《シスコン&ブラコンの天才兄妹は異世界でもその天賦の才を振るいます》盜賊退治
神によって転移させられた2人が目を開けると、そこは緑が広がる大草原の中心に立っていた。
「どうやら無事転移したようだな」
「ここが異世界…」
雫は新しい世界を興味津々で見渡していた。
周囲に人気をじないことから、恐らく人里を離れた所にある山の中なのだろう。
風にそよぐ草木の香りが俺の鼻腔をくすぐる。
まあ、妹に貞を奪われる危険がある世界に転移させられて、無事と言っていいのかは甚だ疑問だが…
だが、正直神の配慮には謝をしておこう。
いきなり街の中に転移させられたら不審者決定だ。
異世界人だと気付かれないためにも大っぴらな行は控えよう。
それと俺達の持ちの確認をしないといけない。服裝や持ちは元の世界のままなので、この世界で使えるものがあるかもしれない。
まず俺の持ちだが、服裝は何処にでもあるような黒のTシャツ、持ちは刀の黒鵞と銃のデザートイーグル.50AE。後はスマホだな。
刀と銃は戦闘で使えるだろうがスマホはどうだろうか。電波が無いと使えないだろうし。
自分の荷の確認をした後は、雫の荷も確認する必要がある。
「雫、お前は何か使えそうなは持っているか?」
「私は、スマホとタブレットPC、後はここに來る時に使ったペン型の酸素ボンベだけ。それとお兄ちゃんが好きな制服を著──」
「よーし、確認も終わったな、うん」
「──てるから、何時でも襲っていい」
「せっかく誤魔化したのに最後まで言うなよ…」
雫はをくねくねさせながら言うが、別に俺は制服フェチではない。
確かに制服は好きだが、どちらかと言うと巫やシスター等のいけないプレイの方が萌えるのだ。
俺の癖はさておき、持ちの他だと後は俺達の能力の確認だがどう確認すればいいんだ?
この手の異世界系のラノベだとステータスがあるはずだが。
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思い付く方法を試してみることにするか。
「ステータスオープン」
すると頭の中に自分のステータス表が浮かんできた。
名前    神代 太
年齢    18 LV 1
種族:人間
職業:無職
力:32500
魔力:31000
筋力:36330
耐久:34900
俊敏:35650
スキル:【空間収納マジックボックス】
「これはどう考えてもチートだろうな…」
俺の能力値はLV1の時點で既に全ての能力値が3萬を優に超えている。
この世界の能力値の平均を知らないからなんとも言えないが、恐らく高い部類だろう。
殘念なことに、スキルは空間収納しかないようだ。
というか職業が無職って!いや確かに定職にはついていないけれど、実際に見せつけられると心に傷が…。
神に多大な傷を負いながらもステータスを確認した俺は、他人のステータスは相手の許可なく勝手に閲覧できないようなので、雫にも自のステータスを見て貰うことにする。
「雫、“ステータス”と言えば頭の中に浮かんでくるから試してみてくれ」
「了解」
雫は「ステータス」と小さく呟くと確認を始める。
暫く待っていると確認が終わったみたいなので俺も自分のステータスを教える。
「…雫のステータスは平均が1000ぐらいだった。そう考えるとお兄ちゃんの能力値はチートだと思う。でも、スキルは4個あった」
「4個?」
「うん。“空間収納”と“鑑定かんてい”、“構築ストラクチャー”、後は“錬れんせい”があった」
る程、つまり俺が戦闘系に特化したステータスで雫が援助系に特化したステータスになっているみたいだ。
スキルの部類から考えるに恐らく俺達二人の特技がそのままスキルに反映されているのだろう。
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俺の場合は優れた能力、雫は超人的な知能を生かした多彩な能力となる。
つまり、特技=スキルと捉えられる。
そう考えると魔法収納は神からの餞別といったところかな?
「雫、ちなみに職業はどうなってた?」
「ん?職業なら無職だったけど。自宅警備員は無職者ニートの永久就職先」
を張り、自慢げに自分が無職であることを報告してくる雫。
さ、流石雫…自分が無職であることに誇りを持っている。此処まで清々しい無職者ニートがいるだろうかっ!いや、いない!
