「「「ありがとうございます！！！」」」

「きゅ、急にどうしたんですか……？」

そう尋ねると、多くのウルフのの中から、エレンが一歩前へ出てくる。

「ジンさん。本當にありがとうございます。先程も言いましたように、あのお方は本當に兇暴で強引な人だったのです。その兇暴さ故に、私達は太刀打ちできず、ただ従うだけしかできなかったのです……そんな時です。英雄様が來てくれたと聞き、もしかしたら……と思ったのです」

し照れくさいなぁ……

「そして、本當に噂通りの強さで、あの兇暴な人を追い出していただき、我々一同はジンさんに謝しているのです。本當にありがとうございます。このご恩は忘れないです」

エレンが頭を下げると、同時に後ろにいた他のウルフの達も頭を下げてくる。

そ、そんな大事でもないような……

「ま、まぁとりあえず、助けられたなら良かったです！　さ、さぁ皆さん！　お店にりましょう？」

そう言うと、何故か冒険者達は店から離れていく。

「ちょ、ちょっと皆さん！？　なんで帰っちゃうんですか！？」

そして、そこにいた全冒険者が口を揃えて「「「今日はお前の貸切だ！」」」と言って笑顔で帰って行った。

「へ？　貸切……って、ちょ！？　何での腕を摑むんですか！？　あ、まで持ち上げて……あっ、今変なとこったの誰だ！？」

ウルフの達はみんな揃ってジンに謝の意を伝えるため、店でパーティーが開かれることになった。

「さぁさぁ！　今夜は私たちがもてなします！　存分にたのしんでください！」

「は、はぁ……」

もういいや、この際楽しもう……

最初はガチガチに張していたが、それは最初の數分だ。慣れてきてしまえば大丈夫。

ジンの周りには、沢山の人ウルフ達に囲まれて、両手に花といった狀態だった。

パーティーでは、ワイワイご飯を食べたり、ゲームをしたりと、楽しい時間を過ごしていた。

ジンは、し休憩がてら外で風に當たっていた。

すると、エレンが隣に來たためし喋ることにした。

「獣人族の皆さんは……」

「ウルフ、で結構ですよ」

「は、はぁ……では、ウルフの皆さんはどうしてここに？」

「それはですね、最初は小さな村で私達は一同は生活していました。その村では、だけでなく、男のウルフも生活していたんです。ですがある日、男ウルフ達が村の食糧確保のために旅に出て以來、戻ってこなかったのです……」

「そ、それは……悪い事を聞いてしまいました……」

「いえいえ！　いいんです。それで、私達の村は小さく、男ウルフ全員がいなくなったため、ウルフしか殘っておらず、村にも居られなくなったのでここまできたのです。そして、ここに店を建てたと言うことです」

「そうだったんですね……」

ジンは深刻な顔をするが、エレンはそんな顔は全くしていなかった。

「ですが、今は楽しいのです。確かに仲間が減ってしまったことは悲しく思います。ですが、こうして皆さんとれ合っていると、楽しくて仕方がないのです。皆と食事をして、皆とお遊びをして。私は、今の仕事を初めて良かったと思ってます」

「そうなんですね……なら、僕もなにも言いません。ささ、そろそろ食事に戻りますか！」

「そうですね！　……良ければ尾とかります？」

その突然の発言に、ジンは歩くのを止める。

「い、今なんと……？」

「え？　尾をりませんかと……」

「い、いいんですか！？」

「ええもちろん」

ジンは、とても気になってはいたが、なかなか尾をらせてくれと頼むことができずにいたため、この申し出はとても嬉しかった。

「こ、心の準備が……」

「そんな張しなくても尾は逃げませんよ？」

エレンはクスッと笑いだし、その可らしい笑顔に、ジンは見惚れてしまう。

「ほらほら、いつでもいくらでもっても構いませんよ？」

「で、でわ……」

ジンはゆっくりと、エレンの尾をる。

そして、その尾の完璧なり心地に激の聲をらす。

「気持ちいい〜」

「ふふっ……そう言ってもらえると嬉しいですわ」

あぁ……り心地が良すぎてずっとってたいなぁ……これは忘れられなくなるわなぁ……

「あ、あのぉ……ジンさん？」

「はいぃ……？」

「尾を堪能するのは良いのですが、貴方の後ろで腕を組みながら睨んでくるが二人いるのですが……」

「が二人？　腕を組んでいる……念の為に聞きますが、ウルフですか？　人族ですか？」

「……人族です」

その言葉に、ジンは汗が止まらなくなる。

「ま、まさかぁ……」

「こんな所で何もしてるのかしら？　私達を宿に殘して自分はパーティーですか？　まぁなんとも楽しそうですねえ？」

「どれくらいジンを待ったと思ってるのですか？　お腹すいたから早く帰ってこないかな〜？　って待ってても帰ってこない。そして町中を探してみたらこんな所でウルフの尾をっている。どうして？」

「こ、これには深いわけがありまして……って言うか、二人とも喧嘩してたんじゃ……」

「「うるさい！！！」」

そう言ってレベッカとマーシュは、ジンにビンタをする。

「なんで毆るの！？　痛いよぉ……」

レベッカとマーシュが、ジンを引きずって帰ろうとすると、エレンがとある提案を持ち出す。

「そうだ！　まだお二人とも夕食がまだでしたら、ここで食べていきませんか？」

「「そうします！！！」」

そう返事をすると、ジンを引き摺りながら二人は店へっていく。

エレンは、ジンにこっそり耳打ちをして「されているのですね」と微笑みながら言うと、ジンは「どこがですか！？」と泣き顔で言うのであった。