《シスコン&ブラコンの天才兄妹は異世界でもその天賦の才を振るいます》相違點

俺達兄妹は依頼クエストのゴブリン討伐のために、ゴブリンの目撃報の多いと言われる、王都の東にある森に來ていた。

森は木で生い茂っており、數メートル先が見えないほどだった。

その為、俺は目でゴブリンを探すのではなく、気配で探すことにする。

自分の深層意識をこの森全域に拡げてゴブリンの気配を探る。

すると、ここから數百メートルに位置する、丁度森の中心辺りに數十個気配をじる。

ちなみに俺は町に來るまでに魔特有の気配を覚えておいたので、魔と人間の區別がつく。

これは…魔が30程と人間が10人程いるな。

だが奇妙だ。魔の近くに人間がいるとすると、一番高い確率は冒険者だろう。

だが魔と人間が戦っているじはしない。となると、拐われたのか…

人質が居るなんてギルドでも聞かなかったし、おそらくギルドでも確認できていないのだろう。

「雫。魔の気配の側に人間の気配もあった。救助をしながらの戦いになると思う」

「了解」

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俺と雫は相手に気付かれないように忍び足で近づいていく。殘り數十メートル程になったところで、目視でも魔の姿を確認できた。

そこにはボロい木の建が建てられており魔はその中と外を行き來していた。

は緑の皮をしており、丈は人間だと俺より低い160㎝程、手には野球に使うバット程の大きさをした棒を握っていた。

ラノベの知識が正しければアイツがゴブリンで間違いないだろう。

ゴブリンは口から涎を垂らしており歯も剝き出しで気味の悪い笑顔を浮かべていた。

うわっ、あれは気持ち悪いわ…出來れば素手では倒したくないな。

ゴブリンはこちらに気付いていないようで、せっせと何かの荷を建の中から外に運び出していた。

すると中から一際大きな袋を持ったゴブリンが外に出てきた。

その袋は時折モゾモゾといており、生きっているのは明確だった。

俺の気配探知でも、あの袋の中から人間の気配をじるし、あれが拐ってきた人間で間違いないだろう。

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しかし、奇妙だな。人質は出來るだけ逃げないように閉じ込めておくのが普通だ。

だか、ゴブリン達は數十個もある袋を全て外に運び出している。

それに俺のじた気配は30はあった。

ここにいるゴブリンは見たところ20程しか見當たらない。

奇妙にじていると、建の中から10程の魔が現れる。

見た目は先程のゴブリンよりひとまわり大きいぐらいだろうか。異なるところがあるとすれば、男のについているものを隠しもせずにぶら下げていることだった。

──いや、変態かよ!隠せよ!何?ゴブリンは服著る派と族派で別れてるの!?

ちなみに雫にはあの汚ならしいものを見ないように目隠しをさせておいた。

俺の妹にあんな見せるとはいい度してるじゃねぇか。

遅れてきた族のゴブリン達は荷車を引っ張ってきていた。

その荷臺には剣や盾、弓矢などの様々な武が積まれていた。

どれも新品には見えないので冒険者から奪ってきただろう。

服著る派のゴブリンと族のゴブリンは近づくと握手をして何やら會話を始める。

その會話を常人の10倍ものある俺の聴力が拾う。

「オイ。ヤクソクノモノハモッテキタカ?」

「アア。ヤクソクドオリ、ボウケンシャカラウバッタブキヲモッテキタ。ソッチモニンゲンヲモッテキタノカ?」

「モチロン。このフクロノナカニアルサ」

「ヨシ。ジャアトリヒキセイリツダナ」

そんな事を話ながら武の積まれている荷車と人質のった袋を換し始めた。

會話から察するに、この2つの派閥は易をしている途中みたいだ。

というか、ゴブリンって人の言葉を発せられるのね。地球でも猿が最も知能が高いというが、流石に虎と戦ったら負けるから知能と戦闘力は比例していないのかもな。

そんなことよりも、今この場面は好機かもしれない。

易をわしているのなら、このゴブリン達はゴブリンヒエラルキーでも相當な地位にいると想像ができる。

つまり、ゴブリンを絶やしに出來る絶好の機會というわけだ。

…自分で例えといてなんだけど、ゴブリンヒエラルキーって何…?

気を取り直した俺は早速ゴブリンとの戦闘準備に取り掛かり始める。

まずは、ゴブリン達の強さが知りたいところだ。

「雫。アイツらのステータスを視てくれ。あっ、族の方は見るなよ」

「分かってる」

そう言うと雫は族の方を見ないように、鑑定を発させる。

「んー、大平均で400ぐらい?」

四百!?弱すぎない!?