つまり何が言いたいかというと、雫は最高の妹だぜっ!(シスコン視點)
その後、ステータスの確認を終えた俺達は、これからの計畫を立てることにする。
「まずは人の居るところ、つまりは街や村に向かおう。そこで、この世界の報を集めよう。流石に無策で歩き回るのは悪手だ」
「賛。今居るところは山みたいだから、このまま降りていけば街が有るかもしれない」
計畫を決めた2人はまず、今居る山を降りることにする。
ちなみに雫は今現在、俺の背中に乗っている。
雫は研究ばかりやっていたので力がほとんど無いから、雫がお願いしておんぶしてもらったのだ。
「う~ん、お兄ちゃんのこの匂い好き~」
雫は俺の背中に顔をり付けて匂いを嗅いでいる。勿論、顔が背中に付くほど著しているのでも當たっている…うん、ちょっと當たっているモノが骨かか判らない程だが、確かにはじる。
「あ、あの雫さん?」
「ん~、何」
「背中にの子特有のモノが當たっているのだが…」
「當ててるんだよ」
「お前そんな事をどこで覚えてくるんだよ…」
勿論、俺自は妹に興するような変態にはならないと心に誓っているが…。
この背中に當たるほのかなの。A…いや、Bはあるな。以前まではAだったのに長したなぁ…雫。これからの更なる妹の長を心から応援しているよ、お兄ちゃんは。
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この場に第三者が居たのなら、妹ののバストサイズを知しているお前も充分な変態だよ、と突っ込まれると思うが、その事に微塵も気付いていないシスコン兄であった。
「そう言えば暫く歩いているが、魔の類いが全然居ないな。こんな森のある所だったら居るものじゃないのか?」
「確かに」
実際に2人はもう數十分は歩いているのだが、魔の影すら見ていない。
「あっ、もしかしてお兄ちゃん殺気出してない?」
「うん?出してるよ。何がいるか分からないから警戒するに決まっているだろ。それがどうかし…あっ!」
雫が言った言葉がヒントになり魔がいない理由が分かった。
「つまり俺の殺気にびびって出てこないってことか」
「恐らくそういうこと」
俺は々落膽していた。
確かに周囲の気配を察知するために意識を半徑100m程広げているが、気配を探知する為であって殺気はししか含んでいないからだ。
殺気のlevelMAXを10とすると2ぐらいしか使用していない。
つまりこの周辺の魔は太にとって雑魚ばかりという事になる。
この異世界には俺を楽しませてくれる程の強さを持った相手が居ると思い來たのに、魔がこの程度の殺気でびびっているようでは期待はできないかもな。
その後も探知をしていると前方から5人程の気配をじる。気配から察するに人間だろう。
だが、村人などではないだろう。
微かに鉄がれあう音がする。武を攜帯しているのが分かる。
さらに嗅覚ではの匂いもする。
ここは異世界なので冒険者や盜賊の可能も考慮する必要がある。
「雫、前方から人間が5人程の來るぞ。武を持っていることから、盜賊の可能もある。一応注意しておけ」
俺は雫を背中から降ろすと柄に手に掛けて、何時でも刀を抜けるように準備をしておく。
銃は弾が元の世界から持ってきた弾數しかなく、無駄遣いはしたくないので使用しない。
雫は俺の背中から降りると、一歩後ろに下がり気を引き締める。
暫くすると、言った通り5人の武を持った男達が現れた。
男達は俺達を見つけると剣を鞘から抜いて、こちらに歩いてくる。
「おい、そこのガキ達。ここで俺達に會ったのが運のつきだな。有り金全部置いて去りな」
俺達の近くまで歩いてくると、先頭にいた頭目らしき男が話し掛けてくる。
盜賊が俺達に模造剣なんかではない本の剣を向けるが、そんな事は今はどうだっていい。俺的には目の前の男の言葉で1つの懸念が晴れた方が重要だ。
よかった…日本語で通じるのか。
異世界転移で先ず最初に心配するのが、言語の疎通である。小説では翻訳能力が神から授けられたりしているが、生憎と俺達はそんな便利能力はけ取っていない。雫はまだしも、俺が一から全く知らない言語を覚えろと言われても正直自信が無いので安心した。
俺はかに心の中で安堵の息を吐きながらも目の前の出來事に集中する。
しかし盜賊ねぇ…。
勿論一般人から見れば、武裝した集団に刃を向けられる事は十分脅威にり得る出來事だろう。けど、俺からしてみればチャンバラごっこしてる子供くらいの認識しかない。
強大な力を持った俺だが面倒事はなるべく避けたい分なので、最初は話し合いで解決出來るか確かめてみる。だって無駄な力消耗したくないし。
ここは一度穏便に済ませられるか試してみるか…。
「折角の所悪いが、金の類いは持ってないんだよ」
「ん~じゃあ持ってる全部寄こしな。それで許してやる」
はぁ…どうやら話が通じるような相手では無さそうだな。
盜賊との話し合いでの解決が不可能だと見極め、武力で対処する手段に変更する。
その中から1人ぐらい生かして、この世界の報を教えて貰うことにする。
俺は即座に抜刀する勢を取る。
「リーダー、の方は好きにやっちゃっていいですかね?」
「ああ、けど程ほどにしておけよ。奴隷として売るときに価値が下がる」
「了解」
盜賊の1人がそんな事を言いながら、雫に悪寒がするような卑猥な視線を向けてくる。
雫はそんな男の視線から逃げるように太の背中に隠れる。
──その瞬間、俺の概念意識が切り替わる。
雫を奪う?
