《シスコン&ブラコンの天才兄妹は異世界でもその天賦の才を振るいます》ファンタジー

目の前の年端もいかない見た目をしたが冒険者ギルドのギルマスだと判明した驚きから何とか立ち上がった俺。

「えーと、俺達も自己紹介が必要かな。俺の名前は神代 太。で、こっちが妹の雫だ」

「ん」

俺の紹介に雫は小さく頷く。

「太と雫だな…まぁ、立ち話も何だし、お前達も座ってくれ」

「お兄ちゃん…座る」

「分かった…」

雫が迷宮ダンジョン探索に加えて、ここまでの徒歩により力的な面で限界に來ている様なので、メーヤに促されるまま俺達は二人掛けのソファーに揃って腰を下ろす。

「システィラ、悪いけれど、そこにあるポットの紅茶を彼等に出してやってくれないか?」

「は、はい!」

メーヤは窓際に置かれている白いポットを指差しながらシスティラに命令すると、システィラは教に命令された軍兵の如く勢いよく立ち上がり、早歩きでポットの元に向かう。

メーヤに対してビビり過ぎじゃないか?

システィラの異常な程のビビりようにし目の前にいるメーヤ──ギルドマスターへの警戒心を上げる。

すると、システィラが俺達とメーヤの機上に紅茶のったカップを置く。

メーヤはカップをその小さい手で持つと、貓舌なのかフーフー、と息で冷ましてから口へと運ぶ。

「中々良い紅茶を出す」

先程まで力が切れかかっていた雫もを潤したことで余裕が出てきたのか、紅茶の評価をしていた。

雫よ。偉そうに評価しているが、お前の大好ソウルドリンクはコーラだろ。

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この間だって、「コーラとポテチの組み合わせは神。考えた人間は譽めて使わす」とか何とか言っていた筈だ。

すると、一口飲んだところでメーヤが俺達に向き直り、その翡翠エメラルドき通った瞳で見つめてくる。

「さて、私は面倒な事は嫌いでな。なので単刀直に訊かせて貰う───お前達は何者だ?」

メーヤは俺達を逃がさないと言った様な瞳で見つめながら重々しく口にする。

…隨分と直球だな。

勿論、俺達が異世界から來た存在である以上、何処かでボロが出るだろうとは踏んでいた。

それに上手く立ち回ったとしても邪神を討伐するには最低限の人伝は必要になる──否、なってしまう。

だが、これは好都合でもある。相手はギルドマスター。関係を持っておけば、冒険者の報網ネットワークが簡単に手にるだろう。

おっと、関係と言っても関係ではないぞ。

ここは此方も最低限のリスクを払う価値はあるか…

だが、生憎とここから先は俺の専門ターンじゃないんだ。

雫の方をチラ見すると、雫は無言で頷く。

俺の考えは理解しているという事だろう。

「ここからは雫が話す」

「む?」

突然雫が話に割り込んできたことにメーヤが小さく疑問の聲をらす。

メーヤもまさか雫が渉事にり込んでくるとは思っていなかったのだろう。

…しかし、雫とメーヤのロリコンビが渉していると、おままごとにしか見えないのは何故だろう。

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「それは話した場合、此方に利益がない。冒険者登録には最低限の報を記するだけでいい筈。此方に教える義理はない」

