《魂喰のカイト》2話 城の中での能力確認
半神人デミゴッド……だとっ!?
《種族:半神人デミゴッド 神と人間のハーフ。もしくは神喰ゴッドイーターに與えられる種族。能力値は人間を大きく凌駕するが、神には程遠い》
ええええ!?
異世界に來ていきなり人間やめちゃったじですか!?
いや、強くなったようだからありがたいわけだけど……。
半分神ってどういうことだよ!
俺はそんなに偉くないぞ!
しがない若手サラリーマンだ!
変に持ち上げられるとどうしていいか分からなくなるな。
それとごめん、邪神。
さっき弱いかもとか思ったけど、あんた十分に強いよ。
なんだよ暗黒魔法って。
しかも固有魔法とか派生してんじゃん。
《スキル:暗黒魔法 闇魔法LV10で解 最上級の闇魔法を低コスト、高威力で放つことができる。LVは存在しない》
《概念:固有魔法 技として大した魔法。創り出した者のみが固有魔法として獲得できる。また、固有魔法化した場合上方補正がかかる》
鑑定が脳に報を屆けてくれた。
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固有魔法は創り出した最初の人のみが覚えられるってことは、師事して教えてもらった場合はスキル欄にのらないってことか。
つーことは邪神新しい魔法二つも創ったのかよ!
すごいなおい!
じゃあ、暗黒剣と暗黒結界の詳細は?
《固有魔法:暗黒剣 原點オリジン:アンラマンユ 暗黒魔法で剣を生する。生された剣は伝説級レジェンド武ウェポンとなり、七翼剣に匹敵する。アンラマンユが三千年の時を費やし創り出した魔法》
《固有魔法:暗黒結界 原點オリジン:アンラマンユ 周囲を漆黒の結界で覆い、外と遮斷する。暗黒魔法のLVによって行制限がかかり、0の者は常に生命力を吸収される》
おお、聞いてみただけでも強そうだ。
わからない単語も出てきたな。
《武:七翼剣 フルンティング、アスカロン、アロンダイト、エクスカリバー、カーテナ、デュランダル、バルムンクの翼を模した七つの聖剣をさす。すべてが伝説級レジェンド武ウェポンとなっている》
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《概念:伝説級レジェンド 等級ランクのこと。世界に數えられるほどしか存在しない》
《概念:等級 普通級ノーマル、特殊級ユニーク、準伝説級エピック、伝説級レジェンド、神話級ゴッドの五段階あり、品質で決まる。鑑定のスキルで見分けることができる》
えええ。
つまりこの魔法で呼び出した武は聖剣に匹敵するってことかよ!?
魂喰ソウルイーターとかいうチートがさらにチートをよんだな!
一回使ってみるか?
どんなものか確認しておいた方がいいし。
暗黒剣と念じる。
すると、右肩のし上あたりの空間が裂けて、剣の持ち手が出てきた。
なるほど、これを引けってことか。
右腕を上に曲げ、背中に背負っている鞄からを取り出す要領で引き抜く。
ズズズズズ、と引き抜くと、先ほど邪神が取り出していたものより小ぶりな剣が出てきた。
長剣ロングソードってところだな。
それにしても鍔の部分に目玉ってやっぱり趣味が悪い。
どうにか消せないだろうか?
念じてみる。
すると、目玉が消えた。
自由に見た目も弄れるみたいだな。
つーことは目玉は邪神のセルフだったのかよ!
どこの中二病だよ!
見た目が弄れるってことはサイズも変えられるのだろうか?
右手に持っている長剣ロングソードが大きくなるように念じてみる。
――おお?大きくなるな。
さっき邪神が出した大剣並みに大きくなった。
――まだまだ行けるかな?
俺の長の五倍くらいまで大きくなった。
――さすがにもう大きくならないよな?
まだまだびる。既に俺の長の10倍を超えている。
――いやいやいや、びすぎだろ!
こんな剣まともに使えないって!
先ほどの長剣ロングソードの狀態に戻す。
長さはこれでいいな。
後は見た目だ。
俺の好みに徹底改造してやる。
そうだな、あくまでも暗黒剣だからダークな雰囲気にしよう。
対する剣が聖なる翼だから暗黒の翼をイメージするか。
刀をし反らせて、峰の部分をギザギザにして翼っぽくする。
武全の漆黒の下地に赤いラインを一本れる。
流をイメージだ。
最後に禍々しいオーラみたいなのを纏わせておこう。
かっこいいし。
よし、これで完でいいかな?
試しに自分の顔の前で構えてみる。
再びごめん、邪神。
俺の方が中二病だったみたいだ。
普通の人が見たら黒歴史を思い出して悶えること間違いなしだな!
俺はこの剣を使うけど!
さて、次は暗黒結界だ。
ひとまず剣を空間にしまい、両手を空けた。
よし、暗黒結界、どんとこい!
ブオンッ! とレーザーサーベルを振ったときのような音がして、俺の周りに結界ができた。
半徑500メートルはあるだろう。
思いっきり部屋の外にはみ出している。
これ、部屋に収まるようにできないんだろうか?