これ俺がやったらオーバーキルになっちゃうだろ。

そのまま森まで破壊したら環境問題に…うん。手を抜いてやるか。

俺は腰に下げている黒鵞を鞘から抜いて戦闘準備を整える。

ゴブリン達はお互いの荷の確認に夢中になっている所だった。

──今が好機。

そう決めると、俺は音もなく草むらから飛び出て、まるで影のようにを低く沈めて地面を這うようにゴブリン達の背後まで回り込む。

「〈影かげぬい〉」

この技は相手の視角の隙をって背後に回る技だ。

この技はバスケのダックインという技を戦闘用にアレンジした技で、人間の視角は主に縦橫の方向にきやすく斜めに移されると追うのに一瞬の間が出來るのだ。

それはゴブリンとて例外ではない。

あっという間にゴブリンの背後に回ると、気づかれて人質を盾にされると不味いので、気付かれる前に出來るだけ戦力を削っておきたい。

その為にまずは、目の前にいるゴブリンの首を音もなく刀で斬り落とす。

ゴブリンの生態系を知らない俺は弱點が何処か分からないので、取り敢えず頭をから切り離す。

大抵の生は首を斬られれば絶命するからな。

「ナ、ナニモノダ!」

すると、やっと1が倒されて俺の存在に気付いたのか荷車に積んであった武を持って応戦してくる。

「その見苦しい姿を見させた罪は償って貰おうか」

俺は一旦刀を鞘に納める。

決して戦うのを止めたわけではない。

この技をやるには鞘に納めないといけないのだ。

するとゴブリン達は俺が武を仕舞ったことで油斷したのか、一斉に俺に襲いかかってくる。

好都合だ。この技は纏まってくれている方が効果があるからな。

俺は神を刀に集中させる。ゴブリンとの距離が段々短くなっていく。

それでも俺は焦らない。技が一番効果を発揮するタイミングを待つのだ。

するとゴブリン達との距離が5メートルを切った。

「〈斬咆きほう〉」

その瞬間俺は鞘の角に刀を引っかけておいて、勢いよく刀を引き抜く。

すると刀は音速を超える速度でゴブリン達に向かっていき、そのを何ら抵抗も無く切り裂く。

「グギャーーーーッ!」

々今の一閃で斬ったのは3程度しかいない。

これでは只の居合い斬りでしかない。

この技の真骨頂はこれからだ。

次の瞬間、俺の周囲に竜巻が巻き起こる。

竜巻はどんどん大きくなっていき、まるで龍の砲口のような音を出していく。

ゴブリン達は俺の近くにいたおで竜巻に巻き込まれて、空高く打ち上げられていく。

竜巻は一番大きい時で、高さ10メートル程になっており、近くにいたゴブリン達は跡形をなく竜巻の鎌鼬によって切り刻まれており、その原型を留めては居なかった。

ちなみに臺風の目の位置にいる俺は無傷で、何ら影響はない。

原理としては刀し傾け、わざと刃のける空気抵抗を倍増させることで竜巻を引き起こさせる程の風を作り出しているのだ。

勿論、空気抵抗が増えると刀を振るう重みが大きくなるが、そこの所は太の並外れた筋力で補っている。

効果範囲は半徑5メートル程で、多対一の戦いでは重寶している。

ちなみに何故抜刀する際に刀を鞘に引っかけてから抜くというと、力を溜めてから放った方が速く抜けるからだ。

分かりやすい例で言うとデコピンが一番近い。

親指で中指を押さえてから放つ。それと同様の原理だ。

暫くすると風も止んだので周囲を見渡してみると、丁度俺の半徑5メートル程の地面が深く抉れていた。

あちゃー、結局環境破壊しちゃったよ…

、全力の3割程度の威力しか出してないから、手加減した筈なんだけど。

周囲にはゴブリンの片が飛び散っており、実にショッキングな景となっていた。

すると草むらに隠れていた雫が俺の元まで歩いてくる。

「流石お兄ちゃん。思わず濡れた」

「ははは、妹からパワハラをけているよ」

雫の下ネタにも冷靜に対処する。

俺は袋の中の人間が生きているか一応確認することにする。

を持っているとは思わないから心配は無いと思うが…

袋の中からは10人のが出てきた。年齢は全員10代ぐらいだったので、ゴブリンの趣味なのかと思ったりした。

「あ、有り難うございました。あのまま捕らえられていたら、オーク達の苗床にさせられているところでした…」

ん?オーク?俺が倒したのはゴブリンだった筈だが…

詳しく聞いてみると、族派のゴブリンだと思っていたのは実はオークだったらしい。

いや、似すぎだろ…。

どうやらゴブリンは人間のには興味がなく、武などを集めるのが趣味らしい。

一方、オークは四六時中セックスの事しか考えていない変態で、が捕まったら孕むまでさせられるらしい。

る程、だからゴブリンとオークは人質と武換していたのか。

そんな事を考えていると、捕まっていた達がこちらを見ていたことに気づく。

たちの対処に困ってしまう。捕らわれた人が居たなんて聞いてなかったしなぁ…。

「雫。彼達はどうすれば言いと思う?」

「まず、お兄ちゃんをけきった目で見てるは殺した方が良い」

雫の言うとおり助けられたは皆、太をまるで王子様を見るような目で見ていた。

無理もない。実際、彼達からすれば犯されそうになっていた所を助けてくれた勇者のような存在なのだ。

雫はその事が気に食わないのか、小さく頬を膨らませてお怒りになっていた。

流石我が妹、怒っている姿も可い!

「取り敢えず、ギルドに連れていくしかないか…」

ギルドに連れていけば、捜索願いが出されているかもしれないので、依頼の報告ついでに丁度良い。

その後、依頼達クエストクリアの証拠としてゴブリンの牙を拾った俺達は、早速ギルドに向かって歩き出した。

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