「うっ、それは…」

雫が強気に出るとメーヤは返す言葉が無いのか、小さく口ごもってしまう。

流石雫。ここから上手く持っていければ…

これは雫から聞いた話だが、先ず渉する場合は相手と対等な関係に持っていく必要がある。

下手に見られると此方に不利になる條件を押し付けられるからだ。

更に今回は渉は初めから此方に有利な點がある。

今回のパターンは此方が報を提供する側。

つまりは、此方が今回の渉の鍵メインカードを握っているという點だ。

「ならば、二人をSランクに昇格させるというのはどうだ?Sランクになれば々と融通が利くようになるぞ」

「むぅ…」

メーヤの提案に惹かれたのか、雫が悩ましげな聲をらす。

雫の表を見て、メーヤは好機だとじたのか更に會話を続ける。

「ギルド長の権限で他の冒険者のランクを上げられるのは、そのギルドマスターの持つランクと同等のランクまで──つまり、私の場合はSランクまで可能という事になる」

──ほぉ、かなりの魔力を保有しているとはじていたがSランクだったのかメーヤは。

Sランクのステータスか…気になるな。

Sランクと聞いて俺の心の中で好奇心が疼き始める。

…メーヤのステータスがどの程度なのか気になるな。

俺はメーヤに気付かれないように機の下で雫の手を握る。

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──びくんっ!

雫は俺が突然手を握った事にする驚いたのか、痙攣のように手を震わせると、此方の顔を見上げてくる。

──トントン、トン、トントン。

雫の手の甲に指でタップし、タップ信號タッピングを使い『メーヤのステータスを調べてくれ』と送る。

タップ信號とは軍隊でよく使用される會話方法コミュニケーションツールで、タップによりモールス信號を送る方法だ。

俺は仕事柄便利なので會得している。

ちなみにこの事を雫に伝えたら「何それ!お兄ちゃんとの以心伝心の會話みたいで萌える」と言って、俺が一週間掛けて會得したのを一時間で功させやがった。

…解せぬ。

すると雫からもタップ信號で返信が送られてくる。

『雫もお兄ちゃんと結婚する』

「ゴフッ!」

「ど、どうした!?」

雫の返答に飲んでいた紅茶が変な気管にって噎せてしまうと、メーヤが心配そうな顔で俺の顔を伺ってくるので、問題ないとだけ告げる。

今の信號をどう解釈したら俺が告白プロポーズした風に理解するんだ…

『おふざけはよせ』

『むぅ…けち』

タップ信號で注意を促すと雫は不満を返信しながらも目線をメーヤに向ける。

おそらく鑑定を使用するには、相手を視界にれる必要があるのだろう。

俺は鑑定しているのがバレないようにメーヤの注意を引く作戦に出る。

「ところでメーヤの髪って綺麗だよな。まるでき通った翠玉エメラルドを彷彿とさせるしい髪だよな」

「きゅ、急に、なにゅを…」

俺は咄嗟の判斷でメーヤの良いところを譽めて気を逸らす作戦に出る。

は異に褒められると嬉しいと、何かの雑誌に書いてあったからな。

メーヤは男に褒められる事に耐がないのか、顔を真っ赤にして否定するが、上手く喋る事が出來ていない。

「俺の言葉に照れているメーヤも綺麗だよ」

「しょ、しょんな事…」

よしよし良い調子だぞ。

このままメーヤの気を逸らして──

──メキッ

ん?痛い痛いっ!

突如、雫と繋いでいる手に痛みをじる。

『お兄ちゃん。何、やっているの?』

『あ、あの、痛いよ雫』

『言語両斷』

──メキメキ

更に雫の俺の手を握り潰す力が増加していく。

痛い、痛いよ!?こんな力をれる力が殘っているのなら全然平気じゃない!?

