「さぁさぁこちらへ！」

「あのぉ……僕はどこへ連れてかれるのですか？」

「この町の男ならば知らない人はいない。一度來たら最後、もう二度とあの覚を忘れられはできず、何度も足を運んでしまう。そんなじの所ですわ！」

「な、なんかいやらしぃ！」

心しワクワクしながら、ウルフのに付いていく。

人がいない薄暗く狹い道を通っていくと、なにやらし騒がしい聲が聞こえてくる。

「あ、あのぉ……さっきまで靜かだったのに、突然賑やかな聲が聞こえてきたのですが……」

「その正はもうじきわかります！」

「は、はぁ……」

ウルフのは、大きめな建の前で止まり「ここがその正の場所です」と言い、その建の扉を開ける。

そして、その正が明らかとなり、その目の前の景にジンは心踴らせる。

「この町を救ってくださった『英雄様』がご來店です！」

ジンを道案してくれた人が、そう聲をあげる。

「ちょ、英雄なんかじゃ……」

「『ウルフハウス』へようこそ！」

「「「「ようこそ！」」」」

大勢のウルフのに、ジンは興を覚える。

「ま、まぁいいか！　そう呼ばれるのもここだけだろうからなぁ……頑張った自分へのご褒ということで……」

ジンは「よし！」と一言呟き、『ウルフハウス』へ足を一歩踏みれる。

そこには凄い大勢の男冒険者達と、その冒険者達と楽しげに食事やら會話やらをしているウルフの達がいた。

「男冒険者しかいねぇ……しかもただ話したりご飯食べたりしてるだけにしか見えない……これでここを忘れられなくなるっていうのは、あまりピンとこないなぁ……」

そう思った時だった。

「ふさふさで気持ちいぃ〜！」

ん？　ふさふさで気持ちいいってなんだ……

そう思い、聲の聞こえた方を振り返ると、男冒険者がウルフのの尾をっていた。

「なるほどぉ……あれは絶対気持ちいいに決まってる」

そう思ったら行は早い。まずは付で選びたい人を選ぶ。

うーん……このショートヘアの人可いなぁ……いや待て、このロングの人にしよう！　かわいい……

ロングヘアの人を指名すると、付の人が呼びに行く。ジンはだしなみを整えて待つ。

ジンが選んだウルフは、綺麗にまっすぐとびたロングヘアで、うっとりした目つきに、メガネを掛けており、笑顔が抜群に可いスレンダーなだ。

やがてその人が來ると、丁寧にお辭儀をしたあと、ジンの目を見ながら「ご指名ありがとうございます。今日は何をなさいますか？」と尋ねてくる。

あぁかわいい！　それにすっごく綺麗な尾……こんなとこレベッカさんとマーシュさんに見られたら恥ずかいなぁ……

「そうですねぇ……しおしゃべりしませんか？」

「かしこまりました、それではご案します」

ジンは案に従い、指定された席へと腰をかける。機を挾んで向かいの席にウルフのは座る。

「まずは自己紹介からいたしましょう。私は獣人族もとい、ウルフのエレンと言います。今回は選んで頂き誠にありがとうございます英雄様」

「え、英雄様なんて……そんな大層な者ではなく、ただの冒険者ですよ。僕はジンと言います。改めてよろしくお願いします！」

自己紹介をお互いにした後、この町を救った時の話や、オーキ國の事などを話などをした。

お互いに最初はし張していたが、會話をしていくうちに、その張は解れていき、話が盛り上がってきた、そんな時だった。

勢いよく扉を開き、肩で風を切りながら歩いているガラの悪い男がってきた。

「おいっ、この店で一番人気のある奴を呼べ」

「そ、そう言われましても……」

「早くしろ、俺が誰だかわかってんだろ？」

「は、はい……」

ってくるなり付の人を脅すそのガラの悪い男を、ジンは注意しようと立ち上がろうとする。

だが、エレンが腕を摑んで「辭めた方がいいです……あの人はこの町でも名の知れた人なのです……」と言い怯えた顔でジンを見つめる。

「……あの人はよく來るんですか？」

「はい……毎度毎度同じような事を言っているのです……時には暴力を振るったりするんです……」

「へぇ……それは許せないですね……」

「……え？」

ジンは「し僕が注意してきます」と言い、摑まれた手を優しく解いた後、その男の元へ向かう。

「すいません……只今ご指名の方は他の方が選ばれていまして、今すぐには……」

「あぁ？　早く出せっつってんだろ？」

「キャッ……！」

ガラの悪い男は、付ののぐらを摑み自分の目の前へと、付から引き摺り出す。

「俺ぁ待つのが嫌いなんだよ……毆られたくなきゃ早く呼べ」

「……ですから……」

「ッチ……」

ガラの悪い男は、舌打ちをした後、付のを毆ろうとする。

ジンは、エレンといた席から、しだけ距離のある付まで一瞬で近寄り、ガラの悪い男の毆ろうとしていた腕を摑む。

「んあぁ？　なんだてめぇおい？　誰の腕摑んでんだ？」

「の顔に傷を付けようとしている人の腕を摑んでいるだけですが？」

「クソガキが……引っ込んでろ」

そう言い、ガラの悪い男は付のを離した後、すぐに両手でジンに毆り掛かる。

が、ジンは余裕な表で全ての攻撃を躱し、隙を見て腹部を一発毆ると、男はお腹を抑えて倒れ込む。

そして、ジンは「またのご來店お待ちしておりま〜す」とニヤつきながら言い、ガラの悪い男の顔面にタイキックをお見舞し、店から追い出した。