《魂喰のカイト》5話 王都散策

俺、イルムとルティアは”魔力病”を治すための薬を買いに街に來ていた。

門から見えない場所で息も絶え絶えなルティアを下ろし、黒翼を解除したうえで街にる。

まず、見えたのは見事な街並み。

石で舗裝された道、そこらじゅうに広がる店。

鎧や剣、魔法書など、興味深いものが売られている。

異世界に來たことを改めて実してワクワクした。

「イルムさん、こっちです!」

ルティアが俺を呼ぶ。

ああ、なんか人みたいだな。

いや、弟子なんだけれども。

ため息をつく。

――彼しいなぁ。

「どうしたんです?」

「いや、心に深い傷を負ったんだ。自分で上げて落とすってなんだろうね。本當に」

「え?」

ルティアは赤のポニーテールを揺らしながら首を傾げている。

気にしないでくれ。

俺の海のように深い悩みさ。

「あ、ここです。この街で一番大きな店」

ルティアが店を指さした。

ここは王都カーリアス。

王都と呼ばれているから分かると思うが、この王國の首都だ。

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その首都で一番大きい店となるとそれはそれは立派なところなわけで――

「ルティア。俺たちの財力じゃ無理だ。諦めるぞ」

「え、えええ!?」

「今の所持金、確認しただろ? 大銀貨3枚だぞ」

俺は金なんて持ってないのですべてルティアの金だ。

大の大人の俺が一文無しなんてけないな。

俺もこの世界で仕事を探したいもんだ。

ああ、でもまた地獄の新人生活を送らなくちゃいけないのか……辛いなぁ。

そんなことは置いておいて、金銭についてだ。

この世界の金銭単位はルティアに教えてもらった。

銅貨=10円

大銅貨=100円

銀貨=1,000円

大銀貨=10,000円

金貨=100,000円

大金貨=1,000,000円

白金貨=10,000,000円

となっている。

つまり予算は30,000円。

魔力病の薬は風邪薬を買うノリで買えるようなものじゃないと思うのでこんな大きい場所に案したとは分かるのだが、これはハードル高すぎである。

「うう……分かりました。では、次の店に行きましょう」

「ああ、そうだな。次は庶民でもいけそうな店にしてくれ」

「はい、ではいつもお世話になっている場所に案しますね」

そう言ってルティアは俺の一歩先を歩き出す。

10分くらい歩いたあたりで、そこそこの大きさの店についた。

木製の扉を開けて店の中にると、まず棚に並べられている薬に目がいく。

のものから紫、緑、黒とカラフルだ。

片っ端から鑑定してみる。

《薬:下級ポーション 切り傷、打撲などの軽傷を治す》

《薬:中級ポーション 致命傷とならない傷を全て治す。下級ポーションの上位互換》

《薬:上級ポーション 致命傷を治す。部位欠損は治らない。中級ポーションの上位互換》

《薬:筋力増強ポーション 全の筋力を上昇》

《薬:剣ポーション 剣のスキルレベルを60秒間1だけ上げる》

なるほど、回復用からドーピングまで様々か。

ふむふむ。

とりあえず棚のものすべてを鑑定し終わったが、魔力病に関する薬は一つもない。

仕方がないので店主に訊いてみる。

「すみません、魔力病に関する薬っておいてますか?」

「魔力病ですかぁ?うちには置いてませんけどぉ」

間延びした聲で返事をしたのは店主。

の長髪であり、ヒョロっとした格の男だ。

頬も痩せこけている。

「まぁ、素材を持ってきていただければ調合できますよぉ。あぁ、もちろん有料ですがねぇ」

「そうですか。ちなみに素材とはなんです?」

「えーっとですねぇ、”ガーゴイルの目玉”と”リザードマンの鱗”ですねぇ。どちらも王都のダンジョンから獲れますよぉ。あぁ、代金は大銀貨1枚ですねぇ」

「なるほど、分かりました。獲れ次第持ってきますね。ルティア、行くぞ」

「は、はい!」

俺たちは店から外に出た。