俺は妹からの痛みに耐えながらも、雫に誤解であることを伝える。

『誤解だよ。雫が鑑定を発しているのがバレない為にもメーヤの気を逸らす必要があるだろ?』

『むぅ…。許す』

俺の言い分に納得したのか、雫の手から力が抜ける。

しかし、雫が何の誤解をしていて俺を怒っていたのかは未だに謎だ。

心が分かる魔法がしいよ。

──トントン、トン、トン。

俺が怒りの原因の謎解きをしていると、鑑定し終えた雫が再びタップ信號により連絡を送ってきた。

『ステータスは大平均で1萬程度。特に魔力に特化していて、その數値は15000』

俺は雫の送ってきた報を読み取り、その報に驚愕する。

これは驚いたな…

まさかこんなにも早く1萬越えに出會えるとは。

特に魔法なんて俺の半分にも及ぶじゃないか。

嫌味に聞こえるかもしれないが、この世界で1萬オーバーする事の凄さは、俺自信もこの數日関で理解はしている。

だが、1つ気になる點があった。

メーヤは先程自分のランクをSランクと言っていた。

そして俺達の討伐した魔もSランクだった。

勘のいい人はもうお気付きかもしれないが、メーヤのステータス平均は1萬なのに対して、討伐したS級魔のステータス平均は8000程度。

余りにも差が多い気がするのだ。

過去に街の中の冒険者のステータス平均を雫に出して貰った事がある。

街中の冒険者全てを鑑定で視ながら、平均を割り出す計算を同時進行で行う事が出來るのは、雫だから出來た事だろう。

おっと、話が逸れてしまったな。

俺の妹自慢は、今は置いておこう。

ランクごとの間の差は2000~3000程度。

例を挙げるのならシスティラが分かりやすいだろう。以前、元Aランクのシスティラのステータスを平均は5500程度だった。

それに対して俺達の討伐したS級魔は8000程。その差は大2500以上に昇る。

ここまで説明すれば分かるだろう。

メーヤとS級魔との平均差は2000もあるのだ。同じSランクなのにだ。メーヤのステータスならSSランクでもおかしくはない筈なのだ。

考えられる理由は2つ。

1つ目は俺達に対して自のランクを偽っている事だ。だがこれは、システィラがメーヤの発言したランクに疑問を持っていない表を見たことで消える。

ギルド職員のシスティラならギルド長であるメーヤのランクは知っていて當然だからな。

そして2つ目は実力を隠している事だ。

だが、何故実力を隠す必要があるのだろうか?冒険者の世界は実力主義だ。自の実力を隠す利點はない筈。

ならば何故?

そこまで考えたところに、再びタップ信號による雫の連絡が送られてくる。

『後、気になった點が1つ。彼の種族は──』

──ガタッ

最後まで雫の信號を読み取った俺は慌てて立ち上がり、メーヤの耳に顔を近づける。

「な、何だ!?」

いきなり俺に顔を近づけられたメーヤは顔を赤くして驚きの聲を挙げるが、今の俺にその聲は屆いていない。

「───エルフだ…」

そう。耳に掛かった髪で隠れていて気付かなかったが、メーヤの耳は人間とは異なっており、ラノベやアニメで見た通り先端が笹穂のように尖っていたのだ。

俺のラノベ知識通りならば、エルフは極めて長命種。メーヤが500歳だと言っていたのも否定できない。

すげぇ…!生エルフだ。

その道の人間なら泣いて喜ぶ験だろう。

「エルフの生態…研究してみたい…」

隣では雫がそんな事を小さく呟いている。

雫はっからの研究オタク兼、アニメオタクだからな…探究心が押さえられないのだろう。

勿論俺もオタクの端くれだ。

生エルフを見て気分は興している。

だが…!だが、1つ言いたいことがあるとすれば!

──エルフと言えばモデル型だろっ!!

いや、良いよ!?ロリエルフもいいけどさぁ…。何て言うかその…期待していたものと違うと、例え良いものでもガッカリするじゃん…?

俺が何とも言えない虛無により、心の中で泣いていると、雫の連絡の続きを思い出す。

「…ハイエルフとエルフって何が違うんだ?」

「──!?」

その言葉を呟いた瞬間、メーヤの表が驚愕へと変わる。

「お、お前…何処でその報を…」

ん?何か俺、変な事言ったか?

