたい「私も行きます!!」」

アグニスが最後まで言葉を言う前に、マリーが進言する。

「私も行きます!その方は、私たちの命の恩人なのです!一度お會いして、お禮を言いたいです!」

「・・・本気か?」

「當然です!!」

アグニスは深いため息をつくと、仕方ないとマリーを連れていくことにした。

「あ、私も行きます!」

「まあ、そうくると思ったぜ・・」

3人の生徒と教師は、朱雀の向かう方角を目指し、森の中にっていく。

「じゃあ、生徒のことは任せたぞ!食われた生徒たちのことは任せろ!絶対に見つけ出してやる!」

そう、去り際に殘して行きながら、恩人を探しにいくのだった。

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