心の中で狹くなれ、と念じてみる。
するとどんどん小さくなって、ついには半徑10メートルもないくらいにまった。
なるほど、剣の見た目のように範囲は自由ってわけか。
敵がいるわけじゃないから効果の方は確認しづらいな。
まあそれはおいおい確認していけばいいか。
結界の範囲が自由に弄れることは分かったし。
暗黒結界を解く。
次は、黒翼かな?
《スキル:黒翼 背部に翼を展開する 飛行可能》
まんまだな。
使ってみれば分かるか。
黒翼を発を念じる。
すると、瞬時に背中に翼ができた覚がした。
の向きをそのままに首だけを回して後ろを見てみると、しっかりと黒の翼が展開している。
翼といっても鳥のようなものではなく、黒いオーラのようなモヤモヤの集まりだ。
試しに羽ばたいてみる。
すると周囲に暴風が吹き荒れ、がし浮いた。
楽しくなってきたのでどんどん羽ばたかせる。
バサッ、バサッ、というよりブオンッ、ブオンッだ。
金屬バットを振り回したときになる音の規模が大きいやつ。
しばらく羽ばたかせてるとが完全に浮いた。
空を飛んでる!
人類の野を果たしたぞ! 俺が!
――って、人間じゃなかったわ。
部屋の中を飛び回る。
楽しい、楽しいぞ!
最高だ!
ジェット機がやるみたいに宙返りをして前進をしたり、急下降からの上昇をしてみたりする。
そのまま調子に乗って加速していたら、壁にぶつかった。
鼻打った。
いてぇ。
いや、いてぇですむ方がおかしいよな。
普通なら骨折なんてもんじゃない。
直ちに病院送り、院生活だっただろう。
半神人デミゴッドすげぇ。
ひとまず翼を片付ける。
背中の黒いオーラが放散した。
あとは黒霧と各種魔法なんだけど……黒霧は暗黒結界とかと似てるっぽいから確認はしなくてもいいな。
魔法の確認をするか。
《概念:魔法 の魔力を集めて発する。スキルとして手にれている場合は総じて威力が上がる》
《スキル:叡智 魔法の威力に大幅に補正がかかる》
なるほど。
俺の場合は既にスキルとして獲得してるから威力は高いわけか。
それで、叡智の影響でさらに補正もかかってると。
試しに暗黒魔法を打ってみよう。
手を前に出し、暗黒魔法の発を念じる。
ボッという音とともにバレーボールサイズの黒と紫が混じったような玉ができた。
野球選手のフォームを若干意識しながら腕をしならせて投げてみる。
ビュンという風切り音をながしながら飛んで行った。
風圧に耐え切れず玉の形はひしゃげている。
そして、壁に命中。
見事に破壊してしまった。
さらに、それだけではなく遅れて発が起きた。
なにも発する要素なかったよな!?
作った玉の質かなにかかな?
城の壁を壊してしまったことは気にせず、さらに魔法を構築して投げる。
數球投げたあたりでなんとなく分かってきた。
発するな! と念じて放った二発目は発せず、理的な攻撃だけだった。
そして三回目に、途中で破裂して無數の玉になる様子を想像した後に発を念じたら、見事に投げた途中で分裂して大量の玉が散弾のようにして壁にぶつかった。
発は念じてなかったからか無かった。
どうやらイメージ次第でどうにでもなるようだ。
あ、やべ、壊しすぎた?
既に部屋はボロボロであった。
俺のの形で空いたや完全に崩れ去ってしまっている壁。
よし、パッパととんずらしよう。
邪神は死んじゃったから誰の所有ってわけでもないだろうけど、人が來たら俺の人格が疑われそうだ。
こういうときは逃げるに限るな。
俺は小走りになりながら謁見の間を後にした。
◇
そのころ、王都カーリアスでは勇者の帰還を喜び合っていた。
突然現れた邪神と対峙し、無事に戻ってきたのだから當然だ。
だが、勇者は邪神を殺し切っていないと言う。
今は住処に戻っており、また數百年後回復して襲撃してくるかもしれないと。
その言葉が市民たちの心に不安を殘していた。
そんな中、吉報が降り立つ。
「神託がきたわ!」
青い髪を肩の長さで切りそろえた年頃のが言った。
彼は勇者の一味であり、ユニークスキル神託を持っている。
効果は単純なもので、たった今世界で起こっている重大な出來事をいち早く察知できるのだ。
魔王の復活に続き、邪神の復活まで最初に発見して広めたのは彼だった。
そんな彼が慌てた様子で神託が來たと言う。
周りの人々はさらに気分を落ち込ませた。
だが、それと同時に不思議にも思っていた。
あまりにも明るい口調で言うのだ。
民衆は皆、彼の言葉の続きに耳を傾ける。
「邪神を、邪神を無名の神が討伐したわ!!」
「なんだって!」
「じゃあもう怯える必要はないのか!」
「これで安心だ!」
――無名の神が邪神を討伐した。
その言葉は市民を熱狂させた。
ホッとして泣き崩れたり、倒した神を拝みだしたり。
行は様々であったが、全ての市民は安堵を手にした。
――ただ、神託も完ぺきではない。
一度に大量の報を手にすることは出來ない上、今回の件も『邪神が神界にて名無しにより討伐された』としか聞けなかったのである。
故に彼らは知らない。
倒したのは神ではなく、半神人デミゴッドだということを。
そして、當の本人がいまや地上に降りたとうとしていることを。
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