間延びした聲を出す店主は落ち著いた笑顔で手を振ってくれていた。

「さて、ルティア。ダンジョンとやらに案してくれ。よく分からないけど素材取れるんだろ?」

「はい。素材は取れますが……ひとまず報集めをしませんか? 冒険者ギルドを當たったら大把握できると思いますが……」

「あー、そうだな。確かに何も知らずに行きたくはない。よし、まずは冒険者ギルドとやらに行こう」

「はい! では案をしますね!」

ルティアが再び俺の一歩前で歩き出す。

しばらくすると、またまたご立派な建が見えてきた。

剣の紋章が刻まれた建で、白のレンガで作られているのが特徴的だ。

ルティアに手を引かれて中にる。

ギルドは騒がしかったが、酷い有様、というわけではなかった。

まっすぐ歩けば付。

右を向けば休憩スペース。

左を向けば依頼板。

今回は報を集めたいから――休憩スペースの人に聞き込みかな?

手早く椅子に座って談笑している男たちに話掛ける。

「すみません、王都にあるダンジョンの話を訊きたいんですけど」

「おう! なんだぁ兄ちゃん、ダンジョンにでも潛るのかぁ?」

「ええ、この子の病気を治すための薬の材料を取りに行くんです」

俺がそういうと冒険者の男はルティアを見る。

赤い髪でポニーテール。

小柄な格、面影から伝わってくる儚げな雰囲気。

そして病を患っているという話。

冒険者はすっかり骨抜きにされてしまったようだ。

「兄ちゃん、いいやつだなぁ。よし、そんな兄ちゃんを応援してダンジョンについて詳しく教えよう!」

曰く、上層、中層、下層、最下層の4構のダンジョンであり、それぞれが5フロアの計20フロアだそうだ。

俺たちが探している魔は上層の魔で、日帰りでも十分行ける距離。

上層に出てくる魔は特殊ユニークでない限りCランク冒険者であれば難なく倒せるほどだそうだ。

Fランクである駆け出し冒険者のスキルアップにはお勧めだ、と言われた。

ついでに冒険者についても訊いてみた。

F、E、D、C、B、A、Sの7段階であり、

F:ゴブリンを數匹相手取り倒せる程度。

E:オークとタイマンはれる程度。

D:初心者を卒業し、オーク數匹程度ならなんとか勝てる程度。

C:中堅であり、安定した稼ぎを出せる。レイド參加を許可され、竜討伐の大人數パーティに呼ばれることがある。

B:割と上位であり、オーク三匹くらいなら一瞬で屠れる。

A:強さの幅が一番広いが、上位になると4人のパーティで下級竜を相手できる。

S:人外。英雄、勇者クラス。

と、俺が魔はオークしか知らないって言ったらこんなじで説明してくれた。

説明しづらそうだったけど、まあ分かりやすかった。

「ありがとうございます。では、今から行ってきますね」

「ちょ、ちょっと待て。兄ちゃんそんな恰好で行くのか? 防くらい整えたほうがいいと思うぞ。ガーゴイルとリザードマンは大Dランクだ。危険だぞ?」

俺は今、日本で死んだときと同じ格好をしている。

もちろん背中に刺された痕はない。

なぜか塞がっていたのだ。

まあこの服裝じゃ普通ならつらいよな。

「ご忠告ありがとうございます。多分大丈夫なので、気にしないでください。では、また」

「お、おう。気をつけてな」

確かに防とか服はそろえたいが、殘念ながら一文無しなのだ。

それに、多分死にはしない。

あの高度から落ちて大丈夫なだから魔の攻撃くらい大丈夫だろうという安直な考えだが、間違ってはいないだろう。

冒険者に頭を下げた後、ルティアを連れてギルドを出た。

「ルティア、ダンジョンに行くぞ」

「はい!」

俺の言葉に対してルティアは元気よく返事をする。

さて、ダンジョン探索はどうなるかな?

楽しみだけどし怖くもあるな。

妙なことに巻き込まれませんように、と心の中でお祈りする。

もちろん神に。

俺も半分神だけど。

こうして俺は異世界に來て初のダンジョン探索に挑むことになった。

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