《魂喰のカイト》1話 邪神吸収

「う、うーん」

意識が覚醒した。

上半を起こす。

さっきまでのことは覚えてる。

に吸い込まれたのだ。

それで、気づいたらここにいたわけだが――

あたりを見渡す。

まさかこんな場所が天國じゃないよな?

そこは謁見の間のような場所だった。

し離れた正面には玉座があり、周りには特に何もない。

人は誰もおらず、薄暗くておどろおどろしい。

じめっとした空気をじる上に、濃ゆい霧がかかっている。

なんだか居心地の悪い場所だな。

そう思いながら立ち上がり、玉座に向かって歩く。

後ろの扉から外に出てもよかったんだが、とりあえずこの場所を調べてみたかった。

霧のせいで遠目には郭しか分からなかった玉座がはっきりと見えたとき、同時に人の姿が見えた。

玉座のもとで倒れているのだ。

すぐに近寄る。

「あ、あの!大丈夫ですか!?――って、うわああ!?」

慌てて距離をとった。

近寄った人はなんというか……邪悪そのもののような見た目だった。

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長は200センチは優に超えていると思えるほど高く、は筋骨隆々。

いかつい一本角を額にたずさえており、ほりが深く、顔の周りには落書きか! と突っ込みたくなるほどの赤い筋のタトゥーがっている。

だが、腹には大きなが空いており、それに伴って綺麗な黒のマントの所々が深紅に染まっている。

俺は、人間に角が生えていたことと、顔の落書き、腹のという三段構えの恐怖にを引いてしまったのだ。

「ぐ……人間……だとっ!? どうして我が住処に……仕方あるまい。我が糧にしてくれるわ!」

その邪悪な男が倒れた狀態で手を振り上げ、突然現れた空間から鍔に大きな目玉が埋め込まれた大剣を取り出し、杖にしてを起こした。

「うっ、あっ、なっ、なんだよそれぇっ!」

恐怖で上手く喋れない。

それほどまでに大剣をもつこの男は威圧的だった。

目の前の圧倒的存在に怯えていると、突然脳に言葉が響く。

《邪神:アンラマンユ この世界における最上級の邪神であり、絶対悪》

いやいやいや、概要的なのを訊いたんじゃないから!

って、なんだよこの聲!

《スキル:鑑定 所有人の視點で事を解析、知識庫からの報を信し、脳に送信する》

ええええ!?

もしかしてさっき獲得したスキルってやつが聲をかけてるってこと!?

つーか聞き流してたけど本當に能力を手にれてたんだな!

俺があたふたと混していると、アンラマンユと言うらしい邪神は剣を構えた。

腹ぶち抜かれて剣を構えられるなんてとんでもないやつだな!

――と思ったのだが。

「ぐっ、ごほっ、ごほっ」

咳き込んて、を吐いた。

それもかなりの量だ。

「くそ、勇者に貰った傷が深いか……」

勇者!?

なんだよ、さっきからスキルだの邪神だの勇者だの。

どういうことだよ。

《世界:異世界 剣と魔法の世界であり、地球とは異なる世界》

異世界だって? まじかよ!?

俺、異世界転生したのか!?

いやいやいや、そんなおかしな話あるわけ――

そう思いかけたが、一度冷靜になって目の前の邪神を見てみる。

うん、異世界転生をした考えると筋は通る。

だって角はえてる男が大剣擔いでるんだからな!

なくとも日本にはそんなやつはいない。

いや、一部の人間はコスプレでしたりするのだろうが、これはコスプレではない。

本當にここは異世界らしい。

不幸中の幸いってやつだろうか。

俺はまだ生きていていいみたいだ。

って、まてまて、不幸中の幸いの中に不幸が紛れ込んでるじゃないか。

転生先が邪神の城ってどういうことだよ。

そう思い剣を持つ邪神の方に向き直す。

すると――

《ユニークスキル【魂喰ソウルイーター】の発條件、対象の瀕死を満たしました。発しますか?》

え?

魂喰ソウルイーターってなんだ?効果は?

《スキル:魂喰ソウルイーター 対象の魂を吸収し、自らの力とする》

「ほえっ?」

間抜けな聲が出てしまった。

なんだよそれ。

まんまチートじゃないか。

瀕死に持ち込めば力を盜めるってことだろ?

「死ね! 人間よ!」

邪神が手に持つ剣に怪しげな力を込めて、そうんだ。

瞬時に鳥が立つ。

本能が訴えてくる。

これは、危険だ!

チートでもなんでもいい! まだ死にたくない!

「発! 魂喰ソウルイーター! 発してくれ!」

必死になって聲を出した瞬間、頭の中でスイッチがったような覚がした。

方法が分からなくて聲に出したのだが、どうやら無事魂喰ソウルイーターは発したらしい。

し経つとなんだか力が湧いてきて――

「ぐっ、ぐおおおおおお! なぜ、なぜ貴様のような人間が魂喰ソウルイーターをおおおお!!」

どうやら湧いてきた力は邪神から吸収したもののようだ。

溢れんばかりの力が流れ込んでくる。

しかし、邪神にとっては逆のようで、まるで重力裝置に掛けられたように地面に伏していく。

數秒後、さんざんび散らかした邪神の顔から表が消え、ポトリとうつぶせに倒れた。

威圧が無くなっていたので近寄る。

腰をかがめて顔を叩いてみるが反応がない。

どうやら死んでしまったようだ。

おいおい、殺しちまったよ。

殺されかけたせいか全然罪悪はないけど。

逆に快で溢れていると言ってもいいかな。

今すぐにでも走り出したいほどが快調だ。

邪神から力を吸収したおかげだろう。

魂喰ソウルイーター、すごいな。

を吸収していったら偶然手にれたスキルだけど、チートじみてる。

邪神を倒せるなんて思ってもみなかった。

いや、でもチートだって決めつけるのは早いな。

最上級の邪神って聞いたけど、強いとは言ってないみたいだし、神って案外弱いのかもしれない。

あっと、そうだ。

鑑定スキル持ってたんだったな。

自分自を鑑定するってできるのかな?

できたら手っ取り早くスキルを把握できて良いんだけど……手あたり次第を吸収していったから結構手にれてると思うしな。

試しに自分に向けて鑑定と念じてみたら、再び頭に聲が流れてきた。

そして俺は驚愕する。

がとんでもなかったからだ。

―ステータス―

名 前:名無し

種 族:半神人デミゴッド

稱 號:神喰ゴッドイーター

スキル:【魂喰ソウルイーター】

【絶対悪アンラマンユ】

∟【威圧】

∟【黒翼】

∟【黒霧】

∟【暗黒魔法】

∟【固有魔法:暗黒剣】

∟【固有魔法:暗黒結界】

【神聖魔法】

【時空魔法】

【鑑定】

【叡智】

【剣LV8】

【火魔法LV9】

【水魔法LV7】

【雷魔法LV5】

【土魔法LV7】

【氷魔法LV9】

魔法LV10】

【闇魔法LV10】

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