《魂喰のカイト》10話 商人ギルド
宿で朝飯を食べた俺は武屋を開くための報を集めようと思い、道を歩いていた。
そう、道を歩いていたのだ。
つまりは目的地など皆無なのである。
目的があっても目的地があるとは限らないものだ。
というか、報を集めることのできる場所すら分からないし。
はぁ、どうするかなぁ。
「あれ? イルムさんじゃないですか!」
聲がした方向に振り返ると、満面の笑みをしたアーロンがこちらに手を振っていた。
アーロン=バーネス。
俺がダンジョンで助けることになった若手冒険者のの1人で、金髪蒼眼かつ理想的な型、イケメンというなんとも羨ましいやつだ。
「やあ、アーロン。他の2人は一緒じゃないんだな」
「はい、今日は休養日にして各自自由行にしてるんですよ」
そうなんだ。
でも、若手冒険者って休養日をとれるほど儲けてるのか?
新米のうちは財布の中を見てため息をつくような生活を送っているだと勝手に想像してたんだが。
冒険者って案外稼げるのかもな。
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「イルムさんは何をしてるんですか?」
「実は商売を始めようと思ったんだけど王都に來たばっかりでさっぱりでね。アーロンは店の開き方とか何か知らないか?」
「そうですね……商人ギルドに行ってみてはどうですか? 商売をするのなら必須になりますし」
「商人ギルド?」
「商人ギルドに所屬してないと商売できないんですよ」
「えっ、そうなのか」
商売を始めるのにギルドにる必要があるのか。
アーロンに訊いておいてよかったな。
勝手に始めてたら何があるかわかったもんじゃなかった。
アーロンは商人ギルドの場所を丁寧に教えてくれた。
大通りで、冒険者ギルドからみてすぐ近くにあるそうだ。
「じゃあ、とりあえず商人ギルドに行ってみるよ。ありがとう、アーロン。そっちも冒険者活がんばってな」
「はい! オレ、きっとイルムさんみたいになって見せます!」
アーロンはそう言い、激したといった表で頭を下げた。
だからそこまで凄い人間じゃないんだけどなぁ。
俺の人間を知ったら幻滅されそうで怖いっていうのもあるし、どうにかしたいんだが……
どうしようもないよな。
いきなり『俺のことを尊敬しないでくれっ!』なんて言うのもおかしい。
放置するしかないよなぁ。
そんなことを考えながらアーロンに手を振る。
さらに激した様子でいたのは見間違いじゃないだろう。
とりあえず足早にその場から離れることにした。
◇
俺は1人で商人ギルドに來ていた。
外見は冒険者ギルドと同じく白レンガの上品な建だったが、中にいた人には大きな差があった。
上質な素材から作られた服を著ており、金の匂いがプンプンする面構え。
だしなみが整えられていて、腹回りの贅がとんでもない人も多めで、贅沢な暮らしをしているのが目に見えてわかる。
俺とは比較するのもおこがましい人ばかりだ。
俺も早く服を買わなければ……
付に行くと、対応してくれたのは若い男だった。
髪は切りそろえられており、見ていて不快な要素がない爽やかな優男だ。
「すみません、ここに登録しないと商売ができないと聞いたんですが」
「はい、こちらのギルドに登録していただかないと商売はできません。この度はギルドの詳細を説明するということでよろしいでしょうか?」
違いなかったので首を縦に振る。
名前もきかれたので答えておいた。
「では、説明をしますね」
そう言うと、付の優男は商人ギルドの説明を始めた。
このギルドには3つのスタイルがある。
まずは行商人や店営業。
これらは登録費用銀貨5枚で、年會費大銀貨2枚だ。
次に個人商店。
登録費用大銀貨3枚、年會費大銀貨6枚で売り上げから3%の稅が引かれる。
最後に商會。
登録費用大銀貨8枚、年會費金貨1枚、個人商店と同じく売上稅だ。
そして規約だが、
・年會費、稅金は1年以の支払い。
・違法な取引をした場合除名することがある。
・カード紛失時は再発行に手數料がかかる。
・稅は國に支払われる。
だそうだ。
特に問題はない。
違法な取引なんてすることはないしな。
登録することを伝えると、営業スタイルをどうするかを訊かれた。
さて、どうしよう?
さすがに最初から大きな店を持つのは元手もない俺には無理だよな。
じゃあやっぱり店営業かな。
もし店営業で登録してあとから個人商店に変えることは出來るのかを訊いてみたら、できるとのことだった。
なら安心だ。
店を持てるまではとりあえず店商売だな。
「ではイルム様のカード作にります」
そういい、優男はカード発行の手続きにる。
特に質問されることもなく、優男はすぐに作業を進めていき、數分ほどでカードを完させた。
「こちらがイルム様のカードとなります」
手渡されたカードを見ると、『店営業』と『イルム』という名前が書かれていた。
結構シンプルなもんだな。
カードを貰ったってことはこれで一応商売はできるようになったってわけか。
「この度はご登録ありがとうございました」
気持ちの良い挨拶とお辭儀をする優男になるべく丁寧に禮を返し、商人ギルドから出た。
さて、では剣を作って売りまくるか。
どのくらい稼げるか楽しみだ。
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