「何処って…鑑定で視たんだけど」

「か、鑑定持ちだったのか」

メーヤは呆けたようにそう言うと、俺達2人の方へと向き直り、何か決心したような目付きへと変わる。

「お願いがある。…私がハイエルフということは他言無用で頼む」

「何故?」

俺が素直な疑問を口にすると、メーヤは口ごもる。

どうやら返答しにくい質問だったらしい。

「いや、黙っていて貰うんだ、理由は話す」

義理堅い格なのだろう、メーヤは決心をした表でその理由を話始めた。

「長命種であるエルフの中でもハイエルフは普通のエルフの2倍──大千年近い時を生きるんだ。だから大のハイエルフが里の長老の位に就く。それは私も同じだ。長老──つまりは國の権力者なようなものだ。通常、他國の権力者がその國に國するのには、あらかじめ國王の許可が必要になる。だが私は、この國の國王の許可は貰っていないのだ…」

「それって外的に問題なんじゃないか?」

「そ、それは勿論そうだが、ちゃんとした理由があるんだ。実は最近、人間の國でのエルフの非合法な奴隷売買が激しくてな。私はそれの監視や撲滅の為にもこの國に潛り込んでいるのだ。その為にギルドマスターになった。ギルドは國の管轄に屬していないからな。都合が良いんだ」

「それはこの國がブラックだって事か?」

「いや、正しくは盜賊が、と言った方がいいだろう。前々から、この國とエルフの里とは不可侵條約を結んでいるから、エルフを奴隷にするのは犯罪だ。だから盜賊達は裏オークションにエルフを売り付ける。勿論、この國の國王も裏オークションの殲滅には全力を盡くしているようだ。だが、王國の部に者スパイが居るらしく、壊滅には至っていない。だから私は王家にもバレないように獨自で潛している、という訳だ」

メーヤは話終えて満足したのか、小さく息を吐きながら椅子の背もたれにもたれ掛かる。

る程…奴隷か。俺は別に奴隷に苦手意識は持っていない。

地球あっちでも非合法ながらも奴隷の売買は存在していた。

戦爭地帯に駆り出される俺はその景を目にしていたから、嫌悪はないが…

だが今の俺は、心の底から怒りが噴き上がっていた。

──実に、けしからん!

エルフ達を拐い、奴隷にするだと!

何て羨ま──じゃなくて邪悪な!

うん。見つけ次第殲滅だな。

ついでに街中で奴隷のエルフを見つけたら助けよう。

は全てが等しく大切にされるべきなのだ。

…ただしに限る。男は知らん。

自分で何とかしろ。

そんな駄々れの考えを俺が口には出さずに心の中で留めていると、メーヤが不安そうに此方を見上げてくる。

「ど、どうだ?にしてくれないか?」

だがこれで、メーヤが実力を隠す必要がある理由が判明した。

この世界でSSランクの冒険者は數えるほどしか居ない。

なのでSSランクなれば嫌でも目立つだろう。

それは隠をしているメーヤにとっては悪手だ。

俺的にはの味方なのでにしてやりたいが、雫の意見が俺の中では何よりも優先される。

雫の意見を確かめるために雫と意志疎通アイコンタクトをする。

「分かった。緒する。ただし條件がある。1つ目は雫達を無條件でSランクに上げること。それともう1つは雫達のSランク昇格等を含む報を隠匿する事」

雫の提示したこの條件なら俺達は目立つことのなく、なおかつギルドマスターという強固な報網を手にする事が出來るという訳だ。

「う、うーむ…分かった。その條件を飲もう」

メーヤは腕を組んで數秒悩んだ末、首を縦に振った。

流石雫。これで結果的に俺達は素を明かすことなく、無條件でSランクへの近道ショートカットが出來たことになる。

「それと、システィラもこの話はに頼む」

メーヤは部屋の隅で話を聞いていたシスティラにも同意を求める。

「は、はい!分かりました」

システィラは首がもげそうな勢いで首を縦に振る。

あれなら安心だろう。

「それとシスティラはお前達の専屬の付に任命する。そうすればお前達がSランクになった報は最小限に留まるだろう」

「い、良いんですか!?私が太さんの専屬!?」

「げぇ…」

周りに花が咲きそうな程の満天の笑顔のシスティラに対して、あからさまに嫌そうな表をする雫。

仲悪すぎだろこの2人…。

こうして俺達は異世界に來て數日でFランクからSランクへの靜かな昇格を果たしたのだった。

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