誰が?
誰の許可を得てそんな発言をしている?
俺の雫を奪う?
俺の妹を奪うだと?
雫に害をなす存在は全て俺が切る。
──抹殺対象確認。
手の前の塵共を敵と判斷した瞬間、俺のに纏う雰囲気オーラが可視化出來る程の漆黒の殺気が漂う。
まるで別人のような変貌っぷりに相手の盜賊達は一瞬、思考、きを忘れる。
──次の瞬間、俺は盜賊の1人の首を刀で切り落としていた。
「──は?」
切られた男は間抜けな言葉を殘して頭だけが地面に落ちる。
周囲の仲間も何が起こったのか理解が追い付いていないようだ。
「て、てめえ!何をしやがった!?」
「貴様らは雫に害をなそうとする存在だ。ならばその存在、消滅させる他ない」
雫へ向けられた鄙陋な言への殺意が俺の言にまで影響を及ぼし始める。
そう言うと刀を橫に薙ぎ払う。
それだけでまた1人の盜賊が飛沫をたてながら真っ二つになっていく。
盜賊達には剣速が速すぎて、時が刻まれていく毎に仲間が斬られていく景が広がっている事だろう。
俺から漂う夥しい殺気に當てられた盜賊達は皆、我を忘れたように只、俺に剣を向ける。
頭では理解している、目の前の敵は自分達の葉う相手ではないと。
だが、悲しいことにに備え付けられた生存本能が必死になって生きようとを突きかす。
大斧を持った男が太に向かって落下の速度を乗せた斧を降り下ろしてくる。
俺はそれを避けようとせずに、ただ目を瞑って時を待つ。
「これで死ねーーーーーー!」
斧を持った男は俺が避けることを諦めて負けを認めたようにじたであろう。
男はし拍子抜けにじた。もしかしたら見かけ倒しなのでは?
──だがそれは男の勘違いであった。
「力の差も分からない雑魚が粋がるなよ」
俺は降り下ろされる斧の直線上に手を向ける。このまま回避行を取らなければ腕ごとを引き裂かれることになるだろう。
相手は勝利を確信する。
この狀態から回避行を取るには遅すぎる。
だが次の瞬間、男の予想だにしない出來事が起こる──
「は…?」
男の降り下ろした斧が俺の頭に當たろうとした瞬間に斧が止まったのだ。
男が斧に力を込めるがびくともしない。
男の視線の先には俺が目を瞑り、片手で斧の刃を摑んでいる景が見えた。
「馬鹿な!?斧を片手で止めるなんて!」
「喚くなよ雑魚が。貴様なぞ片手で十分である」
指に力をれると斧の刃が々になる。
──男は戦慄する。
片手で剣をけ止めるなら聞いたことがある。
だがそれを斧でやってのける人間なんて聞いたことがなかった。
さらに指力だけで斧を砕させるだなんて。
男が恐怖で一歩後ろに下がる。
その景を目の當たりにした他の盜賊達は接近戦を続けるのは危険だと判斷し、數歩後方へと下がる。
俺はそれに反して一歩前に出る。
盜賊達は理解する。
この男の視界にった時點で既に、目の前の化けの領域に足を踏みれていたと。
この男に喧嘩を売ることが死に繋がると。
「貴様ら理解しているだろうな。我ら・・兄妹に喧嘩を売ったのだ。生きて返すと思うなよ」
その僅か數秒後──大地には頭とが別々に為り果てた4人の死が転がっていた。
元の世界で太の存在を知る人間達は皆、太の事をこう呼ぶ。『死神』と。
死神の作り上げたの數は數百萬にものぼる。
殺人に罪悪など微塵もじ得ない。
ただ俺達の進路を妨げる。それだけで殺すには充分な理由になり得る。
仲間が一人、また一人と斬り捨てられていく。その景に果てしない恐怖をじた盜賊の殘りの1人は必死に逃げようとする。
──だが、死神がそれを許す筈がない。
一瞬で逃げまとう男の眼前に移し、刀を振り上げる。
