俺は今、路地裏に來ている。

ジメジメしてるし薄暗いが、例のごとく人はいない。

ここに來たのは他でもなく、剣、大剣、短剣、槍、弓、杖――なんでもいいから武を作るためだ。

店商売で早く元手を稼いで店経営したいしな。

店でもなんでも武を売ることになったらやっぱり主な客層は冒険者たちかな？

それだったら剣なんていくらでも折れるだろうし、需要が無くなることはない。

案外早く金は集まるんじゃないんだろうか？

俺の魔力で作った武は高能みたいだしな。

さて、作にりますか。

昨日の武創造クリエイトウェポンで特殊級ユニークの目安は大わかった。

だから今回はとにかく量を作りたいと思う。

1/10000の魔力で1本なわけだから単純計算で10000本作れる。

今日はとりあえず剣と槍を作って売ろう。

全部特殊級ユニークってのも味気ないし數本準伝説級エピックを作っておこうかな。

原材料費がかからないから特殊級ユニークは格安で売ることができる。

格安を買って広まった俺の武の噂を聞き、ある程度実力を持った人が高価な準伝説級エピックを買っていく。

この流れを作れればいいんじゃないかな？

ひとまずは様子見に準伝説級エピックを3本ほど作っておけば間違いないだろう。

あくまでも今日は特殊級ユニークメインだ。

剣の準伝説級エピック3本の作に取り掛かる。

武創造クリエイトウェポンを行うために手を前に構えた。

俺は基本手から魔力を放出しているため、まっすぐに向けておかないと変な場所に武ができると思ったからだ。

まあ、検証もなにもしてないから特に確証はないんだけれども。

形はどうしようか。

やっぱりかっこいいのにしたいよな。

でもシンプルイズベストって言うし、あんまりいじらないほうがいい場合もあるかもしれない。

というか、毎回大量の武を作るごとに形を考えるのはとても面倒くさい。

準伝説級エピックだし、今回はシンプルな見た目で行こう。

さすがに伝説級レジェンドを作るときは真面目にするけどね。

魔力を1/100籠める。

これで特殊級ユニーク100本分、準伝説級エピックになるはずだ。

目の前の地面に3つのが集まる。

規則的なきで段々とシンプルなロングソードの形が姿を現していき――

「よし、できたな」

がすべて剣へと変わった。

見た目は想像通りで、なにも変わったところはない。

普通に店売りされている剣とまったく同じ見た目だ。

裝飾もなく、飾り気はないが見慣れた安心のあるフォルム。

ひとまず鑑定をする。

《武：長剣ロングソード　作者メーカー：イルム　等級ランク：準伝説級エピック　武創造クリエイトウェポンによって創造された武。ごく普通の剣だが、切れ味は隨一》

予定通りの良い剣ができたようだ。

等級ランクも見事準伝説級エピックに収まっている。

切れ味が隨一らしいので一般と同じなのは見た目だけなのだろう。

とりあえず確認が終わったので刃に包帯を巻いて商人ギルドの帰りに買った袋につめた。

さて、次は槍だが――これは1本くらい本気で作ってみよう。

紅ノ剣スカーレットと一緒の看板武ってことでいいんじゃないかな。

きっと集客効果があるに違いない。

というか槍という新しいジャンルでも一番を作ってみたい。

完全に好奇心だけど、実際に利益も出るし、不利益を被ることはないだろう。

そうと決まれば早速作だ。

想像するのは　紅ノ剣スカーレットと対照的な槍。

純白の芯にき通った緑青りょくしょういろの穂先。

すべての構造を頭の中で描き出し、魔力を籠めて創り出す。

がから出ていくと同時に酷い倦怠けんたいかんに襲われる。

魔力切れによる弊害だろう。

だが、この程度ならすぐに魔力が回復すると同時に回復するので問題ない。

ふらつく足を正しつつ、槍の形に変わっていくを見つめる。

紅ノ剣スカーレットを作ったときのようにが暴れる。

形が歪んで安定しないのだ。

だがそれもつかの間。

今まで迷っていたかのように不規則なきをしていたが一つのあるべき形に向かってびていく。

しばかりの時間が経った後、そこには綺麗な槍があった。

手に取る。

目が奪われるほど端麗な緑青りょくしょういろ。

昨日の武屋の店主が見たら卒倒するに違いない。

持ち手から穂先にかけての造形のしさには思わず嘆の息がれてしまうほど。

と、そうだ。

名前を付けないと。

そうだなぁ、合いで森をイメージさせるし、の英語名の由來である孔雀石から取って蒼翠ノ槍マラカイトにしようか。

俺がそう決めた瞬間、槍が怪しくった。

今まで剣に命名したときと同じものだ。

きっと名前が認識されたのだろう。

確認のために鑑定を起する。

《武：蒼翠ノ槍マラカイト　作者メーカー：イルム　等級ランク：伝説級レジェンド　武創造クリエイトウェポンによって創造された武。魔槍と呼ぶにふさわしい、半神人デミゴッドの鍛えた槍》

よし、ちゃんとできてるな。

これで看板武が2本もできたわけだ。

目利きのできる人が通ったら吸い寄せられるだろう。

殘りの武を作ってしまって店を開くのが楽しみだ。

し休んで魔力が回復したら特殊級ユニークを大量に作ろう。

そのあとは適當に中央通りで店を開けばいいだろう。