《冒険者は最強職ですよ?》もう守られるだけの僕じゃない 16

「おい……今何をした?」

「私はただ、貴方が突っ込んで來たから回り込んで蹴っ飛ばしただけですよ?」

「そんなわけがあるかぁ!」

グスタフは、そう言いながら突進をしてくる。

その突進は、先程よりもかなり速い突進だった。が、その突破はレベッカにとっては先ほどと大して変わらないように見えた。

短剣の間合いギリギリまでグスタフの突進を待ち、ひょいと避けると、レベッカは宇宙へ向けてグスタフを蹴りあげる。

「グハァ!」

蹴り上げられたグスタフは、空中では何もすることができず最高到達點までいくと、次は凄い速さで垂直落下していく。

「グ……なんとか……勢を直さなければ……」

「ふふ……そのまま垂直落下をしてきてくださると良いのですが」

その言葉通り、グスタフは落ちてきており、レベッカの頭上の位置までくると、レベッカは一度構えを取り、右足を後ろへ下げ力強く踏み込む。

「これでおしまいです。『武技"殺腳"』」

丁度グスタフの頭が、レベッカの蹴りやすい位置に來ると、その武技を顔面に食らう。

「……!」

グスタフの顔にレベッカの足がめり込む。

鼻と頬骨が砕ける音がすると共に、グスタフは凄い勢いで回転しながら宙を舞う。

「グスタフさん……あなたのおかげでレベルが上がりました。そこだけは、謝いたします」

そのままレベッカは後ろを振り向き、ふっと勝利の笑を浮かべる。

グスタフは地面に転げ落ち、そのまま意識を失う。

「さぁマーシュ。あとはジンの……所へ……」

「レベッカ!!」

レベッカは、グスタフとの戦闘で酷く消耗しており、全からはオーラが泡のように消えると、その場に力無く倒れ込む。

「か、回復魔法!」

すぐにエレンを抱えたままレベッカの元へ近寄り、回復魔法をかける。

「レベッカ……お疲れ様。今日はもうゆっくり休んで」

マーシュは、レベッカとエレンを急いで宿へ運び、ベットの上へ運んだあと、急いでグスタフの元へ向かい、グスタフからは裝備一式を剝ぎ、紐で拘束する。

「これでよし! 貴方はもうくことはできないでしょう!」

その縛られているグスタフのボロボロな顔をは、しだけ可哀想に見えてくる。

マーシュはこっそり、顔にだけ回復魔法をかけるのだった……

そのころジンは。

神様……」

『えぇ……ジン……』

「これは……」

『多分そうよね……』

「『お寶だぁぁあ!!』」

拠點に集まっていた暴走族の連中は、ジンが走り回って気絶させ、一箇所に集めて寢転ばせていた。

「こ、ここ、このお寶はおいくら萬円!?」

『こ、ここ、ここの世界は円ではないわ! その國の名前がそのままお金の名前になるのよ!』

「そ、そそ、そうだったぁ!」

『そ、そそ、そうなのよぉ!』

右を向いてもお寶。左を向いてもお寶。その在処は、とある倉庫の中に集められてあった。

きっと自分の手元に置いておきたかったのだろう。

「こんなにお寶があるなんて……一つくらいくすねても……」

「それはいけねぇぞ? 坊主」

「そ、その聲は!?」

聲がした方を振り向くと、何故か私服のダネットが腕を組んで立っていた。

「なんでダネットさんがここに!?」

「いやな? いつ飛び込むか様子を見ていたらさ、俺でも目で捉えるのが一杯のきをする奴がいてさ、あれはぁ……と思ったら坊主だったってわけだ」

「は、はぁ……そうだったんですか……」

「それより、お寶は貰うなよ? きっちりとギルドへ返すんだ」

「『え、ええ!?』」

「當たり前だろ? それを取ったらお前も同罪だぞ?」

「それは嫌です。絶対取りません」

『はぁ!? 何を言ってるのジンは!? それにそこのバカも!』

神様。貴方の聲は外へは聞こえません。いくら言っても無駄ですよ?」

『キィーー!!』

何やら歯ぎしりをする音が聞こえる。だがそこはどうでもいい。

「ダネットさんは家族はどうしたんです?」

「あぁ家族は大丈夫だ。俺の家はここからは遠いからな。今頃晝寢だ」

「こんな狀況で晝寢って……のんびり屋さんですね」

「まぁ、なんてったって俺がいるからな」

「で、ですよねー……」

その後は、ダネットが持參したロープで暴走族達を縛り上げ、お寶も荷車に乗せると、そのままギルドへ手渡した。

「ありがとうございます! ダネット様に見知らぬ冒険者様!」

「「いえいえ〜!」」

『お寶ぁ……』

あぁそうだった。オーラは解いてたけど"神の加護"を解くのを忘れてたっと。

『あぁ、ジン、ちょっとまっ……』

うるさい。

"神の加護"を解くと、神の聲は聞こえなくなる。

はぁすっきり。

その後は、ダネットに挨拶をしたあと、宿へ戻っていった。

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