「お兄ちゃん、そいつ生かしといて。この世界の事を聞く」
まさに刀を振り下ろそうとしたその瞬間、俺の耳に雫の靜止を促す聲が屆く。
「──了解」
俺は雫の言葉を聞くと刀を鞘にしまう。
例え戦闘狀態でも雫の言葉が最優先なのだ。
「今から質問するから、それに答えれば生かして帰す」
雫が盜賊の男に向かって話し掛ける。
男は恐怖で、壊れた人形のようにただ頷くことしか出來なかった。
何より答えれば生きて帰れる希が見えたのだ。
今の男に答える以外の選択肢はなかった。
「まずこの世界の種族はどのくらい存在する?」
「し、種族は人族と獣人と魔族、エルフや竜人、ドワーフ、他には霊などが存在しています。」
「この世界の貨は?」
「高い順に、神貨・黒金貨・白金貨・金貨・銀貨・銅貨です。1つの貨10枚で1つの上の貨1枚と同じ金額です」
その後も雫は男にいくつか質問をした。
質問される中で男は疑問にじていた。
何故こんな當たり前の事を質問するのか。
貨の報なんかは、この世界の人間なら子供でも知っていることだ。
男は疑問に思っていたが今は質問に答えるしかない、それが男に殘された生存への希の道なのだ。
暫くすると雫が質問をするのを終えた。
男はやっと助かると思い、気を抜く。
だが次の瞬間再び絶が降り注ぐ。
「お兄ちゃん、こいつ殺しといて」
「分かった」
二人の會話を聞いて男は耳を疑う。
なぜ?質問には答えた。
助かる筈だと思っていた男が聞き間違いだと思い込みたくなるのも無理はない。
「は、話がちがうじゃないか!?質問に答えたら殺さないって!」
「貴様が抱いたであろう疑念が理由だ。『何故こんな當たり前の事を訊くのか』とな」
「そ、それは…」
自の心中を當てられた男はを強く噛む。
「つまり、貴様は我らの知ってはいけない箱を開けてしまったのだ。それが貴様の死ぬ理由だ」
「で、でも殺さないって!」
「貴様は蟲とした約束を守るのか?我は蟲ごときの言葉に耳を傾けるなどするはずもない。まぁ、正直貴様達が何人、誰を殺めようが知ったことではないが、相手が悪かったな。我は聖人君子ではない。要らぬ期待を抱くだけ無駄というものだ」
そう。俺は世界中の人々を守ると妄言を吐くような偽善者ではない。
「──だか、我にも守るべき存在がいる。貴様達はただ我の逆鱗にれた、それだけで貴様らが死に逝くには充分な罪狀だ」
「あ、あぁ…」
「──死ね」
そう言うと刀を男の心臓に突き刺す。
男は前のめりに倒れ、地面には溜まりが出來る。
盜賊によって染まった刀のを刀を放線を描くように振り取って鞘に納刀する。
平和ボケした地球あっちの人間からしたら殘だと思われるかもしれない。
ちなみに勘違いしないでしいが、俺に自分達に無害な人間を無意味に殺する趣向は持ち合わせていない。
だが、相手が武を抜いたときは別だ。
その敵が俺達の歩む道に立ちはだかるというのなら迷うことなく斬り殺そう。
武を抜いたのだ、それはつまり死地に自らの意思で赴いたということを意味する他ない。
そんな狀態で相手に慈悲を掛ける?はっ、笑わせるな。俺達の道を遮ったのだ、その魂、刈り取られても文句は言えない。
他にも報のついでに奴等の持っていた裝備品や金銭を全て剝ぎ取って空間収納の中に放り込んでいく。
盜賊だけあって金銭は中々の金額を溜め込んでいるようだったので、これなら當面の生活は心配する必要はないだろう。
それから2人は盜賊から聴いた報にあった、國のある方角に向かって歩き出した。
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